侯爵は爵位の一つ。単に「侯」ともいうが諸侯と紛らわしいので注意。
概要
戦前の日本および古代中国における五等爵の2番目で、公爵の下位、伯爵の上位にある。基本的に欧州のマーキス(英:Marquess/Marquis)、ドイツ史に限ってフュルスト(独:Fürst)の訳語としても使われる。日本の江戸時代でいえば国主級外様大名や元老級譜代大名が近い。
欧州のマーキスはゲルマン語のマルクグラフ(独:Markgraf)から来ている。marka(境界線,国境地帯)+graf(伯)から成り立っており「辺境伯」と訳される。元々はフランク王国における武将の役職で、ローマ帝国との国境に配置されたためこの名前がつき、フランク王国分裂後の各国でも国境に配置され、世襲となり諸侯としての格式を高めていった。後にイギリスやフランスなどでは諸侯の称号として残り、一部の実力のある伯爵が「辺境伯」に由来するマーキスを称するようになった。これら西欧の侯爵や西ドイツの辺境伯の領地は、防衛・交易の要所を抑えてはいるが面積的には伯爵領と大差ない。
一方、東ドイツ(神聖ローマ帝国)においては「辺境伯」としての領地を保ったまま勢力を拡大し、一部はヘルツォークやフュルスト(公爵)と同等かそれをも超える大諸侯となった。そのため英語では他国の侯爵をマーキスと呼ぶのに対し、ドイツの侯爵のみをマーグレイブ(英:Margrave)と区別しており、それに合わせて日本語でもドイツの侯爵のみは「辺境伯」と訳している。ドイツ史では周辺国で公爵に相当するフュルスト(独:Fürst)を「侯爵」と訳すこともあり、ややこしくなってしまっている。
ほかにも神聖ローマ帝国には「方伯」や「宮中伯」などの伯爵の派生爵位があり、辺境伯とほぼ同等の扱いとなっていた。
イギリスでは、イングランドとスコットランドには辺境伯(英:Earl of March)が置かれていたがこれらは伯爵の等級から分離することなくマーチ伯爵と呼ばれるようになった。のちに大陸から侯爵を再輸入したが、自国の侯爵に Marquess 、他国の侯爵にフランス語と同じ Marquis の綴りを当てており、自国でもスコットランドのみは Marquis と呼ぶ。前述のとおりドイツのみは Margrave である。
侯爵が治める国は当然ながら侯領、辺境伯領ないし侯国となる。前述のとおりフュルストが公爵とも侯爵とも訳されるため、リヒテンシュタインはリヒテンシュタイン公国ともリヒテンシュタイン侯国とも表記されることがある。
創作の侯爵は公伯男ほど頻繁に出てくるわけではないがそこそこ登場する。特に辺境伯は「辺境」と付くため左遷先や田舎扱いになることもしばしばだが、大陸の辺境とは他国や異民族ひいては魔族と対峙する国境防衛の要なのでむしろ重職であることは上述通り。ただし時代が下ることで昔は敵対していた国境の先が友好国になったり、あるいは自国に比べて勢力が弱くなりすぎて脅威ではなくなったり、あるいは完全に征服併呑して国境線が移動して地名だけ残った場合には辺鄙扱いされることもなくはない。
歴史上の侯爵
- オーストリア辺境伯…… 現在のオーストリア共和国の原型
- ブランデンブルク辺境伯…… 辺境伯の代名詞。後世のベルリンを擁する。ただし東ドイツの大型辺境伯でも規格外なのでコイツを辺境伯の基準だと思わないほうがいい。最大領地面積は九州と同じくらい
ニコニコにおける侯爵
架空の侯爵
- ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスター(八男って、それはないでしょう!)
騎士爵家の八男(younger son)→準男爵→男爵→伯爵→辺境伯 - ザキ侯爵(超電磁マシーン ボルテスV)
- ジェレミア・ゴットバルト辺境伯(コードギアス)
- ハルカ侯爵(赤髪の白雪姫)
- ヤヌス侯爵(グレートマジンガー)
- ラインハルト・フォン・ミューゼル(銀河英雄伝説)
帝国騎士→ローエングラム伯爵→侯爵→公爵→皇帝
架空の侯爵の令息・令嬢
関連項目
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