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2019-12-18

江添自宅ボドゲ会@12月22日

以下の要領で12月22日に自宅ボドゲを開催します。

https://ezoe.connpass.com/event/159944/

今回はコルトエクスプレスのもう一つの方の拡張がしたい。

かぐらスキー場に行ってきた

12月15日に2019-2020シーズン2回目のかぐらスキー場に行ってきた。すでにオープン2日目の12月1日に行っていたのだが、その時は地面が露出していて、板が傷ついてしまった。

エッジの傷はファイルで研摩した。ベースの傷は白い線がはいっているだけで、それほど深くはなさそうだが、ファイバーテックスでこすったぐらいでは取れないようだ。諦めて上からホットワックスをかけた。

2週間膝を休めて15日に再び滑りに行った。当初の予定では14日からガーラ湯沢、石打丸山、舞子といった里のスキー場がオープンする予定だったが、雪不足のために延期していたので、かぐらが混むかもしれない。しかし年内に3回は行きたいことを考えると、今行かなければならない。

始発の上越新幹線で越後湯沢につくと、バス乗り場にはかなり長い列ができていた。バスには全員乗れたが、満員であった。これではみつまたの狭い更衣室が満員になるのではないかと思ったが、更衣室は意外と空いていた。

チケットの購入もそれほど並んではいなかった。

ゴンドラの待ち時間が30分ほどはあった。

今回のかぐらスキー場の客層は、オープン時とはだいぶ異なっていた。オープン時の客層は遠方から来ていて、ウェアの身なりもよく、言葉遣いも丁寧で、たまたまリフトやゴンドラで一緒になろうものなら自分がいかにスキー、スノーボードを愛しているかを問わず語りする種類の人間であった。

ところが15日のかぐらスキー場の客層はひどい。まず身なりが良くない。道具も手入れされておらずエッジ付近にベースバーンの出た板をそのまま使っている。言葉遣いもひどいもので教養のかけらも感じられない。ましてやリフトやゴンドラから漏れ聞こえてくる話はパチンコとセックスばかり。どうやらローカルが多いらしい。

特にひどいのはタバコだ。所構わずタバコを吸うし、あまつさえ滑りながら吸う大ばかものもいる始末。リフトに乗っている最中にもタバコの匂いがしたことさえあった。まだ日本にそんなバカが残っていたのかと驚きさえ覚える。もはや地方に未来はない。

さて、みつまたエリアからかぐらエリアへのゴンドラに乗ろうと道中を滑っていた所、ゴンドラ直前の傾斜で違和感を感じて転倒した。なぜかプロテクターをつけているはずの膝に擦りむいたような衝撃が走る。みると、ピスラボが露出している。しかしカチカチに凍った雪もある。膝のプロテクターをつけていてよかった。最悪に近い状態の斜面をなんとか滑り降りてゴンドラへ。

かぐらエリアにつき、さっそく一本滑ったが、やはり膝が痛む。痛みはなくなったと思ったがまだ早かったのだろうか。しかしここまで来た以上帰るのももったいない。しかし膝は痛む。とりあえず下に降りようと傾斜の極めて緩いゴンドラコースを滑ったところ、膝は傷まない。速度も出せる。楽しい。なるほど、膝の痛む理由が分かった。自分のレベルにあっていない難易度のコースを滑ったからだ。傾斜が厳しく、圧雪もされていないコースを滑り降りるために、強く減速しながら降りてくるために、膝に負担がかかっていたのだ。減速をしなければ膝への負担は軽い。

その日は7本ほどゴンドラコースを滑り、さらに何本かみつまたで滑った。どうやら傾斜20度程度ならば減速せず半ば直滑降、半ばカービングで楽しく滑ることができるようだ。

肝心のスタンス設定だが、やはりスタンス幅56cmは私の体格には長すぎたようだ。今回48cmにしてみたが、だいぶ滑りやすい。56cmのときは膝を極端に内股にしてようやく安定するが、48cmではそのようなことをする必要がない。ただ、流石に少し狭すぎるような気がしたので、次は50cmを試してみたい。

スタンス角であるが、メインのスタンスで+21/+9と+15/-9の違いは実感できなかった。スイッチではダックスタンスのほうがいくぶんか楽に滑ることができるようだ。千シーズンではスイッチはできなかったが、連続ターンがかろうじてできるところまで練習した。しかしスイッチでカービングができないし、直滑降をする勇気も出ない。

翌日、右足に筋肉痛があったが、前回よりは程度が軽く、2日で治った。筋肉痛が治ると、今度は膝の痛みが出てきた。安静にしていると問題はないのだが、地下鉄の階段を登ると痛む。痛むというよりはかゆい。病院に行ったところ、しばらくは運動を控えるべきだと言われたので、次のスノーボードは来年まで控えることにした。

スノーボードの最適なスタンス設定を求めて

前回、スノーボードで膝の靭帯を痛めたが、どうにも解せない。膝を痛めるような過度の負荷をかけるような滑り方はしていないはずだ。そしてグラトリやパークのようなはるかに膝に負荷がかかりそうな運動をしている人でも、膝を痛めていない人がいる。どうもおかしい。健康な人間の靭帯の強度というのはそれほど変わらないはずだ。ましてや片足スクワットが連続してできるほど鍛えた今年、数百メートルおきに休憩するような滑り方でこんなに膝を痛めるのはおかしい。

そこで私は、バインディングの設定に問題があるのではないかと考えた。

スノーボードのバインディングは様々な調整ができる。バインディング自体の調整と、スタンスの調整だ。

スタンスには、スタンス幅とスタンス角がある。

スタンス幅は2つのバインディングの中心部からの長さのことだ。一般に、長いと安定性が増し、かつ板をたわませたり回す力も少なくて済む、ただし膝に負担がかかる。短いと不安定になるし板をたわませたり回す力もより必要になるが、膝への負担が少ないとされている。

一般にグラトリやパークをする人はスタンス幅を長めに設定し、速度を出してカービングする人はスタンス幅を短めにするとされている。また身長の大きな人ほど体格に合わせて長いスタンス幅にするようだ。

私のボードのスタンス幅のリファレンスは56cmあった。膝への負担を軽減するためにスタンス幅を狭くすることにした。板の最も内側のビス穴を使い、かつベースプレートでも幅を狭めることにより、スタンス幅を最短で48cmまで狭くすることができた。まずこれで滑ってみて、あまりにも狭いようであれば現地で調整することにしよう。

スタンス角は大雑把に分けて3種類の設定がある。フォワード(18-27/0-12)、極端にフォワード(30-45/21-35)、ダック(+/-)だ。

前回は初めてダックスタンスを試してみようと+12/-9をためした。極端に強いダックスタンス(+15/-15以上)は後ろ足の膝に負担がかかるという説もある。前回のダックスタンスはそこまで極端でもないので、ダックスタンスで膝を痛めたとは考えにくい。とりあえず次回はカービングをしたいので前向き(21/6)に設定してみた。

バインディング自体の調整としては、ハイバックの傾きを設定するフォワードリーン(forward lean)、ハイバックの位置を変更するロテーション(rotation)、つま先の足置き場の長さを調整するトゥランプ(Toe ramp)がある。

フォワードリーンをいれるとハイバックと靴の間の遊びがなくなり、エッジを立てるときの反応がよくなるが、遊びがないのでわずかな動きもエッジに伝えてしまい操作性が寛容ではなくなる。ロテーションは極端なスタンス角に設定した時に、ハイバックの位置をずらしてボードに対してより平行に当たるようにする目的がある。トゥランプはブーツのつま先が乗る場所だ。

プロのスノーボーダーのスタンス設定をみても、ばらつきが大きすぎて参考にならない。身長とスタンス幅は比例しているように見える。女性のほうがダックスタンスの角度が狭い傾向にある。デモンストレーターには極端なフォワードスタンスがいるが、ハーフパイプやジャンプ競技をするプロはダックスタンスが多い。

少し検索すると以下のような論文が出てきた。

INFLUENCE OF STANCE WIDTH AND BINDING ANGLES ON TIBIAL ROTATION AND OLLIE JUMP HEIGHT IN SNOWBOARD

スノーボードのスタンス設定には科学的な根拠が一切ない。そこで科学的に計測をすることで、膝への負荷の低さとパフォーマンスの観点から最適なスタンス設定を見つけ出す目的で行われた実験である。

実験内容はこうだ。10人のスノーボード上級者に、スタンス幅がshank length(膝から足首までの長さ)と±5cmの3通りと、スタンス角が+30/+15、+18/-15の2通りの、組み合わせで6通りのスタンス設定でオーリーしてもらい、その状況を全身にモーションキャプチャーのようなトラッキングマーカーをつけて計測する実験だ。ジャンプした高さと脚の可動範囲を測定し、スタンス設定のパフォーマンスと脚への負担の影響を調べようという実験だ。

実験結果から言うと、あまり意味のあるデータは得られていないようだ。ジャンプの高さの差は最大で3.6cmだったが、標準偏差が30%もあり、あまり意味がない。もっとサンプル数を上げればましになるだろうか。ただダックスタンスでスタンス幅の広いほうが若干高さが上がる傾向が見られた。

足の可動範囲についてはスタンス幅の影響はみられず、スタンス角の影響は若干観測できたが、やはり標準偏差が大きすぎる。受傷を防ぎやすいスタンス設定については何もわからなかった。

というわけでいろいろとスタンス設定を変えて滑ってみたので、その結果を次に書く。

2019-12-14

Outer Worldsでコンパニオンが死んでいないのに死亡したと認識されるバグ

https://twitter.com/_taylorswope/status/1205252714680045568

今日、#TheOuterWorldsのパッチ1.2をリリースした。これには「ゲームがコンパニオンを死んだとみなす」バグの修正も含まれている。このバグは俺のキャリアで最も長い時間を費やしたデバッグ作業となった。

このバグの概要は、一部のプレイヤーで、コンパニオンクエストが失敗とクエストログにでる。その理由はコンパニオンが死んだからだ。しかし字祭にはコンパニオンは死んでいないにもかかわらずだ。

これは解せないもので、というのも超新星モードでもなければ、コンパニオンは死なないからだ。

リリース前に1度か2度だけこの問題が発生したが、QAチームは再現できなかったので、その原因を特定することはできなかった。

原因の特定が困難だった理由は、どこで問題が発生しているかわからなかったことだ。問題が発現したすべての例で、10時間以内に問題が起こったのでクエストが壊れたらしい、ぐらいしかわからなかった。

この問題の調査にはすべてのスクリプトとコードで、コンパニオンが死亡すると認識する場所を洗い出す必要があった。

論理的に考えて問題の原因箇所となりうる唯一のスクリプトが実行される状況は、コンパニオンのヘルスがゼロになったときだ。銭湯が終わるまで待ち、復活させる。それ以外の場合に、本当に死んだとマークする。

ゲーム中、コンパニオンが存在するがアクティブなパーティには加入していない常用というのは、船の中だけだ。問題は、コンパニオンが船の中にいるときは、ダメージを受けないはずなのだ。

「ダメージを受けない」というのは「死なない」という意味ではない。攻撃によってダメージを受けないが、他の要素ではダメージを受ける。そのうちの一つは、とても高い距離から落下するというものだ。

問題は、船の中には落下死できる場所はない。そこで、今度はなぜコンパニオンがそんな高い場所に移動するのかということを突き止めなければならなかった。

大量の仮説を考えた。「もしかしたらファストトラベルで他のマップに移動したとき時に位置データが維持されているのではないか」とか「もしかしたら2人のコンパニオンが衝突した時に物理演算によって上方向に加速したのではないか」

個人的にお気に入りの仮説は、「コンパニオンがランダムイベントで牛がスポーンする場所に立っていて宇宙に打ち上げられるのではないか」 だ。仮説が否定されたときはちょっと落ち込んだものだ

そしてゲームがリリースされたが、たまたま発生した本来起こりえない不具合だったという希望は打ち砕かれた。世界中のプレイヤーがコンパニオンクエストが失敗したぞと報告し始めたからだ。

最終的に、ユーザーのレビューの中にあった何気ないコメントに、コンパニオンが虚空を登っているという変なバグを見たというものがあり、このコメントによって問題箇所の特定ができた。

開発上、NPCが周りとインタラクトするシステムは、「家具」とよばれている。これは文字通り椅子に座ると言った家具であることもあるが、端末使用とか壁に寄りかかるといった動作もすべてそうだ。

家具システムの奥深いところに、プレイヤーが会話中は、すべてのNPCに新しい家具インタラクションを無効化するコードがあった。

問題は、ハシゴの使用は2つの異なる家具インタラクションになっていた。一つはハシゴに取り付いて登る動作、もう一つは登るのを辞めてハシゴから降りる動作だ。

そのため、誰かがハシゴを登り始め、停止する前にプレイヤーが会話に入った場合、ハシゴから降りることができず・・・まあ、その・・・

なかなか笑えるバグだ。

2019-12-08

違法な職務質問をされたので東京都を訴えた裁判の控訴審は棄却、理由は突然に

職務質問裁判の控訴は棄却された。判決文は以下から読むことができる。

https://github.com/EzoeRyou/calling-110-is-suspicious

2年前の7月3日、職務質問を受けた。

警察官に職務質問をされた話し

この職務質問は明らかに違法であると感じたので、弁護士に相談の上、東京都に対して国賠訴訟を起こした。警察官というのは各都道府県の下に位置する行政組織なので、警察を訴えるというのは、その警察の所属する都道府県を訴えるということになる。

一審判決は請求棄却。理由としては、「最初の10分間は不審事由がないが、刃物などの危険物を入れることができるリュックを背負っていたから声をかけ10分間その場にとどめて話をするのは違法ではない。このとき110番通報を要請したことは不審事由にあたりその後の1時間20分の職務質問は不審事由が存在するために合法である」というわけのわからない判決が出た。

そんな判決は受け入れがたいので控訴した。その控訴は11月14日に判決があり、公訴棄却となった。

公訴棄却の判決文は一審判決に対する差分という形で書かれている。gitでバージョン管理してほしいところだ。110番通報の要請は不審事由に当たらないという至極当然の変更が行われた。築地の往来を歩く当時の私に不審事由は存在しないが、10分間声を書けるのは違法とまでは言えないという部分は維持された。

今回追加されたのは「突然」という理由だ。突然私がその場から立ち去ろうとした、突然話を打ち切った、警察官の制止を振り切ろうとした、突然警察官のいない方向に走った、などという文が追加され、これは不審事由に当たるとされた。

これもおかしな話だ。最初の10分間だけでも、一歩でも足を動かそうものなら警察官2人がかりで抱きつかれてその場に止められたし、話というのも私から切り出さなければなにもなく、ただ最初から荷物の中身を見せろという要求をひたすら繰り返すだけであったし、私はわざわざ「そこを通してください。あなたは動く必要はありません。私が迂回します」と言って動く意思を事前に表明したし、その上で警察官は拳銃を装着している右腰を私に押し付けて「あ、拳銃に触った」などとわざとらしく声を上げたりした。最後の突然警察官のいない方向に走ったというのは事実なのだが、実は東京都の主張ではそのようなことはなかったことになってる。むしろ私の方から主張したのだ。これはさぞかし不審事由だろうから当然書き付けてくるだろうと思った所ない。弁護士によると、私が自発的に応じたということを強調したいがためにわざと省いたのだろうということであった。これだけを見ても東京都の主張には嘘が多い。走った後はすぐに私有地の駐車場に押し込められて、大勢の警察官に囲まれて私有地の駐車場内に監禁されたような状態になった。

さて、真実がどうであれ、高裁判決で認定された事実は事実となる。高裁判決の事実認定が覆ることは原則的にない。日本の裁判は三審制ということになっているが、最高裁への上告は事実関係について争うことはできない。上告は憲法違反や、従来の判例が適用できないような状況の時に行う。

それでは今回の件はどうかというと、弁護士によれば、あるそうだ。

判決文では、警察法2条1項の「警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもつてその責務とする。」と定めているとし、職務質問の条件を満たさない場合においても警察の諸活動は強制力を伴わない任意手段による限り、一般的に許容されるべきもので・・・有形力の行使であっても必要性、緊急性に応じて・・・具体的状況下の下で相当と認められる限度において許容されるものと解すべきであるとし、具体的な判例を挙げている。

その挙げられている判例であるが、これが今回の件にぴったり当てはまるかというと、実はそうでもない。というのも警察法2条1項に基づく、根拠規定のない警察の諸活動がどこまで許容されるかについてはあまり判例がない。というのもこの辺の解釈を要求する裁判など滅多に行われないからだ。裁判というのはとてもコストのかかる行為であり、わざわざ緊急時の警察官による有形力の行使の許容範囲の線引きを試みるような裁判は滅多に行われない。やるとするならば、他にいい方法がないので一か八か警察官による有形力の行使を違法だと認定させ、それによってその後の対応も全て違法であり無効化を狙ったものになる。

一つの判例は昭和50年(あ)第一四六号のもので、任意捜査に置いて許容される有形力の行使の限度について争ったものだ。

具体的に起こった有形力の行使としては、警察官から左手首を両手で掴まれたというものだ。これが許容されると認定された判例だ。

有形力の行使に至るまでの経緯はこうだ。車で道路脇に置かれたコンクリート製のゴミ箱に衝突する交通事故を起こした被告人は、顔が赤くて酒のにおいが強く、身体がふらつき、言葉も乱暴で、外見上酒によっていることが伺われた。そこで警察官は呼気検査に応じるよう要求したがこれを拒否。被告人は署内でマッチを課してほしいと要求し、警察官はこれを断った。被告人は「マッチを取ってくる」と言いながら立ち上がったが、警察官はこの公道を逃げ去るのではないかと思い「風船をやってからでいいではないか。」と言いながら左手首を両手で掴んだ。その後もみ合いに発展したというものだ。

これについて最高裁は、すでに事故を起こし、呼気検査拒否罪があるので本来ならば現行犯逮捕される状況にありながら警察官の配慮により逮捕をしていなかった状況で、警察官は逃げ去ると思って手首を掴んだのでこれは許容される有形力の行使である。その後被告人は警察官を殴っているが、これは公道の自由を実現するためにしたやむをえないもので正当防衛であるので暴行罪も成立しない。法は逮捕勾留されていないのであれば「何時でも退去できる」と定めているが、これは呼気検査を拒否して時間を稼ぎアルコールを身体から抜こうという被告人の公道が捜査に支障をきたすためであるので、署内のとどめたのも許容できるとしている。

この判例の具体的な状況と今回の状況はあまりにもかけ離れている。私は車を運転しておらず路上を歩いていただけで、路上の器物を損壊するなどの行為もなかったわけで、かつ職務質問をするべき不審事由も当初はなかったわけだ。この状況で声をかけ、抱きつくなどしてその場にとどめるのが許容されるべきではない。

もう一つの判例は昭和53年(あ)一七一七号のもので、交通の安全及び交通秩序の維持などに必要な警察の諸活動と警察法二条及び警察官職務執行法一条との関係について争ったものだ。

この事件のあらましはこうだ。警察はかねてから飲酒運転の多発地点とされている場所で一斉検問をしていた。この場所を通過する車両のすべてに停止を求めて、自動車検問を行った。この日1日の検問では被告人を含む酒気帯び運転5人を検挙した。被告人はそもそもこのような一斉検問は違法であり、違法な検問の違法な呼気検査によって収集された証拠は違法証拠であり、証拠能力がないと主張して裁判になった。

最高裁はこれについて、適法であると判断した。

今回の件は路上に検問を設けて通行人すべてを呼び止めていたものではない。警察の主張によれば、たまたま車で築地の道路を巡回中、私とすれ違った所不審(帽子を目深にかぶりうつむいて下を向いて歩いていた)を認めたのでパトカーを停車し、後を追い、自販機で飲み物を買っていた私に声をかけたということだ。この判例が今回の場合と何の関係があるのだろうか。

弁護士によれば、警察法2条1項が許容する範囲について新たな判例を残すのは、結果がどうあれ意義があることであるとのことだった。そこで上告することにした。

2019-12-07

Googleがブログ記事を検閲

私のBloggerのGMailアカウントに以下のようなメールが来ていた。

Hello,
Google has been notified that content in your blog contains allegedly infringing content that may violate the rights of others and the laws of their country. The infringing content that has been made unavailable can be found at the end of this message. For more information about this removal and how it affects your blog, please visit https://support.google.com/blogger/bin/answer.py?l=en&answer=2402711.


The notice that we received, with any personally identifying information removed, will be posted online by a service called Lumen at https://www.lumendatabase.org. You can search for the notice associated with the removal of your content by going to the Lumen page, and entering in the URL of the blog post that was removed. If you have legal questions about this notification, you should consult your legal advisor.

Terms of Service: https://www.google.com/intl/en/policies/terms/
Content Policy: https://www.blogger.com/content.g

The Google Team

Urls affected:
http://cpplover.blogspot.jp/2012/04/blog-post_9853.html

Countries affected:
Japan

またよくあるフィッシングメールかと思ったが、送信者はGoogleのBloggerのドメインで、実際に該当URLのブログ記事は検閲されている。

http://cpplover.blogspot.jp/2012/04/blog-post_9853.html

このブログ記事の内容は、2012年に千葉県八千代市の市役所の公式Webサイトにある内容を自分のブログである日新流山日聞 ™(現在消去されている)に違法にコピーしたとして著作権侵害の疑いで千葉県警サイバー犯罪対策課が同県八千代市米本の無職、****容疑者を逮捕した。容疑者は行為を認めているが違法ではないと主張していた。という報道を紹介し、容疑者のブログを示した上で、これはどうも本来ならば名誉毀損で民事で訴えるべきところを無理やり刑事にするために著作権侵害をでっちあげて別件逮捕したのではないかという見解を示し、その後著作権法を参照して、市のWebサイトには果たして著作権が認められるのか。仮に認められたとして、市役所のWebサイトの内容を著作権の例外である引用を超える範囲で利用することなどできるのか書いたものである。

この7年前の記事の内容になにか日本国内における権利を侵害する内容があるとは思われない。

しかし困ったことに、問題は検閲している相手はGoogleだということだ。Googleから人間のサポートを引き出すのは極めて困難だ。Googleの個人向け無償サービスから人間のサポートを引き出す方法は2つしかない。Google社員、しかも相当の重役、あるいはその該当のサービスを担当している部署の人間にコネを持つか、あるいはインターネット上で大炎上させて対応を余儀なくさせるかだ。いずれにせよ極めて強い影響力を持っていなければGoogleから人間のサポートを引き出すことはできない。

訴訟も容易ではない。まず費用が100万円ぐらいかかるし、Googleの日本法人は担当していないと主張されて逃げられる可能性がある。

とにかくなにか手を考えなければならないのだが、GoogleのBloggerに至っては、問い合わせ先すら容易に見つけられない。

2019-12-02

かぐらスキー場に行ってきた

11月23日のオープン初日にかぐらスキー場に行こうと計画していたが、あいにくの雪不足でオープン延期となっていた。その後もオープンのアナウンスもないので、11月30日は諦めていた。それに、ちょうど自宅でボドゲ会を開く予定もあった。

ところが、29日になって急に30日はオープンすると告知されていることに気がついた。しかしライブカメラをみるとまだ雪は多くない。それに滑走できると告知されているのはかぐら第1ロマンスリフトの範囲の滑走距離600m、幅20mの部分だけだ。幅だけみると軽井沢よりマシだが、距離は軽井沢の400mよりはマシだが大差がない。それに、みつまたエリアに十分な雪がない場合、とても悲惨なことになる。

悲惨なことというのはこうだ。みつまたからロープウェイで雪のないみつまたに上がり、歩いてみつまた第1高速リフトに乗り、そこから徒歩、ブラシ、あるいは今年から第二2ロマンスリフトで下ることでかぐらゴンドラまで移動し、ゴンドラに10分間乗り、ようやくたどり着いた場所で、たったの600m滑走できるということだ。

ところが天候に恵まれたらしく、30日の結果をみてみると、みつまたに雪があり、かぐらの第1高速リフトも可動しており、1500m滑走できるという。30日に滑った人の意見をネット上で探してみると、いずれも評価が高かった。天気予報を見ると翌日の日曜日は晴れ、月曜日からは雨の予報。これは滑りに行くしかない。明日の朝の早朝の起床に成功したら滑りに行こうと決意して急遽用意をし、早めに就寝した。

翌日の12月1日、予め設定しておいた目覚ましの喧しい鶏の鳴き声で起床。5時半に家を出ることに成功した。自宅からは20分ぐらいで東京駅につく。去年、日帰りの越後湯沢が圧倒的にお手軽だと主張してもあまり周りの賛同を得られなかったのは、皆東京駅から遠いところに住んでいるからだ。東京駅から越後湯沢駅までは70分。しかし、東京駅から自宅まで1時間以上かかるのであれば、交通時間は倍以上になるのでお手軽ではない。しかし、片道90分であれば、これは平均的な都心部労働者の通勤時間だ。十分にお手軽となる。

東京駅で予定通りに06:08分の始発新幹線に乗る。駅のホームではスワローテイルのスノーボードが立てかけたあった。持ち主は弁当でも買いに行っているのか見かけなかったが、上越新幹線に乗るということはおなじくかぐらに行くのだろう。

07:24に越後湯沢に到着。かぐらへのバスは07:50から片道20分。待ち時間も含めて40分ぐらいはかかる。駅直結のガーラ湯沢との差の40分だが、この時間の差によって、越後湯沢駅からかぐらに向かう人間は、ファーストトラックのパウダーを食いそびれる。東京駅で見かけた特徴的なスワローテイルの板の所有者もバス停にいた。

このバス停で、たまたま前に並んでいた人は饒舌な人で、本人の主張によると2歳からスキーをしているそうだ。何故か話題がとりとめなく変わる人で、発達障害か高次脳機能障害があるのではないかと思われた。また本人もしきりに、「あ、僕また変なことをいいましたか」と言う。話題がスキーに関連する以外は突然変わる以外は、その発言をしたときにはさほど変なことは言っていないことを考えると、本人に正確な自己評価ができていないことが伺える。曰く、「去年、「家族」が怪我をしたので今年は一人で滑りに来ている」、スキーヤーには珍しくヘルメットを持っていたが「去年からヘルメットを着用している」、「絶対に怪我をしてはならない」ということであった。まるで脳震盪でも起こして高次脳機能障害にでもなったのではないかという感想を持った。

もちろん怪我を防ぐためにプロテクターは重要だ。筆者はスノーボードなので、ヘルメットをはじめとして、尻、膝、肘、手首にそれぞれプロテクターを着用している。手首のプロテクターは新調した。去年は硬いカーボン板で補強された無骨なプロテクターを使っていたが、カーボン板と布の縫い付けが甘く1ヶ月でほつれてしまった。カーボン板には針が通らないので修理もできない。そこで、今年はBURTONの手首プロテクターを買ってみた。こちらは剛性の高いカーボン板ではなく、硬めのクッションと布を使っている。ミトンの中に装着できるので、プロテクターとグローブの間に雪が詰まることもない。

ミトンも新調した。去年は五指を使う必要があるだろうとグローブを買ったが、バインディングを占める程度では五指は必要なく、トイレやヘルメット着脱、財布から現金を取り出すと言った作業ではグローブを外さなければならなかったので、グローブは意味がなかった。

背中と肩を保護する上半身用の着るプロテクターを買うかどうかは迷ったが、今回は買わなかった。いずれパークに挑戦する時に買うかもしれない。

越後湯沢駅周辺や、バス乗車中の道を眺めていると、ある程度雪が積もっている。これは期待できそうだ。

さて、みつまたについて、10分以上着替えに費やした。何しろプロテクターの数が多いのだ。どうせ東京もそれなりに寒いのだから、今度日帰りするときは自宅からプロテクターとウェアを装備した上で移動してもよさそうだ。

さてみつまたからロープウェイでゲレンデに上がる。なんとみつまたも全面雪で覆われていた。さっそくスノーボードを装着し、リフトまで向かおうとするが、これが難しい。雪が硬すぎる上に、体がうまく動かない。去年スノーボードを始めたばかりなので、滑り方を覚えているかどうか心配だったが、案の定滑り方を忘れている。なんとかみつまた第1高速リフトにたどり着いて乗る。待ち時間はほとんどない。みつまたを滑っている人もいるが、こんなに雪が硬くては滑りづらい。やはりゴンドラにのってかぐらエリアに向かうのがいいだろう。リフトを降りると、雪はある程度柔らかかった。これなら滑ることができる。かぐらに行くには、短いがかなり傾斜のある部分を滑らなければならない。ここが辛かった。うまく連続ターンできない上に、土踏まずがとても痛む。なんとかゴンドラにたどり着く。ゴンドラはとても空いていて、私一人で乗ることになった。ゴンドラの中で靴を脱いで足を休める。するとだいぶ楽になった。久しぶりだから慣れていなくてつらいのだろう。前日に一度靴を履いて足を慣らしておくべきだったと後悔した。

かぐらエリアについたので、ロマンスリフトではなく高速リフトで上に上がる。かぐらエリアのコースは、基本的に非圧雪だ。唯一圧雪されているコースも、左側が3分の1ぐらい圧雪されているだけだ。リフトから滑っている様子を眺めていると、圧雪側をすべるときのエッジの音が極めて激しい。まるで氷の上を削りながら滑っているようだ。すでに滑った同乗者によると、圧雪側は完全に凍っていてとても滑りづらいとのことであった。では非圧雪側はどうかというと、凸凹だらけだ。ただし同乗者によるとふかふかだという。

私は非圧雪側を滑ることにした。去年ある程度滑ることができたはずなのにうまく曲がれない。速度も出せない。非圧雪面なので転んでも全く痛くはないのだが、起き上がる時に手のひらが沈みこんでしまいなかなか起き上がれない。一本目をほうほうの体で滑り終えた。どうしたものか。全く楽しくない。完全に滑り方を忘れている。やはりスノーボードの趣味は失敗だったのか。

その心配は、2本目を滑る時になくなった。どうやら滑り方を思い出してきたらしい。内股にして膝を近づけ、板を湾曲させるようにするととてもよく曲がれる。荷重と抜重の感覚も戻ってきた。これなら滑ることができる。非圧雪は滑りづらいが、去年の最後にかぐらでコブレッスンを受けていたのが役に立った。滑ることができる。楽しい。今回はダックスタンスを試してみようと+12/-9にした。あまりにも角度が広すぎると膝を痛めるとのことでこうしたのだが、まだ余裕があるようなので、次は+15/-12も試してみようと思う。そして、ブーツ、バインディング、板が全体的に柔らかい気がする。もっと上達したら、来年は硬い道具を買い揃えてみたい。

ただし足が疲れる。今年はダンスを練習していたので足も鍛えられていたかと思ったが、どうやら下腿部はかなり鍛えられているが、大腿部は鍛えられていないようだ。数百メートル滑ると休まなければならない。そして呼吸にも違和感がある。標高が高いので空気が薄いのだろうか。

この日は私は数百メートルおきに休みながら滑ることにした。この日のかぐらはかなり空いていた。リフト待ちはほぼなく、とくに午後になってくるとリフトを相乗りすることすらなくなった。人がいないので座っていてもまったく迷惑にならない。何しろ本当に人がいないのだ。リフトを降りたところでも数人しかいない。疲労のために仰向けになると背中が冷たい。背中を保護するプロテクターは防寒用に買うのもありではないか。

1日の終わり頃になってくると、かなり滑りが上達してきた。ただし、ヒールエッジが苦手だ。転ぶときは必ずヒールエッジのようだ。少し速度が出た状態でヒールエッジ側でターンをすると転んでしまう。状態は起こしているはずなので、どうもエッジを立てすぎているのが問題ではないかと思う。しかしエッジを立てすぎないのは難しい。

スイッチは逆で、トゥエッジで曲がることができない。もう少し緩斜面で練習をしたいところだが、残念ながらかぐらエリアに緩斜面はリフト付近にしか存在しない。それも斜面と言うよりはほぼフラットに近い。傾斜がなさすぎる。

やがて15:30になりかぐらエリアのリフトが止まった。かぐらからみつまたに戻るコースは閉鎖されているので、ゴンドラで戻る。今日は疲れたのでもうこのまま帰ろうと下山を目指したが、なんとみつまたは傾斜が強すぎず弱すぎない最適な緩斜面だった。あれほど疲れていた足でも速度を緩めずにカービングターンができる。なるほど、かぐらエリアは傾斜が強すぎる上に非圧雪だから難しかったのだな。

下山コースは台風19号の影響で途中の橋が壊れたらしく閉鎖中だ。ゴンドラで降りて帰路につく。大変に満足した1日だった。来てよかった。雪質も想定以上によかった。ただし、ところどころ草木や地面が露出しているところがあった。

20時に帰宅。そこから2時間道具の手入れ。かぐらは楽しかったし、満足したし、後悔はしていない。ただし板の消耗が激しい。雪は汚れていなかったのでベースに汚れはなかったのだが、硫化アンモニウムを大量に使っているはずで、まず水洗いした。ベースに去年2ヶ月滑って累積したよりもひどい傷がついている。草木や地面をこすったからだろう。p-texで埋めるほどの傷ではないが目に見える傷だ。そしてエッジにも傷が入っている。エッジに傷が入ったのは初めてだ。ヤスリで磨き、硬いホットワックスをかける。トップデッキには傷が入っていないようだ。いっそのこと、板が壊滅的に壊れてくれれば、次の硬い板を買う踏ん切りもできるものだ。今年は板を乗り潰すつもりで練習しよう。

そして翌日、心配していた膝はそれほど問題がないようだ。問題は右足の大腿四頭筋が強烈な筋肉痛になっていることだ。スイッチで滑ることができないのと、大腿部の筋肉が十分に鍛えられていないのが原因だろう。次のオフシーズンでは大腿部の筋トレをするべきだろう。

このまま膝に問題がなく、筋肉痛が治り、雪の状態が良ければ、7日にもう一度滑りに行くつもりだ。

ちなみに東京から日帰りする費用としては、新幹線代が12520円、バス代が980円、早割リフト券が3500円、ロッカー代が500円。スキー場の食事は食べられたものではないので食事はしなかったが、自動販売機で飲み物を合計1000円は購入した。道具をすべて持っているとしても日帰りで1万8千500円ぐらいはかかることになる。本格的にシーズン入りして、事前に計画した場合は旅行会社の割安のツアーを使うことで1万4千円程度には抑えられる。スノーボードにはカネがかかる。

2019-11-29

江添ボドゲ会@11月30日

江添ボドゲ会、今月は11月30日。今回はポータル非協力ケーキ獲得ゲームを買った。夜からはぶりしゃぶ。

https://ezoe.connpass.com/event/156214/

2019-11-28

CADDiのC++勉強会#9

CADDiのC++勉強会が12月3日に開催される。応募は以下から。

C++勉強会 #9 - connpass

今回はコンセプトについて学ぶ。コンセプトはコア言語としては6ページぐらいしかない極めて小さい機能だ。コア言語としては誠に小さい機能なのだが、その威力は絶大だ。コア言語としてのコンセプトを理解するのはそれほど難しくないが、正しくライブラリとして設計するのは難しい。

2019-11-25

ダンスを学んで半年たった

ダンスを学んで半年たった。始めた頃はリズム感もなくルーチンも覚えられず散々だったが、最近はリズム感も向上し、ルーチンも覚えられるようになり、ダンスレッスンをまともに受けられるようになった。

次に突き当たった壁は、手足が独立して同時に動かないという問題だ。これはどうも独立して動くようになるまでひたすら訓練するしかないようだ。今は少しづつ改善されてきている。

今抱えている問題は、体が十分に正確に動かないという問題だ。リズムには合わせているし、その場で振りも覚えられるのだが、速いビートに体がついていかない。これはどうもリズム感ではなく単純に体が動かないようなので、体を鍛えるしかないとは思うのだが、なかなかそうはいかない事情がある。靭帯だ。

筋肉痛は数日で回復する。しかし靭帯の回復には1-2ヶ月を要する。どうもダンスは足首にかなり負荷がかかるらしく、ダンスを初めて2ヶ月目に足首の靭帯を痛めてしまった。完全な回復にはダンスのレッスンを控えて2ヶ月かかった。

今通っているダンススクールは定額でレッスン受け放題なので、時間があればダンスのレッスンを受けたいのだが、足首や膝の靭帯の調子を考慮しながら、適切に休息を入れなければならない。日常生活では違和感がなくても、ダンスのような強い負荷をかけると違和感が出ることもあるので、ダンスレッスンを受ける前には一度強い負荷をかけてみて調子を確認している。

また、ダンスレッスン用の靴を買い替えた。最初に買った靴はジョギング用のソールが薄くて柔らかい靴だったが、今の靴はソールが分厚くて硬い靴にした。

靭帯への負荷を減らすためには靭帯周りの筋肉を鍛えるのもいいが、やはり減量もするべきだ。ダンスはかなりの有酸素運動なので減量効果があるだろうかと期待していたが、今の所ダンスでは痩せていない。

今月はこの調子で行くと20コマぐらいのダンスレッスンを受けられそうだ。ダンススクールの月謝が1万2千円なので、レッスン一回あたり600円ということになる。往復の交通費に340円かかっているので、ダンスレッスンに必要な費用の3分の1は電車賃だと言える。

2019-11-17

侮辱的な報酬額の大学講師の仕事依頼がやってきた。その額なんと月2.7万円

あるミッション系の大学から講師委嘱の依頼がやってきた。その科目は私の個人的な知識と経験から興味深い話がたくさんできるであろう分野で、具体的には、著作権特許権と検閲、電子書籍とDRM、著作権特許権の保護する範囲を越えようとする不自由なソフトウェアライセンス、岡崎図書館事件、兵庫県警Alertループ事件、神奈川県警CoinHive事件、あるいは本の出版事情や再販制度といった内容を取り扱うことになる。

例年70-80人の履修者がいて、1学期間に1コマ100分が14回に加えて内容の理解の確認のための課題と評価だ。

単純計算で一ヶ月に7時間の授業と、準備時間を授業時間と同じぐらい確保し、課題作成と80人分の回答を評価する時間を考えると、最低でも月に20-30時間ぐらいは必要だ。質をあげようとすればもっと長時間の労働になるだろう。大学なので報酬は安くても引き受けるとして、期間を定めた個人請負なので時給1万円ぐらい、月に20-30万円ぐらいならば請けようと思っていた所、提示された報酬額はなんとわずかに月2.7万円。

もはや失礼を通り越して桁違いに侮辱的な額だ。まさか想定より桁が一つ違う失礼な額を提示されるとは思わなかった。東京都の最低時給は現在1013円。最低時給を満たすかすら怪しい。およそ大学講師という知的労働に見合った報酬額ではない。

当然詐欺を疑ったが、残念ながら可能性はだいぶ低いように思われる。大学名、教授名、科目名はすべて実在のものであるし、メールアドレスのドメインはac.jpでこれはおいそれと取得できるものではないし、確かにこのメールアドレスに送信した内容に応じた返信を得ている。私はTLS経由でGMailを利用しているので私とGoogleの間の通信経路の改変はないものと考えると、GoogleとGoogleから通信経路さえ信用できればいい。

挙げ句のはてに、「大学の教員のお給料ってそういうレベル」と返事が来たものだ。

そういうレベルとは一体全体どういうレベルだ。公開されている情報によれば、この私立大学は1年あたり、国公立大学の学費の3倍もの費用を学生に課している。3倍金を払っている学生が70-80人も履修する授業において、税法上優遇されている学校法人が、履修者のたった一人の一月分の学費のそのまたさらに10分の1の額しか講師に出せないとしたら、そのカネは一体どこに消えているのだ?

この大学の学生は、学費を搾取されている情弱か、あるいはカネで学位を買っている詐欺者だろう。

そもそも私に声がかかるのがまずおかしい。私はたまたま該当分野で教育できるだけの知識と経験を持っているが、私はこの分野で有名というわけではない。まともな人間は引き受ける報酬額ではないので、ようするにネット上で適当に検索してある程度の知識を持っていそうな人間に片っ端から声をかけているのではないか。残念ながらそれで釣れるのは山師と詐欺師だ。月2.7万円に見合う仕事というのは何の準備もせずデタラメを話し、課題の提出と評価もさらに安価で他人に丸投げし、ついでに学生をネズミ講にでも勧誘することだ。そうすれば元が取れるだろう。ついでに大学講師をしているという肩書を利用してオンラインサロンでもすると一層元が取れる。

こんな侮辱的な報酬額を提示するのは、これでも請ける人間がいるからだろう。労働力の不当廉売をする者は被害者ではなくて加害者だと心得よ。

2019-11-14

John Carmack、人工汎用知能に取り組むと宣言

John Carmack - Starting this week, I’m moving to a... | Facebook

今日から、OculusのコンサルCTOの立場になる。

まだ開発に口を出すが、そんなに時間は割かない。

残りの時間をどのように費やすべきか。振り返って見るに、私はゲーム、ロケット、VRの分野において成果を上げてきた。ただ、今までは曖昧ではあるが解決策の道筋は見えていた。その当時は非現実的であったりまだ動くと証明されていなかったとしてもだ。そこでたまに考えていたのだが、解決の道筋すら見えない問題に取り組むのはどうだろうと。私が歳を取りすぎる前に挑戦すべき課題であるように思われる。

私は人工汎用知能(Artificial general intelligence, AGI)に取り組むことにした。

AGIは可能で、とても有益で、かつ私は何らかの成果を上げられるのではないかと思っている。そこでPascal’s Mugging(たとえ可能性が極めて低くてもそれによって得られる利益が莫大であれば期待値的には釣り合っているのでやるべきという理屈)に従い、挑戦する。

今のところ、私は「ビクトリア朝時代の紳士科学者」風に研究する。自宅で考え、実践してみるのだ。

AGIの次に取り組むべき価値のある研究は、安価な核融合炉だが、この研究スタイルには合わない課題だろう。

2019-11-10

スキー場のシーズン券の購入を考えている

今シーズンは11月から5月まで全力でスノーボードをする予定だ。週に2回はスノーボードに行きたい。そこでシーズン券を買うことを思いついた。同じスキー場に何度も行くのであればシーズン券を買ったほうが得だろう。前シーズンは旅行会社のツアーで新幹線とリフト券を割安で手に入れていたが、旅行会社でツアーに申し込むのも面倒だったし、前シーズンでは東京-越後湯沢を日帰り往復するだけの割安ツアーもあったので、損はしない。

ではどこのシーズン券を買うべきか。都内から日帰りできるスキー場というと、軽井沢か越後湯沢だ。ただ、軽井沢プリンスホテルスキー場は土日祝日に混むのと、スキー場の作りがそんなに面白くはないので、越後湯沢駅から短時間で行けるスキー場になるだろう。

去年はガーラ湯沢によく行っていた。駅直結で行きやすいスキー場ではあるが、ある程度滑れるようになった今、他のもっと面白いスキー場でもいいだろう。特に今年はコブを練習したいのでコブで有名なスキー場がいい。

かぐらスキー場はコブで有名だ。ただしシーズン券が高い。他のスキー場の倍の値段だ。なぜこんなに高いのか考えていたが、おそらく営業期間のためだろう。多くのスキー場は12月下旬から3月末までの約3ヶ月間営業する。しかし、かぐらは11月下旬から5月下旬までの約6ヶ月営業する。営業期間が倍なので、価格が倍でも売れると踏んでいるのだろう。ただ、かぐらはゴンドラやリフトの設置があまりよくないせいで、移動するのに時間がかかる。シーズンのはじめと終わりに何回か行くだけでいいだろう。

神立高原(今年から名前を変えて神立スノーリゾート)は仮眠室という名前の雑魚寝部屋がある。ここのシーズン券と温泉パスを買うと風呂入り放題雑魚寝し放題滑り放題となる。しかもこのスキー場はナイターもかなり長時間やっている。ここならば、夕方に東京から越後湯沢に行き、軽くナイターを滑って雑魚寝し、翌日も滑って風呂に入って帰ってくることができる。実はかなりいいのではないか。ただし、雑魚寝部屋は休日しかやっていないそうだ。

石打丸山スキー場はハーフパイプがある。ただし、おそらく今年はハーフパイプをするほどには上達はしないだろう。

舞子スノーリゾートの早期シーズン券を買うといろいろと特典がついてきてお得だ。

特典という意味では、ガーラ湯沢も捨てがたい。ガーラ湯沢のシーズン券を買うと、なんとスクールの回数券が5000円引きで買えるそうだ。つまり2時間レッスンが実質2千円で受けられることになる。ガーラ湯沢は4月以降もGWまで雪が続く限り営業するので4月になってからも何度かは滑ることができる。

といろいろ考えたが、旅行会社のツアーやショップの割引券などを使えば、リフト券の代金は1日3千円ぐらいになる。それに、今年も白馬八方尾根スキー場などに何度か遠征する予定だ。シーズン券を買って一つのスキー場に縛られるより、いろんなスキー場に行ったほうが楽しめるのではないか。

2019-11-07

Using enum

C++20にはusing enumが入る。この機能、すっかり見逃していた。

どのような機能かというと、scoped enumを名前空間のusing directiveのように使うことができる。

using enumがないと以下のように書かなければならないが


enum struct color { red, green, blue } ;

void f( color c )
{
    switch( c )
    {
        case color::red :
            break ;
        case color::green :
            break ;
        case color::blue :
            break ;
    }
}

using enumを使えば以下のように書ける。


enum struct color { red, green, blue } ;

void f( color c )
{
    using enum color ;
    switch( c )
    {
        case red :
            break ;
        case green :
            break ;
        case blue :
            break ;
    }
}

scoped enumは暗黙の型変換をしないので、従来のenumに変わって使われるべきだが、いちいちenum名を修飾子なければならないのは面倒だ。そこで、名前空間のusingディレクティブのような機能、using enumが追加された。

CADDiのC++勉強会@11月19日

CADDiのC++勉強会が11月19日の19時から行われる。

C++勉強会 #8 - connpass

今回は一時オブジェクトの寿命と、C++20の新機能を時間が許す限り解説していく。

2019-10-25

江添誕生日ボドゲ会@10月27日

自宅ボドゲ会を下記の要領で開催します。

江添誕生日ボドゲ会@10月27日 - connpass

今月は誕生日なので夕方からすき焼き。

2019-10-15

CADDiのC++勉強会

次のCADDiのC++勉強会は10月29日の19時から行われる。詳細と参加登録は以下から行える。

https://caddi.connpass.com/event/151541/

次はtype erasureの続きと、expression templatesについて教える予定だ。

2019-10-12

東京から行けるスキー場のまとめ

シーズンはまだまだ遥かに遠い。早く滑りたい気持ちを抑えるために、またブログ記事でも書くことにする。今回は東京から行ける、個人的に気になっているスキー場について書く。まだ行ったことがないスキー場もある。

フジヤマ スノーリゾート イエティ|静岡県 富士山2合目のスキー場

例年10月下旬にオープンするスキー場。標高が比較的高く涼しい場所に人口造雪機を使って10月下旬に1kmのコースを作り出している。都内から日帰りできる最も早くオープンするスキー場として有名だ。

東京からはバスで片道2時間半かかる。まだ行ったことがない。

軽井沢プリンスホテルスキー場

11月上旬にオープンするスキー場。同じく人口造雪機を使って400mほどのコースを2本作り出している。イエティの次にオープンするスキー場として有名だ。東京からは新幹線で1時間ほどなので、イエティより交通の便が良い。

スキー場周辺は何もない場所であることが多いが、軽井沢は観光地なのでショッピングモールや飲食店街がある。コテージがスキー場の真横に設置されていて、ドアを開けるとすぐにスキー場というお手軽さもある。ただ、スキー場としての面白さはそれほどでもない。もともとそんなに雪が降る場所ではないのを圧倒的多数の人口降雪機で雪を作り出している娯楽施設だ。それに観光客が多くて休日は結構混んでいる。

この他のスキー場は、11月下旬から12月中旬にかけてオープンしていく。

ガーラ湯沢スキー場(新潟県湯沢町)|GALA YUZAWA

東京から新幹線で90分。ガーラ湯沢は東京から日帰りするのに最も手軽なスキー場だ。新幹線に乗る時間だけを考えると軽井沢よりは長い。ただし、軽井沢は駅到着後にスキー場まで移動しなければならないが、ガーラ湯沢は移動する必要がない。JR東日本直営のスキー場で、駅直結の同じ建物内にリフト券売り場、レンタル、更衣室が揃っていて、同じく建物直結のゴンドラで上に上がるとそのままゲレンデにつく。標高が高いので雪質もよい。ただし、そのお手軽さゆえにあまりにも観光客が多く、かつスキー場も狭い。

雪がもてばGWまで営業している。

湯沢中里スノーリゾート

越後湯沢駅からバスもしくは電車で15分。標高が低く天候に恵まれなければあまり雪質がよくない。3月にもなると雪が汚れている。平日は一部のリフトは動いていない。ただし圧倒的に空いている。そしてスノーボード率が圧倒的に高い。幅広で傾斜もほどほどのスノーボードが滑りやすいコース設計になっている。

舞子スノーリゾート

越後湯沢駅からバスで2-30分。スキー場の作りとしては、標高が高い上のコースをぐるぐる回るか、長い下山コースを繰り返すかの二択になる。

神立高原スキー場

越後湯沢駅からバスで10分。だいぶ異質なスキー場。スキー場に浴場と大部屋仮眠室があり雑魚寝をすることができる。土日祝日はナイターが深夜までやっている。

まだ行ったことがない。東京駅に近い場所に住んでいて日帰りの負担が少ないため、正直ここに素泊まりするよりは一度東京に帰ったほうがマシだろうと思われる。

かぐらスキー場

越後湯沢駅からバスで2-30分。例年11月下旬にオープンし、5月下旬までやっているスキー場。標高も高い。もともと3つのスキー場が合体したスキー場で広いには広いのだが、入り口から雪質のよい標高の高い場所に行くだけで20-30分はかかる。

白馬八方尾根スキー場 | HAKUBAVALLEY HAKUBA HAPPO-ONE

新幹線で90分かけて長野駅まで行き、そこからさらにバスで70分かかる。移動だけで半日潰れてしまう。1998年長野オリンピックの会場にもなったスキー場だ。とても広い。ただしスキー場の作りはスノーボード向きではない。

北海道

キロロ、ルスツ、ニセコ、フラノ、トマム、サホロが有名。東京からの交通は、羽田空港から新千歳空港に行きバスとなる。サホロだけは帯広空港が近い。まだ行ったことがない。

北海道の有名なスキー場は圧倒的に広く、雪質もよいと聞いているが、東京からは交通の便が悪い。東京から羽田空港まで電車で30分、新千歳空港まで旅客機で1時間半、空港からバスでスキー場まで2時間以上。しかも搭乗手続きの関係上、空港にはフライトの一時間前には着いていたい、スキー場に到着するまで6時間以上かかる計算になる。行くだけで1日潰れてしまう。

月山スキー場

山形の豪雪地帯にあり、ハイシーズンは雪が深すぎて営業していない。4月になるとようやくオープンする変わったスキー場。7月頃まで雪が持つので、どうしても夏に天然雪を滑りたい中毒者がやってくるスキー場。今では珍しくなったTバーリフトもある。

乗鞍岳

スキー場ではなく夏でも雪が残っているだけの場所にすぎない。標高2600mぐらいの地点までバスでいくことができる。リフトはない。自力でハイクアップする必要がある。

早く滑りたい。

2019-10-07

Caddi C++勉強会@10月9日

CaddiのC++勉強会が10月9日に開催される。参加は以下から。

https://caddi.connpass.com/event/150414/

今回は派生と継承という、C++の原点に戻ったような内容を説明する。そしてtype erasureを説明する。時間があればexpression templatesなども説明するが、おそらく次回になるかもしれない。

2019-10-06

スキー/スノーボードの怪我統計の考察

そろそろシーズンが近づいてきたのでそわそわしている。去年は3月末で滑るのを辞めてしまったのでもったいないことをしたと反省している。4月も滑ればよかった。とはいえ、右膝に痛みもあったし辞めておくのは正解だったのだろう。

滑りたいのにまだ滑ることができない憂鬱を紛らわすために、全国スキー安全対策協議会のスキー場障害報告書を読んでいる。

全国スキー安全対策協議会

統計は1998年から始まっている。調査に参加したスキー場には増減があるので、単純に年ごとに比較することはできないが、時代の変遷を感じる面白さがある。

1998年は、カービングスキーに主流が移ってきた時代で、スノーボードが流行り始めた時代でもある。カービングスキーによってアスリートではなくてもカービングターンができるようになり、スノーボードがもたらしたパークをスキー場が設置するようになってきた。

1998-1999シーズンではスノーボードはスキーの2.5倍の受傷率があった。これはどんどん下がり続け、ところが前回の2018-2019シーズンではスノーボードの受傷率はスキーの1.4倍になっている。スノーボードはだいぶ安全になったと言える。

具体的な受傷率はスキースノーボード合わせて1万分の1だ。同じ1年で比較すると、年末ジャンボ宝くじの一等が2000万分の1、雷に当たる確率が1000万分の1、交通事故が3万分の1、裁判員に選ばれる確率が1万分の1となる。それほどウインタースポーツの受傷率は高くない。

怪我の中でもかなりの割合を占める頭部への損傷であるが、ヘルメットを着用していれば防げた怪我がおおい。海外では8割にもなるヘルメット着用率は、日本では未だに低い。2018-2019シーズンでは、スキーのヘルメット着用率が初めて4割を超え、スノーボードでは22.9%だという。ヘルメットは着用すべきだし、各部位へのプロテクターもつけるべきだ。

昔の統計はストレートスキーとカービングスキーを分けていたが、今の統計は一緒になっている。今ではすっかりカービングスキーが主流になり、ストレートスキーを使っているスキーヤーはまれになってしまったからだろう。

受傷時刻は毎年決まって11-12時と14-15時が多い。昼に下がるのは昼食のために人口が減るからで、単に人口が多いから受傷率が高いだけだろう。同じように天候も晴のときが受傷率が高い。特に休日の晴れは受傷率が高い。これも単に人口が多いだけだろう。性別や年齢も、単なる人口比としか思えない結果になっている。ただ、1998-1999シーズンの統計ではスノーボードの年齢は20代が大半だったのに、20年たった今では40台まで広がっている。

受傷者の技能をみると、初めての人の怪我はそれほど多くない。初級者から中級者の怪我が圧倒的に多い。スキーはスノーボードの倍ほど上級者の怪我が多い。この理由はなぜだろう。

怪我の部位を見ると、スキーは圧倒的に膝の捻挫が多い。スノーボードは長らく手首、次いで肩だったのだが、最近は肩の怪我の方が多くなっている。手首の怪我はプロテクターをつけていれば防げるが、肩の脱臼はプロテクターで防ぐことができないためだろうか。

怪我をした理由としては、自分で転倒、人と衝突、人以外と衝突、その他があるが、圧倒的に自分で転倒して怪我をする割合が高い。実は人と衝突して怪我をする割合はスキーのほうが高い。去年滑っていて、リフトから落ちたらどうしようとか、崖から落ちたらどうしようなどと不安になったものだが、転落による怪我の割合は極めて少ない。

自分で転倒した怪我の内訳として最も多いのは単に「バランスを崩した」ためだが、スキーは9割を占めるこの理由、スノーボードでは75%しかない。スノーボードはスキーよりトリックを決める文化が強いせいか、ジャンプ失敗やトリック失敗といった理由が増えてくる。スノーボードでは逆エッジによる転倒もある。

人と衝突した場合、何にぶつかったかという統計が出ている。ぶつかる可能性があるのは、スキーヤー、スノーボーダー、それ以外の人だ。スキーヤーはスキーとスノーボードとの衝突がそれぞれ半々ぐらいだ。スノーボードでは圧倒的にスノーボードとの衝突が多い。

人以外との衝突でぶつかったものについては、立木が最も多いようだ。

日本のスキー、スノーボードで気になっていることとして、スキー場で堂々と酒が販売されているということだ。そして多くの客が飲んでいる。ただ、受傷者の飲酒の割合は2.2%で、それほど高くはないようだ。

受傷場所は緩斜面か中斜面が多く、急斜面での怪我は少ない。

リフト付近での怪我は、リフト乗り場とリフト降り場の怪我が大半で、リフト乗車中に怪我をすることはめったにない。何故か私はリフト乗車中に落ちてしまったらどうしようという不安が常にあるのだが、リフト乗車中に落ちて怪我をすることはまずない。リフトから落ちるのは子供が多いようだ。リフトが子供の体格に合わせて作られていないのが問題なのだろう。

スキーでは講習中に怪我をする割合も高い。スノーボードで講習中に怪我をする割合は少ない。報告書はスキーのほうがスクール受講率が高いのだろうとしている。

障害の程度だが、スキーよりスノーボードのほうが若干軽症が低く、中等傷が多い。重症の割合は余り変わらない。

「頭を強く打った疑い」については、スキー、スノーボードともに割合が変わらない。どちらもヘルメットを着用すべきだ。

受傷時の滑走速度の割合は、単に滑走速度の人口を表しているに過ぎないようだ。

興味深いのは、傷害保険、賠償責任保険の加入有無について、わからないとする回答が4,5割いるということだ。保険に入っているかどうかぐらいわかりそうなものだがどういうわけだろう。統計を報告したのは各種スキー場なので、聞きそびれているだけなのかもしれない。

受傷時の雪面は圧倒的に圧雪されていることが多い。ただ、日本のスキー場の大半は圧雪されているし、パウダーやコブでそんなに速度は出せないし、転んでもパウダーやコブに引っかかってすぐ止まることが多いので、当然といえば当然なのだろう。

雪質の割合もあまり意味のある統計には思えない。

2019-10-03

また初心者にプログラミングを教える機会があった

プログラミングでわからないところがあるので教えてほしいと以下のようなことを聞かれた。

こういうJavaScriptの関数がある。

// valuesは配列
// elementはvaluesの要素型の値
// 配列valuesに値elementと等しい要素があるならばそのインデックスを返す。
// それ以外の場合、-1を返す
function find_index( values, element )
{
    for ( let i = 0 ; i !== values.length ; ++i )
    {
        if ( values[i] === element )
            return i ;
    }
    return -1 ;
}

質問は、「なぜreturn -1にelseはいらないのか」というものであった。

似たような問題に、昔遭遇した気がするが、別人だ。

まずここにelseを書くべき文法はJavaScriptに存在しない。if文で何らかの条件を切り分ける必要もない。なぜならば、return -1が評価されるとき、すでにforループを抜けているわけで、その場合要素が見つからなかったということだ。逆に、要素が見つかったのであれば、すでに上のreturn iが評価されているので、すでに処理は関数の呼び出し元に戻っており、return -1は評価されることがない。

ただ、このような机上の説明を繰り返しても理解ができない様子であったので、さらにデバッガーでステップ実行してみせるなどして説明した。

この問題は、逐次実行という概念と、逐次実行がfor文やif文やreturn文によって変わるということ、そしてプログラミングにおける関数の理解が必要だ。しかし、筆者はこのような概念の理解に苦労した覚えはないし、周りの職業プログラマーに聞いても、やはり苦労した覚えはないという。

しかし不思議だ。質問者は数学の素養があり、数学における関数なら理解しているはずだ。聞けば再帰も理解しているという。それならと以下のように再帰で書いてみた。


function find_index( values, element )
{
    function solve( i )
    {
        if ( i === values.length )
            return -1 ;

        if ( values[i] === element )
            return i ;

        return solve( i + 1 ) ;
    }
    return solve(0) ;
}

これを何の説明もせずに見せたところ、「これはとても良くわかる。なんでみんなこう書いてくれないのか」とのことであった。質問者はJavaScriptの初歩の初歩しか学んでおらず、このようなコードは見たことがないはずだ。しかしわかりやすいと言う。再帰は正しく理解できていることが確認できた。

質問者にはHaskellのような純粋関数型の言語のほうが向いているのかもしれない。

2019-09-22

江添ボドゲ会@9月29日

自宅ボドゲ会を下記の要領で開催します。

江添ボドゲ会@9月29日 - connpass

2019-09-20

江添亮のC++入門の出版記念の勉強会告知

江添亮のC++入門の出版を記念した勉強会を開催します。参加登録は以下から。

https://kbkz.connpass.com/event/148247/

勉強会の内容としては、江添亮のC++入門の執筆について軽く話した後、その場で書籍の販売をしつつ、交流会をする。特に発表者はつのらない。というのも勉強会の価値は交流にあると考えているためだ。

2019-09-19

MSVCのSTLがGitHubで公開

https://github.com/microsoft/STL

MSVCのSTLがGitHubで公開された。ライセンスはLLVM例外条項付きのApache 2.0。更に興味深いことに、今後のSTLの開発はGitHubに移行する予定だそうだ。マイクロソフトも変わったものだ。

C++のテンプレートの都合上、STLのソースコードはMSVCに付属していて、読むことは誰にでもできた。理論的には、MSのEULAに縛られない読み方もできたはずだ。例えばEULAに同意せずにMSVCを入手し、インストラーを実行せずに手動でアーカイブを展開すればソースコードを読むことはできたはずだ。もちろん、わざわざそんな手間をかけてまで不自由ソフトウェアのソースコードを読みたいとは思わないし、民事上のリスクも背負いたくない。

そのため、私がC++を教育するときは、MSVCの存在は単に無視していた。libstdc++とlibc++は自由ソフトウェアであるので、その実装も含めて教育することができるが、MSVCは不自由なので、リスク回避のためにソースコードを読むこともできずにいた。MSVCを無視するなという声に対しては、不自由ソフトウェアに時間を浪費したくはないし、仮に私が教えたいにしても 、マイクロソフトは教えたがらないようだという都合のいい言い訳が成り立っていた。しかし、今後はそういう言い訳は通用しないようだ。

江添亮のC++入門が出版された

江添亮のC++入門が出版された。もうすでに一部書店では店頭に並べているところもあるようだ。

この本はタイトル通り入門書だ。C++のソースコードのコンパイル方法から初めて、GNU Makeによるビルドシステムを少し触り、基本的な文法を解説し、一部のライブラリの仕組みまで解説する。

この本の執筆にあたっては、知識のブートストラップを意識した。私は一から物を教えるという性質の本で、まだその本では説明をしていない知識を何の説明もなしにいきなり出す本を読んだことがある。巷では絶賛されている本ではあるが、著者自らもうその本で教育をしないと宣言した本だ。そのため、すでに説明した知識のみを使って次の知識を説明するようにした。

ただ、これは思いの外大変だった。入門書を書いている間、なぜ変えたいの知れないよくわからないもどかしさに包まれながら解説を書いていた。そしてとうとうポインターを解説した後、あらゆることの説明がとても簡単になっていることに気がついた。なぜならポインターの知識を前提にしてよいからだ。つまり、ポインターが知識の依存関係の割と根本的なところに存在するらしい。なぜポインターの解説がこんなに送れたかというと、現代のC++は生のポインターを直接使わずして実用的なコードが書けるからだ。

今回の本の表紙には私の写真が印刷されている。これは今まで2冊の本を出した際に、なぜ著者の写真がないのだ、ぜひ載せるべきだと言われていたので、3冊めとなる今回は、では載せてみようということで実現した。いまのところ、Twitter上での言及が今までの2冊に比べて多いようで、宣伝効果はあるようだl.写真の撮影は古くからの友人でプロのカメラマンの三浦大に依頼した。

Photographer - Masaru Miura

私の本のライセンスはGPLv3だが、写真はライセンスされない。写真の著作権は撮影者のもので、撮影者がGPLv3に同意しなかったためだ。撮影者は芸術家気質なので自分の作品を改変されたくないという気持ちは理解できる。

EzoeRyou/cpp-intro: Beginner's guide for C++

この入門書を読み終えたならば、少し古いが「C++11/14コア言語」や、未だに大多数の現場では使われていない最新の「江添亮の詳説C++17」も読むとよい。紙書籍、電子書籍で出版されている他、GitHubで公開されている。

EzoeRyou/cpp-book: C++11 textbook
EzoeRyou/cpp17book: textbook for C++17

数年後も同じ仕事を続けているのであれば、おそらく「江添亮のC++20」のようなタイトルの本が出るだろう。

近いうちに前の本でもやったように、本の出版記念の勉強会でも開きたいところだ。

2019-09-17

CADDi C++勉強会5回目

CADDi C++勉強会の5回目が9月25日に開催されます。

C++勉強会 #5 - connpass

今回はオーバーロード解決とテンプレートの実引数推定について解説する。

2019-09-11

CADDi C++勉強会、11日に延期

CADDiのC++勉強会が、台風の影響による電車の劣悪な運行状況から、11日に延期された。

https://caddi.connpass.com/event/146851/

当日はみんなの疑問に答える形で規格上の用語を解説していく。

2019-09-03

CADDi C++勉強会4回目

C++勉強会 #3 - connpass

今回は式と文の違いといった、C++の用語の解説をする。

今回の勉強会の動機は、CADDi社員がうっかり未評価式の文脈でラムダ式を使ってしまったところ、つまり

using type = decltype([]{}) ;

のようなコードを-std=c++17でコンパイルしたところ、「未評価の文脈でラムダ式は使えない」というそのままのコンパイルエラーメッセージが出力されたが、はて、未評価とは?という疑問でこのエラーメッセージの意味するところを理解するのに相当苦労した経験をしたことが元となっている。なぜC++コンパイラーがこのようなエラーメッセージを出すかというと、未評価という言葉は規格上の用語なのだ。ちなみに、Clangのほうがエラーメッセージは親切で、「未評価オペランドの中のラムダ式」としている。これは規格そのままの表現だ。GCCの表現は規格どおりの表現ではないが、規格に沿った表現であることに変わりはない。C++コンパイラー開発者は当然C++規格を参照しているのでC++規格に沿った表現を使う。そのために、コンパイラーのエラーメッセージを解釈するには、規格の用語の知識が必要になる。今回はそのような知っていると役に立つかも知れない規格の用語を解説していこうと思う。

2019-08-27

CaddiのC++勉強会3回目

Caddiによる3回目のC++勉強会が8月30日に開催される。

C++勉強会 #3 - connpass

今回はメタプログラミング。Boost.Hanaを解説する。

最近、私自身はメタプログラミングをしていない。というのも、C++のメタプログラミングは本来計算に使うはずではなかった言語機能を無理やり計算に使っているので、いろいろと無理がある。メタプログラミング機能はコア言語に入るべきだ。C++20ではrequires式がはいる。後は静的リフレクションがはいればBoost.Hanaなど用済みになる。静的リフレクションはC++23かC++26には入るはずなので、あと5年ぐらい待てばいいと思うのだが、そこを待てないのが悩みどころだ。D&Eにも書いてある通り、今使える技術が重要なのであって、来年使える技術には価値がない。

勉強会の内容としては、Boost.Hanaのユーザーマニュアルがよくかけているので、これに沿って解説していくことになる。

2019-08-16

江添ボドゲ会8月25日

以下の要領で自宅ボドゲ会を開催します。

江添ボドゲ会@8月25日 - connpass

2019-08-13

P++: 静的型付けをめざすPHP

PHP: pplusplus:faq

PHP 8から、PHPは「PHP」と「P++」という2つの言語を提供するようになる。P++はPHPとの下位互換性を削りながら除々にPHPを静的型付け言語にする試みだ。

PHP開発者の中には2つの流派がある。PHPの源流であり現在の形である動的型付け言語としてのPHPを良しとする流派と、PHPをより強い静的型付け言語へと発展させたい流派だ。良い悪いの問題ではない。どちらの流派も正当な理由がある。しかし、ゆるふわな動的型付け言語とガチガチの静的片付け言語は同じ一つの言語として同居できない。

そこで、コードネームP++として、PHPを静的型付け言語に発展させる新しい言語の開発が提案された。P++はforkではなく、PHPと同じコードベースを共有する。PHP 8のバイナリはPHPとP++を同時に実装する。言語の切り替えは何らかの宣言によって指定する。

P++はPHPの厳格な下位互換性を諦め、少しずつ下位互換性を切り捨てつつ、PHPを静的片付け言語にしていく。

これはPerl 5/6やPython 2/3という過去の失敗に学んだのだろう。

PHPとP++は同じコードベースであり、ほとんどのコードは共有するので、PHPの開発リソースが2倍必要になることはない。

PHP 7.4をLTSにしてPHP 8から介護感性を切り捨てるのは良いアイディアではない。言語を分断させてしまう。Python 2/3がすでに犯した失敗だ。

PHP 8はPHPとP++を含むので、PHP 8をインストールするとP++もついてくる。同じコードベースでPHPとP++を共存させることもできる。

PHPの開発が止まるわけではない。ただし静的型付け機能はPHPには入らずP++に入る。PHPは下位互換性を重視する。

Hackとはどう違うのか。Hackは一企業による開発であり、コミュニティの意見によって設計されなかった。またHackは流通や知名度の問題で難がある。P++はPHPと共存するので、PHP 8をインストールしたならばもれなくP++もついてくる。

PHPに静的型付けは必要か? 現在、PHPを仕事で使っているプログラマーの中には、本来ならば静的型付け言語を好むが、仕事なのでPHPを使っている人もいる。PHPが静的型付けを提供する意義はある。

2019-08-07

キャディC++勉強会8月21日、テンプレート基礎

C++勉強会 #2 - connpass

8月21日に株式会社キャディでC++勉強会が行われる。今回はテンプレート基礎だ。参加登録は上記connpassから行える。

前回はポインターと、時間が余ったので即興でリファレンスについて学んだ。今回は初歩的なテンプレートの使い方を学んでいく。

テンプレートといえば、昔はクラスと関数だけだったのだが、今では変数、エイリアス宣言もテンプレートにできる上に、C++20ではコンセプトも追加される。今回の勉強会では初歩的なテンプレートの使い方を一通り学んだ上で、時間があれば未来か過去の話をしようと思う。未来の話はコンセプトやメタクラス。過去の話はテンプレートの歴史だ。初歩を学ぶという点では過去の話をしたほうが良いと思う。

2019-07-19

キャディ株式会社のテクニカルアドバイザーになった

C++勉強会 #1 - connpass

Ta-da:ドワンゴは辞めていない。キャディでテクニカルアドバイザーとしてC++教育もすることになった。7月30日に最初の勉強会をする。

周りで転職が頻発しているので、私もにわかに転職熱をだし、自分の転職市場における価値を確かめるためにも、いくつか企業に話を聞いてみた。その結果としては、私を給料据え置きで雇いC++の仕事をさせたいという企業はあった。しかし、教育一辺倒というわけでもないし年収も現状維持、そしてドワンゴでまだやりたい仕事も残っているときている。転職も興味ぶかい人生の選択ではあるが、しばらくはドワンゴにとどまろうという判断を今回はした。

その話を聞いた企業の一つがキャディ株式会社だ。奇しくもちょうど1年前、もうC++17を現場で使っている企業があるというので話を聞きに行ってブログに書いたことがある。

C++17をすでに現場で使っているというキャディ株式会社に話を聞いてきた

キャディは板金加工の受注生産をしている会社だ。板金加工というのは一枚の金属板を切断したり曲げたり削ったりと様々な加工をして、顧客の望む形状の金属製品を作り上げる仕事だ。従来、板金加工の依頼をするとなると、板金加工業者と話をして、望む形状を伝え、熟練の職人が長年の経験と勘で必要な加工を決定していた。これは時間のかかる作業であり、価格の見積もりだけでも長時間かかるものであった。

キャディは見積もりを自動化することを目指している。顧客がキャディのWebサイトに生産したい形状の3Dモデルデータをアップロードすると、それをソフトウェアで処理し、あたかも折り紙を展開するように、1枚の板から目的の形状を作り出すための加工を決定する。必要な板金加工が自動的に決定できるのであれば、価格の見積もりもできる。従来の板金加工業者が、何日や何週間もかけてようやく見積もりを出していた作業が、自動化をすることによって一瞬で見積価格を顧客に提示することができる。これがキャディの目標だそうだ。

板金加工の見積もりを自動化する。こう書いてしまうととても簡単に読める。しかし似たような計算である折り紙の展開というのは数学的に難しい問題である。自動化の実現には、数学力とアルゴリズム力とコーディング力が必要だ。キャディは自動化の要となる処理の実装について、最新のC++を選択した。古いC++で生産性を下げている余裕はない。問題は、最新のC++を知っているプログラマーは労働者市場では希少だということだ。

しかも、単にC++を知っているだけではダメで、数学力とアルゴリズム力も問われる。しかし、これについては朗報がある。AtCoderのような競技プログラミングコンテストを定期的に開催しているWebサイトの興隆で、今や競技プログラミングは盛んに行われている。高レートを維持している優秀な競技プログラマーは本物の数学力とアルゴリズム力を持っているので、数学力とアルゴリズム力を持ったプログラマーは労働者市場に多数供給されている。

AtCoder:競技プログラミングコンテストを開催する国内最大のサイト

好都合なことに、競技プログラミングではC++が使われることが多い。問題は、単に競技プログラミングで好成績を出すためだけであれば、C++を理解する必要はないということだ。一部の突出した競技プログラマーは、プログラマーというよりはもはや数学者に近く、彼らにとってC++というのはプログラミング言語ではなく、都合のいい計算機でしかない。そのため、必要な数学力とアルゴリズム力とC++力を兼ね備えた人材は労働者市場に極めて稀にしか存在しない。労働者市場に即戦力がいないのであれば教育するしかないが、最新のC++がわかるプログラマーに数学を教えるのと、競技プログラマーに最新のC++を教えるのはどちらがマシかというと、確実に後者だ。そもそも、労働者の人口としてもC++プログラマーより競技プログラマーの方が多い。

キャディは最新のC++を現場で使う興味深い企業であるので、強い興味を持ちながらも、ドワンゴの環境も捨てがたく、結局転職はしなかったのだが、つい先日、技術顧問として月2回ぐらいキャディの社員向けにC++教育をしてくれないかという話がきた。キャディ社内には私と同等以上にC++に詳しい人間がいる。ただし彼には数学力もあるので教育よりは現場の開発に労力を費やしてほしい。単発の勉強会で30分ぐらい話してくれというのであればともかく、定期的に月2回も社員向け教育をしてくれというのは流石に無償では引き受けられない。では報酬も支払うという話になった。

ところで、今私が雇用されているドワンゴでは兼業申請が通れば兼業をしてもよいということになっている。兼業申請が認められるための条件はいくつかあるが、特に重要な条件に、ドワンゴと競合関係にないという条件がある。ドワンゴが板金加工事業をしているという話は聞いたことがないし、その他の条件も問題はないだろうと考え、兼業申請を出してみたところ承認された。

そしてこのたび、キャディ株式会社のテクニカルアドバイザーとなった。

当面の予定としては、月2回、勉強会を開くことになっている。勉強会でキャディの社内情報がかかわらない内容については、聞きたい人がいれば社外から少し人が聞きに来てもいいだろうということで、connpassで勉強会の告知を行うことになった。

C++勉強会 #1 - connpass

勉強会の内容としては、さしあたって、テンプレート、メタプログラミング、ムーブセマンティクスを理解できるようにする目的だが、記念すべき第一回目では、ポインターについて話すことになった。

なぜポインターなのか。私はちょうどC++入門書を書いている。この入門書ではC++知識のブートストラップを試みた。参考書ではすでに教えた知識だけを使って、次の知識を教えるようにした。このような入門書を書くのは初めてなので手探りで牡蠣進めていった結果、ポインターを教えるまではなんともいいがたい教えにくいという違和感があったのだが、ポインターを説明してからは、ポインターの知識を前提にできるので圧倒的に教えやすくなった。そのため、もしポインターが理解できていないのであれば、まずポインターを理解するべきであると考えた。そのため、今回はポインターだ。

https://github.com/EzoeRyou/cpp-intro

ポインターの難しさは複合的な要因がある。アドレスや関節参照という概念の難しさ。C++の型システムの難しさ。C++の文法の難しさがある。この3つを意識しながら7月30日は2時間、ポインターについて話をする。

江添自宅ボドゲ回@7月28日

7月28日に自宅ボドゲ回を下記の要領で開催します。

江添ボドゲ回@7月28日 - connpass

2019-07-15

標準C++規格が3年おきに制定される理由

現在、C++の標準規格は3年おきに制定されている。このスケジュールはC++14から厳しく守られていて、C++20は2020年に制定される予定だ。

なぜなのかを議長のHerb Sutterが解説している。

Draft FAQ: Why does the C++ standard ship every three years? – Sutter’s Mill

まず現状認識として、C++の標準規格は3年おきに制定される。ドラフトにバグがあるので遅らせるべきではないのか。ダメだ。そのために2年間の機能追加と1年間の機能フリーズとバグ修正の期間が儲けられている。

しかし、ある「機能」はあと数回の会議を経たならば完全に合意できて入れられる状態になっている。この「機能」のためにC++20を少しだけ遅らせられないのか? ダメだ。期限までにC++20に入れられない「機能」はC++23に回される。

このスケジュールは厳しすぎる。なぜ3年という固定の期間で物事が進むようになったのか。なぜならば、プロジェクト管理をする方法は2つしかない。長年の経験により、この方法が別の方法よりマシだとわかったからだ。

プロジェクト管理をする2つの方法とはなにか? 完成品をリリースするタイミングを決定する方法で、2つある。一つは機能に合わせること。もう一つは期間に合わせること。どちらか一つしか選ぶことはできず、一報を選んだならば他方を選ぶことはできない。

リリースを機能に合わせる場合、機能が完成しなければリリースできない。そのため、リリース期間を決めることはできない。結果としてリリース期間が際限なく遅延する。

リリースを期間に合わせる場合、期間に間に合わなかった機能は今回のリリースには含まれない。

リリースを機能に合わせる場合というのは、C++98とC++11だった。C++98規格は本来1994年までに制定されるはずだった。Bjarne Stroustrupは1994年までに制定できなければ失敗だとまで言った。結果、1998年になった。C++11は200x年までに制定されるはずだった。結果として2009年にすら2年間に合わなかった。

ある機能が、あと数ヶ月で完成するという時、それは数ヶ月で完成しないし1年でも完成しない。にもかかわらず、あと数ヶ月で完成するからという言い訳でリリースを延々と引き伸ばすと、当初の予定より大幅にリリースが遅れてしまう。

C++の規格制定が遅れると、C++コンパイラーの実装も遅れる。C++コンパイラーベンダーとしては、せっかく実装した機能が、規格の変更によって変わってしまうということを考えると、まだ変更されているうちはわざわざ労力を費やして積極的に実装する理由がない。規格を制定することでようやく実装にかかることができる。

C++98とC++11でこのような失敗をしたのは、我々は経験不足だったからだ。経験を得た我々は、プロジェクト管理に厳格な期間を定めることによって、スケジュール通りに規格を制定するようになった。3年の期間に間に合わなかった機能は次回以降の規格に回す。

2019-07-14

AMDのZen 2でRDRANDが-1を返すので最近のGNU/Linuxがブートできない問題

AMDのZen 2アーキテクチャの新製品が発売されて沸き立っているが悲しいお知らせがある。最近のGNU/Linuxディストロはブートしない。例えばUbuntu 19.04はブートしない。

理由は、ハードウェア乱数を返す命令、RDRANDに不具合があり、常に-1を返すのだという。このため、rdrandを直接使っているsystemdが失敗し、結果としてブートできなくなる。

AMDによればこの問題はBIOSアップデートで修正可能であるという。しかしこれはとても怪しい陰謀論を考えたくなる。なぜRDRANDが常に-1を返すような不具合が未然に発覚せずに製品リリースまでこぎつけてしまったのか。なぜファームウェアのアップデートで修正可能なのか。まさかバックドアなのではないか。

陰謀論はともかくとして、もう一つの問題は、なぜsystemdはRDRANDを直接使っているのかということだ。Linuxカーネルの提供する/dev/urandomではなぜだめなのか。

その理由は他ならぬsystemdのソースコードにコメントとして記載されている。

https://github.com/systemd/systemd/blob/f90bcf8679e8708788290519dc09371e60c6fc82/src/basic/random-util.c#L34

Linuxカーネルのブートの直後では、十分なエントロピープールが溜まっておらず、/dev/urandomへのアクセスすらかなり長い時間ストールする可能性がある。特に組み込みやVMといった環境では問題になる。このため、systemdはブート直後かつ、UUIDとハッシュテーブルのシードの生成のみにrdrandの値を直接使っている。

UUIDはユニーク性さえあればよく、セキュアなRNGは必要がない。

ハッシュテーブルは攻撃者が恣意的な値を多数登録することで、オーダーをO(1)ではなくすることができてしまう。そのためにハッシュ計算のシードに乱数値をつかている。

当初はsystemdはRDRANDを直接使うなんて馬鹿げたことをするものだと思っていたが、どうもこの状況を考えるに使いたくなる気持ちもわかる。systemdはRDRANDがない環境もサポートしているため、フォールバック実装はあるのだが、rdrandがあるが壊れている環境ではどうしようもない。

現在、systemdにworkaroundがコミットされているほか、ファームウェアアップデートが予定されているそうだが、問題はマザーボードベンダーがアップデートを提供するには時間がかかるため、しばらくはこの問題に悩まされそうだ。

結論としてはAMDが悪い。

2019-07-12

GPLv3でライセンスされた自由な技術書の電子書籍を買う理由

江添亮の詳説C++17の電子書籍の売上に対する印税の通知書がアスキードワンゴから送られてきた。額としては微々たるもので、9ヶ月かけて執筆した労働力に対する収入としては圧倒的に少ない。私がドワンゴに雇用されていて安定した給与所得があるのでなければ割に合わない。回らない寿司が何度か食べられる程度の額だ。

アマゾンで江添亮の詳説C++17を購入:https://www.amazon.co.jp/dp/4048930605

ところで、この本はGPLv3でライセンスされた自由な本だ。当然ソースコードが公開されている。

https://github.com/EzoeRyou/cpp17book

にもかかわらず電子書籍に金を払う理由はなぜだろう。しかも、その電子書籍の中にはAmazonのKindleのような不自由な本も含まれているのだ。

AmazonのKindleで多くの本を読んでいるので、不自由ではあるが同じデバイスで本を読みたいという人はいるだろう。

販売している電子書籍はプロの編集者によって組版されている。ここに価値を見出しているのかもしれない。

あるいは単に筆者に対するお布施かもしれない。

気になったのでTwitterで聞いてみた。

どうやらお布施目的が多いようだ。

技術書の出版が商業的に成立するにはお布施目的だけでは成り立たない。難しいものだ。

それはそうと、私の書いたC++入門書の出版作業をいましている。近いうちにアスキードワンゴから出版できる見込みだ。

https://github.com/EzoeRyou/cpp-intro

今回は、古くからの友人のプロのカメラマンである三浦大に依頼して、著者近影を撮影した。

http://www.masarumiura.jp/

著者近影の写真の著作権は撮影したカメラマンのものだが、それ以外の本はGPLv3だ。

また、C++と並列処理について書かれたAnthony WilliamsのC++ Concurrency in Actionの翻訳もアスキードワンゴから出版される予定だ。こちらは私が査読をする。

2019-07-09

C++20 Deprecate implicit lambda capture of this

C++20 deprecated the implicit lambda capture of this. What does it mean and how can we keep up with the change?

As of now, you probably don't need to do anything. Because it's just the deprecation, not the removal. But in the future, it will eventually be removed so be prepared.

So what is "implicit lambda capture of this" anyway? The following code relies on that behavior.

struct S
{
    int x ;
    void f()
    {
        // C++17: Well-formed
        // C++20: Deprecated.
        [=]{ std::cout << x ; }
    }
} ;

So above code use the variable x. this name x is a data member of class S. So "x" in this context means "this->x". Above code works because lambda capture implicitly capture this pointer. That's why we can use "x" inside the lambda expression.

You may not realize it but this "x" is not captured by copy. In fact, "x" is not captured at all. What lambda capture instead is this pointer. So we can use "x" via the this pointer. So "x" is effectively captured by reference. We can change the value of x.


void f()
[
    auto change_x = [=]( auto value ) { x = value ; } ;
    change_x(123) ;
}

This behavior breaks novice's assumption that lambda capture clause "[=]" means capture by value. People may write code like this:

struct S
{
    int x ;
    auto get_closure()
    {
        return [=]{ return x ; } ;
    }
} ;

int main()
{
    std::function<int()> f ;
    {
        S s{123} ;
        f = s.get_closure() ;
        // s's lifetime ends here
    }
    int result = f() ;
}

Assuming that it's safe because of captured by value and get caught by Undefined Behavior.

C++17 partially fixed this by introducing the explicit capture of this.


struct S
{
    int x ;
    void f()
    {
        // capture this pointer by value, x is reference
        [this]{ x ; } ;
        // catpure *this by value, x means x is value
        [*this] { x ; } ;
    }
} ;

"[*this]" copy the this pointer which means x is accessed through this pointer. "[*this}" copy the *this, that is the value of class object S. Since it copy the class object, x is copied too.

C++17 retained the implicit capture of this.

In C++20, it is decided that the standard deprecate the implicit capture of this via [=].


struct S
{
    int x ;
    void f()
    {
        // C++17: well-formed, it means [=, this]
        // C++20: deprecated, it still means [=, this]
        // C++??: if removed, ill-formed.
        [=] { x ; } ;
    }
} ;

The behavior of "[&]" doesn't change. It still implicitly capture this pointer by value. So the data members are effectively captured by reference. There should be no confusion on this.

2019-06-18

江添ボドゲ会6月30日

以下の要領で6月30日に自宅ボドゲ会を開催します。

江添ボドゲ会@6月30日 - connpass

2019-05-26

ダンスを学び始めて一ヶ月がたった

超会議でダンスを見て、にわかにダンスを学びたいと思ったものの、体が一切動かないので、ダンススクールに通い始めて早一ヶ月、未だに踊れるようにはなっていない。

向上を実感したことはある。まず拍子が認識できるようになった。裏拍もおぼろげながら認識できるようになった。

レッスン中のルーチンの振り付けを覚えられるようになった。始めた当初は、眼の前でインストラクターが実演する8拍や16拍程度の動きが全然覚えられなかった。今はある程度覚えられるようになっている。

ただ、拍子が認識でき、振り付けを覚えられるようになったからといって、体が動くわけではない。手足で表裏を交互に取るような動きは未だに難しい。ヒザで表を取りクラップで裏を取る動作だけは練習して少し体を慣らしたが、汎用的ではない。また、表と裏を交互に切り替えていくような動きも苦手だ。

手と足を同時に動かすことができない。足を正しく動かそうとすると手が動かなくなり、手を正しく動かそうとすると足が動かなくなる。そして、手と足が連動して動いてしまう。例えば歩くように右足と左手、左足と右手を交互にあげていく動きは、右足と右手が同時にあがるナンバ歩きのような動きになってしまう。

BPMが早いと拍子に体がついていかない。全力で無理やり体を動かしてもまだ拍子が速すぎるように感じ、それでも無理やり体を動かそうとすると、途中の動きを1拍飛ばしてしまい、拍子を追い越してしまう。

すでに練習した動作が出てきた場合は、少しはマシに動くことができるので、結局どこでもでてくるような有名な動作は一通り練習して慣れるしかないのだろう。

柔軟は一向によくならない。昔からあぐらをかけないほど股関節が硬かったが、毎日柔軟しても全く変らない。また肩の関節も硬いので、背中で手を組むことができない。しかし、よくわからないことに前屈はできる。なぜここまで体が硬いのに前屈だけはできるのかがよくわからない。

ここ数年は習慣的に運動していたことも幸いして、連日でダンススクールに行けるほどの体力はある。ただし、一週間ほど連日でレッスンを受けると、関節が痛むので、休まなければならない。連日レッスンを受けると、筋肉は問題ないが、関節が限界になるようだ。関節は一度痛めてしまうと回復に時間がかかる。ボルダリングも週に何度もしたいのだが、関節に負荷がかかるために、今は週1にとどめている。

自分の体について考える時、常に体質について意識させられる。どうも自分の体は筋肥大しやすい体であるようだ。単関節の単純な筋トレは自分でも驚くほど短期的に向上するし、見た目にわかるほど筋肥大する。問題は、運動神経が伴っていないということだ。昔から多関節を使う複雑な運動が苦手だった。

筋肉とは名前の付けられた筋肉であっても、すべての筋繊維が一斉に動くわけではない。筋繊維が数十本、数百本と集まった運動単位で動く。筋力を出した質の高い運動をするには、単に筋肥大をするだけではなく、多くの運動単位を一斉に動かす必要がある。そして多関節の運動では、適切な運動単位の一連の動きが必要になる。どうも自分は俗に運動神経と呼ばれている筋肉の動かし方が下手なのではないかと思う。

ダンスのジャンルだが、ダンスを学びはじめる前は、非人間的な動きがしたいのでPOPに興味があった。今通っているダンススクールでもPOPのレッスンはあるのだが、まだあまりにも踊れないので特定のジャンルを銘打たないリズムトレーニングのレッスンしか受けていない。リズムトレーニングのルーチンの動きはだいたいとても簡単で基礎的なものばかりなのだが、一人だけ毎回LOCKでルーチンをするインストラクターがいる。結果的に今は特定のジャンルで言うとLOCKだけを少し練習した状態になっている。

ダンスを学ぶ前に各ジャンルのダンスの動画をひと通り見たのだが、LOCKは地味で良さがわからないという印象を持った。ところが、LOCKをわずかにかじった今、同じ動画を見返してみると、以前は地味に見えたはずのダンサーはとてつもない技量を持っていることがわかり、しかもかっこいいと感じるようになった。

どうもこれは私だけではないらしく、動画サイトで素晴らしいLOCKダンスにも、ダンス未経験者から「地味」とか「同じ動きを繰り返していて単調」みたいなコメントが付けられている。

というわけでダンスを学び始めて一ヶ月だったが、まだ踊れるレベルには達していない。向上が実感できる部分もあるが、まだ時間がかかりそうだ

さしあたってはダンスの経過観察のための動画撮影用にカメラを買いたいが、今の所他の運動でも使い回すことができるので、GoProを買おうと思っている。ただ、今年の秋頃に出るはずの次の製品を待つつもりだ。

2019-05-20

江添自宅ボドゲ会@5月26日

5月26日に下記の要領で自宅ボドゲ会をします。

江添ボドゲ会@5月26日 - connpass

2019-05-18

Epicストア、根回しなしにセールをしてゲーム取り下げが発生しカオスな状況

ゲーム流通プラットフォームであるEpic Storeは、Epic Mega Saleと称して、とても大規模な一時的な値下げを行った。これはほとんどのゲームタイトルを一律10ドル値下げするというもので、値下げ分はEpicがゲームパブリッシャーに補填する。

しかし、一律10ドル値下げというのが問題に鳴っている。50ドルのゲームが40ドルになるならいいとしても、15ドルのゲームは5ドルに、11ドルのゲームは1ドルになってしまう。値下げ分は補填されるとは言え、これは長期的にはとても問題になる。

何故か。ゲームはリリース直後が最も価格が高く、時間が立つに連れて昔のゲームとなるので安くなっていく。これは当然の話で、リリースされたばかりのゲームは最新のスペックで動く最新の技術を使った旬なゲームなので、当然値段を高くして開発費用を回収して利益を出す。しかし、10年前のゲームは10年前のスペック向けの10年前の技術を使った、今となっては見劣りするゲームだ。したがってその価値は低く、値段を安くしないと売れない。

またゲームは、一時的な値下げをして短期的な売上を上げる戦略が行われている。期間限定で値下がりをしているなら、値段が下がっているうちに買おうという心理が働くためだ。

しかし、そのような慣習と戦略が続いた結果、購入者の方でもゲームを購入する戦略ができている。ゲームは待てば必ず値段が下がる。ということは数年前の安くなったゲームを、さらに一時的な期間限定の値下げを狙って変えば、とても安く購入できる。そして、購入するならば市場最安値と同等以下の値段で買いたい。

あまりに需要があるためか、世の中には様々なゲームの値下げをトラッキングしているWebサイトまで存在する。

Deals - IsThereAnyDeal

そのような状況で、Epicの値下げは問題になる。よほど興味のあるゲーム以外は、底値でしか買おうとしない雰囲気が燻蒸されている業界で、一時的にせよ数ドル程度に値下げされたという歴史を持ってしまうと、今後そのゲームは数ドルでしか売れなくなってしまう。その歴史が着くことを嫌ったゲームパブリッシャーが、Epic Storeから次々にゲームを一時的に販売取り下げに走っている。中にはEpic独占販売のゲームや、Epic独占かつプリオーダー状態のゲームですら取り下げられている。これらのゲームはセールが始まってから取り下げられたことを考えると、Epicは事前の根回しなしに急に今回のEpic Mega Saleを始めたことが伺える。

そんな中興味深いのがUbisoftだ。Ubisofthは都合がいいことに、Epic Mega Saleの始まる1週間前から、「Uplayの不具合」という理由で、Epic Storeから全ゲームを一時的に販売取り下げしている。ゲームの販売を一時的に中止しなければならないほどの不具合にもかかわらず、またセール期間中というとても重要な時期にもかかわらず、未だにUbisoftは「Uplayの不具合」を都合のいいことに「修正」できていない。これではまるで、Ubisoftは根回しか内通かスパイなど何らかの方法で事前にEpic側の動向を知っていたのではないかと疑ってしまうほどの都合のよさだ。もちろん、Ubisoftの表向きの理由は未だに「不具合」だ。

なぜEpicがこんな暴挙に出たかと言うと、競合相手のValveのSteamのセールが近づいているので、対抗したかったのだろう。それにしても無計画でカオスだ。長らくSteam一強だったゲーム流通プラットフォームシェアは、果たして揺らぐだろうか。しかし、顧客からするとゲームが急に販売取り下げられたりするのは利便性を上げたりしない。

2019-05-16

ダンスを学び始めたが裏拍が取れない

超会議で見たダンスに感銘を受けてより、ダンスを学ぶことを決意した。さっそくその時見たダンスの振り付け動画を見て体を動かそうとするも、全く動かない。そこでダンススクールに通うことにしたのだが、やはり絶望的に何もできない。それでも頑張って2週間通い続けたところ、音楽を聞くと拍を認識できるようになっていた。今まで私にとって音楽とは、拍も音程もなく、よくわからない雑音に混じって歌詞が流れていくるものという認識でしかなかったのだが、規則正しい拍に合わせているということが認識できるようになった。ダンスの動きも拍に合わせる。なので拍を認識できるようになったというのはいいことだ。

と満足していたところ、ダンススクールのレッスンで、裏拍に合わせて手拍子をするという訓練が行われた。しかし、これができなかった。さらには、ヒザで表拍を取りながら手で裏拍を取れという訓練になり、致命的にできなかった。

裏拍がなんであるかについては理解しているつもりだ。拍には速度というか周期があり、例えばアナログ時計の秒針であれば60BPM(Beats Per Minutes)だ。秒針の音が表拍だ。裏拍とは表拍と次の表拍の中間、秒針の場合、表泊が鳴ってから0.5秒後に存在する拍だ。つまり裏拍は、表拍と表拍の中間とか、あるいは倍のBPMにして、表拍ではない拍などと考えればいいはずだ。

理解はともかく、裏拍が手拍子で取れない。気がつくと表拍に合わせてしまっている。さらに、ヒザで表泊を取りながら手で裏拍を取るのは、ヒザに釣られて手も表になってしまう。拍が認識できない問題と、体が動かない問題の両方があるのだろう。

困った。体を鍛えて動くようになればダンスはできると思っていたが、拍が認識できないのではいくら体がうごいてもダンスができない。

ちなみに、いまだに体も動かない。ダンスレッスンでは100を超えるようなBPMでルーチン振り付けを訓練するのだが、そんな速さで体を動かすことができない。また、手と足を同時に動かすことができず、足を動かそうとすると手が動かず、手を動かそうとすると足は止まる。また、両手でアシンメトリーな動きをすることもできない。つま先と足首で16ビートを取りながらヒザで8ビートを取りステップしろという訓練もできなかった。

ところで、裏拍について調べると、どうも日本語と英語の対応がが混乱してくる。表拍がdownbeatで、裏拍がupbeatのようだ。また、on-beatとoff-beatという言い方もするらしい。あるいはback-beatなる言葉もあり、これは裏拍にあたるらしい。また日本語でも強拍/弱拍があり、これは表拍を強く、裏拍を弱くするといい感じのリズムになるので表拍が強拍、裏拍が弱拍の代わりに使われている文脈もあるらしく、一層混乱する。

また、Twitterに「裏拍が取れない」と愚痴を書き込んだところ、面識のないアカウントからも大量に「そもそも裏拍とはなにか」という解説から始まり、「僕の考えた最強の裏拍のとり方」という指南まで多数のリプライが飛んできた。これは一体どういうことだろう。今のTwitterでは、昔と違い、面識のない人間へのリプライはなかなか行われないのだが、珍しく大量の面識のないアカウントからのリプライがやってくる。世の中には裏拍がわからない人間には裏拍を解説しなければならないという強い思いがあるのだろうか。あるいは、裏拍を認識できない人間というのは、呼吸の仕方がわからないと主張する人間と同じように常識外れであるから、自転車小屋議論になったのだろうか。

どうも世間的には裏拍を認識できない人間のほうが少数派のようで、周りの身近な人間に裏拍が取れないと愚痴をこぼしても、皆、裏拍が認識できないという自体が理解できない様子で、共感してくれる人はまれであった。

唯一得られた共感は、「あー、難しいですよね、ドラムで(両手両足で4つの別のリズムを取るときの一本の)足のスネアを裏拍で取らないといけないのが、なかなかできないんですよー」というものだったが、これは明らかに違う。

2019-05-12

ダンススクールに通って2週間がたった

ダンスを始めたくなったが、全く体が動かないのでダンススクールに連日のように通い始めて2週間たった。

劇的な変化として、音楽から拍子を認識できるようになった。いままで、私は音楽の拍子も音程もほとんど認識できず、したがって全ての音楽は無秩序な雑音にしか聞こえなかったのだが、どういうわけか急に拍子が認識できていることに気がついた。そして認識した表紙に合わせて体を揺らすことができるようになった。

その場で見た振り付けを覚える能力が上がった。ダンススクールではインストラクターが振り付けを数回実演し、その後はその振り付けを繰り返すことになるのだが、これが最初、まったく覚えられなかった。2週間たった今、この振り付けを短時間で覚える能力が上がった。まだ十分ではないが、少なくともだいぶ向上した。

レッスンでは必ず柔軟が行われるが、股関節の硬さについてはまだなんの向上もない。現状では、私はあぐらが書けないほど股関節が硬いのだ。周りの受講者と比較しても、ここまで股関節が硬い人間はそういない。

レッスンでは腹筋やプランクのような筋トレも行われるが、これについては日常的にボルダリングをしているためか、問題なくこなすことができる。基礎的な筋力がすでについているというのは恵まれている。私にとってプランク姿勢を3分間維持するのはそれほどのことでもないのだが、どうも平均的には3分間維持できない人のほうが多いようだ。

アイソレーションについては、首の左右が難しい。また個別の動きはできるものの、つなげて円を描くように動かす動作を速くすると、動きが雑になってしまう。

肝心の振り付けはいまだに体がまったく動かない。振り付けを覚える能力が向上したために、なおさら目標の振り付けと自分の実際の体の動きの乖離を強く認識するようになった。ゆっくりと確実に動かしていくならばできるのだが、音楽の拍子に合わせて動かすと、あまりにも動きが早すぎるために、体がついていかない。

日頃から運動しているおかげか、ダンススクールのレッスン単体では筋肉痛にならないのだが、この2週間、ほぼ連日でレッスンを受けたために、徐々に疲労が蓄積している感じがする。軽い筋肉の張りを感じるので、もったいないがここは数日ほど休んで体の回復を待つべきだろう。

2019-05-07

マイクロソフト、無駄な抵抗を辞めてWSLに本物のLinuxカーネルを同梱する

Announcing WSL 2 | Windows Command Line Tools For Developers

「自分らはLinuxカーネルだ。防衛を解除して投降せよ。自分らの技術上の差異は自分らのものとする。自分らの文化は自分らの益とする。抵抗は無意味だ。」

マイクロソフトはWSL 2で本物のLinuxカーネルを同梱して利用すると発表した。

最初のWSLは、マイクロソフトによるLinuxカーネルのシステムコールの互換実装であった。これは様々な互換性とパフォーマンスの問題を抱えていた。互換性は果てしなく低く、パフォーマンスは主にファイルシステム周りがとてつもなく遅かった。

新しい実装であるWSL 2では、本物のLinuxカーネルを使い、完全なシステムコール互換性を実現する。このLinuxカーネルはマイクロソフトによってビルドされている。最初のバージョンはLinux 4.19となる。WSL 2用に変更を加えていて、これは「オープンソース」となる(RMSがまなじりをことごとく割き、怒髪冠を貫く勢いで激怒しそうな誤用でここは自由ソフトウェアというべきである)

本物のLinuxカーネルを使うことにより、WSL 2では圧倒的なLinuxシステムコール互換とパフォーマンスの向上が行われる。

パフォーマンスでいうと、初期テストではtarballの展開が20倍、git clone, npm install, cmakeなどの操作が2-5倍、パフォーマンスが向上する。

互換性という点では、Linux版のDockerが実行できるようになる。また、LinuxカーネルのFUSEを使えるようになる。

FUSEのサポートは興味深い。

2019年の6月末にWindows Insider Programで配布開始されるそうだ。

2019-05-05

CloudflareのDNSからArchive.isが解決できない問題について

Tell HN: Archive.is inaccessible via Cloudflare DNS (1.1.1.1) | Hacker News

あの有名な1.1.1.1であるCloudflareのDNSから、Archive.isが解決できない。なぜかCloudflareはローカルホストを返す。というHacker News上での質問について、Cloudflareの創業者の一人であるMatthew Princeが回答している。

We don’t block archive.is or *any other domain* via 1.1.1.1. Doing so, we believ... | Hacker News

1.1.1.1ではarchive.isも含むすべてのドメインを検閲していない。検閲は我々がサービスを立ち上げたときにユーザーに約束したDNSの正当性とプライバシーとセキュリティを損なう。

archive.isの権威DNSサーバーは我々のクエリーに対し、1.1.1.1に対して間違った結果を返す。私はClouldflare側での修正を担当部署に提案したが、そのような変更も、我々がサービス立ち上げ時にユーザーに約束したDNSの正当性とプライバシーとセキュリティを損なうものであると、正しく、指摘された。

archive.isのオーナーの説明では、間違った結果を返すのは、我々がEDNSサブネット情報を渡さないからであるという。この情報は名前解決を要求するユーザーのIP情報をリークし、それによって、ユーザーのプライバシーが犠牲になる。我々がより一層のDNSトラフィックの暗号化を推し進めるにあたってこれは問題になる。というのも、リソルバーから権威DNSへの通信はたいてい平分だからだ。国家の諜報機関がEDNSサブネット情報を監視して個人を特定している状況が現実に起こっている。この現状が1.1.1.1のプライバシーとセキュリティポリシーの理由にもなっている。

EDNS IPサブセットはDNSベースのロードバランスをするサービスに、地理情報に応じたレスポンスを返すのに使われている。しかし、1.1.1.1はCloudflareの現在180都市に展開している全ネットワークで提供している。Cloudflareは、Cloudlfareがクエリーする場所の地理情報を渡している。これにより、Cloudflareよりも密度の低いネットワークであれば、適切なDNS結果を返すことができるだろう。archive.isのような小規模な運営であれば、EDNS IPサブネットの代わりにCloudflare PoPを使っても、地理ロードバランスが妨げられることはない

Cloudflareよりも密度を持つネットワークやISPであるごく一部(例えば、Netflix, Facebook, Google/YouTube)については、EDNS IPサブネットに変わる、プライバシーとセキュリティーを損なうことなく地理情報に応じた対応ができる機能を協力して策定中である。これらの議論はまだ進行中だ。archive.isがこの枠組みで提案があるのであれば、我々は考慮する。

なるほど。ユーザーの地理に応じてDNSロードバランスで最適なIPアドレスを返す場合、EDNSサブネット情報を使うが、これは、ユーザーの位置情報(EDNSサブネット情報)が、ユーザーの利用するDNSサーバー(この場合Cloudflare)から権威サーバー(archive.is)に渡ってしまう。Cloudflareは大規模に世界各地にDNSサーバーを設置し、ユーザーのEDNSサブネット情報は渡さず、CloudflareのDNSサーバーの位置情報を渡す。これによってユーザーの具体的な位置ではなく、CloudflareのDNSのサーバー単位の位置情報になるので、ユーザーのプライバシーがやや保たれる。

興味深い。

2019-05-02

奇妙な乗り物、SBykeを購入した

SBykeという奇妙な乗り物がある。言葉で説明するより、動画を見たほうが早いだろう。

SBykeに最も近い形状の乗り物はキックスクーターだ。ペダルもハンドクランクもない軽車両で、地面を蹴って人力で進むという点ではキックスクーターに近い。ただし、キックスクーターとはだいぶ異なる乗り心地になる。

SBykeは前輪にBMXの大きなエアタイヤがついている。前輪はボードに固定されていて曲がらない。取っ手はステアリングではなく単なる取っ手だ。ターンは後輪で行う。スケートボードのように、リーンすると後輪が曲がるようにできている。前輪には自転車によくあるブレーキもついている。

SBykeは2012年にリリースされた割と新しい製品だ。ホイール径の大きなエアタイヤのキックスクーターを探していて発見した。そのあまりにも奇抜すぎる仕組みが気になって即座に購入してしまった。

無事に自宅に届いたが、まず組み立てなければならない。組み立ては付属の六角レンチだけでできるのだが、いろいろと不親切だった。まずトップデッキの上からネジを貫通させるのだが、トップデッキには穴が空いていなかった。そして、ネジが一本、どうやっても回りきらず浮いてしまう。浮いてはいるものの、このネジ一本だけでも固定されているので、固定はされているものと考えて残りのネジも締めた。そして、タイヤの空気が入っていないことに気がついた。SBykeはアメリカの会社の製品なので、タイヤチューブのバルブは米式であった。しかたなく英米仏3方式に対応した空気圧ゲージもついている空気入れを注文して、数日を無駄に過ごした。

空気入れは届いたが、あいにくとその日は雨が降っていて乗ることができない。今日、ようやく初めて乗ることができた。

SBykeはとても乗りづらい乗り物であった。そもそもリーンしないと曲がれない上に、リーンしすぎると曲がりすぎてしまう。しかし、浅くリーンした状態を維持することは難しい。果たしてこの乗り物に問題なく乗れる日は来るのだろうか。

2019-05-01

ダンスを学びたかったのでダンススクールに行ってみたが教育ではなかった

超会議2019でとても切れのあるダンスに感銘を受けたので、にわかにダンスを学びたくなった。ちょうどスノーボードもシーズンが終わり、新しい有酸素運動を欲していたところだ。ダンスは丁度いい運動になるのではないか。しかし、ダンスはどうやって学べばいいのだろう。私はボルダリングとスノーボードとキックスクーターをしている。したがって私は日頃からある程度運動をしている状態にある。しかし、体の動かし方がわからない。スノーボードではインストラクターがとても役に立ったので、ダンスでもインストラクターから学べばいいのではないかと思い立った。幸い、ダンススクールは都内にたくさんある。ゴールデンウィークを幸いに、インターネット上で検索して自宅からも職場からも近い、通いやすいダンススクールに行ってみた。しかし、期待していた教育ではなかった。

天才は教育で作ることができる。天才を科学的に研究している研究者の著書、Peak: Secrets from the New Science of Expertiseによれば、様々な人間の才能は教育で作ることができる。例えばランダムな数字桁の暗記、絶対音感、バイオリンの演奏といった技能は、教育することができる。これらは先人がすでに効率的で効果的な教育方法を確立させているからだ。

私は、ダンススクールに教育を期待していた。ダンスを構成する動きを1挙動ずつ区切り、そのときの荷重や跋重、重心の位置、遠心力などを力学的に解説し、適切な体の動かし方を学ぶ教育を期待していた。スノーボードではそのような教育が確立しているらしく、プロのインストラクターにかかれば未経験者が2時間でトゥエッジのサイドスリップができるようになり、4時間でターンができるようになり、6時間で連続ターンができるようになる。

私が行ったダンススクールにおける「レッスン」は以下の通りであった。

鏡張りのフロアで爆音で音楽を流し、音楽に合わせてインストラクターが演技をするので、各自その動きをマネる。まず体操をし、続いて筋トレをし、短い振り付けを反復練習し、時間が来たので終わるという形であった。インストラクターの動きはすばらしかったが、インストラクターはほとんど助言をしなかった。ただ手本となる演技をするだけだ。

これは教育だろうか。私には、学ぶための環境と見本を用意しただけにしか見えない。教育はしていない。環境はよい。仕切りのない広い部屋で、床は硬いながらもやや衝撃を吸収するようにできており、壁は鏡張りだ。建物は防音されているので、激しく踊っても近所迷惑にはならない。見本もよい。インストラクターの動きは私をしてダンスを学びたいと感銘を受けたあの名前も知らぬ踊り手同様によい。しかし、ほとんど指導はなく見て模倣して覚えるしかない。

設備も気になる。なぜあんなに耳が痛くなるほど爆音で音楽を流さなければならないのか。部屋は防音されていて中から外に音が漏れることはないし、外の音は聞こえない。しかもレッスン中の受講者は私語せず黙々とインストラクターの動きを真似るだけ。音量が過剰だとしか思えない。あまりに耳が痛く不快なので音に合わせることができない。爆音のなる中でインストラクターはごく稀に指導らしきことをつぶやいているのだが、爆音にかき消されて全然聞こえない。なぜマイクが用意されていないのか。そもそも爆音である必要はない。そして、インストラクターは音楽を操作する必要があるごとに装置の前まで移動する。なぜ遠隔操作できるようになっていないのか。

立地はよいし、月謝はそれほど高くなかったので、とりあえず一ヶ月行き放題の契約をしてみたが、これでダンスが学べる人間は、別にスクールに頼らなくても学べる気がする。

ところで、私がダンスを学ぶ上で障害がひとつある。私は騒音が苦手なのだ。そして、私にとって大抵の音は騒音として認識される。

理由はよくわからない。医師ではない他人からは聴覚過敏の可能性を指摘されているのだが、正式に診断を受けたことがないのでわからない。それに、自分でも不快だと感じる音が一貫していない。例えば、今この文章を書いている間に外から車の音と雨の音がしているが、これはさほど不快ではない。また、私はこの文章を書くのにCherryMXの青軸を使っていて打鍵のたびにカチカチというクリック音がなるのだが、これも不快ではない。むしろしっかりと打鍵したことが認識できるので快適ですらある。私の妻は家で常に謳っていたり踊っていたりしているのだが、これもさほど不快ではない。あるいはスピーカーから出る音が苦手なのだろうかと考えたこともある。妻がスピーカーから音楽を鳴らしているのは極めて不快だ。しかし私がビデオゲームをしている時は操作に応じて効果音がフィードバックとして流れてほしい。ゲームの効果音は不快ではないし、ゲームが面白い場合、その音楽もたいてい不快ではない。駅のホームのスピーカーで流れているアナウンスもさほど不快ではない。

そもそも音楽を聞くことは好きではない。たまに無性に音楽を聞くこともあるのだが、純粋に音楽を聞くのではなく、その音楽に付随する文脈が面白いから聞いているのだ。例えば気に入ったアニメやゲームの音楽であるとかだ。

興味深いので一度医師の意見を聞きに行ってみたいとはつねづね思っているものの、健康診断の聴力テストで問題になったことはないし、人の声が聞き取りづらいと感じたこともないし、集中して作業する時はそもそも静かな環境を好むのは他人と変わらず、したがって日常生活でさほど不便を感じていないので、なかなか病院に行って医師の意見を求めるほど切実な問題にはなっていない。ストレスや疲労によって音の不快度が変わったりはしないので精神的なものでもないだろうし、特に何か治療できるものだとも思われない。しかし、今回は困った。ただ、単純に音量が大きすぎるだけではあると思うのだが。

ただ、今回レッスンを受けた限りでは、インストラクターはほとんど指導らしい指導を発声しないので、workaroundとして爆音の音楽をリズムが取れる程度の音量にまで軽減するために、耳栓をしても変わりはない気がする。

ところで、肝心の手本であるが、体操は体が硬いために一部の動きができず、筋トレは変則的な体側を起こす片手腕立て伏せ書く10回、各種腹筋合計2桁回、プランク数十秒程度のものであったので問題なくこなすことができ、振り付けは圧倒的なリズム感のなさと耳をつんざくほどの不快な爆音音楽のせいでタイミングがあわず、まるでできなかった。そもそも手本を見ながら数回ゆっくり流しただけであとは反復練習しろというのはダンス未経験者にはつらすぎる。

以上のようなことを知り合いの踊り手に相談したところ、大抵のダンススクールとはそういうところだ。そもそも体ができてなくて動かない人間にいくら力学的なことを教えても意味がない。ダンスなんて自分で学べ。本当に基礎からやりたいならひたすら柔軟とか、1時間クソつまらないな動きを繰り返すことになる。それがやりたいならバレエの基礎をやるべきだ。ただしすでに言ったようにクソつまらないので根気がなければ続かない。ダンスをなめるな。とボロクソに言われた。

結局、Peak: Secrets from the New Science of Expertiseに書いてあったように、先人が効率的な教育方法を確立させている歴史のあるものを学んだほうがよいということか。

2019-04-18

CoinHive裁判の控訴審費用の寄付をした

Coinhive事件裁判費用の寄付のお願い - 一般社団法人日本ハッカー協会

私はCoinHiveは実行しても安全なプログラムであり不正指令電磁的記録にあたるとは考えていないので少額ながら控訴費用の寄付をした。

プログラムは魔法ではない。

2019-04-10

IIJに対してマルウェア対策のDNSブロッキングについての質問の回答

私の使っているISPであるIIJmioひかりはマルウェア対策のDNS検閲を開始すると宣言した。

IIJのセキュリティに関する取り組み | インターネットイニシアティブ(IIJ)

IIJの説明を読むと、IIJの提供するDNSサーバーは、マルウェアが指令や通信をするのに使うことが知られているC&Cサーバーのドメイン名の解決を行わないのだという。彼らはこれをDNSフィルタリングと読んでいるが、私はDNS検閲と呼ぶことにする。あるいは少し前に話題になったDNSブロッキングと呼ぶのもよい。

IIJによると、DNS検閲はデフォルトで有効であり、オプトアウトするためには、IIJが用意したDNS検閲を行わないDNSサーバーを使う必要があるという。

しかし、このDNS検閲の実装方法や、マルウェアの定義が疑問なので、IIJに対して質問することにした。

質問「DNSフィルタリングを行うDNSサーバーは、ユーザーを契約単位あるいは何らかのフィンガープリントで識別し、特定のユーザーに対して個別にDNS問い合わせの結果を変える機能を持っていますか?」

この質問はとても重要だ。もしDNSサーバーがこのような機能を持つ場合、きわめて深刻な悪用ができるからだ。

以下のような回答が得られた。

・弊社のDNSサーバでは特定のお客様のみに異なる結果を返す機能は
 設けておりません。
・今回の弊社DNSフィルタリングの仕組みは、弊社側でDNSフィルタリングを
 適用するDNSサーバと適用しないDNSサーバの両方のDNSサーバを用意し、
 お客様の判断で選択(オプトアウト)を可能としています。
・また、フィルタリングが適用されたDNSサーバにおいては、その通信先が
 レピュテーションデータに該当した場合、IIJが別途用意するサーバの
 IPアドレスに宛先を置き換えることで、本来の宛先へアクセスしないように
 しています。
・尚、オプトアウトの方法については、下記弊社ホームページにてお伝えして
 います。https://www.iij.ad.jp/sec-statement/

そのような機能はないという。ただ、興味深いことに、マルウェアが利用するドメインに対しては、IIJが管理するIPアドレスを返すという。情報収集のためのハニーポットかもしれない。しかしこれはよくよく気をつけないと、ミイラ取りがミイラになりかねない。IIJの用意するハニーポットがパーサーを使って通信を解析している場合、マルウェアのふりをして通信し、そのマルウェアからは想定しないデータを送りつけ、パーサーの実装の不備を着くことが可能になるかも知れない。

次の質問は、マルウェアの定義についてだ。

Winnyのような通信はマルウェアではない。利用者の意図通りの動作をしているからだ。たとえその通信の内容が、著作権侵害、薬物取引、マネーロンダリング、児童ポルノ、違法素数などの違法な内容であったとしても、マルウェアのみの対策と宣伝する以上、マルウェア対策以外のことは行うべきではない。

CoinhiveのJavaScriptコードを提供するドメインと、計算結果を受け取るドメインはどうか。兵庫県警はマルウェアだと主張するかも知れないが、私の意見ではマルウェアではないし、C&Cサーバーでもない。

Tor relay/exitノードや、似たようなプロクシー機能を提供するものについてはどうか。これは私の意見ではマルウェアではないし、C&Cサーバーでもない。

pastebin.comのようなユーザーからの任意のテキストをホストするようなサービスは、マルウェアのC&Cサーバーとして使われうる。しかし、pastebin.comは今の所、マルウェアのC&Cサーバーとして利用されているという情を知った時点で迅速な対応を行っている。マルウェアのC&Cサーバーとして使われうる機能を提供しているのと、意図をもってC&Cサーバーとなっているのは別だ。私はpastebin.comのようなサービスは検閲されるべきではないと考えている。これはどうか。

単なるフィッシングサイトでマルウェアのC&Cサーバーとしては使われていないものはどうだろうか。マルウェア対策のDNS検閲という以上、単なるフィッシングサイトは検閲しないはずだ。

そのような考えから以下の質問を送ったところ、回答が得られた。

・IIJmioひかりがDNSフィルタリングを実施する対象に該当すると判断
    するものをお答えください。
 ・Coinhive風のサービスにおいて!JavaScriptプログラムをホストし
    または計算結果を受け取るサーバー
  ・Winny等のファイル共有プロトコルで通信するサーバー
  ・Tor relay/exitノードまたは似たようなプロクシー機能を提供するサーバー
 ・pastebin.com風のサービスを提供するサーバーで、マルウェアが
  指令の受信や情報の伝達に用いるものであって、
  サービスの管理者はマルウェアによって悪用された場合の対応を迅速
    に行う体制を整えているもの
 ・単なるフィッシングサイトであって、マルウェアとは関わりがないもの
----------------------------------------------------------------------
(ご回答2)
・今回ご指摘いただきました対象に関しては、現在、弊社のフィルタリング
 対象に該当するものはございません。しかしながら、複数の条件が重なる
 などして、悪意あるマルウェアの通信先と判断された場合は、フィルタリン
 グ対象となる場合がございます。
 そのような場合には再度分析を行い、対象の見直しを実施いたしますので、
 正常な通信先がフィルタリングによって遮断されている可能性がある場合は、
 弊社窓口 support@iijmio.jp までお問い合わせください。

この回答をみるかぎり、IIJと私はマルウェアについて互換性のある定義を持ち合わせているようだ。

この結果を考えて、私はIIJのDNS検閲をオプトアウトするかどうかを考えなければならない。オプトアウトは簡単だ。IIJが別途用意した自称DNSフィルタリングを行わないと主張しているDNSサーバーを使うようにすればよい。これはルーターにDNSサーバーのIPアドレスを手動で設定するだけでいい。これができないような人間はDNS検閲されていたほうがインターネット全体のためにも安全だ。

ただし問題は、オプトアウトをする人間は圧倒的少数であろうということだ。インターネットにおけるプライバシーを考えるにあたって、少数派はその分余計なフィンガープリントを抱えることになり、目立つのだ。ましてや、国家の諜報機関は、意図的にDNS検閲のオプトアウトをした人間を怪しいとみなし、重点的に秘密裏に通信内容を傍受して捜査するかも知れない。私が国家の諜報機関(緊急避難と称して捜査令状も取らずに秘密裏に違法に捜査する機関を想定している)ならばそうする。

今のところ私はマルウェアを研究しているわけではないので、IIJが回答どおりの運用をするのであれば、今のところはオプトアウトをしなくてもいいかも知れない。悩ましい問題だ。あらゆる検閲は悪であるので当然オプトアウトすべきだが、オプトアウトすると目立って通信を傍受される可能性が高まるので、気軽にオプトアウトすることもできない。

2019-04-08

引越し祝い江添ボドゲ会@4月14日

引越しが完了したので4月14日に自宅ボドゲ会をします。

江添引越し祝ボドゲ会@4月14日 - connpass

同じ住所を複数の建物が共有しているので、正確な住所は経度緯度を指定した以下のGoogle Mapsで確認してください。

https://goo.gl/maps/cRYmRtqo7gR2

前の家と70メートルしか離れていません。前の住所に来たことがある人は、コンビニを通り過ぎ、弁当屋の前の角で曲がり、2軒め。道路に面しているドアは裏口で、玄関は左脇を入って裏。

気が付かず技術書展とかぶってしまった。

2019-04-06

スノーボード12回目

3月31日の日曜日に、11回目となるスノーボードに行ってきた。今回はかぐらスキー場に行くことにした。なんでも、かぐらスキー場は雪質がよいらしい。ただし、事前に得た情報によると、バスが混み、雪質も上の方まで行かないとよくないらしい。

かぐらに行くには、越後湯沢駅からバスに20分乗る。越後湯沢駅周辺のスキー場の多くが無料シャトルバスを出している中、かぐら行きのバスは有料だ。しかも荷物があると100円増しの片道480円かかる。往復だけで千円ほどかかる。ただし、更衣室のロッカーは500円だった。ガーラ湯沢のロッカーが千円であることを考えると、500円の差だ。また、私は利用しないが板とウェアを一式レンタルする場合、かぐらの方が安い。

かぐらスキー場のふもと、みつまたステーションの更衣室は狭かった。こんなに狭くて混み合ったりしないのかと思ったが、案外混んでいない。どうやらかぐらに行く客層は車で来るか、地元民か、周辺の宿の客であることが多いようだ。

みつまたステーションからゴンドラでゲレンデのふもとまで上がる。このゴンドラ、とても大きな多人数乗りのゴンドラであった。さながら満員電車のようにゴンドラにすし詰めになって乗車する。

さて、かぐらについたので今回は普通に滑ろうかと思ったが、ふとスノーボードスクールの看板が目についた。なんとかぐらのスノーボードスクールでは、コブレッスンなるコースがあるそうだ。これは興味深い。すでにきれいに圧雪された斜面ならば楽しく速度を出して滑り降りることができる腕前になっているが、圧雪されていないコースではとたんに何もできなくなってしまう。コブの滑り方の動画を何本も見たものの、いまいちよくわからない。わざわざコブレッスンという枠を設けるからには、ここのインストラクターはコブの滑り方を教えるのにもなれているに違いない。

しかし、スクールを受けるとそれだけで今日1日が終わってしまうだろう。圧雪面ならばほぼ直滑走に近い滑り方で楽しく滑ることができるようになった今、そしてもしかしたら今回が今シーズン最後のスノーボードになるかもしれない状況で、8千円も払って1日スクールを受けるべきだろうか。

少し悩んだが、スクールを1日受けることにした。結論から先に書くと、これは正解だった。

スクールで、コブレッスンの受講者は私一人だったために、実質プライベートレッスンになった。まずこれがとてもよかった。

その時の私のスノーボードは、カービングターンを練習するためにスタンス角が前30度後18度という極端な設定になっていた。インストラクターの助言に従って、スタンス角を前18度後0度に変えた。

まず、圧雪された斜面で、非圧雪面で安定してターンする方法を学んだ。ターンについて今までは、姿勢を前にするために目線は進行方向を見るとか、ロテーションを使うとか、角付けをするといったことを学んでいた。ところが、今回マンダ非圧雪面で安定してターンする方法は完全に真逆であった。目線は常に谷側に向ける、角付けをせずにフラットに乗る。ということを教わった。

非圧雪コブ斜面にはすばやいショートターンが必要で、そうなるともう目線を悠長に左右に動かしているヒマはない。進行方向というのは常に谷側だ。

ターンのときに角付けをすると、カービングターンになってしまう。スライドはさせてもカービングターンとして速度が出てしまう。まずはできるだけ速度を落としてゆっくりと確実に滑り降りたいのに、速度が出てしまっては問題だ。まだエッジで起伏に乗り上げると不安定になる。そこで角付けを抑えてエッジではなく面で乗ることによって起伏のある非圧雪面でも安定させる。ターンの際に角付けを抑えるには、リーンアウト(アンギュレーション)を強く意識する。ターンするときには体はターンの内側にリーンするのだが、この時体をリーンの逆側に起こすことにより、体を安定させる。アンギュレーションをさらに強く入れることにより板をフラットに接地させる。

圧雪面で説明を受けながら滑っている時は全然実感が沸かなかったが、実際に非圧雪面に入ると、明らかにターンの安定が違う。まだ連続ターンまでは行かないものの、単体のターンをして転ばずに立っていられるようになった。今まではターンをしようとノーズドロップし、あまりに速度が出すぎるために無理やりブレーキをかけ、その勢いで転んでしまっていたのだ。それが確実にターンして転ばずに止まることができるようになった。

その後、コブレッスンというのに圧雪面や単に柔らかい雪が積もっているだけの面だけでは退屈だろうということで、インストラクターはしっかりとしたコブが形成されている斜面に向かった。コブの山から山にサイドスリップで移動する訓練をした。途中まではうまく進めたのだが、一度失敗すると立て直しが困難だった。かぐらはコブの練習にとても良いことに、広いコースに圧雪面と非圧雪面が並走していて、横に移動するだけでコブから脱出できる。立て直しができないので脱出して休憩している横を、常連のスノーボーダーがコブの谷をターンしながら滑り降りていった。

他にも、盛り上がった壁や小山に乗り上げて頂上でターンして戻ってくる滑り方を学んだ。これはすでによそのスキー場で、慣れたスノーボーダーがやっているのを何度も見ているが、とても私にはできそうではないと挑戦すらしていなかった滑り方だ。ただ、実際にやってみると案外あっさりと成功させることができた。以前はできるわけがないと思っていたスピンもできるようになっていたりするので、知らず知らずのうちに上達していたらしい。

ゴンドラに載っている間、インストラクターが私の仕事について聞いてきたので、逆にスノーボードのインストラクターは夏の間は何をして生計を立てているのかと聞いてみた。これは様々で、飲食店で働いているものもいれば、スノーボードショップで働いているものもいるし、運送業や土方をしているものもいるという。

私を担当したインストラクターはだいぶ極端な趣味に生きる人間のようで、夏の間はひたすら金をため、シーズンの間は仕事をやめて毎日のように滑るのだという。実はインストラクターは生計を立てるための仕事ではなく、たまたま滑ってお金ももらえる補助的な仕事にすぎないのだという。

実際、かぐらではレッスンを受けるような人はなかなか来ないという。

結論として、かぐらはコブの練習にはよいスキー場であった。コブの練習をしたいときにまた来ようと思う。

2019-04-01

npm社、社員を無責任に解雇

https://twitter.com/fharper/status/1111694552262459393

npm社が人を解雇したそうだが、そのやり方があまりにも無責任すぎる。

NPM社に雇われていたFrédéric HarperはNPM社をクビになったが、その際、2週間分の給料を支払う代わりに、解雇された事自体をNDAする契約を迫られたとのこと。しかも解雇の事実とNDAの契約を伝えたのは社外の請負で、NPM社員は一切顔を出さなかったとのこと。彼の直接の上司は彼が解雇されることを知らなかったとのこと。そして今の今までNPM社の管理職からこの件について一切の連絡がないそうだ。

彼は今まで3度、経営の悪化により会社を解雇されてきたが、いずれの会社でも管理職は人間的で、経営状態によりやむをえずして解雇することを告げてきたので、解雇には慣れているが、今回の解雇はあまりにも非人間的であったそうだ。

2019-03-28

スノーボード10回目と11回目

またスノーボードに行ってきた。先週の日曜日にガーラ湯沢、翌週の今日、土曜日に舞子スノーリゾートに行った。

10回目はカービングターンを学びにガーラ湯沢のスクールに行った。

カービングターンは今まで学んできたことの逆をやらなければならない。スライドターンでは積極的にロテーションを使う。カービングターンではロテーションを抑える。スライドターンでは逆エッジしないように注意する。カービングターンでは積極的に逆エッジしにいく。

ロテーションを強く入れてしまうと、ボードはスライドしてしまう。なのでロテーションは抑えなければならない。カービングターンでのエッジの切り替えタイミングは谷周りに入る斜面に対して横に滑っている最中だ。エッジを切り替えてリーンしてバランスを保つ。

午前中のレッスンでは、エッジを立ててエッジだけで曲がることを実感した。もう立派なカービングターンだ。しかし、午後のレッスンではエッジで曲がることができなくなってしまった。これはどうも、レッスンの間の昼に滑り過ぎて筋肉が疲労しているのと、午後になって雪質が変わり、午前と感覚が違うことによるものらしい。また疲れてきて目線が谷側を向いてしまい、それに引きづられて体も谷側を向いてしまうのも問題のようだ。

結局この日はカービングターンを習得できなかった。カービングターンの感覚と、カービングターンに必要な動作や訓練方法は一通り学んだので、あとは練習だ。

この日はレッスンの後もまだ滑っていなかった奥の方にある中級者コースを連続して滑った後、下山コースも滑ったので、すっかり右足が筋肉痛になってしまった。この筋肉痛はなかなか取れなかった。しかし、ヒザの痛みはない。

右足の筋肉痛の回復には実に5日間かかった。もうシーズン終わりまで日がないので、土曜日に滑りに行くことにした。こんどは舞子スノーリゾートに行くことにした。一ヶ月半の成果で、かなり滑ることができるようになっているはずなので、今回はレッスンを入れずに気楽に滑ることにした。

舞子スノーリゾートは越後湯沢駅から無料のシャトルバスで20分のところにある。もうシーズンも終わりかけだということを考慮しても人が少ない。これでも土曜日なのだ。周りを見ると、どうやら一人で来ている者はほとんどいないようだ。だいたい家族連れや仲間と来ている。

舞子スノーリゾートはふもとにある日帰りセンターで着替え、ゴンドラで頂上まで上がるスキー場だった。頂上にある短いコースを往復するか、あるいは長いコースを滑ってふもとまで降りてまた登るかの二択のようだ。

どうもレッスン無しですべっていると、きれいにロングターンをする気にはならない。ほとんど直滑走のように滑ってしまう。ただでさえ人が少ないのに、中級者コースは特に人が少ないので、遠慮なく速度を出すことができる。どうやら、直滑走に少しだけ左右にリーンして交互にエッジをたてていくことで、安定して高速でほぼまっすぐ滑り降りることができるようだ。湯沢中里スノーリゾートでも似たようなことをしたが、リーンをいれると特に安定するようだ。

カービングロングターンも練習してみたが、どうにもスライドが混じってしまうように思われる。

未だに滑ることができないのが非圧雪コースだ。圧雪した雪面は安定して楽しく滑ることができるようになったが、非圧雪には歯が立たない。傾斜があるのでノーズドロップをするだけで速度が出る上、すぐにコブに乗り上げて不安定になる。ターンをしようとしても、コブを横切る形になるので不安定で続かない。なんとかゆっくりとサイドスリップで下ることができる姿勢を発見することができたが、これは全然楽しくない。果たして次のシーズンは非圧雪の上級者コースを滑走できるようになるのだろうか。

いろいろと調べると、スノーボードで非圧雪コブ斜面を滑るのは、スキーとはやり方がだいぶ異なるようだ。

コブ斜面はあのように形成してあるのではない。滑った雪は圧雪されて固くなり、へこんで谷を形成する。後に続く者も先達の滑った後をたどると、さらに谷が圧雪されてコブが形成される。

問題は、スキーとスノーボードでは形成されるコブが異なる。スキー場に発生したコブのほとんどはスキーによって作られている。スキー板は細いので、スキーによって作られたコブの谷をスノーボードで辿ろうとすると、そもそも谷が狭すぎて入らないことまである。

そのため、スノーボードは太さと安定性を活かして、コブの谷ではなく山を滑る。起伏の激しい斜面を滑ると不安定になる。起伏に乗り上げた衝撃を脚で吸収するために、常にヒザを曲げてやや低い姿勢で滑るようにする。フラットに滑ると不安定になるので、エッジを切り替えるタイミングをすばやくし、フラットの時間を短縮する。またロテーションやカウンターロテーションを強く入れると不安定になるので、ボードの上に安定して乗る姿勢を維持する。起伏に乗り上げる時はオーリーのようにノーズを上げて、次にテールを上げる

いくつかのスキー場の行ったので、感想をまとめてみる。

ガーラ湯沢
東京から日帰りするのに余計なオーバーヘッドが一切ない。駅直結ですべての用意が揃い、同じ建物内からゴンドラに乗ってゲレンデまで上がるので歩きにくいスキーブーツでも歩く必要がない。スキー場としては小さい上に、行きやすくて人気なのでとても混んでいる。標高が高いので雪質もよい。
白馬八方尾根スキー場
圧倒的に広い。コースはスキー向けの作りになっている。全体的に難しい。ただし広いのでスノーボードで滑って楽しいコースもある。長野駅からバスで70分かかるので交通事情が辛い。
湯沢中里スノーリゾート
越後湯沢駅からバスで10分ほど。スキー場はふもとから始まっているため雪質が悪い。というか単純に雪が汚い。横に広い雪面が3枚ほどある。安さとスノーボードと相性のよい広いほどほどに傾斜のついた雪面のせいか、スノーボード初心者が圧倒的に多かった。スキーはほとんど見なかった。ほとんど初心者と、友人の初心者を教える経験者ぐらいしかいないので、中級者コースは誰もいないほど空いていた。
舞子スノーリゾート
ゴンドラに乗って上に行けば標高が高く雪質はよい。広い。私が行った時は休日だがそれほど混んでいなかった。頂上で短く傾斜の強いコースを繰り返し滑るか、頂上に行ってふもとまで下山するコースを繰り返すかの二択になる。
軽井沢プリンスホテルスキー場

東京から67分で行ける軽井沢駅を降りてすぐの場所にある。ただ、駅前にあり見えているとはいえ、広いのでスキー場まで駅から5分10分ほど歩くかバスに乗って移動しなければならない。また滑るまでの工程が面倒だ。まずリフト券の建物を探してリフト券を買い、レンタルの建物を探してレンタルし、レンタルショップで着替え、そのままコンクリートの道を歩いてクロークに荷物を預けに行かなければならない。ソフトブーツのスノーボードならばともかく、スキーブーツで歩いて移動させられるのは辛い。

スキー場は中級者程度だ。上級者が満足できるコースはあまりない。ただし、軽井沢なので圧倒的に贅沢で楽しい作りになっている。例えばショッピングモールや飲食店街がずらりと並んでいるし、スキー場の真横に宿泊用のコテージが立ち並んでいて、ドアを開けるとすぐ目の前がゲレンデになっている。滑っている途中にコテージに戻って休むことまでできる。そういう意味では初心者グループで2泊3日するスキー旅行にはよいだろう。

軽井沢プリンスホテルスキー場には去年、ボーゲンしかできないスキーでなかなかうまく滑れず雪辱を味わったという苦い経験があるので、今シーズンの最後にリベンジしたいとは思っているのだが、今の自分のスノーボードの腕前と去年の記憶を考えると、ほとんどの軽井沢のコースは滑れるはずで、他に雪質がマシなスキー場がいくらでもあるのに、わざわざ一人で日帰りしたいとは思わない。

つぎはどこに行くべきだろうか。4月に入ってからもガーラ湯沢とかぐらは営業しているようだ。雪の状況が良ければGWまでもつとのことだが、果たしていつまで持つだろうか。

Cisco、ルーターの脆弱性を修正するためにユーザーエージェントcurlを弾く変更を加える

Cisco、ルーターの脆弱性を修正するためにユーザーエージェントcurlを弾く変更を加える。

Cisco Fixes RV320/RV325 Vulnerability by Banning “curl” in User-Agent | Hacker News

https://twitter.com/RedTeamPT/status/1110843396657238016

もちろん我々は--user-agentなどというcurlのオプションなど使うわけがないし、RFC3514に従って悪意あるパケットには邪悪ビットを立てているはずだ。

2019-03-25

兵庫県警のブラクラ摘発事件の冤罪被害者に寄付をした #alertloop

兵庫県警がブラクラと称してブラウザーがクラッシュしない、実害のない、単なる"while(true) alert("");"に過ぎないJavaScriptが使われたページへのURLを書き込んだ無実の者を補導ないし家宅捜索した件についての弁護士費用のため、近頃些少には候へども、以下から寄付をした。

アラートループ家宅捜索(いわゆる「兵庫県警ブラクラ摘発」)事件に関する寄付の呼びかけ - 一般社団法人日本ハッカー協会

なぜ寄付をしたのか。

ひとつ、この事件には実害が一切なく、したがって補導と家宅捜索を受けた者は無実である。

ひとつ、私は以下のURLに示すようにC++の入門書を執筆しており、その中ではもちろん無限ループも説明している。JavaScriptの無限ループalertのような無実なものが違法であると誤った解釈がなされた場合、私は参考書を出版できなくなる。

https://github.com/EzoeRyou/cpp-intro

なぜ寄付をしたことを公にするのか。この問題を宣伝し知名度を上げるためだ。

魔法と科学の区別がつかない兵庫県警によって法の誤った解釈をさせた結果の暴走を許してはならない。

“兵庫県警ブラクラ摘発”、弁護士費用の寄付呼び掛け 日本ハッカー協会 - ITmedia NEWS

2019-03-20

職質裁判で不当判決が出たので控訴する

職質裁判の一審判決があまりにも不当すぎる。判決文はGitHubで公開している。

https://github.com/EzoeRyou/calling-110-is-suspicious

判決文では、東京都(警察)側の多くの虚偽の主張は認定されなかった。以下は認定されなかった東京都(警察)による虚偽の主張である。

江添はパトカーとすれ違った際、顔をふせ足早に走り去った
すれ違った場所の近くにある自動販売機で飲み物を買っていることからありえない
江添は手を小刻みに動かす所作をなした
裁判所の判断では言及されず
江添は吉野家の看板をひっくり返した
裁判所の判断では言及されず
  • 江添は自らの意思で駐車場に向かった
  • 江添は走った

    特に最後の項目はとても興味深い。私は走ったところ警察官らに取り押さえられて駐車場に押し込められたわけで、裁判所は走ったのは怪しいとしている。しかしなぜか東京都(警察)の主張では、私は走っておらず自分の意志で駐車場に向かったとしている。東京都(警察)がなぜこんな嘘をついたのかというと、私が自分の意志で駐車場にとどまっていたということを主張するためらしい。私が走ったことにより、私の意思に反することが行われていたという証拠になってしまうので、嘘をついてまでも私が自分の意志で駐車場に向かったとでっち上げたかったのだ。裁判所は私の主張を採用し、走ったのは怪しいとしているが、もし走ったのが事実であるとするならば、証人尋問の場ですら私は自分の意志で駐車場に向かったと証言した警察官の井上は偽証ではないのか。井上は証人尋問において、上記の裁判所が認定しなかったことをすべて証言している。

    東京都(警察)の主張は、自身を有利にしようと嘘をつき、その嘘をごまかすためにさらに嘘を塗り重ねて、本当におかしなことになっている。

    さて、問題は裁判所だ。すでに書いたように裁判所は以下のように判断した。

    最初の10分間は職務質問の要件を欠く。しかし私は外見から目的がわからず、刃物等の危険物等が十分入るリュックを持っていたため、警察官は声をかける必要性があった。したがって最初の10分間は適切であった。

    その後、私は吉野家に入ろうとした。これは吉野家に立てこもることが予想できる。また110番通報を要請した。これは不審事由である。

    残りの1時間20分について、不審事由が存在するので適切であった。

    リュックの上から触ることによる所持品検査は私が同意しているので適切であった。所持品検査に至るまで1時間30分、所持品検査をするまで解放しないと言い、進行方向に立って取り押さえるなどの有形力の行使があったが適切であった。

    不当判決にも程がある。

    職務質問の要件を欠くのであればそれは職務質問ではない。そもそも質問はなかったのだ。いきなり所持品検査を要求しているのだから、職務質問は行われなかった。

    最初の10分間で、私は通勤中であることを告げたし、公的機関の発行する身分証も示したので目的は分かっている。刃物の入らない奇妙なリュックというものは私の知る限り存在しない。刃物が入っているという証拠もなしに、刃物を十分入れることができるなどという曖昧な理由だけで所持品検査をしていいはずがない。

    裁判所も認定するように職務質問の要件を欠いていた。そもそも所持品検査を要求するだけで職務質問は行われていなかった。目の前の警察官が法に違反しているとしたら110番通報するのは当然で、かつ110番通報は容易に改変不可能な方法で記録されるので、このとき110番通報をしてこの後のやり取りをすべて録音していれば、東京都(警察)の虚偽の主張を許すこともなかった。警察官らはなぜか110番通報を妨害した。

    110番通報の要請が不審事由に当たるなどということは被告である東京都(警察)も主張していない。原告被告双方ともに主張していない争点を勝手に設定して勝手に判断するのは裁判の手続き上問題がある。

    なぜか控訴は東京都(警察)に対する反論よりも、裁判所の判断に対する反論が多く含まれそうだ。

    2019-03-15

    J-CASTニュースの職質裁判の誤りを含む記事に対する反論

    私の裁判の一審判決を受けて、J-CASTニュースが以下のような誤りを含む記事を出している。

    職務質問で精神的苦痛 地裁判決「適法」、原告「不当だ」→法律家の見解は : J-CASTニュース

    この記事は適切な取材をしていない。判決文をまともに読んだとは思えない。原告である私への取材はない。この記事はとても現地を取材したとは思えない記述がある。弁護士の意見にもとんでもないものがある。

    この記事はニュース配信サービスによって様々なニュースサイトに配信され、かつ弁護士による意見も掲載しており、影響力が高いと判断したので、この記事について反論する。

    この記事は被告である東京都(警察)が主張しているが、裁判所は認定しなかったことを、あたかも事実であるかのように書いている。

    警察官は、パトカーで巡回していて、後部に日よけの付いたつば広の帽子を目深にかぶり、大きめの黒いリュックを背負った江添さんが、パトカーを見ると顔を伏せて足早に通り過ぎたことを不審に思い、職務質問のためパトカーを下りて追跡していた。

    このうち、「パトカーを見ると顔を伏せて足早に通り過ぎた」ということは東京都が主張しているが、裁判では認定されなかった。その理由は、車道と歩道の間に植木があり車道を走る車の中からは見通しが悪かったこと、私はその直後に自動販売機で飲み物を買っているが、足早に通り過ぎたのであれば不自然であること、による。

    裁判所は警察官らがパトカーで私とすれ違ったことは認定しているが、私はそもそもパトカーを見ていない。東京都の主張ではパトカーと私がすれちがったとき、警察官は私をしばらく見ていたとのことだが、ただでさえ植え込みがあって見通しが悪いのに、走行中の車と逆方向に歩く私がすれ違う間など一瞬であり、いったいこの「しばらく」とはどういう意味なのか疑問だ。東京都の主張によれば私とすれ違った地点から30メートル先にパトカーを停めて私を追いかけたとのことだが、これにも私は気がついていない。私はパトカーですれ違ったということすら疑問を持っている。

    またこの記事は、「すぐ横の駐車場」と書いている。この駐車場は路地に入った先にある。現地を取材しているならば「すぐ横」などという表現が出てくるはずがない。このことからこの記事は現地を取材していない疑いがある。J-CASTニュースの所在地である現千代田区二番から職務質問が行われた現場の築地6丁目まで直線距離4kmしか離れていないのだが、そんなに近くの現地に取材に行くことすらしなかったというのだろうか。

    弁護士の意見について反論する。

    「危険物がないならリュックの中身を見せればよい、訴訟まで起こすのは得策でない、というのは間違いないでしょう。しかし、こうした社会常識とプライバシーの問題は別です。それだけ世の中に訴えたい、問題提起したいものが江添さんにはあったんだろうと思います。自ら決めたことに対して、社会常識を持ち出すのはどうなのかということです」

    そもそも私には職務質問をすべき不審事由がなかった上に、職務質問というのは質問をすることができるのであって所持品の捜索ができるものではない。判例上、質問に付随する所持品検査ができるとされているだけだ。

    裁判所は最初の10分間について、そもそも職務質問の要件を欠くと認定している。理由は、「パトカーで私とすれ違った際に私が顔を伏せてパトカーから逃げるように足早に走り去った」という東京都の主張が、歩道と車道の間の植え込みによる見通しの悪さと、私がその直後に東京都が主張するすれ違ったとされる場所から10メートルしか離れていない場所にある自動販売機でのんびりと飲み物を買っていたという状況から考えて、ありえないと判断したためだ。

    ただし、ここから今回の判決を私が不当だと考える部分になるのだが、裁判所は最初の10分間の職務質問は要件を欠くが問題ないとした。裁判所は、私は外見から目的がわからず、かつリュックは刃物等の危険物等が十分に入る大きさであったから質問する必要があったと認定している。

    もう一度上の文を読んでほしい。町中を歩く人間の目的が外見からわかるだろうか。刃物が入らないリュックなど存在するだろうか。これだけの理由を持って所持品検査を行ってよいのだろうか。この論法では、職務質問の要件を欠く人間など存在しなくなる。この論法を使えば、家に住んでいる目的がわからず、家は危険物が十分入る大きさであるので、「家宅検査」を行ってよいとまで言えてしまう。

    プライバシー権は存在する。そもそも住居や荷物の中身は令状がなければ捜索してはならない。「所持品検査」とは捜索まではいかない軽いものを指し、「捜索」とは異なると判例で支持されている。そしてこのことについて、警察が金科玉条のように引用する松江相銀米子支店強奪事件の判例がある。持ち主の許諾を得ないまま所持品検査をしたことが違法ではないとされた判例だ。これは状況が付近で銀行強盗が起きており、犯人の人相に似た人物を職務質問し、荷物の中身を許諾を得ないまま見たところ、札束が入っていた犯人だと分かったという事件だ。今回の例とは状況が異なる。今回は付近で事件はなく、犯罪予告もなく、至って平時であり、かつ私は指名手配中の被疑者に人相が似ているわけではないということを当日私は警察官に確認している。

    最初の10分は職務質問の要件を欠くが、誰にでも当てはまる曖昧な理由から問題ないとされた。この最初の10分で私は身分証明証を警察官に提示し、自らの身分を明らかにまでしている。その後、警察が職務質問の要件を欠くにもかかわらず、私に全く同じ質問を繰り返し、同じ答えを返すとさっきと同じ答えですねとまるで答えが変わることを期待しているようにいい、警察官職務執行法に記述がない、リュックの中身を見せるよう迫り、一歩でも動こうとすると二人がかりで抱きとめられたのだ。私は目の前の警察官が法律を遵守していないと判断した。違法が行われたときに自力救済はできないので、私は110番通報した。かつ、私は110番通報の内容は録音され、その録音は現場の警察官の裁量程度では容易に改変できないことを知っていたのだ。だから私は110番通報を要請したのだが、現場の警察官らは私の110番通報の要請を妨害した。

    職務質問の要件を欠くにもかかわらず、身分を明らかに下にもかかわらず、同一内容の質問を繰り返し、執拗に理由もないのにリュックの中身を見せろ、見せるまで解放しない。このような目の前の警察官が法律の遵守しないことが明らかな状況で行おうとした近くの飲食店のドアを開けて店員に110番通報の要請をしたことについて、裁判所は不審事由に当たると認定した。そしてその後の1時間20分の職務質問は不審事由があるので合法であるとした。その後私は、大勢の警察官に路地裏に引きずり込まれて囲まれた状況に1時間以上置かれたのだ。

    世の中に訴えるとか問題提起以前の問題だ。私の人権が実際に侵害されたのだ。

    J-CASTニュースは記事を書く前に判決文を読み、当事者へ取材し、わずか直線距離4kmしか離れていない現地を取材し、プライバシー権について正しく理解している弁護士に意見を求めよ。そして速やかに訂正記事を出せ。

    2019-03-13

    職質裁判一審で不当判決、曰く、110番通報を要請することは不審事由にあたる

    警察官に職務質問をされた話が2017年の7月、これが違法な職務質問であると考えたので国賠訴訟をし、一審判決が今日言い渡された。

    曰く、「原告の請求を棄却する」。負けたわけだ。ではなぜ負けたのか。判決の言い渡しでは主文しか読み上げられないので、判決文を取りに行く。

    当日は、東京都(警察)の主張によれば、パトカーで私とすれ違った際、私を視認し、しばらくみていたところ、私はパトカーを見るなり顔を伏せて足早に通り過ぎたということだ。裁判所は東京都(警察)のこの主張を採用しなかった。というのも、車道と歩道の間には植え込みが多くあり、私をしばらく見るなど不可能であるからだ。したがって今回の職務質問は適切な不審事由なしで始まっていることが認められた。

    その後10分間ほど、私を路上にとどめて職務質問が行われた。裁判所はこれを適切であると判断した。不審事由がなく始まった職務質問ではあるが適切だそうだ。

    その後、私は吉野家の店舗に入ろうとしたが警察官らに抱きとめられたので、入り口から吉野家の店員に対して110番通報するよう要請した。裁判所は吉野家に入ろうとしたのは立てこもる恐れが認められ、かつ110番通報の要請は不審事由であるとし、その後に続く職務質問には不審事由が存在すると判断した。

    そんなバカな。110番通報の要請が不審事由にあたるはずがない。110番通報の要請をしたのは、目の前の警察官風の服装をした男たちが警察官職務執行法に規定された適切な職務質問をしていないから、警察ではないか、あるいは警察であるとしても法に基づかない違法な職務質問をしていると判断し、かつその時私は110番通報の内容は録音され確実に記録に残ると知っていたので、記録に残すことを意図していたからだ。110番通報の要請が不審事由にあたるとは一体どういうことだ。

    そもそも、110番通報の要請が不審事由にあたるということは原告被告ともに争点にしていない。双方とも争点にしてないことを裁判所が勝手に持ち出して争点にして判断を下したというのか。

    110版通報の要請が不審事由であるなどと、被告である東京都(警察)は主張していない。そもそも東京都(警察)が110番通報の要請をしたことをもって不審事由であると主張するのは立場上とてもおかしなことになるのではないか。

    この一審判決は不当だ。

    追記

    判決文の写しが手元に届いたのでさらに詳しく読んだところ、更にひどい理解しかねる判断がある。

    最初の10分間ほどは職務質問の要件を欠くことが認定されたが、最初の10分間の職務質問は適切であった。その理由としては、私は午後2時に月島方向から築地方向に刃物等の危険物等を十分入れることができる大きさのリュックを背負って移動していた。外見から私の目的がわからず、またリュックに危険物等が十分入る大きさであったため、警察官らは私に声をかける必要性があったそうだ。

    往来を歩く大抵の人間の目的は外見から判断できるはずがない。また刃物等の危険物等を入れるのに十分な大きさの外見から中身のわからないリュックを持っているだけで危険物を持っている疑いを書ける必要があるはずがない。

    追記2

    GitHub上で判決文を公開した。

    https://github.com/EzoeRyou/calling-110-is-suspicious/blob/master/20190313_hanketu.pdf

    2019-03-11

    スノーボード9回目

    会社の同僚で、シーズンに10回は滑りに行く人が、今シーズンはまだ1回しか滑っていないという。中級者コースが滑れるぐらい上達したと話したところ、では滑りに行こうということで日曜日に滑りに行った。日帰りガーラ湯沢だ。

    午前中はのんびりと滑ったが、前回に引き続きワックスのおかげでとても滑りやすい。上級者コースの非圧雪コブコースはやはりまだ無理だった。

    午後になり、同僚は別れて中級者コースを繰り返し滑ることになった。私は一人で滑っても上達は見込めなさそうなので、午後からレッスンを受けることにした。ガーラ湯沢の上級レッスンはどんな斜面でも連続ターンができることだが、上級者コースでなくてもいいという話だったので、私はもう上級レッスンが受けられるはずだ。

    レッスンを受ける場所に行って、何を学びたいか話しあった。インストラクターからはショートターンを進められたが、私はカービングターンがどういうものなのか体験してみたかったので触りとしてもカービングターンを学ぶことにした。するとスタンス角を大胆に変更したほうがよいとのことで、前30度後9度に設定した 。そしてバインディングの取り付け位置も若干ヒール側によっていると指摘を受けたので、トゥ側にわずかにずらした。

    上級レッスンには私以外に2人の受講者がいた。どちらもOGASAKAの板を使っていた。インストラクターと受講者のうちの一人はAlpineを使っていた。Alpineの実物を見たのは初めてだ。

    レッスン専用のコースに行く途中、直滑降だけで進む練習をした。これは大変に難しく、途中で転倒してしまった。さいわい雪が湿っぽくてかたくなかったのと、プロテクターのおかげで、問題はなかった。

    カービングターンは大きくエッジを立ててターンする。その際、ローテーションは使わない。ローテーションを使ってしまうとスライドターンになってしまう。前回、ローテーションを使うことでスライドターンが大幅に改善したというのに、今度はローテーションを使うなというのか。

    とりあえずターンしてみたが、カービングターンになっているのかどうかが自分でもよくわからない。それでもレッスンの終わりには、ややカービングらしいターンができるようになってきた。しかし安定しない。

    その日は夕方から強風の予報ということで15:30にはリフトが止まることになったので、下山コースを下って帰ってきた。人がたくさんいるために速度が出せず、足がかなり疲労した。しかし、ヒザは痛くなっていない。上達したのだろうか。

    スノーボード8回目

    どうも今年は雪がよろしくないらしく、旅行会社も4月以降のスキー旅行を用意していない。旅行会社を使わないスキー旅行は割高だし手間がかかるしといろいろとやりたくないので、今シーズンは3月末までと考えて週2回ぐらいは滑りにいく決意をした。

    さて、旅行会社で4人分の2泊3日のスキー旅行を手配したところ、湯沢中里スノーリゾートのリフト券をもらった。これが荒れば後は越後湯沢までの往復新幹線台だけで滑ることができる。普段はガーラ湯沢に行っているが、たまには別のスキー場に行くのもよさそうだ。さっそく旅行会社で少し割安な9700円で日帰り越後湯沢フリーというプランを申し込んだ。東京-越後湯沢間の往復新幹線だけの旅行プランだ。

    前回、板のデッキ面の側面が側面に沿って長さ数cm、幅数mmほど剥げてしまった。中からグラスファイバーらしい白い材質が見える。幸い、剥げたのは一番上のカバーだけで、ウッドコアを守る内部のカバーは無事のようだ。いろいろと考えた結果、防水用のエポキシパテで埋めることにした。

    また、ホットワックスのための道具一式を揃えたので、今回の板はホットワックスがしてある。とりあえずベースワックスを3回、滑走ワックスを1回した。果たして効果があるだろうか。

    湯沢中里への移動は面倒だ。越後湯沢駅まで行った後に、無料シャトルバスか上越線で湯沢中里駅まで向かうのだが、これがどちらも使い勝手が悪い。シャトルバスはおよそ30分に一本、電車は8時に一本、12時に一本、15時に一本、17時に一本といったぐあいに、かなり本数が限られる。シャトルバスは面倒そうなので、200円を払ってでも電車で行くことにした。スキー場とは駅で直結しているらしいので、楽だろうと考えたのだ。

    無事に起床に成功し、東京駅に向かった。自由席に乗っていこうとしたが、6時36分発と44分発の新幹線がある。普通は早い方の新幹線に乗るはずだが、なぜか妙に気になったので駅員にどちらが早く着くのか聞いてみた。すると、44分の方が途中で追い抜くので越後湯沢駅には先に着くのだという。なんと、知らなかった。

    越後湯沢駅について上越線に乗り換える。ホームに止まっている電車には、なんと外からドアを開閉するボタンがついている。2駅のって湯沢中里駅に到着した。降りて改札に向うが自動改札はない。駅員もいない。切符を箱の中に入れて出る。

    そのまま建物の1階に降りて更衣室で着替え、チケット売り場にチケットを引き換えに行く。しかし時間がかかる。わずかに4,5人しか並んでいないのにやたらに時間がかかる。20分以上は待たされてようやくチケットを手にすることができた。どう考えても手際が悪すぎる。

    さっそく一番近くにある第2リフトに乗って上がった。このリフト、なんとセーフティバーに板を乗せる棒がついていた。これは楽だ。

    まず一本を滑ったが、ワックスのためか明らかに滑りが違う。摩擦が段違いになくなっている。緩斜面でありながらも素晴らしい速度で滑り降りてしまった。その後、何本か滑ったが、どうやら上級者コースのほとんどは雪が足りないために閉鎖されている様子だ。かろうじて残された上級者コースは、どこからどこまでが設定されたコースなのかよくわからない場所にあった。単にそこだけ木々がなく、非圧雪で傾斜がありすべりおりることができるだけだ。挑んでみたが、全然滑れない上に、雪質が悪すぎて滑っていて面白くない。そこで少し離れたところにある第5リフトまで滑っていき、中級者コースを滑ることにした。この中級者コースはなかなか良かった。惜しむらくはコースが短すぎることだ。結局高低差がそれほどないために、傾斜のあるコースを作るとすぐに下まで滑り降りてしまうのだろう。

    平日なのと、少しアクセスの悪いスキー場であるので、人はまばらだった。興味深いことに、スノーボード率が極めて高かった、8割から9割はスノーボードで、スキーはわずかにしかいなかった。そのスキーも見たところショートスキーばかりだ。

    そしてさらに興味深いことに、ほとんどのスノーボーダーが初心者だということだ。ワックスのためか、上達のためか、私は中級者コースをほとんど減速することなく滑り降りることができ物足りなく感じていたが、実際のところそこそこの傾斜はある。他の客が中級者コースに挑んで盛大に転ぶのをリフトで上がるときに眺めていた。結果として、中級者コースはほとんど人がいなかった。実際、私が滑っていて人と出くわしたのは数えるほどしかない。経営が心配になるほど人がいない。

    昼頃に雨が降ってきて、雪質が悪くなってきた。しかしまだまだ板は滑る。ワックスのおかげだろうか。3時頃になると水気の多い雪が振り始めた。この頃になると、板が滑らなくなってきた。ソール面を見るとだいぶ汚れている。汚れを落とせば滑るようになるのだろうか。あるいはワックスの塗り直しが必要なのだろうか。スクレイパーやスプレー式の簡易ワックスを持ってこなかったことを後悔しながら、悪い雪質を滑った。だいぶ滑りにくくなっている。

    16時前になったので、そろそろ帰ろうと元のリフトまで戻った。しかし、雪が少し積もった今、上級者コースが気になる。まだ少し時間はあるので第2リフトで上がり、上級者コースに挑戦してみた。どうやら滑ることはできるようだ。ターンなのかブレーキなのかよくわからない動きをしながら、傾斜の強い非圧雪で荒れて水っぽい雪質の雪面を滑ることができた。しかし、あまり楽しくはない。止まらずに降りてくることはできないからだ。

    更衣室で着替え、変える前にいちどソールをクリーニングしようと拭いてみたところ、真っ黒な汚れが紙にびっしりとついた。これは汚れている。

    帰りも電車で帰ろうと駅に向かったが、駅員もいなければ券売機もない。張り紙に乗車券は反対側の出口でお買い求めくださいと書いてある。反対側の出口に行ったところ、たしかに券売機はあった。しかし販売中止になっている。まさか乗り過ごしたのだろうか。さてどうしよう。シャトルバスの場所もわからないし、越後湯沢駅まではそんなに遠くもないからタクシーでも拾おうかとおもったが、外を見ても流しのタクシーが走っているような場所ではない。さてどうしようと考えていたところ、電車が来た。そんなばかな。

    ホームに向かって車掌に聞いたところ、越後湯沢駅に行く電車だという。その場で乗車券を発行してもらい乗った。なんでも、券売機は故障中なのだとか。

    2019-03-05

    兵庫県警は魔法と科学の区別がつかない:JavaScriptプログラムによる補導が間違っている件について

    不正プログラム書き込み疑い補導|NHK 兵庫県のニュース

    クリックすると同じ画面が表示され、消えなくなる不正なプログラムのアドレスをインターネットの掲示板に書き込んだとして、13歳の女子中学生が兵庫県警に補導されました。

    兵庫県警は魔法と科学の区別がついていない。そのようなJavaScriptプログラムには何の問題もなく、問題はそれを閲覧したユーザー側のブラウザーにある。

    「クリックすると同じ画面が表示され、消えなくなる不正なプログラム」というのがどのように実装されていたかは知らないが、最も簡単で原始的なものは、アラートを繰り返し表示し続けるプログラムだ。

    while (true) alert("Hello") ;
    

    このプログラムを実行すると、アラートが繰り返し表示され続ける。ところで、このプログラムを実行しているのは閲覧者のコンピューターとブラウザーだ。このプログラムを提供したものの責任ではない。このプログラムを実行する時、閲覧者は上の文字列を受け取る。それだけだ。その文字列をどうするかは閲覧者の責任だ。閲覧者のブラウザーは上記の文字列を解釈して、あらかじめ定められた規則に従い処理を行う。つまりプログラムを実行するのは閲覧者の責任であって提供者の責任ではない。なぜならば提供者は単なる文字列を提供しているだけなのだから。それを予め定められた規則に従って解釈して実行するのは閲覧者のコンピューターとそしてブラウザーの責任だ。

    ブラウザーはJavaScriptを極めて安全な方法で実行する。Coinhiveもそうだが、WebブラウザーがJavaScriptプログラムを実行するにあたって問題は一切ない。もし問題があるとするならば、それはブラウザーの不具合かハードウェアの不具合だ。Webブラウザーは任意のJavaScriptプログラムを安全に実行できるように実装されている。上のプログラムにしたって、古典的すぎるのでブラウザーはとっくの昔に対処している。

    もし、上のプログラムが問題を起こすとしたならば、それはブラウザーがハードウェアの不具合であって、提供者の責任ではない。コンピューターは魔法ではないのだ。

    したがって、兵庫県警は魔法と科学の区別がついていない。

    2019-03-03

    スノーボード7回目

    前回の2泊3日の白馬八方尾根スキー場において現状の課題を確認したので、体の回復を待って再びガーラ湯沢に日帰りレッスンを受けに行った。特に問題なのはヒザの痛みだ。幸い、安静にしていれば3日間ほどで回復する。ただし今回は1日滑った後に1日おいて3日間すべったので、念の為に6日間休むことにした。越後湯沢の天気予報を見ると日曜日は雨のようだが、徐々に天気予報の雨が月火にずれていったので、日曜日で旅行会社に手配させた。行きの指定席は取れたが、帰りは指定席が満席で自由席しか取れなかった。

    さて当日、雨は降っていない曇りであった。悪くない天気だ。ただし30分ほど寝坊したために、指定席を乗り過ごし自由席で移動することになった。幸い、自由席はがら空きだった。

    前回確認した課題とは、ヒールエッジのターンが安定しないということだ。転ぶ時は必ずヒールエッジ側のターンで転んでいる。ターンの祭に雪面が荒れていると耐えきれない。そして、ヒールエッジ側のターンに細かい調整が効かないという問題もある。ヒールエッジでターンしようとすると90度近く回ってしまう。もっと浅く回ろうとすると安定しない。果たして今回のレッスンでこの課題は解決できるのだろうか。

    今回、初めてバインディングを自分で調整してみた。今まで買った店が設定したスタンス角である前18度後3度で滑っていたのだが、これを一段階上げ、前21度後ろ6度にした。スタンス幅は肩幅や足の長さを測ってみたが、このままでよさそうなので変更しなかった。

    30分出遅れたものの、ガーラ湯沢についてからレッスンが始まるまでまだ30分以上の時間がある。レッスン前に中級者コースであるジジを一滑りした。とても滑りやすく感じる。2泊3日の訓練で鍛えられたのだろうか、あるいはスタンス角の調整がよかったのだろうか。

    午前のレッスンでまず一本、インストラクターが腕前を見るための緩斜面を滑ったが、これまたとても快適だった。明らかに上達を感じる。

    午前の中級者レッスンではロテーションに特化して学んだ。スノーボードでターンに必要な要素は3つ。角付け、荷重と抜重、ロテーションだ。このうちどれかひとつに集中するだけでもターンはできる。特に緩斜面では難しいことを考えなくてもターンはできる。しかし傾斜が急になってきたり、雪面が荒れていたりすると、この3つの要素を組み合わせてしっかりと動かなければターンは安定しない。レッスンでは確かにターンが安定したように感じるが、問題はレッスンは緩斜面で行われている。果たして斜面が急になっても効果を実感できるだろうか。午後のレッスンでは荷重と抜重をするという。荷重と抜重については、前回のレッスンで実質プライベートレッスン状態になり、かなりしっかりと学んだ。おさらいをするのも悪くはないと思うがもう立ち上がりによる荷重と抜重はかなりできるようになっているのではないだろうか。そう思ってレッスン最後のインストラクターが仕上げ具合をみる一本で、ロテーションと荷重抜重を組み合わせたターンをしてみた。するとだいぶ短いターンになっている。しかも安定している。インストラクターが言うには、もうショートターンをできる頃合いではないかという。午後のレッスンで中級者レッスンが一人しかいないのであれば、ショートターンの練習をしようという話であった。

    午前と午後のレッスンの合間に、ロテーションを試してみようとまだ滑ったことがない中級者コース、グラノーブルに向かった。グラノーブルはそれなりに急な傾斜が長く続くコースだ。リフトでコースを横目に見ながら、その傾斜が延々と続く様子をみて、勇み足過ぎたかと後悔したが、いざ滑ってみると、あっさりと滑ることができた。なんと、私に足りないのはロテーションだったのだ。どうやら私は今までヒールエッジでターンをするときにむしろカウンターロテーションをかけていたようだ。これはヒールエッジのターン時にロテーションを使わないがために脚で無理やり板を回し、その力任せに回した角度が深すぎるために、浅く調整しようとカウンターロテーションをかけていたのだ。ただでさえ回りすぎるのにロテーションをかけてどうするのだと思っていたが、そもそも炉テーションをしていなかったがために力任せに回しすぎていただけで、ロテーションをすれば適切に回すことができる。

    グラノーブルを滑り終えた私は午後のレッスンに向かった。中級者レッスンが一人しかいなければショートターンの練習ということだが、残念ながら午後から中級者レッスンにもう一人来てしまった。ところが、どうも中級者にしては様子がおかしい。まずブーツが正しくはけていない。本当に中級者だろうか。ガーラ湯沢のスノーボードスクールの中級者というのは連続ターンができるレベルだ。レッスン開始前の緩斜面を一本滑るテストでは、とてもぎこちないものの、かろうじて連続ターンを行っていた。おそらく緩斜面のみでしか通用しない動きだ。結果として、中級者レッスンを受けるのは私一人になったので、予定通りショートターンの練習をすることになった。

    ショートターンの練習は中級者コースのジョアンナで行う。ジョアンナはレッスン専用のコースで、ゲレンデのコース一覧でそのようなコースがあることは知っていたが、一度も行ったことがなかった。私はインストラクターについて中級者コースのブロードウェイを危なげなく滑り、ジョアンナに向かった。ジョアンナはロングターンがかろうじてできるぐらいの幅の、やや傾斜のある直線一本のコースだった。私が到着すると、すでにスキーレッスンの受講者が滑っていた。

    滑る前にインストラクターがショートターンの滑り方を説明する。ショートターンのやり方は基本的にはロングターンと何ら変わることがない。角付け、荷重と抜重、ロテーションだ。ただし、ショートターンはターンの感覚が短いので、一定のリズムに乗ってすばやく小刻みにターンしなければならない。そして、ロテーションと荷重抜重のタイミングを合わせなければならない。ロングターンはゆっくりと曲がるので、ロテーションと荷重抜重のタイミングはそれほどシビアに一致しなくてもよい。ただしショートターンではタイミングを合わせなければロテーションと荷重抜重を組み合わせたターンにはならない。

    この説明を受け、インストラクターはまず私がショートターンだと思うものを一本滑ってみろと言った。そこでなるべくターン半径を短くターンとターンのを間を短くして滑ってみた。しかしロテーションと荷重抜重のタイミングは合わない。

    訓練は荷重抜重をおさらいするところから始まった。斜面に対して水平になり、大げさな屈伸をしながらサイドスリップをする訓練。大げさな荷重抜重とトーションだけを使ってアイソレートターンをする訓練。そしてロテーションを大げさに加えて荷重抜重とトーションでアイソレートターンをする訓練をした。インストラクターは私の動きが特に大げさである場合に褒めた。そうして動きに慣れたところで、アイソレートターンをつなげていく訓練ををした。このような一連の大げさな動きによる訓練の成果で、レッスンの終わりには私はショートターンらしいものができるようになった。後は反復練習するだけだ。

    レッスンが終わった私は、さっそくガーラ湯沢のスノーボードにとって難関の初心者コースであるエーデルワイスに向かった。エーデルワイスは林間コースだ。幅が狭く曲がりくねっておりロングターンをする余裕がない。しかも傾斜は緩すぎるためサイドスリップすると止まってしまう。

    さっそくロテーションと荷重抜重を意識したショートターンをしてみたところ、なんとあれほど狭いと思っていた幅の半分ぐらいを使うだけでしっかりとターンができるではないか。しかも確実に速度をコントロールできるので恐怖がない。速度を落としたければターンを深くし、速度を出したければターンを浅くする。ロテーションのためにターン角度の調整が思いのままだ。

    エーデルワイスを楽々とショートターンで滑り降りた私は、次にグルノーブルに挑戦した。これもまたショートターンで滑り降りてくることができた。

    ロテーションを習得しショートターンができるようになった私は、最後にガーラ湯沢の下山コースに挑戦することにした。

    ガーラ湯沢の下山コースはスノーボードにとってとてもつらいコースだ。幅は狭く、曲がりくねっており、ところどころ斜面が急になる。しかも山の上からふもとまで下るので、雪質はどんどん悪くなるのだ。そして全長2.5kmもある。とても耐久力のいるコースだ。

    しかし、今日の私はいつもほど疲れていない。いつもならもう滑れないと考えるほど痛くなるヒザも、今日はマイルドな疲労程度ですんでいる。これはどうもロテーションを習得してさらにロテーションと荷重跋重を組み合わせることにより、より効率的な滑り方をしているためらしい。これならば下山コースも行けるのではないか。

    下山コースへのリフトは4時に止まってしまう。残念ながら時間切れだ。しかし、トンネルを足で歩いていけば下山コースの入り口に行けるという。トンネルの中には長い長い階段があった。やれやれ、スノーボードのソフトブーツでよかった。これがスキー用のブーツならばつらいところであった。

    うんざりするほど長い階段を上がると、下山コースの入り口だった。長い階段を足で上がってきたので数分間入り口で休憩してから滑り出した。ロテーション、荷重と跋重、そしてショートターン。滑れる。体への負担も少ない。延々と滑っていくと、残りの距離を示す看板が見えてきた。「残り1.5km」なんと、まだ半分も滑っていないのか。しかしまだ滑ることができる。足への負担は許容範囲内だ。ロテーション、荷重と跋重、そしてショートターン。

    やがてふもとのガーラ湯沢駅が見えてきた。やった。下山コースを降りきったのだ。途中、木の葉に頼らざるを得ない場所は一切なかった。ショートターンを習得したのだ。

    次の目標はカービングターンとコブだ。そのためにはまたレッスンを受けなければならないが、ショートターンの反復練習をするために、次はたまたま手に入った湯沢中里のチケット引換券を使って、インストラクターなしでまだ滑ったことのないスキー場をショートターンで滑ってこようと思う。

    一日が終わってスノーボードを点検してみると、トップシートがエッジの上から長さ数センチ内側に3mmほどのえぐれた箇所がある。白いグラスファイバーと思われる素材が露出している。これはあまりよろしくなさそうだ。リペアキャンドルを買ってきて自分で修理しようか。このついでにアイロンを買ってもいいかもしれない。もっとも、私のボードのソールはエクストルードなので、そんなにワックスは浸透しないのだろうが。

    2019-02-27

    スノーボード6回目

    6回目は白馬八方尾根スキー場に2泊3日でスノーボードをしてきた。

    4人でスキーに行こうという話を去年からしていたが、全員の日程調整と場所の手配が面倒で、とうとう2月になってしまった。その間に私はスキーではなくてスノーボードの道具を一式買い揃えて、一人ガーラ湯沢で頻繁にグループレッスンに参加していた。ある程度の傾斜がある斜面でもベーシックターンができるようになり、ある程度は仲間について行けるようになった。そこでさっそく2月中に行こうという話になった。交通や宿の手配は旅行会社を使うようにした。最初からこうすれば手間がかからなかったのだ。

    さて、当初の計画では、越後湯沢に行こうという話であったが、あいにくと越後湯沢駅周辺のスキー場近くの宿がどこも2月中は満員で取れない。では軽井沢に行こうと探したが、これまた宿が取れない。どうやら東京から簡単に行けるスキー場はもう宿が取れないようだ。とくに土曜日が空いていない。これは平日の3日間に行くか、あるいは木金土や日月火のような2泊3日で、土曜日の宿泊を避けなければならないようだ。それをするぐらいならば、いっそのこともっと交通の便の悪い、しかし大きなスキー場に行ってはどうか。そこで持ち上がったのが白馬八方尾根スキー場だ。とても広い。日本で特に広いスキー場を挙げるとしたらまず出てくるスキー場で、長野オリンピックの会場にもなっている。そして、仲間の一人が主にここで滑っているそうで、とても良いスキー場であるとのことだ。さっそく宿を探すと、とにかく安い上に金土が空いている4人部屋の宿が見つかった。往復新幹線とリフト券2日と2泊で37200円、これに特急バスが片道1800円で。4万円ほどだ。

    しかし問題は、その週の水曜日にも職場の同僚とガーラ湯沢に日帰りで行く予定なのだ。これまでの経験から、スノーボードを1日滑ると体の完全な回復には3日間かかる。しかし金曜日からいくのでは1日しか空いていない。

    特に問題なのはヒザだ。どうも後ろ足に重心がよっているらしく、かつまだ強く減速するターンをするためか、右ヒザが痛くなる。関節痛の回復はなるべく負担を掛けずに待つしかない。しかし今回時間はない。スノーボードを始めてからというもの、筋肉痛のためにプロテインを毎日飲んでいるが、筋肉痛にはともかく関節痛には効かない。

    知り合いのボーダーに相談したところ、グルコサミンのサプリメントを取るとよいという。知り合いのサプリメント好きのボルダーに相談したところ、グルコサミンは効かない。グルコサミンとコンドロイチンとMSMを取るべきだと言われた。そこで、そのようなサプリメントを買ってみた。

    グルコサミン、コンドロイチン、MSM、ヒアルロン酸、コラーゲン、これらは関節痛に聞くとサプリメント業界では謳われているが、臨床試験でその効果が認められたことはない。臨床試験で認められているのならば、今頃は整形外科に行けば処方されるようになっている。いずれも臨床試験では偽薬と区別不可能な程度の効果しかなく、かつ副作用も偽薬特別できない程度の効果しかない。つまり偽薬と変わらないということだ。

    プラセボというのはとても強い効果を持つ。偽薬を偽薬と知りつつ摂取しても効果を発揮したという研究結果があるぐらいプラセボは実際に効果が出てしまう。残念ながら私はサプリメントを盲信するような疑似科学好きではないが、プラセボの効果を期待しよう。

    さて、我々が越後湯沢や軽井沢に行きたかった理由は、圧倒的に東京から行きやすいからだ。1時間から1時間半ほど新幹線に乗るだけでもう現地についてしまう。我々が今回行く白馬八方尾根スキー場は長野にあり、新幹線で83分かけて長野駅まで行った後、特急バスに75分乗らなければならない。幸い、バス停、宿、ゲレンデまでの移動距離はそれほどでもない。

    どうせ移動がつかれるので、あまり朝早く出発しても仕方がないと、東京駅を8時頃に出発する新幹線を予約した。しかし一人が財布を家に忘れてしまい、後から合流することになった。

    バスも思ったほど苦痛ではなく11時に現地に付き、宿に荷物を預けて、自前の道具一式を持っているスノーボーダーの私ともう一人のスキーヤーはすぐに用意ができた。一式レンタルする出遅れなかった一人はレンタルショップに行ったまま戻ってこない。そこで2人でゲレンデに向かうことにした。

    スノーボーダーであるがゆえにソフトブーツを履く私は、スキーヤーのとても歩きづらいスキー用ブーツを着用したスキーヤーをからかいながら、名木山(なきやま)ゲレンデに向かった。まず短い初心者用のコースを一本滑ろうと、さっそくリフト券を引き換えて入手し、名木山第二ペアリフトに乗った。リフトから降りて斜面を見下ろすと、どうにも傾斜が厳しいように見える。本当に初心者用のコースだろうか。あまり深く考えずに滑り降りたところ、ターンはできるが傾斜がきつく、しかも斜面があまりにもいびつでもはやコブのようであった。極めて雪質が悪い。水曜日に全国的に雨が降ったのと、ゴアテックスですら蒸すほどの日差しの強い晴天のためであろう。後で見てみたところ、どうやらこのコースは中級者用コースであったようだ。

    長いリフトに乗って上に上がり、滑り降りようとしたが、これまた難しい。大抵の斜面は今まで滑ったことがないほど急で、しかも距離が長い。その上圧雪が悪く天然のコブになっていて、まだショートターンのできない私にはターンができない。しかたがなく斜面の緩い初心者用のコースにそれたが、これまた自動車道路がそのままコースになっているような幅の狭い曲がりくねった林間コースで、スノーボードにはつらい。少なくとも、傾斜面かつコブよりはましだ。

    まだ水曜日の疲れも残っているし、2泊3日もするので初日から体に負担を掛けてはならないと判断し、私は1時間以上早めに切り上げて宿に戻った。服を着替え、板の道具の手入れをし、部屋に入って荷物を出していると、仲間たちも切り上げて帰ってきた。

    この宿は安いものの、朝夕の食事付きで、温泉もある。あまり期待はしていなかったが、形だけはきれいなジャンクフードよりはマシな食事が出てきた。しかしおかずが冷めているのは安いだけある。なぜか浴衣はプランに含まれておらず、別途200円出してレンタルしなければならない。よくわからないケチりかただ。どうせ浴衣はレンタルするので200円ぐらいなら普通に旅行会社のプランに含めればいいのではないかと思うのだが。

    安宿であるので部屋が狭いことは覚悟していたが、まさかの意外なものまで狭かった。それは布団。こんなに狭くて短い布団を私はこの生涯で見たことがない。腕を広げればはみ出すし、だいたい長さは170cmほどしかない。我々の中に背の高い人間がいなかったのは幸いだ。畳に沿って敷いてみると、なるほど、畳一倍分の大きさがある。立って半畳寝て一畳とはこのいひか。

    我々は近くにあったマウントという店で酒とツマミを買い求め、ボードゲームに興じて、その日は就寝した。

    翌日、相変わらず冷たい安っぽくてまずい鮭の朝食を食べた我々は、さっそくゲレンデに向かった。今日は寒く、雪も降っていたので雪質は多少マシであった。しかし相変わらず天然のコブがいたるところにある。このスキー場の経験者が言うには、パノラマコースが中級者コースだが滑りやすくてよいらしい。我々は早速そこに向かおうとしたが、個々で一つ私に問題が発生した。なぜかトゥと土踏まずが痛むのだ。これではトゥエッジが使えない。どうにもならないのでどうにか木の葉でふもとまで降り、別行動を取ることにした。スキー場のスタッフに話を聞いてみると、咲花(さっか)ゲレンデというのが緩斜面で広くて初心者にも滑りやすいという。だいぶ離れているのでシャトルバスで向かった。

    咲花ゲレンデはたしかに滑りやすかった。傾斜は緩く、しかも広い。足への負担も軽いようで傷まない。私は1日ここでスイッチスタンスの練習をした。レギュラースタンスで滑ることによって右ヒザが痛いのであれば、スイッチスタンスを練習することで右ヒザへの負担を軽くしようという目論見だ。レギュラースタンスでは簡単にターンできる緩い斜面だが、スイッチでは最初はターンもままならず、なんとかターンできるようにはなったもののまだぎこちない。しかし、1時間ほど滑っていたところスイッチでもある程度のターンができるようにはなった。時間はすでに15:30、3日目の午前も滑るのであれば体への負担を考えそろそろ切り上げてもいいのだが、やはりこんな広いスキー場に来たのに、山の上に上がらないのは損だ。マップを見れば、ここからリフトで少し高いところに上がり、初級者用のコースで白樺ゲレンデまで戻ることができるようだ。一日緩斜面で練習をしたので戻ることぐらいはできるだろうとリフトに乗った。これは間違いであった。

    初心者用のコースというのは、自動車用の道路をコースにした林間コースだったのだ。幅は狭く、曲がりくねり、しかも片側は崖でロープすらはられていない。もし操作を誤って崖に落ちたら深刻な怪我を負う可能性が高い。私は慎重に進もうとしたが、あいにくと斜面はとても状況が悪く、中央が削れていてサイドスリップすらなかなかままならない。それに、斜面が緩すぎるのでサイドスリップでは進まない。かと行って直滑走するとそれなりの速度にはなるし、私の技量ではターンをするには幅が狭く、ブレーキをすると僅かな左右へのブレでも崖に肉薄して恐怖がある。

    ほうほうの体でとても長いコースを休み休み降りると、咲花ゲレンデに続くやや傾斜のある斜面がでてきた。林間コースはなおも続き、これを続ければ白樺ゲレンデに帰ることができるのだが、もうすっかりくたびれた私は、林間コースを諦めて急斜面に飛び込み、咲花ゲレンデに生還した。その後、リフトの動く時間まで滑ってから、シャトルバスで宿に帰った。

    3日目に滑るかどうか悩んでいた。足の状態は悪くはなっていないものの、ヒザの痛みが完全にないわけではない。サプリメントの効果はわからない。そして前日の傾斜の厳しいところを滑ったときのトゥと土踏まずの痛みも気になる。旅行会社のプランでは3日目のリフト券はついていないので、自分で買う必要がある。3日目は午前中に3時間ぐらい滑って帰って来れるぐらいのスケジュールで帰りの新幹線を予約している。午前券は4200円、もし滑れないとなるとこの金額は痛い。しかし、都内から日帰りでガーラ湯沢に滑りに行くのにも13000円ぐらいかかることを考えると、やはり短時間でも滑るという経験はしておきたい。4人のうち、体力がまだ残っている私を含む3人で午前中に滑りに行った。なんでも、中腹にあるパノラマコースが中級者向けだが雪質もよく幅も広く滑りやすいという。

    ゲレンデに行き、まずショートリフトに上がって中級者コースを一本滑ってから考えることにした。ここで足が痛むようであれば上に上がることはできない。結果は悪くなかった。どうやら3日目の雪質は悪くなく、かつ圧雪車が走ったらしく整地されていてバンプは消えていた。これなら滑ることができる。

    そして気がついたのだが、どうも昨日の足の痛みは、バインディングを限界まできつく締めすぎたのが問題だったようだ。外れない程度に締めれば痛みはなかった。

    そしてリフトにのってパノラマコースに向かった。途中、とても長いリフトがあるので、スノーボードでは足が痛くなるだろうと危惧していたところ、なんとセーフティバーに足を乗せる棒がついていたので、とても楽だった。すべてのリフトにこれがついていてほしい。上に上がれば上がるほど雪質がよくなっていくようであった。

    パノラマコースはたしかによかった。雪質はよく、しっかりと圧雪されていて、しかも圧倒的に広い。他人の存在を気にする必要がないほど広い。傾斜はある程度あったが、雪質と広さと人口密度の低さのために、圧倒的に滑りやすかった。しかし、この傾斜ではまだスイッチスタンスでターンができないようだ。そして、どうもヒールエッジが相対的に下手になっているらしい。トゥエッジは安定するのだが、ヒールエッジの状態で、斜面の一部に存在するバンプに衝突すると衝撃に耐えきれずに転んでしまう。そして、速度が出るとヒールエッジのターンはターンと言うよりはむしろブレーキに近くなってしまう。始めたばかりはトゥエッジが極めて難しく感じたのに、すっかり逆転してしまった。次にレッスンを受けるときの課題にしよう。

    前回、今回と他人と滑ってみた感じたのは、私はなかなかよいウェアを使っているらしいということだ。前回はあいにくの雨で、一本しか滑っていないのに安物のグローブを使っている人たちはグローブが完全に浸水して気持ちが悪いと言っていたが、ゴアテックスのグローブを使っている私は何の問題もなかった。そして、ウェアも表面から見ると体重のかかる尻部分に水が浸水しているように見える。私のウェアは全く問題がなかった。またみな暑さを訴え、ウェアの前のファスナーを開けたりしていたが、私は今シーズン中に、ゴアテックスのウェアを脱ぎたいと思ったことは一度もない。そもそも私のウェアの構造は横にファスナーがついていて前をはだけることは無理な作りになっている。少し値段は高かったものの、ゴアテックスのウェアを選んで正解だったようだ。

    またプロテクターを買ったのも正解だった。最も役に立っているプロテクターは尻で、つぎに手首だ。ヒザもある程度役に立っている。ヒジについてはよくわからない。受け身を取るのにヒジを積極的に使うことができるようになったぐらいだろうか。ヘルメットは今の所役に立っていない。これはいいことだ。というのもヘルメットが役に立つようなひどい転び方をしていないということだからだ。

    さて、時間が11時になり、一人別れて上級者コースに向かった仲間がパノラマコースに帰ってきた。帰宅方法は2つ。リフトにのってゴンドラまで行き、ゴンドラで下山する方法と、自力で滑って下山する方法だ。まだ体力的にも余裕があり、バインディングを締めすぎなければトゥと土踏まずが痛まなくなることを学んだため、自力で滑って下山することにした。

    下山は主に初級者から中級者のコースを通るのだが、一箇所だけ上級者コースがあった。傾斜が急なだけでコブはなく幅もかなり広いため、挑戦してみたが、歯が立たなかった。トゥエッジのターンはできるのだが、ヒールエッジのターンがどうしてもできない。しかたなくサイドスリップでゆっくりと降りることにした。雪質がよく、パウダーも十分に積もっていたので、幸いにして安全に降りることができた。スノーボードでよかった。これがスキーならばボーゲンで大変な思いをしながら降りるところだった。上級者コースの傾斜は手強い。今シーズン中にターンできるようになるだろうか。

    無事に下山した我々は帰路についた。体力的な問題で滑らなかった仲間と合流し、バスを待つ間近くの飲食店を探そうとしたが、見つからなかったため、そのまま帰宅した。食事付きの宿を取ったのは正解だった。周辺にろくな飲食店がない。

    流石に体に負担がかかったので、一週間ほど回復を待ってから次のスノーボードに行くことにする。