小学生男子が今もっとも熱中している玩具といっても過言ではない「ベイブレード」は、1999年に第1世代「爆転シュート ベイブレード」として誕生しました。当時も社会現象になるほど大ヒットしたため、「ベイブレードって、昔、流行したものでしょ?」と思われた方もいるかもしれませんが、その後、2008年に登場した第2世代「メタルファイト ベイブレード」が再び子ども達の心をキャッチ! そして、現在、第3世代となる「ベイブレードバースト」が大旋風を巻き起こしているのです。いったい、「ベイブレードバースト」のどのようなところが子ども達を夢中にさせているのでしょうか。その理由を探ってみました。
目次
・最大の魅力! “破壊”が気持ちいい
・最強のベイブレードは存在しない
・遊ぶほどに楽しいベイクラウド
・無料でレアアイテムGET!? ベイターミナル
簡単に言ってしまうと、ベイブレードはベーゴマのようなもの。ベイ(コマ)同士をぶつけあい、スタジアム(競技場)からはじき出したり、どちらが長く回転し続けられるかバトルします。強いベイを作るために、パーツを分解してベイを改造することも可能。と、ここまでであれば、第1世代、第2世代のベイブレードと同じですが、「ベイブレードバースト」には「バーストフィニッシュ」と呼ばれる、“破壊”による決着があるのがポイントです。
ベイは3つのパーツで構成されており、バーストはそのパーツが分解されることを指します。子ども向けの玩具だからパラッと崩れるようなものかな……と思いきや、その破壊っぷりはなかなかのもの。回転スピードが高いままバーストすると、パーツの一部がスタジアムから飛び出るのではないかと思うほどです。なお、高速回転していなくてもバーストフィニッシュすることも。しかも、バーストは毎回起こるわけではないので、バーストフィニッシュした時の興奮はひとしおです。
ベイは「レイヤー」「ディスク」「ドライバー」で構成されています
ベイにはロック機構があり、ベイ同時がぶつかり、回転とは逆のほうにパーツが4回動くとロックが外れてバーストします。4回目でバーストとするようになっているので、対戦終了後には「あと1回でバーストだったよ、危ねぇー」といった声も。いつ破壊が起こるかわかっているからこそのハラハラ感も病みつきになる要素です
回転をつけてベイを投入するために、発射装置「ランチャー」を使います
ランチャーにベイを装備し、ワインダーを引いてシュート!
※シュートとはランチャーを使いスタジアムに投入すること
バトルはスタジアムで行います。基本は2人対戦ですが、専用のスタジアムを用意すれば3人でバトルすることも可能。ベイがバーストしたり、回転が停止したり、スタジアムからはじき出されると負けです
プレイヤーだけでなく観衆をも夢中にさせてしまうバーストの様子を、下の動画でご覧ください。ぶつかり合った際の金属音が“バトルしている”感を増大! 比較的ゆっくりめの回転スピードでしたが、“破壊”されたパーツがスタジアム外に飛び出てしまいました。
ベイをぶつけて“運”だけで遊ぶのではなく、改造により戦略を立てられるところもベイブレードが男の子のハートをガッチリとつかんでいるポイント。ベイには攻撃にすぐれる「アタックタイプ」、防御が強い「ディフェンスタイプ」、持久力が高い「スタミナタイプ」、その3つの能力をあわせ持った「バランスタイプ」といった4つの種類があります。アタックタイプはスタミナタイプには強いものの、ディフェンスタイプには弱いというように得手不得手な相手があり、対戦相手がどの特性を出してくるかシュートするまでわかりません。しかも、分解してパーツの組み合わせを変更すれば、特性も変わります。たとえば、同じ攻撃系のレイヤーでも、刃の数や形状が数ミリ異なるだけでも動きはまったく別物に。パーツの組み合わせ方次第で、無限大の特性が生み出せるのです。
ただし、ベイの“相性”だけで勝敗の優劣が決定しないのが、ベイブレードバーストのおもしろいところ。特性は劣勢であっても、シュートする際の角度やスピードによって展開は変わります。さらに、回転数が落ちて止まりそうでも“当たり所”によってはバーストフィニッシュで大逆転することも! つまり、コマの性能だけでは勝てない=“絶対に勝てる”ベイは存在しないということ。現に大会でも、経験もほとんどなく改造もしていないビギナーがヘビーユーザーに勝利する場面も見られ、最後まで勝敗が読めません。またいっぽうで、自分の戦略どおりにバトルが展開した時の快感はこのうえないものとなります。このように、実力と運が不確定に結びつき、“同じバトル”が発生ないことも飽きずに遊び続けられる要素となっているのでしょう。
基本的にパーツ売りはされておらず(一部、ガチャなどにはあり)、ベイを分解して、それぞれのパーツを組み替えるのが一般的な改造となります
ベイの一番上のパーツ「レイヤー」の形状はさまざまで、刃を飛び出すように配置した攻撃性の高いものや、逆に攻撃を受け止めて守りを強くしたものなど多様なバリエーションがそろっています
※ここで紹介しているは各タイプの一例。各タイプには形状の異なる多数のベイがラインアップされています
真ん中に位置する「ディスク」はベイの重心となる部分。ディスクも特性にあわせ、形状や重量が違います。回転力や遠心力を高め攻撃性をアップするものや安定性に注力したもの、空気抵抗を抑えて長く回り続けられるものなどを用意
地に接する「ドライバー」にも、特性ごとのしかけがあり! たとえば、アタックタイプの場合、先端のラバーがグリップ力を増し、湾曲するスタジアムを激しく動き回って攻撃。いっぽう、スタミナタイプの先端にあるメタル素材は重さで軸をぶれにくくし、摩擦を低減することで長く回り続けます
※ここで紹介しているは各タイプの一例。各タイプには形状の異なる多数のベイがラインアップされています
パーツを変えるだけで、どれほど動きが変化するか確かめてみましょう。
アタックタイプのベイを、ドライバーのみスタミナタイプに替えてみました
下の動画のアタックタイプのベイの動きをご覧ください。スタートは何も手を加えていないアタックタイプのベイ、11秒以降が改造したベイとなります。アタックタイプの構成のままのベイはスタジアム周囲から中央に攻める感じで激しく動きまわっていますが、改造したほうはスタジアム中央にすぐ位置し、高速回転を維持。今回の対戦では負けてしまいましたが、明らかに安定性は高くなったように思えます。1パーツを変えただけで、これほど動きに変化が出るのなら改造について研究したくなりますね。
また、改造ができるのはベイだけではありません。発射装置「ランチャー」にもさまざまな種類が用意されており、使いやすいものを選べるようになっています。また、より握りやすくするためのグリップや滑り止めのパーツもラインアップされているので、道具を替えることで実力も変化するかもしれません。もちろん、自分だけのコーディネイトを楽しむのもあり!
ランチャーのベースとなる形状は、ここまで紹介してきたワインダーを差して引っぱるタイプと、収納されている紐を引くタイプの2種類があります(2016年12月9日時点)
ランチャーの握りやすさを高めるグリップは、あると非常に便利
シュートの角度を見る「ベイブレード アングルグリップ」や安定性を高めるための「ウエイトダンパー」など、グリップに装着するアタッチメントも多様なものがそろえられています。掛け合わせのバリエーションは40以上!
ベイに回転をつけるための紐のような「ワインダー」にも、長さ違いのオプションが用意されています。長い「B-45 ライトランチャー&ロングワインダー」のほうがシュートが強力になるかも!
対戦だけでなく、ひとりでも楽しめる工夫がいろいろあるのもベイブレードバーストの魅力です。なかでも、クラウドシステムがすごい! 別売の「ベイロガー」をランチャーに装着すると、シュートのパワーやベイを回した回数などを記録し、スマートフォン用の専用アプリ(無料)で管理できるようになります。さらに、練習したり大会に参加したり、ベイブレードバーストに関連するアクションを行うごとに貯まっていく「ベイポイント」という“ニクイ”しかけもあり。3,000ポイント貯めるとWeb上の「レアベイゲットバトル」にチャレンジでき、勝利すると「レアベイ」と呼ばれる非売品のベイがもらえるのです。自分の成長がチェックできるうえにご褒美もあるので、子ども達のベイブレードバーストで遊ぶモチベーションは高まるいっぽう。しかも、アプリには“所有しているベイブレードバースト”を記録する「ガレージ」も用意されており、ベイやランチャーなどアイテムを購入するごとにベイポイントも増えていきます。コレクター欲も刺激され、どんどんベイブレードバーストにハマっていくことは間違いなさそう。ちなみに、毎月ひとつは新商品が発売されていますが、価格は子どものお小遣いでも手が届く1,000円以下となっています。
ベイロガーをランチャーに装着し、グリップのようにしてプレイすることも可能。ランチャーの回転から直接データを取っているので、ベイロガーを外すとデータの記録はできません
スマートフォンの専用アプリ(無料)を起動し、ベイロガーとイヤホンジャック経由で接続すると自動でデータが転送されます。Wi-FiやBluetoothでの接続ではないので、機械が苦手な人でも安心
最大シュートパワーがチェックできるため、“もっと上を目指す!”と闘志が燃えるはず。全国平均も表示されるので、より意欲がわきそうですね
ガレージは、まさに自分のコレクションルーム。ベイブレードバーストができない場所では、ラインアップを友達と見せ合って楽しんでいる子ども達も多いそうです
子ども達をわくわくさせるしかけは、リアル店舗にもあり! おもちゃ店や量販店など一部の加盟店に設置されている「ベイターミナル」というゲーム筐体に自分が持っているベイをかざすと、レイヤー1個につき1日1回無料でゲームを楽しめるのです。ゲームは、ボタン操作で行うベイバトル。バトル結果によってベイポイントがゲットでき、勝利するとガチャからレアなパーツが手に入る可能性も。
レイヤーに搭載されているNFCチップをベイターミナルで読み取る仕組み。ベイポイントを受け取るには、ベイロガーが必要です
ベイブレードバースト存在は知っていましたが、実物を触ったことがなかった筆者。実際に遊んでみて一番に感じたのは、“とにかく男の子の好きな要素だらけ”ということです。大人になってもミニ四駆に夢中な男性が多いことからも、改造やバトルが好きな男の子は多いはず。くわえて、対戦だけでなく、ひとりで練習することも楽しくしてしまったクラウドシステムや実店舗でしかプレイできないコンテンツなど、遊び方のバリエーションを多彩にすることで飽きるヒマを与えないしかけの数々には感動すら覚えました。
また、ベイブレードからコミュニケーションが生まれるのもすばらしい。子どもが玩具にハマってしまうと家族間での交流が減ってしまいがちですが、ベイブレードバーストは“子ども VS 大人”で対戦してもOK!(ただし、大人のほうがシュート力が強いので配慮してあげるとベター) 何より、ベイの改造でどのような構成にするのかを助言したくなる父親は、たくさんいそうです。もちろん、子ども同士でも会話が生まれるので、親が認められる理想的な玩具と言えるのではないでしょうか。
ちなみに、上達してきて、もっと強い相手とバトルしたくなったら大会に参加してみましょう。メーカーや販売店が主催する競技大会も盛んで、全国に800店舗ほどある公認店では月1、2回程度大会が開催されています。その他1,000人規模で行われる全国大会も年に2回程度行われており、メーカーの集計によると現在の競技人口はなんと90万人ほどにのぼるそう(2016年12月9日時点)。大会で入賞するとレアアイテムがもらえるので子どもにとって真剣勝負であるのはもちろんですが、親の白熱っぷりも相当なもの。コーチさながらに指導やゲキも飛びかい、スポーツさながらの熱気に包まれます。家族で大会に出かければ、わが子の“知らなかった”成長を垣間見たり、新たな絆が生まれるかもしれませんよ!