このカオスの世界を、何とか授業ができるまで持って行くために、教師は非常にエネルギーを使う。生徒を名指しで注意しながら、根気強く席に着かせる努力をする。一度席についた生徒が、またふらっと立ち歩くので、教師の頭には、あたかも「もぐらたたきゲーム」を行っているようなイメージが浮かんだりする。 ようやく席に着かせると、次に出席の確認がある。「教育困難校」では、クラスの全生徒が朝から出席する日は、まず無い。出席は単位認定の重要なポイントとなるので、慎重に取らなければならない。一人ひとり点呼し、返事をした生徒の顔を確認する。自分以外の点呼の際にも、懲りずに何度も元気よく返事をする生徒、本来の席に座らず、他人の席に座っている生徒たちをその都度しかりながら、出席確認は少しずつ進められていく。 生徒が集中できる時間はあまりに短く 授業を開始するまでには、重要な1ステップがまだある。それは、生徒が持っているス