PSYREN -サイレン- とは、週刊少年ジャンプに2008年1号から2010年52号まで連載された能力バトル系漫画である。作者は岩代俊明。
概要
一枚のテレホンカードによって異界「サイレン」でのゲームに誘われた夜科アゲハ。そのテレホンカードはネット上で500万の価値があると噂される代物で、現在ニュースで話題となっている連続失踪事件の手がかりでもあった。
同級生の雨宮桜子を助けるため、テレカを使いサイレンゲームに参加するアゲハ。
テレカの裏にはゲームのルールが記述されている。
以下作中より引用(PSYRENのRは左右逆の鏡文字で表記される)
Welcome to PSYREN
ネメシスQと共に・・・時を飛び越え未来を変える旅をするドリフト達に幸あれ────・・・
現実とかけ離れたサイレン世界には様々な謎が…。
荒廃し、人影のない街。蟲(ワーム)や禁人種(タヴー)と呼ばれる正体不明の好戦的な生物達。
そしてアゲハ達がサイレン世界の真実に近づく時、W.I.S.E(ワイズ)と名乗りサイレン世界とタヴーを統治する謎の集団が浮かび上がる・・・。
“PSI"について
PSI(サイ)とはいわゆる超能力であり、桜子曰く「思念の力」。本作品の重要なキーワードともなっている。PSIの素質は元来誰もが持っているが、それを自在に使役している人間は限られている。しかし、修行や何らかのきっかけで、PSIの力を発現させることができる。サイレン世界ではタヴーやワイズと戦うための重要な能力となるため、主要人物達は作中でそれぞれのPSIの力を会得してゆく。
PSIの基本的な力は、基礎となる3つの力から構成される。
PSI使いはみなこの3つの力を持っているが、得意分野や力の大きさは個人の資質による。また、複数の力の組み合わせにより様々な効果のPSIが発現する他、元々の資質によって得る特別なPSIも存在する。
主な登場人物 (コミックス11巻まで)
- ネメシスQ
- 赤いテレホンカードを与え、人々をサイレンの世界へ誘う謎の存在。その正体や目的は謎に包まれている。人の形をしてはいるが、異形の仮面をかぶり、あらゆる場所に突如として出現、消滅する様は人間らしさを感じさせない。ルールを破った者・・・サイレン世界やネメシスQに関する内容をドリフト以外の他人に伝えようとした者を、その場で即座に殺す役割も担う。
サイレンドリフト ・・・ サイレン世界に招集され、「ゲーム」を行う者たち
- 夜科アゲハ
- 真っ直ぐで感情まかせの行動をとる。他人を放っておけない。考えすぎない性格故に危機的状況でも想いがブレない。非常に仲間思いであり、仲間を救うためには自身の危険も顧みないが、逆に敵対し仲間を危険にさらす相手には、非情で冷徹な一面を見せることも多々ある。
ライズとバーストが得意。周囲のPSIに反応してその「エネルギーを喰らい尽くす」、本人の意志と関係無く無差別に全てを削り取る黒いバースト、“暴王の月"(メルゼズ・ドア)を使う。
- 雨宮桜子
- クールに見えて時に明るく、時に怖い。キャラのぶれ具合が一つの魅力。既にゲームを何度か経験している。故にPSI及び様々な武器を使った戦闘能力も高い。また、目的のためには手段を選ばない傾向があり、その言動は日常生活でも垣間見える。しかし本心は年相応の少女であり、サイレン世界で心身共に支えてくれたアゲハに想いをよせる素振りも。
- ライズとトランスが得意。死神の鎌の形をした、触れること無く相手に幻覚作用を起こす思念爆弾であるM・J:“凶気の鎌"(マインドジャック:インサニティサイズ)などを使う。
- 貧乳。水着を着た際、作者に胸の影となるトーンを貼り忘れられるぐらいの貧乳(コミックスでは修正済)。貧乳を馬鹿にする物は死んでいいと思っている。
- 朝河飛龍
- アゲハ・桜子とは小学校時代の知り合い。身体は大きく成長し、思慮深い行動で物事に対し冷静に対処する。アゲハとは逆のその性格は、動揺したときに立ち直りに時間がかかるという弱点にもなっている。
- ライズとバーストが得意。特に肉体強化のライズは特筆すべきものがあり、4000m上空からの落下を(バーストで衝撃を和らげつつ)耐えた程。龍の形をイメージし、エネルギーの塊でそれを具現化させるドラゴンテイルなどを使う。
「今日はいい天気だな」という名言とともに、PSYRENスレでは後述のドルキと並んで異様な人気を誇る。
- 望月朧
- 人気俳優。しかしその素顔はかなり変な人。子供のように自己中心的で我侭な所があり、マネージャーを困らせる。日常生活に飽きていたところにサイレンドリフトとなったため、PSIの力、特にアゲハの力に大きな関心を持つ。本人曰く破壊の力が欲しい、とのこと。
- ライズとバーストが得意だが、その使い方はアゲハや飛龍とは大きく異なる。ライズとバーストから派生する、治癒(キュア)の力を使う。
- 霧崎兜
- 楽したがり。ネコ系。面倒なことや暴力が嫌いで、嫌なことからは逃げることを信条とする。サイレン世界でPSIの力に目覚めるも、修行をサボっていたため基本的なPSIの力は低いが・・・
- 非常にレアな力とされる、数秒後の「脅威」が光として視覚的に見える一種の予知能力、脅威(メナス)に目覚める。
- 八雲祭
- ピアニスト。サイレンゲームをクリアした元ドリフト。桜子に能力を教えながらサイレンの秘密を解明しようとしている。
- 全てのPSI能力が総じて高く、「バケモノだ」とのこと。
- アゲハと朧の在り方に対して警戒心を持っており、彼らが道を誤った時、それを止められるのは飛龍だけだ、と飛龍本人に伝えている。
- 天樹院古比流
- 故人。心を読むサイキッカー。天樹院エルモアの夫。サイレンのゲームをクリアした元ドリフト。エルモアにサイレン世界の出来事と謎を伝えようとして、ネメシスQの制裁によって息絶えた。
エルモア・ウッズ ・・・ サイレンの謎に迫る天樹院エルモアと少年少女達
- 天樹院エルモア
- 未来を読むサイキッカー。極度のトランス偏重型。「サイレンの秘密」に5億の賞金をかけた老婆。その目的は、故人である夫、古比流の敵であるネメシスQの謎を解くこと。僅かながら古比流の記憶よりサイレン世界の姿を見た事と、地球が崩壊する未来予知を見たことで、未来を変えるべくPSIの力を持つ故に世間から見放された子どもたちを集め、育てている。巨額の富は夫婦でPSIを使った占いをして得たもの。
自室にある巨大な窓の外に自身にしか見えない未来を映し出す幻視“千年万華鏡"を使う。ただし、自分の死は予知できない。
- カイル
- ライズ、バーストを得意とする少年。天真爛漫、悪戯好きだが真っ直ぐな子供。アゲハの事を人一倍気に入っている。
大気を凝縮させて任意の形の固体にかえるバースト“マテリアル・ハイ"を使う。が、本人曰く「ライズの方が得意」。ちなみにマテリアル・ハイで作られた固体は可視、不可視をある程度制御できるようだ。
- シャオ
- 総合的な能力の高いPSI使いの少年。カイルとは逆に礼儀正しく、真面目。他のPSIを無効化するアンチ・サイキック能力の“陰陽心羅"、PSIの流れを辿る“風導八卦白蛇"(ホワイト・フーチ)、周囲のPSIの流れを感じ取り、相手の思念や自覚していない心理をも読む“森羅万招"など数々の強力なPSIを使う。
マリーに恋心を抱いているが性格上全く伝えられていない様子。
- マリー
- テレキネシスを得意とする少女。照れ屋で引っ込み思案だが、やるときはやる。PSIの動きを自動的に制御する方法である「プログラム」をアゲハに教えた。
特化した能力を持つわけでは無いが、前述のプログラムで本を読みながら道具に家事をさせるなどバースト、とくにサイコキネシスの力は高い。
アゲハに恋心を寄せるも、伝え切れていない。
巨乳だがあまりこだわりは無い。
- フレデリカ
- 強気で勝気な、いわゆる女王様タイプの少女。マリーと正反対の性格で、意地悪をしたりキツイ口調であたることも多いが、本心ではマリーを友達以上に大切にしている。
発火現象を操る“パイロ・クイーン"を使う。良いところのお嬢様だったが、PSIの力を暴走させ屋敷を半焼させてしまい周囲から遠ざけられた過去を持つ。
貧乳を気にしている。
- ヴァン
- 無口で無表情な幼少の少年。何を考えているかよく解らず、行動は天然だが周りの仲間を思っていることは伝わる。幼年にして強力なキュア使い。エルモアの日常の健康診断を務めており、彼女と行動を共にすることが多い。ある出来事をきっかけに多弁で積極的な性格に変わる。
生粋のサイキッカー ・・・ 現代社会で、PSIの力に目覚めている者たち
- 雹堂景虎
- 自称「関東最強の」ライズ使い。実際、非常に高いレベルのライズを使いこなす。極道の世界でPSIが関わる物事を処理する「何でも屋」として活動、その道では有名人。見た目もその道の人にしか見えない。祭に頼まれ、アゲハ達にライズの基礎を教える。祭にベタ惚れで、22回プロポーズしているが全て断られている。 ライズによる身体強化と格闘で戦う。特殊なPSI能力は見せないが、その戦闘能力は人間離れしており並の人間ではPSIの心得があってもついてく事さえままならない。
- イアン
- 祭の知り合いであるキュア使い。現代医療では対処できない病気や致命傷の怪我であっても完治させてしまうほどの力を持つ。しかし本人は「平穏に暮らしたい」ため、PSIの力を積極的に使いたがらない。ただし景虎と同じく祭にベタぼれであり、祭の頼みであれば断らない。ちなみに祭に対して12回プロポーズしているが全て断られている。このこともあってか景虎とは犬猿の仲だが、互いの実力は認め合っているようだ。
- 犬居清忠
- PSIを使った闇金窃盗事件の主犯者。ある目的のために金を集めている。顔面は包帯で包まれており、奇行や狂言が目立つ。窃盗の実行犯はランとハルヒコであり、犬居は金庫のある事務所の建築図入手や不慮の事態に対応する役割を担っている。
自身が受けた「痛み」を人型のPSIプログラムとして具現化する“アングリー・ゴーリー"を使う。
- 東雲ラン
- PSIを使った闇金窃盗事件の共犯者。犬居とは違った目的で、金が必要なため犯罪に強力している。
2つの「箱」を任意の場所に作り出し、片方の箱の中身をもう一方へ移動させる空間操作系PSI“トリック・ルーム"を使う。この能力で、金庫の中身を丸ごと手に入れるのが窃盗の手口だった。
- 夢路ハルヒコ
- PSIを使った闇金窃盗事件の共犯者。ランと同じ目的で犬居に手を貸している。
PSIで電気の力を操る“電磁'n"(ショッカー)を使う。ランとコンビを組み、トリックルームの箱に電気を詰め込んでもう一方の箱に閉じ込めた相手に電撃を送り込む戦法を見せていた。また、相手のPSIを強制的に解除させる“ショットガン・ボルト"は要所の戦いでの肝となる。
W.I.S.E(ワイズ) ・・・ サイレン世界を統治する謎の集団
- 第一星将 グラナ
- 事実上ワイズを取り仕切る人物。豪放磊落な好人物に見えるが、割と些細なことで傷つく。アゲハの暴王の月の力に興味を持ち、なんとしても捕まえてこい、と命令している。
全てのPSI能力が極めて高いと推測されるが、中でも単純なテレキネシスの力は飛び抜けている。その最たる物の一つが、太陽光をテレキネシスでねじ曲げ集中させ対象を一瞬で超高熱で炭化させる、日輪“天墜"。
- 第二星将 ジュナス
- ワイズ結成前から天城弥勒と共に行動を起こしていた人物。一見して危なげな雰囲気をまとい、実際問題が発生すると殺害による解決を試みる。ライズ、バーストの能力が極めて高い。特にバーストで刃物を具現化するスタイルが特徴。
無数の刃で周囲を覆い敵のバーストに反応して爆ぜる“毘沙門・叢"、ナイフ状の刃を投げつける“毘沙門・礫"、微粒子化したPSIの超振動による摩擦で対象を破壊する“阿修羅・解"など。
- 第三星将 シャイナ
- ワイズのPSI研究部門に所属。常に笑顔で柔らかい物腰の美青年だが、その行動は冷徹非情。全ての能力が平均的に高いと推測され、雨宮、飛龍、朧の三人がかりでも相手にならなかった。
瞬間移動能力に長けており、自身の瞬間移動はもちろん対象を強制的に転送させる“六方転晶系"(ヘキサゴナル・トランスファー・システム)などを使う。他にも“奥の手"があるらしい。
- 第四星将 カプリコ
- 禁人種研究担当。推定十代の少女であり、額の傷と独特な喋り方が特徴。禁人種や蟲の製造に関わっているようだ。他の星将と違い、アゲハたちドリフトにこだわる言動は見られない。
PSI能力の詳細は不明、戦闘能力も不明だが、絵に描いたものが(実在しない存在であっても)実物となって現れる能力を持つ。
- 第五星将 ドルキ
- “地域警備"担当。非常に強力なバースト使い。その所為か、ライズを「つまらない」と軽視するなど自信過剰気味。短気で粗暴な性格だが、戦況分析などは的確。アゲハ達と初めて対峙した星将であり、アゲハと因縁を持つ事になる。
狙った場所を自在に爆破する“爆塵者"(エクスプロジア)を使う。
設定上はかなり強いはずなのに数々の小物臭漂う発言とかませ犬っぷりからPSYRENスレでは飛龍と並んで謎の人気を誇る。
- 天城弥勒
- ワイズ創設者の一人。作中で判明している時点(2010年6月現在)ではワイズのトップと思われる。グラナと同じく全てのPSI能力が総じて非常に高い。
光る樹木の様なPSIで生命を操る。枝で対象を串刺しにする生命の樹“峻厳"(セフィロト・ゲプラー)、他人の生命を自身のものにする生命の樹“王国"(セフィロト・マルクト)及び生命の樹“美"(セフィロト・ティファレト)などを使う。
その他のPSI能力者 ・・・ サイレン世界で生きる者たち
- タツオ
- 飛龍の後輩であり親友。飛龍よりも先にドリフトとしてサイレン世界に来ていたがワイズに改造され、記憶や感情を無くし一定地域への侵入者を排除するのみのPSI使いとなる。銃の形状からPSIの弾丸を打ち出す力を使う。登場時はライフル銃型のみ使用していたが、後に拳銃型やマシンガン型の能力も見せている。
- ネオ天草
- サイレン世界で生き残っている人間を集め、自身を頂点とする独自のコミュニティを築き上げているサイキッカー。予知能力を持ち、そのためにサイレン世界でも生き残ったと語っているが・・・
右手で触れた物質からその物質に関する記憶を辿る“時読の右手"(サイコメトリー・ライト)、PSIの力の流れを狂わせ無効化させる“狂流の左手"(イレギュラー・レフト)、前述の2つを組み合わせた、PSIの網を介して相手の脳に介入し記憶を消去する“デリート・スパイダー"を使う。
- 億号
- ネオ天草の部下。ネオ天草の本当の顔に感づいている節がある。
獣型のPSIで強力な機動力と遠距離攻撃「鬼哭砲」を持つ“オルガゥス"を使う。
- 大河
- ネオ天草の部下。億号と違い、ネオ天草に心酔している。
触れた物を、例えそれがPSIで作られたものであっても、切断・破壊するPSIの飛び道具“光輪"(チャクラム)を使う。
一般人
- 夜科フブキ
- アゲハの姉。母親代わりとしてアゲハを手荒く躾ける。望月朧がお気に入り。気の強い女性だが、アゲハが長期間行方不明になっていた際には再会時に泣き崩れるといった一面も。
- 霧崎塔二
- カブトの伯父(または叔父)。紛争地域を飛び回る戦場カメラマンだったが、片足を失う。それを機に「平和には何の根拠も無い」と考えるようになり、自前の地下シェルターを建造、自分の身は自分で守ると語る。
作中への登場は多くないが、彼の撮影したある動画のDVDが話の鍵を握ることになる。
カブトには相当甘く、多額の金を貸したままの様だ。
- 犬居三郎
- 犬居清忠の弟。清忠からは理不尽な暴力を受けているが、それでも兄を信頼している言動をみせる。
- 夜科朱鳥
- アゲハのとフブキの父。航空宇宙科学研究所(NASL)の研究者であり主任。天文学の第一人者。
妻が存命の頃は研究一筋だったが、死別してからはフブキとアゲハの「理想の父親」となるべく様々な努力をしてきた。その努力は、通信空手でケンカ慣れしているアゲハを超える格闘技を身に付けるほど。
20代のような若い風貌だが、42歳。
- 射場公一
- NASLの研究者。政府の極秘研究に携わっていたが研究が失敗・破棄されたため、NASLに左遷された。
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ジャンプコミックスのほか、ニコニコ静画(電子書籍)でも配信されている。
関連項目