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JP2000127185A - スラッシュ成形表皮、及びこれを用いた成形体 - Google Patents

スラッシュ成形表皮、及びこれを用いた成形体

Info

Publication number
JP2000127185A
JP2000127185A JP30819398A JP30819398A JP2000127185A JP 2000127185 A JP2000127185 A JP 2000127185A JP 30819398 A JP30819398 A JP 30819398A JP 30819398 A JP30819398 A JP 30819398A JP 2000127185 A JP2000127185 A JP 2000127185A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
slush
skin
molded
layer
outer layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP30819398A
Other languages
English (en)
Inventor
Hirohide Enami
博秀 榎並
Kenichi Kondo
研一 近藤
Koji Hayashi
公二 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsuboshi Belting Ltd
Original Assignee
Mitsuboshi Belting Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsuboshi Belting Ltd filed Critical Mitsuboshi Belting Ltd
Priority to JP30819398A priority Critical patent/JP2000127185A/ja
Publication of JP2000127185A publication Critical patent/JP2000127185A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Moulding By Coating Moulds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 発泡層の外層とソリッドな内層の2層からな
る表皮を使用してクッション性を付与し、外観の意匠性
を高めるとともにソフト感のある蝕感をもたせたリサイ
クル使用なスラッシュ成形表皮、及びこれを用いた成形
体を提供することを目的とする。 【解決手段】 発泡層からなる外層2aとソリッド層か
らなる内層2bを積層するように成形したスラッシュ成
形表皮4であり、上記外層2aとして少なくともポリプ
ロピレン樹脂、水素添加スチレンブタジエンゴム、プロ
セスオイル、吸油能に優れたエラストマー、内部離型
剤、そして発泡剤からなる熱可塑性エラストマー組成物
の粉末をスラッシュ成形し、更にその内層2bとして少
なくともポリプロピレン樹脂、水素添加スチレンブタジ
エンゴム、プロセスオイル、吸油能に優れたエラストマ
ー、そして内部離型剤を含む粉末をスラッシュ成形した
ものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はスラッシュ成形表
皮、及びこれを用いた成形体に係り、詳しくはリサイク
ル使用が可能で、外層に皮シボやステッチ等を付けて意
匠性を高めるとともにソフト感のある蝕感をもたせたス
ラッシュ成形表皮、及びこれを用いた成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車の内装品であるインストルメント
パネル、ドアートリム、コンソールボックス等の樹脂成
形体の製造方法としては、塩化ビニルとABS樹脂のブ
レンド樹脂をシート状に押し出した後、エッチング絞り
ロールによって模様を付け、これを真空成形によって賦
形した表皮材と、射出成形やスタンピング成形で賦形し
た芯材(基材)とをウレタン発泡型に設置した後、発泡
ウレタンを注入して一体成形する方法が主流であった。
【0003】この方法の問題点としては、エッチング絞
りのために、充分な皮絞り感が出現しないことや、真空
成形によるシートの延伸によって、絞りが拡大して浅く
なる等の意匠上の問題や、また部品のリサイクルを考え
た場合、上記3層構造の分離が容易に行うことができ
ず、その廃棄物処理の費用も増大する問題があった。更
には、上記工法は表皮成形、芯材成形、そして発泡成形
と3工程からなるため、とりわけ製品のソフト感を得る
ための発泡成形には、コストがかかり過ぎると言う評価
もあった。
【0004】そこで、脱ウレタン工法として、低圧によ
り歪が少なく、変形の少ない成形品を得る方法として、
注入法プレス成形法、あるいはSPモールド(Low
Strain Molding Process)と呼
ばれるものが知られている。これはカレンダーあるいは
押出成形されたシートにポリプロピレンフォームの裏打
ちされた複合シートを真空成形により賦形し、射出成形
の雌型にセットして型を開いた状態で芯材樹脂を射出
し、その後型を閉じて表皮材と芯材とを一体成形するも
のである。
【0005】一方、本皮絞り感の再現方法として、従来
から電鋳型を使用したスラッシュ表皮成形があり、当工
法を使用した塩化ビニル製表皮、ウレタン発泡体、そし
て芯体の一体発泡品が優れた絞り感のある製品として採
用されてきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、SPモールド
法の欠点としては、表皮材が予めシートに加工されてい
るため、一体成形時に表皮端材が50〜60%発生する
ため、本皮絞り感が得られず、また質感が悪くなった割
りにはコスト削減効果が少ないとの評価となっている。
また、スラッシュ成形により得られた塩化ビニル製表
皮、ウレタン発泡体、そして芯体の一体発泡品は、表皮
端材が30〜40%と少ないが、ウレタン発泡工程を必
要とするため、コスト高になると評価されている。しか
も、この製品はリサイクル使用が不可能であった。
【0007】そこで、スラッシュ成形により得られた多
層表皮材とSPモールド法をはじめとする低圧射出成形
法を組み合わせることで、表皮材を芯材に強固に密着し
たソフト感のある樹脂成形体を得る検討がなされつつあ
る。表皮材は通常熱可塑性エラストマーからなる3層
で、第1層がソリッド層、第2層が発泡層、第3層がソ
リッド層からなり、第3層が低圧射出成形時の第2層の
発泡層のつぶれを保護している。そして、材料は各層と
もほぼ同じであり、ときには第1層と第3層とは同一
で、第2層はそれに発泡剤を加えただけが多かった。
【0008】上記3層表皮材の製造法では、まずスラッ
シュ成形用金型を所定温度に上昇させ、第1層用の粉末
樹脂組成物を金型に投入して一定時間経過後に型を反転
し、余分の粉末樹脂組成物を回収箱へ排出して型表面に
付着した第1層を形成し、次いで発泡剤を含む第2層用
に粉末樹脂組成物を金型内に投入し排出して第2層を形
成し、更に同様にし第3層の付着形成を行った後、キュ
アー発泡を行い、型を冷却して3層表皮材を脱型してい
た。
【0009】この際、金型の部位による温度差があるた
め、粉体材料の付着量が均一にならず、成形表皮の厚さ
が不均一になり、芯材と貼り合わせた成形体表面に凹凸
が発生する欠点があった。
【0010】一方、スラッシュ成形したソリッドの単層
の表皮材と芯材よりなる成形体は、革シボ模様の外観は
優れているが、感触が硬くなる欠点があった。
【0011】また、第1層はソリッド、第2層は発泡層
の2層表皮材を金型にインサートして芯材樹脂を射出成
形すると、第2層の発泡層が破壊されやすく、特に金型
の樹脂ゲート部は破壊が大きく、成形体の触感を硬くす
る欠点があった。
【0012】本発明はこのような問題点を改善するもの
であり、発泡層の外層とソリッドな内層の2層からなる
表皮を使用して意匠性を高めるとともにソフト感のある
蝕感をもたせたリサイクル使用なスラッシュ成形表皮、
及びこれを用いた成形体を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】即ち、本願の請求項1記
載の発明では、少なくともソリッド層からなる外層と発
泡層からなる内層を積層するように成形したスラッシュ
成形表皮において、上記外層として少なくともポリプロ
ピレン樹脂、水素添加スチレンブタジエンゴム、プロセ
スオイル、吸油能に優れたエラストマー、内部離型剤、
そして発泡剤からなる熱可塑性エラストマー組成物の粉
末をスラッシュ成形し、更にその内層として少なくとも
ポリプロピレン樹脂、水素添加スチレンブタジエンゴ
ム、プロセスオイル、吸油能に優れたエラストマー、そ
して内部離型剤を含む粉末をスラッシュ成形したスラッ
シュ成形表皮にある。上記スラッシュ成形表皮は外層と
内層からなる少なくとも2層を連続してスラッシュ成形
により作製され、外層が発泡層を維持してソフト感のあ
る意匠性と金型の離型性に優れた特性を有し、一方内層
が外層を補強する機能を有し、ソフト感のある蝕感をも
ったリサイクル使用なスラッシュ成形表皮になる。
【0014】本願の請求項2記載の発明では、内層とし
て更に活性水素を有するオレフィン系ポリマーを添加し
た粉末をスラッシュ成形したスラッシュ成形表皮にあ
り、活性水素を有するオレフィン系ポリマーを接着改良
剤として使用することで芯材との接着も向上する。
【0015】本願の請求項3記載の発明では、外層の表
面には塗装膜が形成されているスラッシュ成形表皮にあ
る。
【0016】本願の請求項4記載の発明では、少なくと
も発泡層からなる外層とソリッド層からなる内層を積層
するように成形したスラッシュ成形表皮と芯体との積層
体からなるスラッシュ成形表皮付き成形体において、上
記スラッシュ成形表皮が少なくともポリプロピレン樹
脂、水素添加スチレンブタジエンゴム、プロセスオイ
ル、吸油能に優れたエラストマー、内部離型剤、そして
発泡剤からなる熱可塑性エラストマー組成物の粉末をス
ラッシュ成形し、更にその内層として少なくともポリプ
ロピレン樹脂、水素添加スチレンブタジエンゴム、プロ
セスオイル、吸油能に優れたエラストマー、そして内部
離型剤を含む粉末をスラッシュ成形することにより得ら
れた複合表皮であり、かつ芯材がオレフィン系樹脂であ
るスラッシュ成形表皮付き成形体にあり、皮シボやステ
ッチ等を付けて意匠性とソフト感のある蝕感をもち、ま
たリサイクル使用可能な成形体になる。
【0017】本願の請求項5記載の発明では、内層とし
て更に活性水素を有するオレフィン系ポリマーを添加し
た粉末をスラッシュ成形したスラッシュ成形表皮付き成
形体にある。
【0018】本願の請求項6記載の発明では、外層の表
面には塗装膜が形成されているスラッシュ成形表皮付き
成形体にある。
【0019】
【発明の実施の形態】図1は上記表皮付き成形体の一つ
である自動車用インストルメントパネルの全体外観斜視
図、図2は図1のX−X断面図である。これによると、
インストルメントパネル1では、表面には発泡層の外層
2aとソリッド層の内層2bの2層からなるスラッシュ
成形表皮2が表面を被覆し、裏面には合成樹脂からなる
芯材3を積層している。
【0020】上記スラッシュ成形表皮2の外層2aは、
少なくともポリプロピレン樹脂、水素添加スチレンブタ
ジエンゴム、プロセスオイル、吸油能に優れたエラスト
マー、内部離型剤、そして発泡層からなる熱可塑性エラ
ストマー組成物の粉末をスラッシュ成形したものであ
る。
【0021】一方、内層2bは外層2aと同様の少なく
ともポリプロピレン樹脂、水素添加スチレンブタジエン
ゴム、プロセスオイル、吸油能に優れたエラストマー、
そして内部離型剤を加えた熱可塑性エラストマー組成物
の粉末をスラッシュ成形したものである。また、接着性
を改善するために活性水素を有するオレフィン系ポリマ
ー(接着改良剤)を添加することもできる。
【0022】外層2aは内部離型剤を含んでいるため金
型との脱型性も向上し、内層2bは接着改良剤を含んで
いるため、芯材5との接着力が向上する。
【0023】また、上記外層2aの表面には、ウレタン
系或いはアクリルウレタン系からなる塗装膜4を形成
し、外層2aの表面を補強して外傷を阻止することが出
来る。外層2aに塗装膜を強固に接着させるための表面
処理剤を使用することが望ましい。
【0024】外層2aと内層2bに使用するポリプロピ
レン樹脂は、ポリプロピレンホモポリマー、α−オレフ
ィンとのブロックあるいはランダム共重合体のいずれで
もよいが、特にα−オレフィンとしてエチレンを用いた
ブロックあるいはランダム共重合体が成形体の柔軟性の
面からいって好ましい。また、圧力のかからない粉末ス
ラッシュ成形に用いるためには、ポリプロピレン樹脂の
溶融流動性の指数としてJIS K7210により23
0°C、荷重2.16kgfで測定したMFR(メルト
フローレート)が20g/10分以上であることが必要
である。上記ポリプロピレン樹脂は熱あるいは酸化によ
ってその主鎖が切断されるポリマーであり、架橋、硬化
するポリエチレン等と異なる性質をもっており、有機過
酸化物によってその主鎖が切断され、分子量が低下す
る。
【0025】また、外層2aと内層2bに使用する水素
添加スチレンブタジエンゴム(H−SBR)は、ポリプ
ロピレン樹脂との相溶性に優れており、ポリプロピレン
樹脂に混練すると柔軟になり、折曲げや白化しにくい熱
可塑性エラストマー組成物が得られる。水素添加スチレ
ンブタジエンゴムのスチレン含有量は30重量%以下が
好ましく、柔軟性に富む表皮を得るためには5〜15重
量%が適当である。
【0026】H−SBRは、スチレンとブタジエンがラ
ンダムに共重合しているスチレンブタジエンゴムを水素
添加している点で、ブロック共重合体であるSEBSと
異なっている。代表的なものとして、日本合成ゴム社製
の商品であるダイナロンシリーズがある。
【0027】ポリプロピレン樹脂とH−SBRとの混合
量は、重量比で80/20〜20/80の割合であり、
ポリプロピレン樹脂が多くなると、成形された表皮が硬
くなり、一方少なくなると引張強度が低下する。
【0028】また、外層2aと内層2bにプロセスオイ
ルを添加することにより組成物中のエラストマー成分に
吸収されて溶融粘度を下げるとともに、表皮の硬度を下
げ、柔軟性をもたせる効果がある。上記プロセスオイル
はゴム用に使用されるものであり、パラフィン系、ナフ
テン系、アロマ系に分類されるが、エラストマー成分と
の相溶性によりパラフィン系が好ましい。添加量は吸油
能に優れたエラストマー100重量部に対して5〜20
0重量部が好ましい。200重量部を越えると、引張物
性が低下し、5重量部未満になると、溶融粘度が下がら
ず表皮が硬くなる。
【0029】外層2aと内層2bに使用する吸油能に優
れたエラストマーは、ポリプロピレン樹脂と相溶性を有
しており、プロセスオイルと組成物中のオリゴマー成分
を吸収する性質を有するもので、スチレン・エチレンブ
チレン・スチレンブロックコポリマー(SEBS)やス
チレン・エチレンプロピレン・スチレンブロックコポリ
マー(SEPS)等のスチレン系ブロック共重合熱可塑
性エラストマー、オレフィン結晶・エチレンブチレン・
オレフィン結晶ブロックコポリマー(CEBC)、エチ
レンプロピレンゴム(EPR)、そしてエチレン・オク
テン共重合体(POE)がある。
【0030】上記POEはメタロセン化合物を中心とす
る触媒で反応点(サイト)が1分子に1つ(シングル)
であって、どのサイトにも均質なシングルサイト触媒を
用いて得られたポリマーであり、EPDM(エチレン・
プロピレン・非共役ジエン共重合体)に比べてポリプロ
ピレン樹脂とのブレンドにおいて流動分散性が良く、ポ
リプロピレン樹脂に微分散しやすい特性があり、スラッ
シュ成形に適する材料になる。
【0031】上記SEBSはスチレン・ブタジエン・ス
チレンブロック共重合体(SBS)を水素添加したもの
であり、シエル化学社製の商品であるクレイトンGシリ
ーズ、旭化成社製の商品であるタフテックHシリーズ等
が挙げられる。このSEBSではスチレン含量が増える
につれて強度が上昇するが、柔軟性が低下する。また、
同SEBSではスラッシュ成形時に溶融してスチレンハ
ードセグメントが凝集し、平滑なシート状成形体を得に
くいことがある。従って、スチレン含量は40重量%以
下がよい。
【0032】SEPSはスチレン・イソプレン・スチレ
ンブロック共重合体(SIS)を水素添加したもので、
クラレ社製の商品であるセプトンが代表的である。SE
BSと同様にスチレン含量が増えるにつれ柔軟性が低下
するために、スチレン含量は40重量%以下がよい。
【0033】尚、上記吸油能に優れたエラストマーは、
H−SBRに比べてポリプロピレン樹脂に対する相溶性
が劣っており、ポリプロピレン樹脂に混練、添加する
と、μm単位の大きさで分散するので、引張物性が低下
する傾向にある。しかし、ポリプロピレン樹脂にH−S
BRとプロセスオイルを添加した場合には、H−SBR
が吸油能に劣るため、組成物中のオリゴマー成分が表面
移行(ブリード)して粘着性をもち、これを用いて粉末
スラッシュ成形用に粉砕したエラストマー粉も粘着性を
もつため、ブロッキングしやすくなって粉体流動性、ま
た表皮も金型からの離型性に欠ける。これに吸油能に優
れたエラストマーを添加した場合には、組成物中のオリ
ゴマー成分とオイルを吸収して表面移行を阻止すること
ができる。
【0034】上記吸油能に優れたエラストマーの添加量
は、H−SBR100重量部に対して20〜250重量
部である。20重量部未満になると、組成物中のオリゴ
マー成分とオイルを充分に吸収できなくなり、また25
0重量部を越えると、ポリプロピレン樹脂との分散が悪
くなり、引張物性が低下する傾向にある。
【0035】外層2aと内層2bに使用する内部離型剤
は、ジメチルシロキサン、メチルハイドロキシポリシロ
キサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコンオ
イル、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸塩等
を挙げることができる。外層2aにおいて、その添加量
は0.1〜5.0重量%が好ましく、0.1重量%未満
では充分な離型効果は得られず、一方5.0重量%を越
えると内層との接着性が阻害される。内層2bにおい
て、その添加量は0.1〜1.0重量%が好ましく、
0.1重量%未満では組成物のオリゴマー成分をはじ
め、プロセスオイルや安定剤や触媒等の表面移行の抑制
効果は充分得られず、一方5.0重量%を越えるとウレ
タンフォームとの接着性が阻害される。
【0036】外層2aのみに使用する発泡剤としては、
アゾ・ジ・カーボンアミド、ジ・ニトロソ・ペンタメチ
レンテトラミン、4,4’−オキシビス・ベンゼン・ス
ルフォニル・ヒドラジン等からなる化学発泡剤、あるい
はマイクロバルーン等の中空ビーズを添加したものであ
る。具体的には、化学発泡剤を粉体混合してもよいし、
組成物を混練するのと同時に添加してもよい。この時の
混練温度は発泡剤の分解温度以下、好ましくは20℃以
上低い温度がよい。
【0037】発泡剤の添加量は、ポリプロピレン樹脂、
水素添加スチレンブタジエンゴム、プロセスオイル、吸
油能に優れたエラストマーからなる組成物、もしくはこ
の組成物に活性水素を有するオレフィン系ポリマーを配
合した組成物100重量部に対して0.1〜8重量部、
好ましくは0.5〜4.0重量部である。0.1重量部
未満の場合には、発泡効果が少なく、一方、8重量部を
越えると発泡セルが粗くなり芯材の射出成形で破壊され
やすくなる。
【0038】内層2bのみに使用する接着改良剤である
活性水素を有するオレフィン系ポリマーとして、酸変性
ポリプロピレン樹脂、水酸基含有ポリプロピレン樹脂、
エチレン・酢酸ビニルコポリマーの加水分解物、末端カ
ルボキシル基ポリブタジエン、末端水酸基ポリブタジエ
ン、末端カルボキシル基ポリブタジエン水素添加物、末
端水酸基ポリブタジエンの水素添加物、酸変性スチレン
・エチレンブチレン・スチレンブロック共重合体、エチ
レン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸共
重合体を挙げることができる。尚、実施例ではOH変性
ポリオレフィンを使用している。この添加量は2〜20
重量%が好ましく、2重量%未満では接着性の改良効果
が少なく、一方20重量%を越えると引張強度の低下が
大きくなる。
【0039】外層2aと内層2bに使用できる熱安定剤
としては、通常のポリオレフィンに用いられるものが使
用できる。一般的には、フェノールとリン系の酸化防止
剤を併用して使用するが、特に限定されるものではな
い。また、光安定剤としては、ラジカル捕捉剤であるヒ
ンダードアミン、ベンゾトリアゾール系のものが使用さ
れることもある。顔料は通常のオレフィン系に適した有
機、無機のものが使用される。更に、脂肪酸金属塩等の
滑剤や炭酸カルシウム、タルク等の充填剤等が必要に応
じて添加される。
【0040】本発明では、前述のポリプロピレン樹脂、
プロセスオイル、吸油能に優れたエラストマー、そして
内部離型剤等からなる組成物、あるいはこの組成物に活
性水素を有するオレフィン系ポリマーを含めた組成物に
有機過酸化物を添加し、これらを加熱下で混練するもの
で、有機過酸化物がポリプロピレン樹脂の主鎖を切断し
て、ポリプロピレン樹脂の分子量を下げて溶融流動性を
上げることになり、得られた熱可塑性エラストマー組成
物に高い溶融流動性をもたせる効果がある。尚、ここで
は、有機過酸化物を架橋剤として使用していない。ま
た、加熱下で混練して得られた熱可塑性エラストマー組
成物中には、有機過酸化物は熱分解して実質的に含有さ
れていない。
【0041】上記有機過酸化物としては、通常、ゴム、
樹脂の架橋に使用されているジアシルパーオキサイド、
パーオキシエステル、ジアリルパーオキサイド、ジ−t
−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサ
イド、ジクミルパーオキサイド、2・5−ジメチル−2
・5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン−3,1
・3−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベ
ンゼン、1・1−ジ−ブチルパーオキシ−3,3,5−
トリメチルシクロヘキサン等があり、熱分解による1分
間の半減期が150〜250°Cのものが好ましい。
【0042】有機過酸化物は、120〜250°Cの加
熱下で混練する過程で、ポリプロピレン樹脂の主鎖を切
断して分子量を低下させ、熱可塑性エラストマー組成物
に高い溶融流動性をもたせる。有機過酸化物の添加量は
熱可塑性エラストマー組成物中、0.02〜5.0重量
%であり、0.02重量%未満の場合にはポリプロピレ
ン樹脂の主鎖を切断する分解能力が少なく、熱可塑性エ
ラストマー組成物に高い溶融流動性を付与できなくな
る。一方、5.0重量%を越えると、分解が過剰にな
り、粉体成形品の引張強度等の機械的特性が低下する。
【0043】これらの配合物の混合は所定の混合物をV
型ブレンダー、タンブラー、ヘンシェルミキサー等を用
いてドライブレンドしたものを原料供給ホッパーより供
給し、プロセスオイルはベント口より注入し、120〜
250°Cの範囲に温度調節した二軸押出機で溶融混練
してペレット化する。無論、2回に分けて混練すること
もできる。
【0044】密閉式混練機であるニーダー、バンバリー
ミキサー等によってエラストマー成分であるH−SBR
と吸油能に優れたエラストマーにプロセスオイルを添加
して混練し、ペレット化した後、このペレットとポリプ
ロピレン樹脂に有機過酸化物、その他の配合剤を混合し
て、120〜250°Cの範囲に温度調節した一軸ある
いは二軸押出機で溶融混練してペレット化することもで
きる。
【0045】得られたペレットの溶融粘度であるメルト
フローレート(MFR)は、JISK7210により2
30°C、2.16kgfの荷重で50g/10分以上
が好ましい。これ未満になると、組成物の溶融流動性が
小さくなって表皮にピンホールが発生する傾向がある。
【0046】上記配合物から得られたペレットは、ター
ボミル、ピンミル、ハンマーミル等の衝撃型微粉砕機を
用いて微粉砕される。この時通常では液体窒素を用いて
冷凍粉砕される。また、配合によっては溶融樹脂をスプ
レーあるいはディスクアトマイザーによって噴霧し冷却
することによって粉体化することができる。粉砕された
ものは篩い等によって粒径が少なくとも1,000μm
の篩を通過し、平均粒径が100〜800μmのものが
集められ、これに有機あるいは無機の粉体性改良剤を添
加、混合して粉末スラッシュ成形用に使用する。
【0047】次いで、上記エラストマー組成物の粉体を
用いてスラッシュ成形を行う。この成形では外層2aに
使用する組成物の融点以上に加熱された型にこれを主と
して重力で落下させて投入し、一定時間経過後に型を反
転し、余分の組成物を回収箱に集める。型表面には組成
物が層となって付着しており、時間経過とともに溶融し
て厚さ0.3〜1.0mmのソリッドからなる外層が形
成される。続いて、内層2bに使用する組成物を外層の
上に落下させて投入し、一定時間経過後に型を反転し、
余分の組成物を回収箱に集める。外層2aに付着した層
は時間経過とともに溶融して発泡層からなる内層が形成
される。そして、型を冷却して厚さ0.5〜1.5mm
の内層が形成される。そして、型を冷却してスラッシュ
成形表皮4を脱型するものであり、これが繰り返し行わ
れる。
【0048】型の加熱方法としては、オイル循環あるい
は熱風炉へ入れる方法が一般的である。オイル循環はパ
イプ配管配置により型温度調整が容易であるが、型面か
らのみ加熱される。一方、熱風炉を用いると、型面およ
び成形物裏面の両面からの加熱が可能であるが、生産性
を考慮して熱風を300°C以上に設定することが多い
ため、成形物裏面の熱酸化劣化を起こさないように処方
や条件を配慮する必要がある。
【0049】熱風方式は、粉末スラッシュ成形を2層に
行う時に有効である。即ち、加熱された型に最外層とな
る1回目の粉末をスラッシュ成形し、半溶融状態で2回
目の粉末を付着させてスラッシュ成形し、その後加熱溶
融する。この場合、型面側のみからの加熱では、熱伝達
が不充分なので成形物裏面からの加熱も可能な熱風炉方
式が用いられることが多い。
【0050】上記スラッシュ成形表皮2を使用した成形
体の製造方法には、芯材を射出成形する方法と接着剤に
より表皮と芯材を貼り合わせる方法がある。芯材を射出
成形する方法では、金型内にスラッシュ成形表皮を外層
が型面に接するように減圧吸引等の方法で固定した状態
で型閉めし、芯材となるオレフィン系樹脂を射出し、型
内で冷却固化させることによって表皮と芯材とが溶融接
着された全オレフィン系成形体を得ることができる。こ
の場合、金型に表皮を固定し、型が開いた状態でオレフ
ィン系樹脂を所定量射出し、その後に型閉めする低圧・
圧縮射出成形する方法が好ましい。これは発泡している
内層を射出樹脂で破壊させないためである。ここで使用
するオレフィン系樹脂は、ポリプロピレン樹脂が最も好
ましい。
【0051】接着剤により表皮と芯材を貼り合わせる方
法としては、予め所定形状に射出成形したオレフィン系
樹脂製の芯材とスラッシュ成形表皮とをゴム系の接着剤
で貼り合わせるが、この場合内層に接着改良剤である活
性水素を有するオレフィン系ポリマーを配合し、また射
出成形した芯材ノ接着面を火炎処置、コロナ放電処理、
紫外線処理を施すことによって強固に接合することがで
きる。
【0052】
【実施例】次に、本発明を具体的な実施例により更に詳
細に説明する。 実施例1 外層として、表1に示すようにポリプロピレン樹脂(P
P樹脂)、吸油能に優れたエラストマー(POE)、内
部離型剤をタンブラーでドライブレンドしたものを、二
軸押出機(池貝鉄鋼社製、PCM45)の原料供給ホッ
パーより供給し、プロセスオイルをベント口より注入し
ながらシリンダー温度210°C、スクリュー回転数3
00rpmで混練し、更に続いてH−SBR、プロセス
オイル、アゾ・ヂ・カーボンアミド、フェノール系抗酸
化剤、ホスファイト系抗酸化剤をドライブレンドしたも
のを同様の二軸押出機の原料供給ホッパーより供給し、
プロセスオイルをベント口より注入しながら同一の条件
で混練し、押出してペレット化した。尚、表中の重量部
数に括弧を付けた材料は2回目に添加したものである。
そして、ターボミルT250−4J(ターボ工業社製)
に液体窒素に浸したペレットを投入して粉砕し、1,0
00μmの篩い通過分のみを集め、180μmの粉体を
得た。尚、表中の重量部数に括弧を付けた材料は2回目
に添加したものである。
【0053】また、内層として、表1に示す配合を外層
と同様に二軸押出機でペレット化したした後、粉砕した
粉体を使用した。
【0054】
【表1】
【0055】次に、上記外層用の粉体を用いてスラッシ
ュ成形を行った。スラッシュ成形の方法としては、例え
ば皮シボ模様のついた150mm×150mm×3mm
の板をオーブン中で280°Cに加熱し、その上に上記
粉体を約800gのせて8秒前後置いて付着させた後、
溶融付着しなかった粉体を除いて、300°Cに調節し
たオーブン中で40秒間加熱し、その後オーブンより取
り出し、水冷することにより厚さ約0.7mmのソリッ
ド層をもつ内層の表皮を成形した。この表皮の外層の発
泡セルは緻密で厚さも均一になっており、内外層を合わ
せた表皮厚さは1.5±0.15mmであった。また、
この表皮3枚重ねてJISC型硬度計で測定した74°
であった。
【0056】射出成形は金型に表皮を外層が型面に面す
るように減圧吸引等の方法で固定した状態で型閉めし、
芯材となるポリプロピレン樹脂を低圧射出成形によって
射出成形し、成形体を作製した。この成形体はソフトな
触感があり、表皮と芯材は強固に接着し、この間を剥離
すると表皮が破断した。
【0057】実施例2 表1に示す外層材料と内層材料を用いてスラッシュ成形
し、外層(厚さ0.8mm)、内層(厚さ0.6mm)
の表皮を得た。この表皮の外層の外層の発泡セルは緻密
で厚さも均一になっており、内外層を合わせた表皮層厚
さは1.4±0.15mmであった。また、この表皮を
3枚重ねたC型硬度計で測定した硬度は78°であっ
た。別途射出成形した150×150×3.5mmのポ
リプロピレン樹脂の接着面を火炎処理した。接着剤とし
て市販のゴム系接着剤を使用して積層した。選られた成
形体はソフトな触感があり、表皮と芯材とを強固に接着
し、この間を剥離すると表皮が破断した。
【0058】比較例1 実施例1の外層粉体を用いて、実施例1と同様な方法で
1.0mm厚のソリッド表皮をスラッシュ成形した。こ
の表皮を6枚重ねた層をC型硬度計で測定した硬度は9
1°であった。また、実施例1と同様の方法で作製した
成形体は触感が硬くて商品性に劣るものであった。
【0059】比較例2 実施例1の外層用材料粉体を金型温度280°Cで7秒
前後おいて付着させた後、付着しなかった粉体を除いて
300°Cに調整したオーブンで15秒加熱後、オーブ
ンより取り出し、再度外層用材料粉体を10秒間のせて
付着しなかった粉体を除いて、再び300°Cに調整し
たオーブン中で20秒加熱し、その後オーブンより取り
出し、水冷することにより、厚さが外側ソリッド層0.
6mm、中間発泡層0.5mm、内層ソリッド層0.5
mmの表皮を得た。この表皮中間層の発泡セルは不均質
であり、部分的に加熱オーバーになり、セルが粗くなっ
ていた。また、表皮全体の厚さは1.35〜1.80m
mとバラツキが大きく、C型硬度計で計った硬度は75
°であった。更に、実施例1と同様にプロピレン樹脂を
射出成形した成形体の表面側の表面に凹凸が見られ、触
感も硬さの違いがあり、商品性に劣るものであった。
【発明の効果】以上のように本願の請求項記載のスラッ
シュ成形表皮、及びこれを用いた成形体では、外層とし
て少なくともポリプロピレン樹脂、水素添加スチレンブ
タジエンゴム、プロセスオイル、吸油能に優れたエラス
トマー、内部離型剤、そして発泡剤からなる熱可塑性エ
ラストマー組成物の粉末をスラッシュ成形し、更にその
内層として少なくともポリプロピレン樹脂、水素添加ス
チレンブタジエンゴム、プロセスオイル、吸油能に優れ
たエラストマー、そして内部離型剤を含む粉末、もしく
はこれに接着改良剤である活性水素を有するオレフィン
系ポリマーを添加したものをスラッシュ成形したスラッ
シュ成形表皮であり、発泡層の外層とソリッド層の内層
の2層からなる表皮を使用しても意匠性を高めるととも
にソフト感のある蝕感をもたせたリサイクル使用なスラ
ッシュ成形表皮、及びこれを用いた成形体が選られる効
果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動車用インストルメントパネル
の全体外観斜視図である。
【図2】図1のX−X断面図である。
【符合の説明】
1 インストルメントパネル 2 スラッシュ成形表皮 2a 外層 2b 内層 3 芯材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F205 AA03 AA11 AA45 AA47 AB07 AC04 AD05 AD11 AG03 AH26 GA13 GB01 GB13 GB26 GC04 GE03 GE24 GF01 GF02 GF05 GF30 GF46 GN13 GN28

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも発泡層からなる外層とソリッ
    ド層からなる内層を積層するように成形したスラッシュ
    成形表皮において、上記外層として少なくともポリプロ
    ピレン樹脂、水素添加スチレンブタジエンゴム、プロセ
    スオイル、吸油能に優れたエラストマー、内部離型剤、
    そして発泡剤からなる熱可塑性エラストマー組成物の粉
    末をスラッシュ成形し、更にその内層として少なくとも
    ポリプロピレン樹脂、水素添加スチレンブタジエンゴ
    ム、プロセスオイル、吸油能に優れたエラストマー、そ
    して内部離型剤を含む粉末をスラッシュ成形したことを
    特徴とするスラッシュ成形表皮。
  2. 【請求項2】 内層として更に活性水素を有するオレフ
    ィン系ポリマーを添加した粉末をスラッシュ成形した請
    求項1記載のスラッシュ成形表皮。
  3. 【請求項3】 外層の表面には塗装膜が形成されている
    請求項1または2記載のスラッシュ成形表皮。
  4. 【請求項4】 少なくとも発泡層からなる外層とソリッ
    ド層からなる内層を積層するように成形したスラッシュ
    成形表皮と芯体との積層体からなるスラッシュ成形表皮
    付き成形体において、上記スラッシュ成形表皮が少なく
    ともポリプロピレン樹脂、水素添加スチレンブタジエン
    ゴム、プロセスオイル、吸油能に優れたエラストマー、
    内部離型剤、そして発泡剤からなる熱可塑性エラストマ
    ー組成物の粉末をスラッシュ成形し、更にその内層とし
    て少なくともポリプロピレン樹脂、水素添加スチレンブ
    タジエンゴム、プロセスオイル、吸油能に優れたエラス
    トマー、そして内部離型剤を含む粉末をスラッシュ成形
    することにより得られた複合表皮であり、かつ芯材がオ
    レフィン系樹脂であることを特徴とするスラッシュ成形
    表皮付き成形体。
  5. 【請求項5】 内層として更に活性水素を有するオレフ
    ィン系ポリマーを添加した粉末をスラッシュ成形した請
    求項4記載のスラッシュ成形表皮付き成形体。
  6. 【請求項6】 外層の表面には塗装膜が形成されている
    請求項4または5記載のスラッシュ成形表皮付き成形
    体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100415817C (zh) * 2003-03-27 2008-09-03 现代自动车株式会社 用于粉末中空模塑的聚丙烯基树脂组合物
JP2011051180A (ja) * 2009-08-31 2011-03-17 Kyoraku Co Ltd 発泡成形品

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