今回のゲストは歌手の森山良子さん。75歳にしてニューヨークでジャズを学んだ話を中心に、趣味の手芸のこと、娘の夫である小木博明さんをはじめとする家族のこと、そして人生観を聞きました。チャーミングに年を重ねるための示唆に富んだ座談を『週刊文春WOMAN2025創刊6周年記念号』から一部を編集の上、紹介します。

(右から)森山良子さん、渡辺満里奈さん、松本孝美さん、野宮真貴さん

大江千里さんとニューヨークで作ったジャズアルバム

野宮 新作『Life Is Beautiful』拝聴しました。とても素敵なジャズアルバム。

松本 ほんと、良かった!

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渡辺 大江千里さんとニューヨークで作られたって。

森山 千里さんからお声がけいただいたんです。さかのぼれば、千里さんがジャズを勉強するために渡米する前だから15年以上前かな、ラジオ番組でおしゃべりさせていただいて。「えっ、ニューヨーク行くの? 何しに行くの?」みたいな感じから始まったの。私も日本からプッツリいなくなってアメリカへ勉強しに行きたいって思ってたんです、若い頃に。

 でも、これは全然言い訳なんだけれども、恋愛して子供が生まれたり、兄が若くして亡くなったり、いろんなことが重なったんです。私がいないわけにはいかないと、勝手に思い込んでいただけなんだけど、みんなの面倒を見なきゃいけないって気持ちがあったの。本当は2年ぐらい休んでアメリカへ行って、という計画を立てていたんです。でもそれも無理だな、これも運命だなって。

 そしてそこからずいぶんと長い年月が経って、私もこういう年齢になった。するとあるとき、千里さんから「一緒にジャズのアルバム作らない?」とお話をいただいたんです。

野宮 千里さんは以前からのお友達だったんですか?

森山 娘の(小木)奈歩が、若い頃に千里さんのファンクラブに入ってて、それで家でよく聴いてたんです。でもお会いしたのはそのラジオ番組が初めてでした。彼がそれまでのキャリアをすべて捨てて、ニューヨークに渡ることに私は本当にびっくりして。すごい行動力だなと思いました。

 それからは彼が日本に帰ってくるたびに、食事をしたり、飲んだりするようになったんです。私もジャズが大好きだから、彼が通うジャズ学校のことや、アメリカのジャズシーンの話を聞いて、「わあ、いいな、いいな。私もそういう夢があったんだけど、できなかったんだあ」なんて話をしてたの。だから、千里さんに言われたとき「やる!!」と即答しました。

松本 一も二もなく。

森山 すごく嬉しかった。自分がこれから何をやろう、何をやったらいいんだろう、ここでピリオドなのかな、そんなことを思っていたときだったので。「日本語のジャズ」というコンセプトも面白いなと思って。それで、去年の11月から単身でニューヨーク通いを始めたんです。

渡辺 え、1人で?

森山 いちばん最初はスタッフと一緒でしたが、2回目からは1人きり。

女史会 すごーい!!