サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
2024年ランキング
note.kohkoku.jp
テキストユニット TVOD 『広告』文化特集号イベントレポート 去る5月15日、下北沢の書店「本屋B&B」にて『広告』文化特集号の発売記念のトークイベントを開催しました。テーマは「サブカルチャーと冷笑」。2010年代以降、SNSでの政治的や社会的な活動の盛り上がりとともに、たびたび話題となった「冷笑」というキーワード。ここ数十年における「サブカル」的な感性のなかで醸成されたものとも言われる冷笑的態度は、どのように生まれ、どこへ向かうのか。文化特集号で「120 SNS以降のサブカルチャーと政治」の記事を寄稿いただいたテキストユニットTVODのコメカ氏とパンス氏をゲストに迎え、『広告』編集長の小野も交えながら語り合ったイベントの模様をお届けいたします。 現代における「冷笑」とは何か小野:最初に、なぜ本日のテーマが「サブカルチャーと冷笑」となったのか。そこからお話しいただいてもいいですか。 コメ
「culture」という語は英語においてもっとも複雑とされる言葉のひとつである。同様に日本語の「文化」も様々な場面で多義的に用いられる言葉だ。その複雑性や多義性はなぜ生まれたのか。そして近代から現代における「culture」や「文化」にまつわる議論はどのような広がりと変遷をたどってきたのか。長年、文化にまつわる幅広い研究・執筆を行なっている社会学者・吉見俊哉氏に、本誌編集長・小野直紀が「文化とculture」をテーマに疑問をぶつけ、その全容をひも解く。 「culture」とはカウンターだ小野:本誌にて「文化」を特集するにあたり、まず吉見さんの『現代文化論』(有斐閣アルマ)を拝読しました。よく使われるわりに、その意味がぼんやりとしていた「文化」という言葉の全体像をつかむヒントがたくさんありました。 吉見:この本の英題は『Introduction to Contemporary Cultura
この投稿は、博報堂広報室との話し合いのもと許可をとって公開しています。 『広告』編集長の小野です。 以下の矢野利裕氏のnote(3月31日公開)およびJ-CASTニュースの記事(4月3日公開)の内容について、編集責任を持つ『広告』編集長として経緯の報告と見解を書きたいと思います。 まず、上記のnoteおよび記事に書かれているとおり、3月31日に発刊された『広告』文化特集号に掲載された記事「ジャニーズは、いかに大衆文化たりうるのか」において、矢野氏の発言の一部が博報堂広報室長の判断により削除されたことは事実です。 当該記事の対談を実施したのは2022年12月1日。対談者両名の確認を経て原稿が完成したのは12月22日でした。すぐに広報室への確認を投げました。そして、そこから約1カ月後の2023年1月24日、ビジネスパートナーであるジャニーズ事務所への配慮を理由として、広報室長から一部表現の削除
こんにちは、『広告』編集長の小野です。 年度末の本日3月31日、『広告』最新号が発売となりました。 編集長を卒業するので、僕にとっては、最新号であり最終号でもあります。制作しているなかで、大学時代の卒業制作(建築)を思い出しました。まさか社会人になって卒業制作をするとは……。 ということで、今号は、僕が編集長をやることになってから約5年間の集大成の号になります。 特集は「文化」。全35記事、1100ページ2019年のリニューアル創刊以来、「価値」「著作」「流通」「虚実」と特集を組んできました。最後の特集は「文化」です。 「文化」はとても複雑で多義的な概念です。「文化」という言葉を発する側と受け取る側で異なる意味合いで解釈している場合もよくあるのではないでしょうか。 今号はこれまででいちばんの大作(←自分で言うものなのか不明ですが)で全部で35記事、1100ページ、44万字あります。数えてみ
ポップ・ミュージックの世界にはたくさんの「虚実」が存在している。アイコンたるスターの誕生には、“実”から“虚”を生むことが不可欠だ。そして、幻想や妄想、あるいは勘違いが、いつしかリアルな表現やムーブメントを生むことも少なくない。本稿では、長年ポップ・ミュージックを観察し、その現場に立ち会ってきた編集者/音楽評論家の田中宗一郎氏と筆者・照沼健太が、ポップ・ミュージックの歴史を彩ったアイコンたちがどのようにつくられたのかを語り合い、“ポップ・ミュージックの虚実”についていくつかの視点を提示したい。 ポップ・アイコンの誕生は、“メディア”と密接な関係にある ── ビング・クロスビーとフランク・シナトラ照沼:ポップ・アイコンの歴史を辿るにあたり、当初はエルヴィス・プレスリーから語ろうと思っていましたが、田中さんから最初に名前を挙げていただいたのがビング・クロスビーでした。彼はフランク・シナトラが憧
なぜ「真実を写す」と信じているのか?「おいふざけんな、地震のせいでうちの近くの動物園からライオン放たれたんだが 熊本」 これは、2016年の熊本地震発生直後に20代の男性が、ライオンが市街を歩く写真とともに投稿したツイートである。写真は南アフリカで撮影されたもので、熊本でライオンの脱走の事実はなかった。しかしツイッター上では広く拡散され、余震が続くなか動物園に問い合わせの電話が相次いだと言う。 2016年熊本地震発生時、デマのツイートが拡散された。実際の写真は、映画の撮影現場を写したもので、ライオンの名前はコロンブス。写真をよく見ると、信号など日本のものではないことがわかる 画像:「トゥギャッター」ウェブサイトより 2011年の正月には、通販サイトでおせちを購入したが、実際に届いたのはウェブサイトに掲載されていた写真とは似ても似つかないスカスカの商品だったとして、販売業者に多数のクレームが
演劇や小説、映画など、フィクションを楽しむ娯楽や芸術は古くから多岐にわたって存在していた。1970年代後半以降に普及したビデオゲームは、プレイヤーの能動的な関与によるシステムとのインタラクションにより、フィクションの世界へより深く没入できる点に特徴があると言われている。本インタビューでは、美学の視点からビデオゲームを研究する松永伸司氏に、ビデオゲームの表象と受容における特色や、プレイヤーがどのような構造によって虚構と現実の狭間に存在するゲーム世界を体験するのかについて伺った。 美学の視点からビデオゲームを研究する理由── まず松永さんのご研究内容について伺えればと思います。また、美学についての解説も簡単にお願いしてよろしいでしょうか。 松永:私の専門分野は美学で、その視点からビデオゲームを中心とした現代のいろいろな文化の特徴を考えるということをやっています。美学は哲学の一分野ですが、扱う対
3月1日に虚実特集号が発売されてから約2カ月半が経ちました。『広告』編集部では毎号、SNSやネットの反響や実売数をチェックし、書店ともコミュニケーションをとりながら、最新号がどのように世の中に受け止められたかを振り返っています。 5月19日時点でAmazonでは2,225冊が売れていて、流通を特集した前号のAmazon実売数が発売後1年以上たった現時点で1,781冊だと考えると、とても好調に見えます。しかし、書店での実売数を見ると、現在確認できている範囲で6店舗から完売の連絡が入っているものの、正直かなり苦戦しています。 現時点の書店での販売数は933冊(224店舗中、回答があった188店舗の販売数)。流通特集号の発売後2カ月半頃の販売数1,922冊(211店舗中、回答があった201店舗の販売数)と比べると、半分以下に留まっています。 取り扱っていただいている書店は2019年のリニューアル
3月1日に『広告』虚実特集号が発売されてから1カ月と少しが経ちました。 みなさんが今回、『広告』虚実特集号を知ったきっかけは何でしたか? 編集部のnoteやSNS、メディアの紹介記事、書店やAmazonのサイト……いろんな入り口がありましたが、「店頭で初めて見た」という方以外は、『広告』虚実特集号の装丁はこの写真のイメージだったと思います。 『広告』虚実特集号の書影(撮影:伊丹豪) そして、もしこの写真のイメージを持ったまま実際の雑誌を手に取ったのであれば、「思っていたものと違った」と感じたのではないでしょうか。 『広告』では2019年のリニューアル以降、雑誌を知ったり、手に取ったりする段階から特集について考えるきっかけをつくろうと装丁や販売方法などに様々な工夫をしてきました。 「価値」を特集したリニューアル創刊号では、全680ページの分厚い雑誌を1円(税込)で販売。価値と価格の非対称性を
うそはほんととよくまざる ほんとはうそとよくまざる うそとほんとは 化合物 これは、谷川俊太郎さんの詩『うそとほんと』の一節です。僕ら人間には嘘と本当を明確に区別しようとする癖があります。不確かなものを不確かなままにしておくことが苦手で、白黒はっきりさせないと不安で不快なのです。それぞれの概念に「嘘」、「本当」と名前がついているように、頭のなかではふたつは分離可能なのかもしれません。しかし実際には、嘘や本当はどちらか単体ではなく、いつも混ざり合った状態で目の前に現れます。 似ているものに「フィクションとリアリティ」があります。「真実の愛を探す」と謳うリアリティショーが、巧みな編集や演出によって成り立っている一方で、「この物語はフィクションです」と注意書きがある漫画やドラマのなかで繰り広げられる人間模様に、真理が潜んでいることもあります。 「イメージと実体」もそうです。人が何か商品を買うとき
「流通改革」で、どん底から脱したアップル「アップルは特殊すぎる会社で参考にならない」──世界でもっとも成功した会社、アップル。そのビジネスに学ぼうという記事は多いが、それに食傷気味の人はこう思うようだ。だから、本稿では世界中のどの企業と比べてもアップルが見劣りした四半世紀前頃の話から振り返りたい。この時代、アップルからはイノベーションが消え、業績も悪く、あと90日で倒産という状態だった。アップルは、その状態からどうやって軌道修正をし現状を築いたのか。古い話ではあるが、そこにはいまでも多くの学びがある。また、同社の再建において「流通」の見直しがいかに重要だったかもよくわかる。 アップル再興の物語は、スティーブ・ジョブズの復活からスタートする。ジョブズは、アップルを創業するも、経営闘争に破れて会社を追い出される。その後、紆余曲折を経て戻ってきたのが1996年末、倒産寸前のアップル社だった。「ア
2月16日に『広告』流通特集号が発売されてから、ちょうど2カ月が経ちました。 今回は税込3,000円という雑誌としては少し高めの価格設定のため、正直なところ売れ行きがどうなるか心配でした。ところが発売後、書店から「完売したので追加発注は可能か?」とリクエストがあったり、「うちでも扱いたい」と新規の取り扱いが増えたりと好発進でした。また、Amazonランキングでは浮き沈みはあるものの現在もカテゴリー1位(広告・宣伝・営業の雑誌)となっています。このように、ありがたいことに発売後2カ月経ったいまも反響が続いており、4月16日現在、取り扱いのある書店211店舗のうち、33店舗で完売(うち12店舗に追加提案中)、49店舗から追加発注をいただいています。 今号は、段ボール装というオリジナルの装丁を開発したり、雑誌が製本されてから書店に並ぶまでの流通経路を表紙に記載したほか、リニューアル創刊号以来、初
2月16日に発売した『広告』最新号は、「段ボール装」という独自に開発した装丁となっています。 ECで買い物をした際に届く段ボール箱のような見た目。箱を開封するようにミシン目に沿って側面をペリペリとめくると、箱だった段ボールがそのまま表紙となる……という箱と本が一体化したつくりです。 毎号、特集にまつわる装丁デザインとしている『広告』ですが、今回は「流通」を体感できるものとしてこの段ボール装が生まれました。 このnoteでは、今回のちょっと特殊な装丁が生まれた背景と最終的な形になるまでの試行錯誤、具体的な制作過程についてご紹介したいと思います。 段ボール装が生まれた背景「流通」という大きなテーマを具現化するには、どんな形がふさわしいか。 リニューアル創刊号から『広告』のデザインをお願いしている電通の上西祐理さん、フリーランスの加瀬透さん、牧寿次郎さんと構想を練りはじめたのは2020年の7月。
昔、自分がプロダクトデザイナーとして携わった商品が、いつのまにか発売されていたことがありました。つくるところだけを依頼され、納品したら「あとはこちらでやっておきます」と、あたりまえのようにそうなったのでしょう。このように、いまの社会では、「つくる」と「届ける」が分断されていることがよくあります。でも僕の場合、自分がつくったものが、いつどうやって受け手に届くのか知りたいし、かかわりたいという思いがあります。 だから、本誌『広告』の制作においては「どう届けるか」にも向き合うようにしています。もともとは大手取次をとおして季刊誌として販売されていたのですが、2019年のリニューアルの際に、「1円で販売したい」「毎回、価格も判型も変えたい」「発行スケジュールは柔軟にしたい」と、既存のやり方にあてはまらない要望を実現しようとした結果、取次で扱うのは難しいとなり、いちから自分たちで販路を開拓することにな
日本はコンテンツビジネスが強い国かと聞かれて、どう答えるだろうか? アニメ、マンガ、ゲーム……多くの優れたコンテンツがあり、多様なマーケットが存在する日本は「コンテンツ大国」であるというイメージを持つ人も多いだろう。日本におけるコンテンツ市場は、約12兆円(総務省「平成30年版 情報通信白書」より)もの規模がある。しかし、2013年~2017年の5年間の市場の伸びを見ると日本は年率1.6%の微増にとどまっており、年率5.5%で伸びる世界主要国の市場成長から遅れをとっている。コンテンツ産業の規模を対GDP比で見てみると日本は1.6%。アメリカの2.5%、韓国の2.3%を下回り、「コンテンツ大国」とは言い難いのが現状である。 図1-1:主要16カ国における5年間のコンテンツ市場規模推移(ヒューマンメディア「日本と世界のメディア×コンテンツ市場データベース」2019年を元に作成) 図1-2:20
こちらでもふれているように、本記事はもともと『広告』著作特集号(2020年3月26日発行/発行元:博報堂)に掲載予定であった。しかし、博報堂社内の関係各所への確認や調整に想定以上の時間がかかり誌面への掲載を断念。雑誌の校了後も調整を継続し、幾度もの確認・修正の往復を重ねた。そして初稿の完成から約7カ月、ようやく社内調整が完了し、noteにて公開を行なう運びとなった。本記事は全文無料、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス「CC BY 4.0(表示4.0国際)」で公開する。『広告』リニューアル第2号の特集は「著作」。オリジナリティや著作権にまつわる記事を多く掲載している。しかし、そもそも発行元であるわれわれ博報堂は、このテーマを扱うにあたってどのような立場にいるのだろう。 多くのクライアントとともに、CMやポスターなど日々膨大な広告制作物を世に送り出している身として、オリジナリティや著作権に対
著作権は、作品の価値が高まるのを阻害する何かを創作した人が、自分の創作物をコントロールするのは当然だ。なぜなら、それが著作権というものだから。私たちはそう考えるかもしれないが、そもそも著作権とは一体、なんのためにあるのだろうか。たとえば、子どもの頃、誰かがおもしろい遊びのルールや言葉を「発明」すると、みんながそれを真似たり、アレンジして「進化」させたことを思い出す。あるいは、宴席で流行りの芸人のものまねをする人もいるかもしれない。そこに芸人本人がやってきて、「これは自分が考えた芸なのだから無断で使うな」と言ってきたら? 正しいかもしれないが、どこか釈然としないのも確かだ。遊びのルールや言葉、芸人のセリフや身振りは、ほかの「モノ」とは違って、他人が使っても減ることがない。文章や映像、音楽もそうだ。そして、多くの人がそれを使うことで、価値が上がるとすら言ってもいい。 逆に言えば、どれだけおもし
リニューアル第2弾となる著作特集号を発売したのは、約3カ月前の3月26日。奇しくも新型コロナウィルスの影響が世の中に色濃く出はじめた時期でした。 4月に入り緊急事態宣言が発令されると、多くの取り扱い書店が一時休業に。そんななかでも、営業形態を工夫したり通販を始めるなどして販売を継続した書店もあり、7日1日現在、全196店舗のうちオリジナル版が44店舗、コピー版が5店舗、そして38店舗で両方が完売しています。 完売の連絡は毎回嬉しいものですが、いまの特殊な状況下での「◯◯書店さん完売しました」という連絡は、さらに感慨深いものがありました。 著作特集号の発行にあたっては、1円(税込)で販売したリニューアル創刊号に引き続き書店との直接取引を行ない、その販路を全都道府県に広げたほか、オリジナル版とそれをコピーして制作したセルフ海賊版(コピー版)の同時発売や一部を除く各記事へのクリエイティブ・コモン
こんにちは。『広告』編集長の小野です。 昨年7月のリニューアル創刊号発売からはや8カ月。 本日、ついに最新号が発売になります。 今回の特集は「著作」です。 SNSを賑わせる“パクリ”騒動、違法コンテンツ配信問題などインターネット登場以降激変した(広義の)ものづくりをとりまく環境のなかで、いまあらためてオリジナリティや作家性、著作物の保護や利用のあり方などについての視点を集めました。 博報堂の著作権侵害?企画を進めるなかで頭に浮かんだのは「そもそも博報堂が、オリジナリティとか著作権とか偉そうなこと言って大丈夫なの?」ということでした。 ご存知の通り広告会社はクライアントとともに日々大量の制作物を生み出しているのですが、すべての制作物が「オリジナルである」「著作権的に問題ない」と言えるのだろうか。会社的にはそう言わないといけないのかもしれませんが、実際にはグレーなものや法的にはOKでもモラルと
グッドデザイン賞は何のために存在するのか。60年以上つづく“権威ある”アワードなのだが、一般消費者にどれほど認知されているのだろう。受賞の証であるGマークが商品についていることよりも、アマゾンレビューやネットの口コミのほうが影響力が大きいのではないか。 また、優れたデザインを褒め称える賞なのだとしたら、応募総数の約3割も受賞することに強い違和感を覚える。ほかの業界のアワードと比較すると圧倒的に受賞率が高い。あれもこれも受賞していると権威としての格が疑われる。さらに、グッドデザイン賞は、お金がかかる。応募してから受賞するまでに20万円以上必要であり、受賞後に企業がGマークを使うとなるとさらに10万円以上を支払わなければならない。とても商業的に見える。 この時代に権威によるアワードの存在意義とは何なのだろうか。本誌編集長の小野直紀が聞き手となり、審査委員長の柴田文江氏と、審査委員を務めたデザイ
映画や音楽の世界では、いまもアカデミー賞やグラミー賞のような権威あるアワードがあり、日本でもレコード大賞はいまだ、年末の風物詩として残っている。その一方で、ミシュランガイドに対しての食べログといったように民意による評価が勢いを増してきている。評価の影響力が権威から民意へと移行するなか、その裏側で何が起きているのか。権威と民意、そのどちらとも違う立場から世の中を見つめてきた批評家・佐々木敦さんに、いまの時代における評価の実態と行く末を伺った。 権威の力が弱まったあとに、人々が求めるものとは── SNSやレビューサイトでの評価がブームの火付け役となるいま、昔に比べて権威の影響力が弱くなっていると感じています。それは、権威そのものの力が弱まっているのか、人々がそういったものを信じなくなってきたのか、どちらなのでしょうか。 いまも充分に機能している“権威”もあると思います。たとえば『東大』。「東大
人々が必要だと思うものや、社会が必要とするものをつくり、届けることはある意味易しい。ニーズに沿ったものをつくれば、手にとってもらえるからだ。一方、人々が必要性に気づいていないもの、受け手にとって無用に思えるものをつくり、届けるのは簡単なことではない。 そして、それをやり続けることはなおさら難しい。そのことに成功しているのが、思想家の東浩紀さんが経営する出版社「ゲンロン」だ。ゲンロンの戦略は、思想や哲学といった「等価交換の外部」にあるものを「等価交換の回路に忍び込ませる」ことだという。8年以上にわたり、一企業が「等価交換の外部」を人々に届け続けられたのはなぜなのか? 実践の背後にある思想を伺った。 人が必要と気づいていないものを届ける── まず、ゲンロンの活動について教えてください。 会社の設立は2010年です。当初コンテクチュアズという社名で、いろいろな人が集まって自由に雑誌をつくるような
いいものをつくる、とは何か? 「広告はもうやりません。ものづくりをやります」と博報堂の役員に宣言したのが5年前。まさか“広告”を冠した雑誌をつくることになるとは思いもしませんでした。 『広告』は、変な雑誌です。編集長が2〜3年に一度変わって、その度にテーマも体制も、判型も価格も、全部変わります。“広告”という誌名なのに、広告について扱うことは稀です。だから、僕も広告を扱わず「ものづくり」を扱うことにしました。 僕は博報堂で働く傍ら、個人で「YOY(ヨイ)」というデザインスタジオを主宰しています。YOY
こんにちは、『広告』編集長の小野です。 久しぶりの投稿になってしまいました。 7月24日に発売した雑誌『広告』のリニューアル創刊号は、おかげさまで大きな反響をいただき、8月4日に完売となりました。手にとっていただいたみなさま、販売にご協力いただいた書店のみなさま、制作に関わっていただいたみなさまに感謝いたします。 今回のリニューアル創刊号は、価格を1円(税込)にしたことをはじめ、取次会社を通さず直販の体制としたり、全680ページの雑誌らしからぬ雑誌としたり、電通のデザイナーに参加してもらったりと、いろいろなチャレンジを行いました。 そして発売後から今日にいたるまでSNSやアンケートなどを通して様々なご意見、ご感想をいただきました。そこには、自分たちが意図していたことだけではなく、想定外だったこと、無自覚だったこともあり、たくさんの気づきや学びを得ることができました。 このレポートでは、なぜ
こんにちは。雑誌『広告』編集長の小野です。 本日、雑誌『広告』のリニューアル創刊号が発売になりました。 リニューアルにあたって、全体テーマを「いいものをつくる、とは何か?」としました。そして、常識にも変化にも疑いの目を向けて、この問いを思索するための「視点のカタログ」として、雑誌『広告』は生まれ変わりました。 リニューアル創刊号の特集は「価値」です。ひとりのつくり手として、「ものの価値」についていろんな角度から考るきっかけになりました。みなさまにも同じ体験をしてもらえるとうれしいです。 ページ数は全部で680ページあります。価値について考えるためにはこれでも全然少ないと思っているのですが、当初の発売予定日より4ヶ月ほど遅れてしまっていたのでここで打ち止めにしました。 編集には、数十人が関わっています。多くは僕が尊敬する同世代のつくり手やつくり手をとりまく方々です。 デザインは電通の上西祐理
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『note.kohkoku.jp』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く