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JP2000296668A - インク受像シート及びその製造方法 - Google Patents

インク受像シート及びその製造方法

Info

Publication number
JP2000296668A
JP2000296668A JP11107138A JP10713899A JP2000296668A JP 2000296668 A JP2000296668 A JP 2000296668A JP 11107138 A JP11107138 A JP 11107138A JP 10713899 A JP10713899 A JP 10713899A JP 2000296668 A JP2000296668 A JP 2000296668A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
acid
porous film
receiving sheet
meth
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11107138A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaya Omura
雅也 大村
Nobuyuki Nakatsuka
修志 中塚
Seiji Mizumoto
清治 水元
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daicel Chemical Industries Ltd filed Critical Daicel Chemical Industries Ltd
Priority to JP11107138A priority Critical patent/JP2000296668A/ja
Publication of JP2000296668A publication Critical patent/JP2000296668A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インク吸収性及びインク定着性に優れたイン
ク受像シートを得る。 【解決手段】空孔の形状が、平面方向において実質的に
円形又は楕円形で、かつ厚み方向において平面方向に長
軸を有する楕円形又は細長状の空孔を有する多孔質膜で
インク受像シートを構成する。前記多孔質膜は、平均空
孔径が0.1〜5μm、空孔率が20〜70%である。
厚み方向の断面におけるアスペクト比は、1.3/1〜
20/1程度であってもよい。多孔質膜は、乾式相転換
によるミクロ相分離構造を有していてもよい。前記多孔
質膜は、セルロース系樹脂、ビニル系重合体及びポリス
ルホン系重合体などの樹脂で構成できる。このようなイ
ンク受像シートは、基材に樹脂溶液を塗布し、相分離し
て多孔質膜を形成することにより製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録方式におけるインクの吸収性、インク定着性及び印字
性に優れたインク受像シート及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式は、フルカラー
化が容易であり、低騒音で印字品質に優れている。ま
た、インクジェットプリンターは低価格で、しかも高速
化が容易であるため、コンピュータ用記録装置、ワード
プロセッサ、コピー機などの印字・出力装置として広く
用いられている。インクジェット記録用のインク成分と
しては、安全性、記録適性の点から主に水系インクが使
用され、ノズルから記録用シートにむけてインク小滴を
飛翔させることにより記録が行われる。そして、使用す
る記録シートのインク吸収性が低い場合、飛翔させたイ
ンク小滴の周辺にインクが飛散したり、記録終了後もイ
ンクが記録用シートの表面に長時間残り、装置の一部へ
の接触、取り扱い者への接触や、記録シートの重ね合せ
により、記録部分が汚れる。また、高密度画像部では、
多量に供給されたインクが吸収されないまま混合される
とともに流れ出し、不鮮明な画像となる。このため、記
録用シートは、速やかにインクを吸収すること、及び高
い定着性が要求される。
【0003】特公昭63−56876号公報には連続被
膜中に空孔を有する多孔性樹脂層を備えたインクジェッ
ト記録用シートが開示されている。このようなシートで
は、多孔性樹脂層を備えることにより、インク定着性は
向上するものの、インク吸収性(特に印字表面の速乾性
など)及び印字結果などに限界がある。
【0004】特開平4−263982号公報には、基材
上に、酢酸セルロースからなる多孔質層を設け、その上
層に擬ベーマイトからなる色素の担持層を設けた記録シ
ートが提案されている。
【0005】特開昭61−86251号公報には、基材
フィルム層の少なくとも片面に、液体吸収層を積層する
とともに、この液体吸収層に多孔質プラスチックシート
薄膜層(直径0.01〜0.1μmの孔が多数形成され
たポリエチレン又はポリプロピレンフィルム)を熱プレ
スにより積層した記録用シートが開示されている。しか
し、前記多孔質薄膜層の調製方法については記載されて
いない。
【0006】WO98/25997には、セルロース誘
導体、ビニル形重合体、ポリスルホン系重合体などで構
成され、波長400nmの光線透過率が30%以上であ
る多孔質膜が開示されており、前記多孔質膜がミクロ相
分離構造を有することが記載されている。
【0007】なお、インクジェット記録方式において、
耐水性を向上させるため、顔料を用いたインクが検討さ
れている。しかし、染料インクと異なり、粒子状の顔料
インクではインク受容層に対する定着性ひいては耐水性
が低下する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、インク吸収性、インク定着性及び印字性に優れ、画
像の耐久性が向上したインク受像シート及びその製造方
法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意検討の結果、特定の空孔形状を有
する多孔質膜でインク受像シートを構成すると、インク
吸収性、インク定着性及び印字性を大幅に改善できるこ
とを見出し、本発明を完成した。
【0010】すなわち、本発明のインク受像シートは、
平均空孔径が0.1〜5μm、空孔率が20〜70%で
ある多孔質膜で構成され、この多孔質膜の空孔の形状
は、平面方向において実質的に円形又は楕円形で、かつ
厚み方向において平面方向に長軸を有する楕円形又は細
長状である。前記厚み方向の断面におけるアスペクト比
は1.3/1〜20/1程度であってもよい。前記多孔
質膜は、乾式相転換によるミクロ相分離構造を有してい
てもよい。前記多孔質膜は、セルロース系樹脂、ビニル
系重合体、ポリスルホン系重合体などの樹脂で構成でき
る。前記多孔質膜は、基材の少なくとも一方の面に形成
してもよい。また、多孔質膜と基材との間にインク吸収
層を形成してもよい。
【0011】本発明には、基材に樹脂を塗布し、相分離
により多孔質膜を形成するインク受像シートの製造方法
も含まれる。
【0012】
【発明の実施の形態】[多孔質膜]本発明のインク受像
シートは、多孔質膜で構成されている。多孔質膜の平均
空孔径は0.1〜5μm、好ましくは0.1〜3μm、
さらに好ましくは0.3〜3μm程度である。平均空孔
径が、0.1μm未満では、インクが空孔に吸収され難
く、乾燥性、インク定着性及び画像の耐久性が低下し、
5μmを超えると画像の鮮明性や塗膜の強度などが低下
する。
【0013】インク吸収性は多孔質膜の空孔率にも影響
される。前記多孔質膜において、膜全体の空孔率は20
〜70%、好ましくは30〜60%程度である。空孔率
が20%未満では、吸収面の表面積が少ないため、膜の
インクに対する吸収能が低く、70%を超えると、多孔
質膜自体の強度が低下する虞がある。
【0014】多孔質膜の空孔の形状は、平面方向におい
て(平面方向の断面形状が)実質的に(又は略)円形又
は楕円形であり、かつ厚み方向の断面形状が平面方向に
長軸を有する楕円形又は細長状である。なお、平面方向
における空孔の断面形状は、実質的に円形又は楕円形状
であればよく、湾曲又は歪んでいてもよい。
【0015】前記多孔質膜において、厚み方向の断面に
おける空孔のアスペクト比(長軸と短軸との長さの比)
は、1.3/1〜20/1、好ましくは1.5/1〜1
0/1、さらに好ましくは2/1〜5/1程度である。
アスペクト比が、1.3/1未満では、浸透するインク
成分を効率よく吸収できず、20/1を超えると滲みが
生じる虞がある。
【0016】このようなインク受像シートでは、印字す
る場合に、多孔質膜表面に飛翔したインク(顔料インク
などであってもよい水性インクなど)は、その空孔に速
やかに吸収されるため、鮮明な画像を得ることができる
とともに、シート表面の見かけ上の乾燥状態をより速く
得ることができる。
【0017】多孔質膜は透明,半透明又は不透明のいず
れであってもよい。本発明では、孔径や空孔率を調整す
ることにより、用途によっては透明性の高い多孔質膜を
得ることも可能である。透明性の高い多孔質膜は、例え
ば、平均空孔径が0.4μm以下である。このようなイ
ンク受像シートは、波長400nmでの光線透過率が、
55%以上(すなわち55〜100%)、好ましくは6
0〜100%、さらに好ましくは70〜100%、特に
75〜100%程度であれば、OHP用シートとしても
有用である。透明性を重視する場合、多孔質膜の空孔率
は、例えば、20〜70%、好ましくは20〜60%
(例えば、20〜45%)程度であるのが望ましい。
【0018】前記多孔質膜は、樹脂で構成されており、
ミクロ相分離構造、特に乾式相転換によるミクロ相分離
構造を有していてもよい。このミクロ相分離構造は、流
延した樹脂溶液の組成変化により相分離したゲル相の凝
固により形成される。
【0019】前記多孔質膜を構成する樹脂としては、前
記特徴を有する多孔質膜を形成できる限り、特に制限さ
れず種々の樹脂(熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂)が
使用でき、通常、熱可塑性樹脂が使用される。以下の樹
脂又は重合体などが例示できる。
【0020】セルロース系樹脂(セルロース誘導体):
セルロースエステル、例えば、セルロースアセテート,
セルロースプロピオネート,セルロースブチレート,セ
ルロースアセテートプロピオネート,セルロースアセテ
ートブチレート,セルロースアセテートフタレートなど
の有機酸エステル;硝酸セルロース,硫酸セルロース,
リン酸セルロースなどの無機酸エステル;硝酸酢酸セル
ロースなどの混酸エステルなど セルロースエーテル、例えば、メチルセルロース,エチ
ルセルロース,イソプロピルセルロース,ブチルセルロ
ース,ベンジルセルロース,ヒドロキシエチルセルロー
ス,ヒドロキシプロピルセルロース,カルボキシメチル
セルロース,カルボキシエチルセルロース,シアノエチ
ルセルロースなど) ビニル系重合体:オレフィン系重合体、例えば、ポリエ
チレン,ポリプロピレン,ポリ1−ブテン,ポリイソブ
テン,ポリブタジエン,ポリイソプレン,エチレン−プ
ロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体,エ
チレン−(メタ)アクリル酸共重合体,エチレン−(メ
タ)アクリル酸エステル共重合体、変性ポリオレフィン
など ハロゲン含有ビニル重合体、例えば、ハロゲン含有ビニ
ル単量体の単独又は共重合体(ポリ塩化ビニルなど)、
ハロゲン含有ビニル単量体と共重合性単量体との共重合
体(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体など) ビニルエステル系重合体又はその誘導体、例えば、ポリ
酢酸ビニル、ポリビニルアルコール,エチレン−ビニル
アルコール共重合体,ポリビニルアセタール系重合体
(ポリビニルフォルマール,ポリビニルアセタール,ポ
リビニルブチラールなど) スチレン系重合体、例えば、芳香族ビニル単量体(スチ
レン系単量体)の単独又は共重合体(ポリスチレンな
ど)、芳香族ビニル単量体と共重合性単量体との共重合
体(スチレン−(メタ)アクリル酸C1-10アルキルエス
テル共重合体など) アリルアルコール系重合体、例えば、アリルアルコール
−C1-6 アルキルビニルエーテル共重合体 ポリビニルケトン類、例えば、ポリビニルメチルイソブ
チルケトンなど ポリアルキルビニルエーテル、例えば、ポリメチルビニ
ルエーテル,メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共
重合体など (メタ)アクリル系重合体、例えば、(メタ)アクリル
系単量体[(メタ)アクリロニトリル,(メタ)アクリ
ル酸エステル単量体など]の単独又は共重合体、(メ
タ)アクリル系単量体と共重合性単量体[ビニルエステ
ル系単量体,複素環式ビニル系単量体,芳香族ビニル単
量体,重合性不飽和ジカルボン酸又はその誘導体などの
ビニル系単量体]との共重合体 ポリスルホン系重合体:ポリスルホン,ポリエーテルス
ルホンなど ポリオキシド系重合体:ポリオキシエチレン,ポリオキ
シプロピレン,ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピ
レン共重合体など ポリアミドおよびポリイミド系重合体:ポリアミド(ナ
イロン6,ナイロン66,ナイロン11,ナイロン1
2,ナイロン6/11,ナイロン6/12など),ポリ
エステルアミド,ポリイミド,ポリアミドイミドなど ポリエステル系重合体(飽和ポリエステルなど):C
2-6 アルキレンテレフタレート(エチレンテレフタレー
ト,ブチレンテレフタレートなど),C2-6 アルキレン
ナフタレート(エチレンナフタレートなど)を主たる構
成単位として含むポリエステル(特に、C2-6 アルキレ
ングリコール及びテレフタル酸及び/又はナフタレンジ
カルボン酸のうち、少なくとも一方の成分の一部が、他
のジオール成分(エチレングリコール,プロピレングリ
コール,ブタンジオール,ヘキサンジオール,ポリオキ
シC2-4 アルキレングリコール,シクロヘキサンジメタ
ノールなど),他のジカルボン酸成分(フタル酸,イソ
フタル酸などの芳香族ジカルボン酸またはその酸無水
物,アジピン酸などのC6- 12脂肪族ジカルボン酸など)
などで置換したポリC2-4 アルキレンテレフタレート系
コポリエステルやポリアルキレンナフタレート系コポリ
エステルなど) ポリカーボネート:芳香族ポリカーボネート(ビスフェ
ノールA型ポリカーボネートなど) 他の重合体:熱可塑性ウレタン系重合体(ジオール成分
としてポリエステルジオール,ポリエーテルジオールな
どを用いたポリウレタンなど),ポリエーテルエーテル
ケトン,ポリエーテルエステル,ポリフェニレンエーテ
ル,ポリフェニレンスルフィド,ポリエチレンイミンな
ど これらの樹脂又は重合体は単独でまたは二種以上混合し
て使用できる。
【0021】好ましい樹脂には、セルロース誘導体、ビ
ニル系重合体およびポリスルホン系重合体から選択され
た少なくとも一種の樹脂が含まれる。
【0022】好ましいセルロース誘導体は、セルロース
エステル、例えば、セルロース有機酸エステル(例え
ば、炭素数2〜4程度の有機酸とのエステル)、特にセ
ルロースアセテート(セルロースジアセテートやセルロ
ーストリアセテートなど)が含まれる。
【0023】セルロース誘導体(セルロースエステルな
ど)の粘度平均重合度は、例えば、50〜800、好ま
しくは75〜500、さらに好ましくは100〜250
(特に100〜200)程度である。粘度平均重合度1
00〜190程度のセルロースアセテートも有効に使用
できる。
【0024】セルロースアセテートなどのセルロースエ
ステルの粘度平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田
和夫、斎藤秀夫、繊維学会誌、第18巻1号、105〜
120頁、1962年)により測定できる。すなわち、
メチレンクロライド/メタノール=9/1(重量比)の
混合溶液に精秤したセルロースエステルを溶解し、所定
の濃度c(2.00g/L)の溶液を調製する。この溶
液をオストワルド粘度計に注入し、25℃で粘度計の刻
線間を溶液が通過する時間(秒)tを測定する。一方、
前記混合溶剤単独についても上記と同様にして通過する
時間(秒)t0を測定し、下記式に従って、粘度平均重
合度を算出する。
【0025】ηrel =t/t0 [η]=(lnηrel )/c DP=[η]/(6×10-4) (式中、tは溶液の通過時間(秒)、t0 は溶媒の通過
時間(秒)、cは溶液のセルロースエステル濃度(g/
L)、ηrel は相対粘度、[η]は極限粘度、DPは平
均重合度を示す) セルロース誘導体の平均置換度は、1〜3程度の範囲か
ら選択できる。例えば、好ましいセルロースアセテート
では、例えば、平均酢化度42〜62%(43〜60
%)程度、好ましくは42〜57%程度である。
【0026】ビニル系重合体のうち、(メタ)アクリロ
ニトリル系重合体および(メタ)アクリル酸エステル系
重合体が好ましい。すなわち、(メタ)アクリロニトリ
ル,(メタ)アクリル酸エステル系単量体から選択され
た少なくとも一種の(メタ)アクリル系単量体の単独又
は共重合体、この(メタ)アクリル系単量体と他の共重
合性単量体[ビニルエステル系単量体,複素環式ビニル
系単量体,芳香族ビニル単量体,重合性不飽和ジカルボ
ン酸又はその誘導体などから選択された少なくとも一種
の単量体]との共重合体が好ましい。
【0027】(メタ)アクリロニトリル系重合体には、
ポリアクリロニトリル、ポリメタアクリロニトリル,
(メタ)アクリロニトリルと共重合性単量体との共重合
体が含まれる。前記共重合性単量体としては、例えば、
ビニルエステル系単量体(酢酸ビニルなど)、(メタ)
アクリル系単量体[(メタ)アクリル酸,(メタ)アク
リル酸メチル,(メタ)アクリル酸エチル,(メタ)ア
クリル酸ブチル,(メタ)アクリル酸ヘキシル,(メ
タ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アク
リル酸C1-10アルキルエステル、(メタ)アクリル酸2
−ヒドロキシエチル,(メタ)アクリル酸2−ヒドロキ
シプロピルなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレ
ート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミ
ノエチル(メタ)アクリレート,ジエチルアミノエチル
(メタ)アクリレートなどのC1-4 アルキルアミノ−C
1-4 アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル
アミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、メチロー
ル(メタ)アクリルアミド、アルコキシメチル(メタ)
アクリルアミドなど]、複素環式ビニル系単量体(ビニ
ルピロリドン,ビニルピリジン,ビニルイミダゾール,
ビニルカルバゾールなどの少なくとも一種のヘテロ原子
を含む5〜6員複素環式ビニル系単量体など)、芳香族
ビニル単量体(スチレン,ビニルトルエン,α−メチル
スチレンなど)、重合性不飽和ジカルボン酸又はその誘
導体(イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸,フマ
ル酸,これらの低級アルキルエステル又は酸無水物,マ
レイミド,N−アルキルマレイミド,N−フェニルマレ
イミドなど)などが例示できる。これらの共重合性単量
体は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0028】(メタ)アクリロニトリル系共重合体とし
ては、例えば、アクリロニトリル−ビニルピロリドン共
重合体、アクリロニトリル−酢酸ビニル共重合体、アク
リロニトリル−C1-8 アルキル(メタ)アクリレート共
重合体(アクリロニトリル−メチルアクリレート共重合
体など)、アクリロニトリル−ビニルピロリドン−C
1-8 アルキル(メタ)アクリレート共重合体、アクリロ
ニトリル−酢酸ビニル−C1-8 アルキル(メタ)アクリ
レート共重合体、アクリロニトリル−(メタ)アクリル
酸共重合体、アクリロニトリル−酢酸ビニル−(メタ)
アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−C1-8 アルキ
ル(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体
などが例示できる。
【0029】(メタ)アクリル酸エステル系重合体とし
ては、前記(メタ)アクリル酸エステルの単独又は共重
合体[例えば、ポリ(メタ)アクリル酸,ポリ(メタ)
アクリル酸C1-18アルキルエステルの単独又は共重合体
(ポリ(メタ)アクリル酸メチル,メタクリル酸メチル
−(メタ)アクリル酸共重合体,メタクリル酸メチル−
アクリル酸C1-10アルキルエステル共重合体など]、
(メタ)アクリル系単量体と共重合性単量体(ビニルエ
ステル系単量体,芳香族ビニル単量体,重合性不飽和ジ
カルボン酸又はその誘導体など)との共重合体[例え
ば、(メタ)アクリル酸C1-10アルキルエステル−スチ
レン共重合体,(メタ)アクリル酸C1-10アルキルエス
テル−(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体など]な
どが例示できる。
【0030】前記多孔質層は、水性インクに対する濡れ
性が高く、孔中に水性インクが侵入するのに十分な親水
性表面を有するものであってもよい。このような多孔質
層は、親水性樹脂で構成できる。なお、親水性樹脂と
は、接触角が80°未満(好ましくは0〜60°、特に
0〜40°程度)の重合体を意味する。接触角とは、室
温で、重合体面上の水滴の広がりが停止した状態で、水
滴の表面と重合体面との交点において、水滴に対する接
線と重合体面との間の角度である。
【0031】多孔質膜の膜厚は、特に制限されず用途に
応じて選択でき、例えば、1〜100μm、好ましくは
2〜70μm、さらに好ましくは3〜50μm程度であ
る。膜厚が小さすぎると強度が不十分となる。また、透
明性の高いインク受像シートを所望する場合、膜厚が1
00μmを越えると、透明性が低下する虞がある。
【0032】本発明のインク受像シートは、基材の少な
くとも一方の面に、前記多孔質膜を形成してもよく、基
材と多孔質膜との間にはインク吸収層を介在させてもよ
い。
【0033】基材上に多孔質膜を設ける場合、多孔質膜
の膜厚は、3μm以上(例えば、3〜100μm程
度)、好ましくは5〜70μm、さらに好ましくは5〜
50μm程度である。 [基材]基材の材質については、特に制限はなく、透
明、半透明、及び不透明のいずれであってもよい二次元
的構造の基材、例えば、紙、塗工紙、不織布、プラスチ
ックフィルムなどが挙げられ、これらのうち、プラスチ
ックフィルムが好ましい。例えば、オーバーヘッドプロ
ジェクター(OHP)用に使用する場合、基材は、通常
透明のプラスチックフィルムである。プラスチックフィ
ルムを構成するポリマーとしては、例えば、ポリエチレ
ン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリ(メ
タ)アクリル酸エステル、ポリスチレン、ポリビニルア
ルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、酢酸
セルロースなどのセルロース誘導体、ポリエステル(ポ
リエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
トなどのポリアルキレンテレフタレートなどのポリアル
キレンナフタレートなど)、ポリカーボネート、ポリア
ミド、ポリエステルアミド、ポリイミド、ポリアミドイ
ミドなどが挙げられ、さらにこれらの共重合体、ブレン
ド物、架橋物を用いてもよい。
【0034】これらのフィルムのうち、通常、ポリオレ
フィン(特に、ポリプロピレンなど)、ポリエステル
(特に、ポリエチレンテレフタレートなど)、ポリアミ
ドなどが使用され、特に、機械的強度、作業性などの点
からポリエステル(特にポリエチレンテレフタレートな
ど)が好ましい。
【0035】プラスチックフィルムなどの基材には、必
要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、滑
剤、顔料などの慣用の添加剤を添加してもよい。また、
多孔質膜やインク吸収層との接着性を改善するため、コ
ロナ放電処理やアンダーコート処理などの表面処理を行
ってもよい。
【0036】基材の厚みは、用途に応じて当業者の所望
により選択できるが、通常、インクジェットプリンター
に挿入して画像を形成することを考慮すると、例えば、
20〜200μm程度の範囲から選択でき、好ましくは
50〜170μm程度、さらに好ましくは80〜150
μm程度である。 [インク吸収層]インク吸収層は、インク又はインクの
溶媒成分を吸収可能な物質で構成でき、特に制限はな
い。インクジェット記録式においては、水性インクが多
用されているため、インク吸収層は、通常、親水性高分
子(親水性樹脂)で構成できる。
【0037】前記親水性高分子としては、例えば、親水
性天然高分子又はその誘導体(デンプン、コーンスター
チ、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、ゼラチン、
カゼイン、デキストリンなど)、セルロース誘導体(メ
チルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチル
セルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース
スルフェート、シアノエチルセルロースなど)、ビニル
アルコール系重合体(ポリビニルアルコール、エチレン
−ビニルアルコール共重合体など)、エチレン系重合体
(エチレン−無水マレイン酸共重合体など)、酢酸ビニ
ル系共重合体(酢酸ビニル−アクリル酸メチル共重合体
など)、ポリアルキレンオキサイド(ポリエチレンオキ
サイド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブ
ロック共重合体など)、カルボキシル基又はスルホン酸
基を有する重合体又はその塩[アクリル系重合体(ポリ
(メタ)アクリル酸又はその塩(アンモニウム、ナトリ
ウムなどのアルカリ金属塩)、メタクリル酸メチル−
(メタ)アクリル酸共重合体、アクリル酸−ポリビニル
アルコール共重合体など)、ビニルエーテル系重合体
(ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルイソブチルエ
ーテルなどのポリビニルアルキルエーテル、メチルビニ
ルエーテル−無水マレイン酸共重合体など)、スチレン
系重合体(スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレ
ン−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリスチレンスルホ
ン酸ナトリウムなど)、ポリビニルスルホン酸ナトリウ
ムなど]、窒素含有重合体(又はカチオン性ポリマー)
又はその塩(ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウ
ムクロライド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロ
ライドなどの4級アンモニウム塩、ポリジメチルアミノ
エチル(メタ)アクリレート塩酸塩、ポリビニルピリジ
ン、ポリビニルイミダゾール、ポリエチレンイミン、ポ
リアミドポリアミン、ポリアクリルアミド、ポリビニル
ピロリドンなど)などが挙げられる。これらの親水性高
分子は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0038】これらの親水性高分子のうち、セルロース
誘導体(特にヒドロキシエチルセルロースなど)、ビニ
ルアルコール系重合体(特にポリビニルアルコールな
ど)、ビニルエステル系重合体(特に酢酸ビニル系共重
合体など)、ポリビニルピロリドンなどが好ましい。
【0039】また、(1)ポリオキシアルキレン単位,
(2)アセトアセチル基,(3)カルボキシル基,
(4)酸無水物基および(5)アミノ基から選択された
少なくとも1つの官能基を有する親水性高分子も好まし
い。
【0040】(1)前記ポリオキシアルキレン単位を有
する親水性高分子には、前記多孔質膜を構成する重合体
と同様のビニルエステル系重合体(エーテル基などの親
水性基を有するポリオキシアルキレン−酢酸ビニル共重
合体など)が使用できる。
【0041】(2)アセトアセチル基変性親水性高分子
には、ヒドロキシル基を有する親水性高分子とアセト酢
酸エステルとの反応により生成するアセトアセチル基含
有親水性高分子、例えば、アセトアセチル基変性酢酸ビ
ニル系共重合体(アセトアセチル基含有ポリビニルアル
コール,アセトアセチル基含有セルロース誘導体など)
が含まれる。
【0042】(3)カルボキシル基変性親水性高分子に
は、(3a)カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、
例えば、ビニルエステル(酢酸ビニルなど)とカルボキ
シル基含有不飽和単量体((メタ)アクリル酸などのモ
ノカルボン酸、マレイン酸などのジカルボン酸又はこれ
らの酸無水物もしくはモノアルキルエステルなど)との
共重合体の部分ケン化物、例としては、スチレン−(メ
タ)アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリ
ル酸共重合体などのケン化物など、(3b)カルボキシル
基含有多糖類、例えば、カルボキシC1-4 アルキルセル
ロース、カルボキシメチルデキストランなどが含まれ
る。
【0043】(4)酸無水物基含有親水性高分子には、
アルキルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、エ
チレン−無水マレイン酸共重合体、(メタ)アクリル酸
エステル−無水マレイン酸共重合体などが含まれる。
【0044】(5)アミノ基含有親水性高分子には、ポ
リアミド−ポリアミン、ポリビニルアミン、ポリ(N−
ビニルホルムアミド)の部分加水分解物、アミノ基含有
多糖類などが挙げられる。
【0045】前記親水性高分子には、耐水性を付与する
ために、架橋剤を添加してもよい。前記親水性高分子が
ヒドロキシル基を有する場合、架橋剤としては、有機系
架橋剤[カルボキシル基又は酸無水物基を有する化合物
(多価カルボン酸又はその酸無水物など)、アルデヒド
基を有する化合物(グリオキザール、マロンジアルデヒ
ド、グルタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、ジア
ルデヒドデンプン、アクロレイン共重合アクリル樹脂な
どの複数のアルデヒド基を有する化合物など)、エポキ
シ基を有する化合物(アルキレングリコールジグリシジ
ルエーテル、ポリオキシアルキレングリコールジグリシ
ジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、
トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、1,
2−3,4−ジエポキシブタンなどの複数のエポキシ基
を有する化合物など)、窒素含有化合物(尿素樹脂、グ
アナミン樹脂、メラミン樹脂などのアミノ樹脂;エチレ
ンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ポリオキシアル
キレン型ジアミン又はポリアミン(すなわち、ポリエー
テル型ジアミン又はポリアミン)などの脂肪族、脂環
族、芳香族ジアミン又はポリアミンなど)、アクリルア
ミド基を有する化合物、イソシアネート基を有する化合
物(ポリイソシアネート、ブロック型ポリイソシアネー
トなど)]、金属化合物などの無機系架橋剤[ホウ酸又
はホウ酸塩(硼砂など)、ジルコニウム化合物(例えば
ハロゲン化物、硫酸などの無機酸や酢酸などの有機酸と
の塩など)、チタニウム化合物(例えば、テトラエトキ
シチタネートなどのアルコキシドなど)、アルミニウム
化合物(例えば、トリメトキシアルミネートなどのアル
コキシドなど)、リン化合物(例えば、亜リン酸エステ
ル、ビスフェノールA変性ポリリン酸など)、シランカ
ップリング剤(アルコキシ基、グリシジル基などの反応
性官能基を有するシリコーン化合物)など]などが使用
でき、多価カルボン酸又はその酸無水物、金属化合物な
どが好ましい。例えば、前記親水性高分子がカルボキシ
ル基を有する場合、エポキシ基を有する化合物、イソシ
アネート基を有する化合物及び金属化合物などが使用で
きる。これらの架橋剤は、単独で又は二種以上を組み合
わせて使用できる。
【0046】多価カルボン酸又はその塩、あるいは多価
カルボン酸の無水物を、ヒドロキシル基含有親水性高分
子と組み合わせると、インク吸収性、アンチブロッキン
グ性、画像の鮮明性(印字品質)及び耐水性を改善でき
る。
【0047】多価カルボン酸としては、分子中に2以上
の複数のカルボキシル基を有する化合物、例えば、脂肪
族ポリカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グ
ルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼ
ライン酸、セバシン酸などのC2-10脂肪族飽和ポリカル
ボン酸など、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、
シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸などのC4-6
肪族不飽和ポリカルボン酸など)、脂環族ポリカルボン
酸(シクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロフタル
酸、ヘキサヒドロフタル酸、ハイミック酸などのC8-10
脂環族ポリカルボン酸など)、芳香族ポリカルボン酸
(フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル
酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などのC8-12芳香
族ポリカルボン酸又はその酸無水物など)、オキシポリ
カルボン酸(タルトロン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン
酸などのC3-6 オキシ多価カルボン酸など)、窒素、酸
素及び硫黄原子から選択された少なくとも一種のヘテロ
原子を有する複素環式多価カルボン酸(ピリジンカルボ
ン酸、ピリジントリカルボン酸、ピリジンテトラカルボ
ン酸、イソ糖酸、トロピン酸など)が例示できる。これ
らの多価カルボン酸には、脂肪族、脂環族又は芳香族C
2-10ポリカルボン酸(特にC3-10ポリカルボン酸)が含
まれる。
【0048】さらに好ましい多価カルボン酸は、水溶性
又は、水分散性である場合が多く、温度30℃において
水100gに対して5g以上(好ましくは10g以上、
さらに好ましくは30g以上)溶解する水溶性多価カル
ボン酸である。このような多価カルボン酸には、C2-6
脂肪族多価カルボン酸(特にC3-5 脂肪族多価カルボン
酸)、特に、マレイン酸又はその酸無水物(無水マレイ
ン酸)が含まれる。
【0049】多価カルボン酸は塩としても使用でき、多
価カルボン酸のカルボキシル基の一部又は全部が塩基と
の塩を形成してもよい。多価カルボン酸塩には、無機塩
基(アンモニア、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ
金属など)との塩、有機塩基(第3級アミンなど)との
塩が含まれる。
【0050】インク吸収層には、硬化反応を促進するた
めに、硬化剤(硬化触媒又は硬化促進剤)を添加しても
よい。硬化剤としては、例えば、有機スズ化合物、有機
アルミニウム化合物、有機チタニウム化合物、有機ジル
コニウム化合物、酸性化合物、酸性リン酸エステル、前
記酸性リン酸エステルとアミンとの混合物または反応物
が挙げられる。これらの硬化剤は単独で又は2種以上を
混合して用いることができる。
【0051】硬化剤の使用量は、硬化性を促進できる範
囲、例えば、固形分換算で、親水性高分子で構成された
樹脂組成物100重量部に対して0. 01〜10重量
部、好ましくは0. 1〜5重量部程度である。
【0052】多孔質膜及び/又はインク吸収層は、必要
に応じて、染料固着剤を含有していてもよい。また、多
孔質膜及び/又はインク吸収層を染料固着剤で処理(含
浸、浸漬など)してもよい。染料固着剤を用いると、例
えば、染料インクを使用しても、染料の定着性、画像の
鮮明性及び画像の耐久性を向上できる。染料固着剤(高
分子染料固着剤)は、通常、分子中にカチオン基(特
に、グアニジル基や第4級アンモニウム塩型の強いカチ
オン基)を有している。染料固着剤は水溶性であっても
よい。
【0053】染料固着剤としては、例えば、ジシアン系
固着剤(ジシアンジアミド−ホルマリン重縮合体な
ど)、ポリアミン系固着剤[ジエチレントリアミン,ト
リエチレンテトラミン,ジプロピレントリアミン,ポリ
アリルアミンなどの脂肪族ポリアミン、フェニレンジア
ミンなどの芳香族ポリアミン、ジシアンジアミドと(ポ
リ)C2-4 アルキレンポリアミンとの縮合体(ジシアン
ジアミド−ジエチレントリアミン重縮合体など)]、ポ
リカチオン系固着剤などが例示できる。ポリカチオン系
固着剤としては、例えば、エピクロルヒドリン−ジC
1-4 アルキルアミン付加重合体(エピクロルヒドリン−
ジメチルアミン付加重合体など)、アリルアミン又はそ
の塩の重合体(ポリアリルアミン又はその塩酸塩の重合
体、例えば、日東紡績(株),PAA-10C ,PAA-HCl-3L,
PAA-HCl-10L など)、ジアリルC1-4 アルキルアミン又
はその塩の重合体(ジアリルメチルアミン又はその塩酸
塩の重合体、例えば、日東紡績(株),PAS-M-1 な
ど)、ジアリルジC1-4 アルキルアンモニウム塩の重合
体(ジアリルジメチルアンモニウムクロライドの重合
体、例えば、日東紡績(株),PAS-H-5L,PAS-H-10L な
ど)、ジアリルアミン又はその塩と二酸化イオウとの共
重合体(ジアリルアミン塩酸塩−二酸化イオウ共重合
体、例えば、日東紡績(株),PAS-92など),ジアリル
ジC1-4 アルキルアンモニウム塩−二酸化イオウ共重合
体(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−二酸化
イオウ共重合体、例えば、日東紡績(株),PAS-A-1 ,
PAS-A-5 ,PAS-A-120L,PAS-A-120Aなど),ジアリルジ
1-4 アルキルアンモニウム塩とジアリルアミン又はそ
の塩もしくは誘導体との共重合体(ジアリルジメチルア
ンモニウムクロライド−ジアリルアミン塩酸塩誘導体の
共重合体、例えば、日東紡績(株),PAS-880 など)、
ジアリルジC1-4 アルキルアンモニウム塩重合体,ジC
1-4 アルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩
の重合体、ジアリルジC1-4 アルキルアンモニウム塩−
アクリルアミド共重合体(ジアリルジメチルアンモニウ
ムクロライド−アクリルアミド共重合体、例えば、日東
紡績(株),PAS-J-81など)、アミン−カルボン酸共重
合体(例えば、日東紡績(株),PAS-410 など)などが
例示できる。これらの染料固着剤も単独で又は二種以上
混合して使用できる。
【0054】染料固着剤の使用量は、定着性を向上でき
る範囲、例えば、固形分換算で、樹脂100重量部に対
して0.1〜40重量部、好ましくは1〜30重量部、
さらに好ましくは2〜20重量部程度の範囲から選択で
きる。
【0055】多孔質膜及び/又はインク吸収層には、粉
粒体(顔料など)を含有させてもよい。粉粒体として
は、例えば、無機粉粒体(ホワイトカーボン、微粒子状
珪酸カルシウム、ゼオライト、アミノ珪酸マグネシウ
ム、焼成珪成土、微粒子状炭酸マグネシウム、微粒子状
アルミナ、シリカ、タルク、カオリン、デラミカオリ
ン、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウ
ム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニ
ウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、珪酸マ
グネシウム、硫酸カルシウム、セリサイト、ベントナイ
ト、スメクタイトなどの鉱物質粉粒体など)、有機粉粒
体[ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、尿素樹脂、メラ
ミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などの架橋又は非架僑
有機微粒子、微小中空粒子などの有機質粉粒体など]が
挙げられる。これらの粉粒体は1種又は2種以上適宜選
択して併用可能である。なお、粉粒体を用いる場合、バ
インダー樹脂としては前記親水性高分子(親水性樹脂)
が使用できる。
【0056】粉粒体とバインダー樹脂との割合は、例え
ば、バインダー樹脂100重量部に対して粉粒体0.1
〜80重量部、好ましくは0.2〜50重量部程度であ
る。
【0057】インク吸収層には、必要に応じて、他の成
分、例えば、水性樹脂エマルジョンを含有させてもよ
い。また、多孔質膜及び/又はインク吸収層は、さらに
特性を損なわない範囲で慣用の添加剤、例えば、消泡
剤、塗布性改良剤、増粘剤、滑剤、安定剤(酸化防止
剤、紫外線吸収剤、熱安定剤など)、帯電防止剤、アン
チブロッキング剤などを含有していてもよい。
【0058】インク吸収層の厚みは、用途に応じて選択
でき、例えば、5〜50μm、好ましくは10〜30μ
m程度であり、通常、5〜30μm程度である。
【0059】インク吸収層を設ける場合、多孔質膜の膜
厚は、1μm以上(例えば、1〜15μm程度)、好ま
しくは1.5〜12μm程度である。 [インク受像シートの製造方法]本発明のインク受像シ
ートは、基材に樹脂溶液を塗布し、塗膜を相分離して多
孔質膜を形成することにより製造できる。また、基材の
少なくとも一方の面に、前記多孔質膜を形成してもよ
く、前記基材の少なくとも一方の面にインク吸収層を形
成し、このインク吸収層上に多孔質膜を形成してもよ
い。
【0060】前記多孔質膜は、ミクロ相分離法、例え
ば、多孔質膜を構成する樹脂の良溶媒溶液を流延又は塗
布し、前記樹脂に対する貧溶媒に浸漬する湿式相分離法
で製造することも可能であるものの、乾式相転換法、す
なわち、樹脂と、この樹脂に対する良溶媒と、前記樹脂
に対する貧溶媒とを含む均一なドープを基材に流延又は
塗布し、溶媒を蒸発させてミクロ相分離を生じさせるこ
とにより製造できる。特に、乾式相転換法では、良溶媒
よりも沸点の高い溶媒(高沸点溶媒)を貧溶媒として使
用することが肝要である。
【0061】上記乾式相分離プロセスにおいて、多孔質
膜の孔径を制御し、前記特徴を有する多孔質膜を得るに
は、良溶媒と貧溶媒の選定が重要である。
【0062】良溶媒としては、高分子の種類などに応じ
て、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチ
ルイソブチルケトンなどのC3-5 ジアルキルケトン、シ
クロヘキサノンなど)、エステル類(ギ酸エチルなどの
ギ酸C1-4 アルキルエステル、酢酸メチル、酢酸エチ
ル、酢酸ブチルなどの酢酸C1-4 アルキルエステル、プ
ロピオン酸エチル、乳酸エチルなど)、エーテル類
(1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン,テトラヒ
ドロピラン,ジエチルエーテル,ジイソプロピルエーテ
ル,ジメトキシエタンなどの環状又は鎖状C4-6 エーテ
ル)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソ
ルブ、ブチルセロソルブなどのC1-4 アルキル−セロソ
ルブ)、セロソルブアセテート類(メチルセロソルブア
セテート、エチルセロソルブアセテートなどのC1-4
ルキル−セロソルブアセテート)、芳香族炭化水素類
(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭
化水素類(塩化メチレン、塩化エチレンなど)、アミド
類(ホルムアミド,アセトアミドなどのアシルアミド
類、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミ
ド,N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチル
アセトアミドなどのモノ又はジC1-4 アシルアミド
類)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなどのジ
1-3 アルキルスルホキシド)、ニトリル類(アセトニ
トリル、クロロアセトニトリル、プロピオニトリル、ブ
チロニトリルなどC1-6 アルキルニトリル,ベンゾニト
リルなど)、有機酸類(ギ酸、酢酸、プロピオン酸な
ど)、有機酸無水物(無水マレイン酸、無水酢酸な
ど)、およびこれらの混合物から選択できる。良溶媒
は、ニトロ化合物(ニトロメタン、ニトロエタン、ニト
ロプロパンなど)、低級アルコール類(メタノール、エ
タノールなどのC1-4 アルコール、ジアセトンアルコー
ルなど)を含んでいてもよい。
【0063】良溶媒は樹脂の種類に応じて選択できる。
例えば、セルロース誘導体(例えば、セルロースアセテ
ート)の好ましい良溶媒には、アセトンなどのC3-6
アルキルケトン類(特にアセトン、メチルエチルケトン
など)、酢酸エチルなどの酢酸C1-4 アルキルエステル
類(特に酢酸メチル、酢酸エチル)、ジオキサン、ジメ
トキシエタンなどの環状又は鎖状C4-6 エーテル類など
のC1-4 アルキル−セロソルブ類(特にメチルセロソル
ブ、エチルセロソルブ)、メチルセロソルブアセテート
などのC1-4 アルキル−セロソルブアセテート類(特に
メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテ
ート)およびこれらの混合溶媒などが含まれる。
【0064】ビニル系重合体の好ましい良溶媒には、窒
素含有溶媒(N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジ
メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドな
どのアミド類など)が含まれる。
【0065】ポリスルホン系重合体の好ましい良溶媒に
は、前記ビニル系重合体の好ましい良溶媒(窒素含有溶
媒)に加えて、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド
など)、又はこれらの混合溶媒が含まれ、中でもスルホ
キシド類が好ましい。
【0066】良溶媒の沸点は、35〜200℃(例え
ば、35〜180℃)、好ましくは35〜170℃(例
えば、35〜160℃)、さらに好ましくは40〜16
0℃(例えば、40〜125℃)程度の範囲から選択で
き、通常、35〜150℃(例えば、35〜130℃)
程度である。
【0067】良溶媒は、その蒸気圧が200mmHgに
なる温度が、10〜70℃、好ましくは10〜50℃程
度である。
【0068】貧溶媒とは、樹脂に対する溶解性がない
か、又は溶解性の低い溶媒を意味し、前記良溶媒よりも
沸点が高ければいずれの溶媒も使用できる。そのため貧
溶媒の種類は、特に制限されない。貧溶媒としては、例
えば、エステル類(ギ酸アミル、ギ酸イソアミルなどの
ギ酸C5-8 アルキルエステル、酢酸ブチル,酢酸アミ
ル、酢酸ヘキシル、酢酸オクチル,酢酸3−メトキシブ
チル,酢酸3−エトキシブチル,プロピオン酸ブチル,
プロピオン酸3−メトキシブチルなどのC1-4 アルコキ
シ基を有していてもよいC2-4 脂肪族カルボン酸C3-10
アルキルエステル(特に、C1-4 アルコキシ基を有して
いてもよい酢酸C4-10アルキルエステル)、安息香酸メ
チル、安息香酸エチル、安息香酸プロピルなどの安息香
酸C1-4 アルキルエステル類)、アルコール類(シクロ
ペンタノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキ
サノール、ジメチルシクロヘキサノール、シクロオクタ
ノールなどのC1-4 アルキル基が置換していてもよいC
4-8 シクロアルカノール、アミルアルコール、イソアミ
ルアルコール、ヘキシルアルコールなどのC5-8 アルコ
ール類、2−ブトキシエタノール,3−ブトキシプロパ
ノールなどのC2-6 アルコキシ−C1-4 アルコール類、
フルフリルアルコールなどの複素環式アルコールな
ど)、ケトン類(メチルペンチルケトン、メチルイソペ
ンチルケトン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノンなど
のC3-10ジアルキルケトン(特にC6-10ジアルキルケト
ン)、アセトニルアセトン、アセトフェノンなど)、エ
ーテル類(メチルフェニルエーテル、メトキシトルエ
ン、ジブチルエーテル、ベンジルエチルエーテルなどの
7-10エーテル) 、脂肪族炭化水素類(ヘキサン,オク
タン,ノナン,デカンなどのC5-20脂肪族炭化水素類)
およびこれらの混合物が例示できる。 セルロース誘導
体の好ましい貧溶媒には、エステル類(ギ酸C5-8 アル
キルエステル、安息香酸C1-4 アルキルエステルな
ど)、C4-8 シクロアルカノール、C6-10ジアルキルケ
トンおよびC7-10エーテルから選択された少なくとも一
種の溶媒、特に少なくともC5-7 シクロアルカノール
(中でもシクロヘキサノール類)を含む溶媒が含まれ
る。シクロヘキサノール類には、シクロヘキサノール,
メチルシクロヘキサノール、ジメチルシクロヘキサノー
ルなどのモノ又はジC1- 2 アルキル置換体が含まれる。
【0069】ビニル系重合体の好ましい貧溶媒には、酢
酸エステル、蟻酸エステルなどのエステル類(特にアル
キル基がC1-4 アルコキシ基を有していてもよい酢酸C
3-10アルキルエステルなど)、アルコール類(C4-8
クロアルカノール、C5-8 アルコール類など)が例示で
きる。
【0070】ポリスルホン系重合体の好ましい貧溶媒に
は、水、アルコール類(C6-20アルキルアルコール、エ
チレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリ
ンなどの多価アルコールなど)、ケトン類(アセトニル
アセトン、アセトフェノン)などが含まれる。特に、ア
ルコール類、特に多価アルコール(エチレングリコール
などの脂肪族多価アルコール)などが好ましい。
【0071】貧溶媒の沸点は、通常、100〜230
℃、好ましくは120〜200℃程度である。貧溶媒
は、通常、前記良溶媒よりも20℃以上(20〜60℃
程度)、好ましくは30〜50℃程度高い沸点を有して
いる。
【0072】貧溶媒は、その蒸気圧が200mmHgに
なる温度が50〜200℃、好ましくは70〜150℃
程度である。また、良溶媒及び貧溶媒のそれぞれの蒸気
圧が200mmHgになる温度の差は、50〜200
℃、好ましくは70〜150℃程度である。
【0073】良溶媒と貧溶媒との割合は、樹脂の均一溶
液を形成できる限り特に制限されず、通常、良溶媒10
0重量部に対して貧溶媒1〜200重量部(例えば、2
〜200重量部) 、好ましくは3〜180重量部( 例え
ば、5〜180重量部) 、さらに好ましくは5〜170
重量部( 例えば、10〜170重量部) 程度であり、通
常、5〜150重量部程度である。
【0074】さらに、ドープ液の樹脂の含有量は、樹脂
(重合体)の重合度などに応じて選択でき、例えば、3
〜30重量%、好ましくは3〜25重量%、特に3〜2
0重量%(例えば、3〜15重量%)程度である。
【0075】ドープ液は、樹脂5〜30重量%程度の良
溶媒溶液100重量部に対して、貧溶媒5〜170重量
部程度を含んでいる。ドープ液は、好ましくは、樹脂5
〜20重量%(特に5〜15重量%)程度の良溶媒溶液
100重量部に対して、析出を抑制しつつ、貧溶媒5〜
170重量部(好ましくは5〜150重量部)程度を添
加することにより調製できる。
【0076】ドープ液(塗布液)には、多孔質膜の特性
を損なわない範囲で慣用の添加剤、例えば、消泡剤、塗
布性改良剤、増粘剤、滑剤、安定剤(酸化防止剤,紫外
線吸収剤,熱安定剤など)、帯電防止剤、アンチブロッ
キング剤などを添加してもよい。
【0077】ドープ液は、慣用の流延又は塗布方法、例
えば、ロールコーター、エアナイフコーター、ブレード
コーター、ロッドコーター、バーコーター、コンマコー
ター、グラビアコーター、シルクスクリーンコーター法
などにより、基材のうち少なくとも一方の面に流延又は
塗布される。
【0078】なお、WO98/25997には、ドープ
液の塗膜を、高湿度下、二段階で乾燥する方法が開示さ
れている。しかし、本発明では、高湿度下、二段階で乾
燥する必要はなく、塗布した後、放置し、乾燥するだけ
で多孔質膜を形成できる。
【0079】塗布された塗膜を乾燥する乾燥工程では、
沸点の低い良溶媒が優先的に蒸発する。この良溶媒の蒸
発の進行に伴い、塗膜中の樹脂の溶解性が低下し、樹脂
はミセル(ゲル相)を形成して貧溶媒相と相分離する。
さらに乾燥が進むと、ミセルが接触し網目構造が形成さ
れ、貧溶媒の蒸発の完了により、多孔質膜又は多孔質フ
ィルムが形成される。
【0080】塗布された塗膜の乾燥工程では、一段で乾
燥してもよく、先ず低温で乾燥して、沸点の低い良溶媒
を蒸発させ(例えば、実質的に沸点の低い良溶媒の蒸発
を完了させ)、次いで高温での乾燥により残存する貧溶
媒の蒸発を行う二段階乾燥を行ってもよい。一段階乾燥
又は二段階乾燥する場合、乾燥条件は使用する良溶媒、
貧溶媒の種類に応じて選択できる。一般に、一段階乾燥
又は二段階乾燥の一段目の乾燥は、温度10〜100℃
(好ましくは20〜80℃、例えば、20〜75℃)程
度で30秒〜60分(好ましくは1〜60分)程度行う
ことができる。二段階乾燥の二段目の乾燥は、一段目の
温度よりも高い温度、例えば、温度50〜150℃(好
ましくは60〜130℃)程度で2秒〜30分(例えば
2秒〜10分)程度行ってもよい。二段目の乾燥温度
は、通常、一段目の温度よりも20℃以上(20〜12
0℃、好ましくは50〜110℃程度)高い温度から選
択できる。例えば、良溶媒としてアセトンなどのC3-5
ジアルキルケトン、貧溶媒としてシクロヘキサノールな
どのシクロアルカノール類を使用する場合などには、特
に二段階乾燥を行うことなく、簡便に乾燥することがで
き、容易にミクロ相分離膜を得ることができる。
【0081】前記乾式相転換により多孔質膜を製造する
と、インク吸収性及びインク定着性に優れたインク受像
シートを高い生産性で製造することができる。
【0082】前記製造方法により得られたインク受像シ
ートは、インクの小滴を飛翔させて記録するインクジェ
ット方式による記録用シートとして有用であるが、オフ
セット印刷、フレキソ印刷などの印刷用シート(特に水
性インキ用シート)などとしても利用できる。
【0083】本発明のインク受像シートは、インク吸収
性及びインク定着性に優れ、画像の鮮明性(印字品質)
が良好であり、インクジェットによる記録に適してい
る。
【0084】
【発明の効果】本発明のインク受像シートは、特定の形
状の空孔を有する多孔質膜で構成するため、染料又は顔
料インクであってもインク吸収性、インク定着性及び印
字性に優れ、画像の耐久性を向上できる。また、多孔質
膜とインク吸収層とでインク受像シートを構成するの
で、さらにインク吸収性を改善できる。
【0085】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。
【0086】なお、文中、特に断りのない限り、部また
は%は重量基準である。
【0087】実施例及び比較例で得られたインク受像シ
ートにおける平均孔径、空孔率、アスペクト比、耐水
性、印字性およびインク吸収性は、以下のようにして評
価した。
【0088】なお、画像形成にはインクジェットプリン
ター(ENCAD製、NOVAJET・PRO)を使用
し、実施例及び比較例で得られた記録用シートに、顔料
タイプ水性インク(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラ
ックの各々の色)をベタで印刷し、記録画像を形成し
た。 [平均孔径および空孔率]倍率5000倍で撮影した電
子顕微鏡表面写真において、3箇所の所定面積(2cm
×2cm)を画像処理装置で処理し、電子顕微鏡表面写
真の各孔を真円として孔径を測定し、平均することによ
り平均空孔径を求めた。
【0089】空孔率(%)は、計算式(孔の全面積/測
定面積)×100により算出した。 [アスペクト比]倍率8000倍で撮影した電子顕微鏡
断面写真において、10個の孔の長軸及び短軸を測定
し、アスペクト比を算出し、平均した。
【0090】[耐水性]25℃にて十分に水を含んだ綿棒
で印字部を10往復こすり、下記の基準で印字部を目視
で評価した。
【0091】 ◎ 印字部が完全に残っている ○ 印字部に滲みが認められる × 印字部が残っていない [印字性]印字した画像形成部を下記の基準で、目視で
評価した。
【0092】 ◎ 滲みがなく、画像が鮮明である ○ やや滲みを生ずる × 滲みを激しく生ずる [インク吸収性]印字した後、一定時間ごとに印字部に
PPC用コピー紙を載せ、コピー用紙の上から過重(2
50g/cm2 )を10秒間かけた後、コピー用紙を剥
がし、インクの裏移りの程度を目視で判断し、裏移りが
認められなくなるまでの時間を基準にしてインク吸収性
を評価した。
【0093】 ◎ 裏移りが認められなくなるまでの時間が1分以内で
ある ○ 裏移りが認められなくなるまでの時間が3分以内で
ある × 裏移りが認められなくなるまでの時間が5分以内で
ある 実施例1 酢酸セルロース(酢化度55%、粘度平均重合度25
0、以下CAと略記する)10重量%のアセトン溶液1
00重量部に、よく撹拌しながらシクロヘキサノール1
00重量部を添加してドープを作製した。ポリエチレン
テレフタレート(PET)フィルム(ICIジャパン
(株)製、「メリネックス339」、厚さ75μm)上
に、乾燥後の厚みが10μmとなるようにドープを塗布
し、70℃で5分間乾燥した。得られた記録シートの多
孔質膜は、平均空孔径1.2μm、空孔率51.1%の
孔を有し、多孔質膜の断面は3次元の網目構造であっ
た。また、厚み方向における空孔のアスペクト比(長軸
/短軸比)は5.4/1であった。インク受像シート表
面の電子顕微鏡写真(倍率5000倍)を図1に、断面
の電子顕微鏡写真(倍率8000倍)を図2に示す。
【0094】実施例2 実施例1と同様のPETフィルム上に、変性ポリビニル
アルコール(日本合成化学工業(株)製、「OKS71
58G」、ケン化度88%)18重量%の水溶液100
重量部に対して、マレイン酸2重量部を添加した塗布液
を、乾燥後のインク吸収層の厚みが15μmとなるよう
に塗布し、120℃で3分間乾燥してインク吸収層を形
成した。さらに、このインク吸収層に、実施例1のドー
プを、乾燥後の多孔質層の厚みが10μmとなるように
塗布し、70℃で5分間乾燥した。得られた記録用シー
トは、表面の平均空孔径が1.2μm、空孔率48.2
%の孔を有し、多孔質膜の断面は3次元の網目構造であ
った。また、厚み方向における空孔のアスペクト比は
6.2/1であった。
【0095】実施例3 アクリロニトリル(AN)−ビニルピロリドン(VP)
共重合体(DUY、AN/VP=0.98/0.02モ
ル比、ダイセル化学工業(株)製)10重量%のN,N
−ジメチルホルムアミド溶液100重量部に、よく攪拌
しながら酢酸3−メトキシブチル15重量部を添加して
塗布液を作製した。PETフィルム上に、実施例2と同
様にインク吸収層を介して、乾燥後のフィルムの厚みが
10μmとなるように前記塗布液を塗布し、70℃、9
0%RHの条件で1.5分乾燥した後、120℃で3分
間乾燥した。得られた記録用シートは、表面の平均空孔
径が0.3μm、空孔率47.6%の孔を有し、多孔質
膜の断面は3次元の網目構造であった。また、厚み方向
における空孔のアスペクト比は7.3/1であった。
【0096】比較例1 実施例1と同様のポリエステル不織布に、酢酸セルロー
ス(平均酢化度:55、粘度平均重合度:170)8重
量%のメチルセロソルブ溶液100重量部に4−メチル
シクロヘキサノール13.7重量部を添加した塗布液
を、多孔質層の厚みが50μm になるよう塗布し、40
℃、90%RHの条件で10間分乾燥した。得られた記
録用シートの多孔質膜は、層状構造であり、平均空孔径
0.2μm、空孔率39.3%の孔を有していた。
【0097】比較例2 塗布液をポリエーテルスルホン(「スミカエクセル52
00P」、住友化学(株)社製)のジメチルスルホキシ
ド15重量%溶液とする以外は、実施例1と同様にし
た。得られた記録用シートの多孔質層は、表面に孔を有
しなかった。
【0098】比較例3 PETフィルム上に、変性ポリビニルアルコール(日本
合成化学工業(株)製、「OKS7158G」、けん化
度88%)5重量%の水溶液100重量部に対し、粒径
10μmの酸化アルミニウム粒子100重量部を添加し
た塗布液を、乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布
し、120℃で3分間乾燥させた。得られたフィルム
は、表面の平均孔径は7.1μmであり、表面に空孔率
20.3%の多孔質層を表面に有する積層フィルムであ
った。
【0099】結果を表1に示す。
【0100】
【表1】
【0101】表1から明らかなように、実施例の記録用
シートを用いると、耐水性、印字性、インク吸収性が良
好である。これに対して,比較例1 の記録用シートは、
多孔質膜の断面の形状が、三次元網目構造となっていな
いので、インク吸収性は良好なものの,印字性、耐水
性、が実施例のものに比べて、やや劣っている。比較例
2の記録用シートを用いると、多孔質膜が形成されてい
ないため、全ての項目において劣っている。また、比較
例3の記録用シートを用いると、孔径が大きいため、耐
水性は比較的良好なものの、顔料インクの記録用シート
内部への過度の浸透により、画像の鮮明性が悪い。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1で得られたインク受像シート
の表面の電子顕微鏡写真(倍率5000倍)である。
【図2】図2は、実施例1で得られたインク受像シート
の断面の電子顕微鏡写真(倍率8000倍)である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 FC06 2H086 BA02 BA15 BA34 BA41 4F074 AA02 AA48 AA49 AA87 CB34 CB37 CB47 CC04Y CC10X DA02 DA03

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均空孔径が0.1〜5μm、空孔率が
    20〜70%である多孔質膜で構成されているシートで
    あって、前記多孔質膜の空孔の形状が、平面方向におい
    て実質的に円形又は楕円形であり、かつ厚み方向におい
    て平面方向に長軸を有する楕円形又は細長状であるイン
    ク受像シート。
  2. 【請求項2】 厚み方向の断面におけるアスペクト比が
    1.3/1〜20/1である請求項1記載のインク受像
    シート。
  3. 【請求項3】 多孔質膜が、乾式相転換によるミクロ相
    分離構造を有している請求項1記載のインク受像シー
    ト。
  4. 【請求項4】 多孔質膜が、セルロース系樹脂、ビニル
    系重合体及びポリスルホン系重合体から選択された少な
    くとも一種の樹脂で構成されている請求項1記載のイン
    ク受像シート。
  5. 【請求項5】 多孔質膜が、セルロースエステル、( メ
    タ)アクリロニトリル系重合体、( メタ)アクリル酸エ
    ステル系重合体及びポリスルホン系重合体から選択され
    た少なくとも一種で構成されている請求項1記載のイン
    ク受像シート。
  6. 【請求項6】 基材の少なくとも一方の面に多孔質膜が
    形成されている請求項1記載のインク受像シート。
  7. 【請求項7】 多孔質膜と基材との間にインク吸収層が
    形成されている請求項1記載のインク受像シート。
  8. 【請求項8】基材に樹脂溶液を塗布し、相分離により多
    孔質膜を形成する請求項1記載のインク受像シートの製
    造方法。
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