旅とカメラは人生を彩るスパイスのようなもの。そして、旅とカメラは相性も抜群。旅を楽しむ、カメラを楽しむことをコンセプトに、フォトグラファーの河野鉄平(通称テッピー)がカメラ片手に旅に出る連載企画「旅カメラ周遊記」。今回は、都会の喧騒を忘れさせてくれる北鎌倉の古寺を訪ね歩きました。
今回の旅で使用したのは、小型・軽量なフルサイズミラーレスカメラ「LUMIX S9」と、「LUMIX S9」のキットレンズとして用意されている高倍率ズームレンズ「LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.」の組み合わせ。「LUMIX S9」は四角いフォルムで、まるでコンパクトカメラのようなボディです
掲載する写真作例について
写真はすべてJPEG形式(最高画質)で撮影しています。周辺光量補正:オン、回折補正:オフ、iダイナミックレンジ:オフに設定しています。
LUMIX S9、LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.、28mm、F4、1/50秒、ISO100、+0.3EV、ホワイトバランス:太陽光、フォトスタイル:ヴィヴィッド
撮影写真(6000×4000、7.6MB)
こんにちは、テッピーです。
今回の旅先は、JR鎌倉駅からひと駅の距離にある北鎌倉。自然が豊かで閑静なエリアで、ゆっくり写真を撮り歩くのにピッタリです。周辺には大小多くの寺がありますが、今回は駅のすぐ近くにある円覚寺、あじさい寺としても有名な明月院、そして建長寺を散策しました。
旅の起点となるJR北鎌倉駅。隣のJR鎌倉駅に比べると小さくて趣があります
LUMIX S9、LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.、28mm、F7.1、1/125秒、-0.3EV、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、フォトスタイル:ヴィヴィッド
鎌倉といえば江ノ電ですが、北鎌倉駅から鎌倉駅に通じる線路も味があってとてもフォトジェニックです
LUMIX S9、LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.、165mm、F6.7、1/200秒、-0.3EV、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、フォトスタイル:ヴィヴィッド
旅をした日はものすごい快晴。気持ちがよかったです
LUMIX S9、LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.、28mm、F8、1/250秒、ISO100、-0.3EV、ホワイトバランス:太陽光、フォトスタイル:ヴィヴィッド
あじさいは見ごろの時期を過ぎていましたが、一部でまだ咲き誇っていてとてもきれいでした
LUMIX S9、LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.、148mm、F6.5、1/160秒、ISO320、-0.3EV、ホワイトバランス:太陽光、フォトスタイル:ヴィヴィッド
今回携行した「LUMIX S9」は、重量約486g(バッテリー、SDメモリーカードを含む)の小型・軽量ボディが特徴のフルサイズミラーレス。ファインダーは非搭載ですが、この小ささでフルサイズ機というのですから驚きです。デザインもスタイリッシュでかわいい。とにかく撮る行為に没頭できる軽さとシンプルな操作性がよいです。
「LUMIX S9」に組み合わせた「LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.」は、「LUMIX S」シリーズ初の高倍率ズームレンズ。「LUMIX S9」の高倍率ズームレンズキットに付属するレンズです。幅広いシーンに対応できるので旅のお供に最適。製品名に「MACRO」とあるとおり、マクロ機能も搭載。広角端でハーフマクロ撮影が可能です。
「LUMIX S9」のサイズは約126(幅)×73.9(高さ)×46.7(奥行)mmで、重量は約486g(バッテリー、SDメモリーカードを含む)。「LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.」は「LUMIX S9」に装着すると大きく見えますが、重量は約413gでフルサイズ対応の高倍率ズームとしては小型・軽量です
「LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.」は、筐体左側面に手ブレ補正のオン/オフを切り替えられるO.I.SスイッチとAF/MFスイッチが付いています。レンズフードも付属します
北鎌倉駅を降りて、まずは円覚寺へと向かいます。
円覚寺は北鎌倉駅から徒歩1分の場所にあります。開門時間8時30分に合わせて行ったので人もまばら。朝のやわらかい光が差し込み、癒やされます。何とも風情があります。
新緑に囲まれた階段を上がっていくと、円覚寺の総門に着きます
LUMIX S9、LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.、28mm、F5.1、1/30秒、ISO320、+1.0EV、ホワイトバランス:太陽光、フォトスタイル:風景
「LUMIX」シリーズはモノクロモードが豊富なのも魅力。「LUMIX S9」は5種類から選択できます
LUMIX S9、LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.、47mm、F13、1/125秒、-0.3EV、ISO640、ホワイトバランス:太陽光、フォトスタイル:L.モノクロームD
円覚寺の創建は1282年。元寇による戦没者を追悼するために建てられたそうです
LUMIX S9、LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.、28mm、F8、1/40秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光(B4、G8)、フォトスタイル:風景
円覚寺でもそこかしこにきれいなあじさいが。広角端でぐっと寄りながら接写しました。高倍率ズームでありながらハーフマクロに対応する本レンズは表現力が本当に豊かです
LUMIX S9、LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.、28mm、F4、1/50秒、ISO100、+0.3EV、ホワイトバランス:太陽光、フォトスタイル:ヴィヴィッド
「LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.」はレンズ交換の必要がなく、そのまま気軽にどんどんスナップできるのがすばらしいです。今回の旅路では、「望遠側200mmはほとんど使う機会がないかな」と思っていましたが、簡単にズーミングできると、結構多用してしまうものです。気軽である分、表現領域が広がる気がします。
開放絞り値はそこまで明るくありませんが、感度を上げても画質は十分で、暗い日陰が多い寺院でもそこまで躊躇せずに高感度撮影に臨めます。これはフルサイズ機だからこその魅力でしょう。
また、「LUMIX S9」と「LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.」の組み合わせは約6.5段分の手ブレ補正効果が得られます。仮に低感度のまま低速シャッタースピードになっても手ブレを防いでしっかりと描写できます。薄暗いところが多い寺院の撮影では便利ですね。
仏殿は大きくて迫力ありました。やわらかい雰囲気の「L.クラシックネオ」で撮影
LUMIX S9、LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.、50mm、F6、1/400秒、ISO640、+0.3EV、ホワイトバランス:太陽光、フォトスタイル:L.クラシックネオ
LUMIX S9、LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.、28mm、F11、1/40秒、ISO100、-0.3EV、ホワイトバランス:太陽光、フォトスタイル:L.モノクロームS
LUMIX S9、LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.、155mm、F8、1/160秒、ISO400、-0.3EV、ホワイトバランス:太陽光、フォトスタイル:シネライクV2
高倍率ズームレンズはどうしても幅広い焦点距離に注目しがちですが、寄り引きを意識することでさまざまな被写体をドラマチックに描写できます
LUMIX S9、LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.、46mm、F5、1/800秒、ISO1000、-0.3EV、ホワイトバランス:太陽光(B4、G8)、フォトスタイル:シネライクV2
LUMIX S9、LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.、47mm、F4.9、1/250秒、ISO400、-0.3EV、ホワイトバランス:太陽光、フォトスタイル:ヴィヴィッド
LUMIX S9、LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.、38mm、F4.6、1/100秒、ISO1000、+0.7EV、ホワイトバランス:太陽光、フォトスタイル:風景
LUMIX S9、LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.、28mm、F8、1/100秒、ISO100、-0.3EV、ホワイトバランス:太陽光、フォトスタイル:風景
以下に、「LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.」のズーム倍率を示す作例を参考までに掲載します。28/50/100/200mmの各焦点距離で同じ被写体で撮影してみました。
円覚寺が心地よすぎて長居してしまいました。次は明月院に向かいます。円覚寺から徒歩で15分ほどの場所です。
途中、JR横須賀線を撮影。「LUMIX S9」は被写体認識AFも優秀で、動く被写体を的確にとらえてくれます。小型・軽量なボディですが、積んでいる機能は高性能です。779点測距の像面位相差AFと315点測距のコントラストAFでストレスのないピント合わせが楽しめます。
この作例では連写機能も併用。最高約30コマ/秒で連写できます。新緑が映えますね
LUMIX S9、LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.、200mm、F8、1/640秒、-0.3EV、ISO800、ホワイトバランス:太陽光、フォトスタイル:ヴィヴィッド
LUMIX S9、LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.、33mm、F36、1/10秒、-0.3EV、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、フォトスタイル:風景
明月院に向かう小道がすでに多くの人で賑わっていたのですが、やはり「あじさい寺」と呼ばれるだけあって、この時期の明月院は大人気。すごい人だかりでした。あじさいもまだ多く咲いていましたが、人が多いので、早々に退散することに……。明月院は四季を通じて美しい景色が見られるようなので、タイミングを見てまた訪れてみたいです。
LUMIX S9、LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.、200mm、F7.1、1/250秒、ISO500、+0.7EV、ホワイトバランス:太陽光、フォトスタイル:L.クラシックネオ
LUMIX S9、LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.、196mm、F7.1、1/250秒、ISO3200、+0.7EV、ホワイトバランス:AWBw(B5、M3)、フォトスタイル:L.クラシックネオ
LUMIX S9、LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.、71mm、F5.5、1/100秒、ISO100、-0.3EV、ホワイトバランス:太陽光、フォトスタイル:L.クラシックネオ
明月院の中にウサギ小屋がありましたが、暑すぎて小屋に動物はいませんでした。この日の最高気温は35度……
LUMIX S9、LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.、38mm、F4.6、1/50秒、ISO400、+1.0EV、ホワイトバランス:太陽光、フォトスタイル:L.クラシックネオ
暑すぎて休憩……。アイスコーヒーとうさぎまんじゅうをいただきました
LUMIX S9、LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.、40mm、F4.7、1/50秒、ISO2000、+0.7EV、ホワイトバランス:AWB、フォトスタイル:風景
LUMIX S9、LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.、131mm、F6.2、1/160秒、ISO5000、+0.7EV、ホワイトバランス:AWB、フォトスタイル:風景
LUMIX S9、LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.、127mm、F6.2、1/200秒、ISO100、+0.3EV、ホワイトバランス:太陽光、フォトスタイル:風景
煎餅が売っていたのでひとつ買い食い。晴天に映えます!
LUMIX S9、LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.、28mm、F7.1、1/125秒、ISO100、+0.3EV、ホワイトバランス:太陽光、フォトスタイル:風景
明月院から最終目的地の建長寺を目指します。歩いて30分とのことで、普段であればちょっとした気軽な散策ですが、この日は本当に暑くてヘトヘトになりました。
建長寺の創建は1253年。鎌倉五山の第1位の禅宗寺院です。鎌倉と北鎌倉のちょうど中間にあってどちらからもアクセスできます。ちなみに鎌倉五山の第2位が円覚寺です
LUMIX S9、LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.、58mm、F5.2、1/60秒、ISO100、+0.3EV、ホワイトバランス:太陽光、フォトスタイル:風景
仏殿は国の重要文化財に指定されています。圧倒される大きさです。端っこに写っている樹木(びゃくしん)は樹齢760年なんだとか
LUMIX S9、LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.、50mm、F4.9、1/100秒、ISO200、-0.3EV、ホワイトバランス:太陽光、フォトスタイル:シネライクV2
LUMIX S9、LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.、108mm、F22、1/125秒、ISO3200、+0.3EV、ホワイトバランス:太陽光、フォトスタイル:シネライクV2
建長寺の最奥には半僧坊という建長寺の鎮守があり、その裏には鎌倉の街並みを一望できる見晴らし台があるとのことで、そこまで行ってみることに。炎天下の真夏日には過酷な散策路になりました。
建長寺の境内から少し外れる格好で路地を奥へと進みます。この先に半僧坊があります
LUMIX S9、LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.、43mm、F5.5、1/80秒、 ISO200、ホワイトバランス:太陽光、フォトスタイル:シネライクD2
LUMIX S9、LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.、29mm、F5.5、1/500秒、 ISO100、ホワイトバランス:太陽光、フォトスタイル:風景
LUMIX S9、LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.、43mm、F5.6、1/125秒、 ISO100、ホワイトバランス:太陽光、フォトスタイル:風景
半僧坊に到着。天狗がお出迎えしてくれます
LUMIX S9、LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.、54mm、F5、1/640秒、 ISO200、ホワイトバランス:太陽光、フォトスタイル:シネライクV2
急な階段が続いて、結構きつかったです。ここからさらに上がっていくと裏山に出て、見晴らし台に到着します。汗だくだくです
LUMIX S9、LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.、55mm、F5、1/400秒、 ISO200、ホワイトバランス:太陽光、フォトスタイル:シネライクV2
見晴らし台に着きました! 広角端28mmで撮影。16:9の比率で切り取りました。鎌倉の街並みと相模湾が見えます
LUMIX S9、LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.、28mm、F7.1、1/200秒、 ISO100、ホワイトバランス:太陽光、フォトスタイル:風景
今度は望遠端200mmで撮影。この日は雲に隠れていましたが、反対方向を向くと天気がよければ富士山が見えます
LUMIX S9、LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.、200mm、F7.1、1/320秒、 ISO100、ホワイトバランス:太陽光、フォトスタイル:風景
今回の旅では「LUMIX S9」の発売と同時にリリースされた「LUMIX Lab」という専用のスマホアプリも使いました。これが結構面白いんです。
「LUMIX S9」は、「LUT(Look Up Table)」と呼ばれる色設定を定義したファイルを適用することで、個性的な画作りで撮影ができる「リアルタイムLUT 」という機能を搭載しています。この「リアルタイムLUT 」は、スマホアプリ「LUMIX Lab」と組み合わせることで、さらに多彩な使い方が可能になるんです。具体的には、撮影した写真をスマホに転送してLUTを適用したり、スマホ内で自分が作ったLUTをカメラ側に転送して利用したりすることができます。
「LUMIX Lab」の操作画面。さまざまなLUTが用意されています。LUTを適用した写真に対して細かく編集を加えることが可能です
「LUMIX S9」の「リアルタイムLUT」と「LUMIX Lab」の特徴は以下の記事をご確認ください。
左は撮影したままの写真で、右は「LUMIX Lab」でLUTを適用した写真。「LUMIX Lab」に用意されているLUTは種類が豊富でクリエイティブ。パソコンを介さず、こうした画作りが気軽に楽しめるのはいいですね
今回は北鎌倉の旅をお届けしました。撮影日はかなり蒸し暑かったですが、北鎌倉はぶらぶら写真散歩をするのにちょうどいい場所ですね。鎌倉駅まで30分程度で着くようなので、1駅歩いて散策するのもいいと思います。鎌倉は低山も多いので、今度はハイキングがてら訪れてみたいです。
気軽な旅に、「LUMIX S9」と「LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.」の組み合わせは最高でした。「LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.」の開放絞り値はそれほど小さくないですが、広角側なら寄ることで大きなボケを演出できますし、望遠側もボケ味がきれいでした。いっぽう、望遠撮影は開放絞り値が暗い影響で、手ブレに注意したいです。本文中でも述べましたが、感度をうまく調整し、手ブレ補正機構も駆使したいです。
「LUMIX S9」に関しては、フルサイズながらすっぽり手に収まる使い勝手のよさは唯一無二なのではないでしょうか。老眼の筆者には、何度かファインダーを使いたい場面に遭遇しましたし、晴天時は液晶モニターが反射して像を確認しづらい場面もありましたが、この小型・軽量ボディは相当インパクトがあります。
梅雨も明ければ夏本番。今年の夏は暑くなりそうですね。また次回の旅でお会いしましょう!