ホンダ「シビック」が2024年9月にマイナーチェンジされる。注目は、新たにスポーティーな「RS」グレードが追加されることだ。それに先立ち、販売店では2024年8月初旬から価格を明らかにして、予約受注を開始した。当記事では、「シビックRS」の価格や装備などについて、独自に入手した情報を先取りでお伝えしたい。
2024年9月のホンダ「シビック」マイナーチェンジで追加予定の新グレード、「RS」。6速MT専用グレードで、気軽にスポーティーな走りを楽しめるチューニングが施されている
まず、「RS」を含む「シビック」全体のグレードラインアップと価格は以下のとおりだ。後述するが、以下の「シビック」の価格はマイナーチェンジによって値上げされている。
■新型「シビック」のグレードラインアップと価格(販売店調べ)
-1.5Lガソリンターボエンジン搭載車-
RS(6速MT):419万8,700円(★)
LX(CVT&6速MT):344万円
EX(CVT&6速MT):379万8,300円
-2L・e:HEV(ハイブリッド)搭載車-
e:HEV EX(無段変速):430万7,600円
(★)今回解説する新グレード
「RS」は、「ロード・セーリング」の略称で、初代「シビック」にも採用されていた。「RS」の意味は、「レーシングスポーツ」や「ラリースポーツ」ではなく「セーリング」、つまり道を帆走するように、滑らかに気持ちよく進むことを表現している。
ちなみに、初代「シビック」に「1200RS」が追加された1974年頃は、レースやラリーが注目された時代だったため、「ロード・セーリング」という発想は新鮮であった。速く走るのではなく、ドライバーの操作に対して忠実かつ上質に走るという、今日のクルマ作りを予見させるグレードでもあった。
今回の「シビックRS」も、「ロード・セーリング」の考え方に基づいて開発されている。「RS」グレード専用のサスペンションや、18インチアルミホイールなどを標準装備。エンジンは1.5L直4ターボで、トランスミッションは6速MTのみになる。同エンジンの「LX」や「EX」グレードとは異なり、CVTは用意されていない。
「シビックRS」のフロント、リアエクステリア
■新型「シビックRS」の主な装備
RS専用サスペンション/18インチアルミホイール(ベルリナブラック)/アジャイルハンドリングアシスト/レブマッチシステム/エキパイフィニッシャー(ブラッククローム)/LEDアクティブコーナリングライト/本革巻きアルミシフトノブ/ドライブモードスイッチ/プライムスムース&ウルトラスエードのシート生地/運転席&助手席 電動調節機能/グーグル搭載 9インチホンダコネクトディスプレイ&ETC車載器/HondaSENSING
「シビックRS」のメカニズムや装備などは、1.5L直4ターボを搭載する上級の「EX」グレードに準じている。たとえば、プライムスムース&ウルトラスエードを使った上質なシート生地や、運転席と助手席の電動調節機能などを標準装備。さらに、新採用のGoogleアシスタントを搭載した9インチホンダコネクトディスプレイ&ETC車載器まで備わっているので、オプション装着が必要な主要装備はほとんどないだろう。
「シビックRS」のインテリア
■新型「シビック」のグレードラインアップと価格(販売店調べ)
-1.5Lガソリンターボエンジン搭載車-
RS(6速MT):419万8,700円
LX(CVT&6速MT):344万円
EX(CVT&6速MT):379万8,300円
-2L・e:HEV(ハイブリッド)搭載車-
e:HEV EX(無段変速):430万7,600円
「シビックRS」の価格は、販売店によると419万8,700円。マイナーチェンジ前の「シビック」の価格は、1.5L直4ターボを搭載する上級グレードの「EX」が359万400円で、ハイブリッドのe:HEVは398万900円だった。
「RS」が各種の装備を充実させているとしても、419万8,700円という価格は、かなり高めと受け取られそうだ。スーパースポーツモデルの「シビックタイプR」でも、499万7,300円だからだ。「シビックRS」に80万円を加えて「シビックタイプR」を買えるなら、後者が割安に思えてきそうだ。
「シビックタイプR」のフロントイメージ
「シビックRS」の価格に近いスポーツモデルとしては、スバル「WRX S4」のGT-H・EXが447万7,000円になる。「WRX S4」は、最高出力が275PS、最大トルクは38.2kg-mに達する水平対向2.4Lターボエンジンと、センターデフ式フルタイム4WDを搭載。「シビックRS」の価格に28万円を加えると、他社モデルではあるがスポーツセダンに手が届くことになる。
「シビックRS」の価格が高騰した背景には、「シビック」全体の値上げもある。1.5L直4ターボの「LX」は、以前は324万600円だったが、マイナーチェンジ後は344万円に値上げされる。また、上級グレードの「EX」は、以前の359万400円から379万8,300円になる。「e:HEV」は、従来は398万900円であったが、マイナーチェンジ後の「e:HEV・EX」は430万7,600円だ。
つまり、1.5L直4ターボの「EX」と「LX」は、マイナーチェンジによって約20万円値上げされ、「e:HEV・EX」は改良前の「e:HEV」よりも約33万円高くなる。「e:HEV・EX」には、電動パノラミックサンルーフなども新たに標準装備されるが、価格アップは約33万円に達する。
注目なのは、1.5L直4ターボの「EX」と「RS」の価格差だ。「EX」がマイナーチェンジ前の状態では「RS」が約60万円高かったが、マイナーチェンジ後は差額が40万円に縮まる。ただし、同じパワーユニットを搭載して駆動方式も変わらず、「RS」の価格が40万円上乗せされるというのは、価格差としては少々大きい。サスペンションの専用チューニング、アルミホイールなどのグレードアップ、滑らかなシフトダウンを容易にするレブマッチシステムの採用などを考えても、価格アップは20万円くらいが妥当だろう。
最後に、ホンダの販売店によると「『シビックタイプR』は、購入希望のお客様に対して生産台数が少なく、今は受注していない。キャンセル待ちのお客様も多く、いつ買えるかわからない」と言う。そのため、もし「シビック」のスポーティーモデルがどうしてもほしいというユーザーであれば、価格は少々高めだが「シビックRS」を検討するのはありだろう。