サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
大そうじへの備え
note.com/tk84yuki
こんにちは。2022年6月1日に新しい書籍を出しました。 当然ながら、この新書をたくさんの人に買って欲しいと思っています。そんな中、各社から、何か新書にまつわる記事を出しましょう、というありがたいお話をいただきました。とても嬉しく思っていたのですが……。 実際に打ち合わせてみると、ほとんどのウェブ媒体さんが「抜粋記事が欲しい」とおっしゃるのです。 「抜粋記事」とは、本の中からある部分の文章を抜き出して作成する立ち読み的な記事のことです。 前作『つけびの村』刊行からもうすぐ3年になりますが、その間に新刊紹介の方法は大きく変化していました。最近は、ウェブ媒体で新刊を紹介する方法として「抜粋記事」がとにかく大流行りしています。手軽に作れて、バズれば本が売れる。媒体と著者、どちらにも旨味があるという理由です。 どうやら、あまりにも旨味があるようで「抜粋記事」ばかりが求められてしまいます。 とはいえ
お久しぶりです。今年に入った頃は、頻繁な手洗い、手指の消毒、マスク越しの会話が“スタンダード”になるとは想像もしていませんでしたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。 遠方への取材が思うように進まない状況となり、歯がゆい思いをしているのはきっと、私だけではないでしょう。失ってみて初めて気付くことは色々あるなと感じる今日この頃です。 そんななか、びっくりな知らせが舞い込みました。 Yahoo!ニュース・本屋大賞による『2020年ノンフィクション賞』において、全国書店員さんの投票の結果、『つけびの村』がベスト6位内に入り、最終選考に残ったのだそうです。 そこから書店員さんたちが、今回ノミネートされた全6作を読んだ上で、二次投票が行われ、最も得票の多かった作品が大賞として11月上旬に発表されるとのことでした。 書籍『つけびの村』をお読みいただいた方はご存知の通り、もともとnoteにアップしている6編
仮出所を前に、殺人未遂の懲役囚が別の殺人事件の犯人だと名乗り出た。 良心の呵責に耐えきれなかったのか、それとも他に何か理由があったのか。 初出 『新潮45』2018年6月号 本記事の「今年」は2018年。情報は2018年5月当時のもの 獄中の告白 10年前の公判で見たときは恰幅の良い大男だったが、いまは一回りも二回りも痩せて見える。 「目の調子が悪くて本を読むと字がずれたり……。『役』の字が『殺』にしか見えなかったり、こっちにあるものが、あっちに見える。自律神経が乱れてるからいろいろな症状が出ると医者には言われました」 右から左に大きな左手をゆっくりと動かしながら言う。その薬指には事件の時についた傷が今も薄く残り、少し曲がっている。 横浜拘置支所の接見室。目の前にいるのは、語る必要のない罪を告白した男だ。獄中で、自分が犯したもう一つの罪を訴え出た。 その告白は自分の行為の重大さを知り、反省
2019年9月25日に書籍『つけびの村』が発売となりました。noteからお読みいただいた方々をはじめ、書店で見かけた方が購入してくださり、さらにSNSでも購入のご報告をしてくださるのを毎日のように目にして、とても嬉しく思っております。本当にありがとうございます。 本の中でもすこしだけ触れましたが、私はもともとプログラマーとして働いていました。大学を卒業した後は、ゲームやメディアアートの開発に携わり、その後、趣味で傍聴ブログを始めたところ、そのブログが書籍化され、以降、刑事事件を中心とした傍聴ライターとして活動しています。 10月15日の夜におこなわれる青山ブックセンター本店でのトークイベント『ノンフィクション万歳!』にゲストとして参加してくださるノンフィクション作家の水谷竹秀さんや広野真嗣さん、『つけびの村』の版元編集者である江坂祐輔さんは、今でこそウェブでアウトプットもしていらっしゃいま
つけびして 煙り喜ぶ 田舎者 2019年7月11日、最高裁判所が上告を棄却し、保見光成の死刑が確定しました。 note版『ルポ つけびの村』読者の皆様はよくご存知と思いますが、保見光成は、2013年夏に山口県周南市の山奥、わずか12人が暮らす金峰[みたけ]地区の郷集落で5人が殺害され、2軒に火がつけられた〈山口連続殺人放火事件〉の犯人でした。 私が取材を始めたのは事件直後どころか、容疑者として逮捕された保見が、山口地方裁判所で死刑を宣告され(2015年)、控訴した広島高等裁判所でも即日結審、すぐに棄却(2016年)された後、2017年のことです。 「この事件、ぜったい無理だから、もうやめろよ。どこも取り上げてくれないぞ。誰も読まねえ。取材続けてどうするの?」 夫やママ友、ファミサポさんに子どもの世話をお願いして、金峰へ出かける私に、夫はそう何度も言いましたが、これは愚痴ではなく、プロとして
こうお知らせして早5ヶ月……。 ようやく、ルポ「つけびの村」書籍化作業も、入稿を終え、再校ゲラのチェックを行う段階となりました。そしてようやく、Amazonで予約ができるようになりました。 8月刊行を目指して…とお伝えしておりましたが、発売日は9月23日となります。 Amazonからの予約はこちらです。カバーラフは予約開始に間に合いませんでしたが、そちらも決まり次第、お知らせいたします。いまは仮の写真がはめこまれております。
このたびは ルポ「つけびの村」をお読みいただきまことにありがとうございました。 たくさんの方に読んでいただくなか、色々な出版社さんから書籍化のお話をいただきました。本当にありがとうございます。 じっくりと検討した結果、はじめにお話をくださいました晶文社さんと、書籍化を進めることになりました。 2019年8月の刊行を目指し、追加取材のうえ、現状の原稿をさらにブラッシュアップしていく予定です。 そして今回の書籍化については、ひとり助っ人にはいってもらうことにしました。昨年3月20日発売『STUDIO VOICE』vol.412 において、この「つけびの村」の片鱗を綴った『殺しとウワサ』という記事を書きましたが、その際に編集を担当してくださった、作家であり編集者の藤野眞功さんに加わっていただきます。 晶文社の江坂さんと、藤野さんと、私の3人で、どんな作品が作れるのか、とても楽しみです。 近々で追
ルポ「つけびの村」 06/06 2013年7月に山口県周南市で発生した山口連続殺人放火事件について、2017年に取材し、まとめたものを6回に分けて公開します。存命の関係者のお名前は全て仮名です。2017年9月7日脱稿、その後少し寝かせていました。 ポパイが今も思いを寄せる飼い主のワタルに面会するため、広島拘置所へ向かった。その日の広島駅周辺は、朝から曇っていた。蒸し暑く、歩いていると髪が湿気を含む。ホテルから10分ほどしか歩 もっとみる
高橋ユキ。北九州市出身のフリーライター。『つけびの村』文庫版2023/03/07発売 https://amzn.asia/d/54QBT0P ニュースレター https://tk84yuki.theletter.jp/ mailto:info@kasumikko.com
東大生集団わいせつ事件〜「頭の悪い女子大生は性的対象」という人間の屑たち〜 初出 『新潮45』2016年11月号 本記事の「今年」は2016年。情報は2016年10月当時のもの 本文のおわりに、その後の情報を追記してあります 今年の5月10日、火曜日。 ゴールデンウィーク明けの東京・池袋は曇りで、風が南南東からゆっくり吹いていた。予報では夜半から雨になるらしい。気温は22度ほどで、湿度が70パーセントもあったから、道行く人はうっすら汗ばんでいたかもしれない。 池袋駅で待ち合わせた東大生・松見謙佑ら5人は、近くの大衆居酒屋へと繰り出した。一行には他大学の女子大生が一人。誰とも面識はなかったが、遅れてくる東大生と知り合いだった。 午後8時過ぎ、コンパはこの5人で始まった。30分ほどして、もう一人女性が加わり、続けてその女性を誘った東大の大学院生と、もう一人、同じく東大院生・松本昂樹が駆け付けて
2013年7月に山口県周南市で発生した山口連続殺人放火事件について、2017年に取材し、まとめたものを6回に分けて公開します。存命の関係者のお名前は全て仮名です。2017年9月7日脱稿、その後少し寝かせていました。『コープの寄り合い』 相変わらずほとんど人が歩いていない金峰地区で私は、村人が恐怖する金曜日朝の『コープの寄り合い』が行われていた家に住んでいた、吉本茜さん(仮名)の現在の居所を聞いてまわった。ワタルの父・友一やその兄たちの居所を訪ねた時も感じたが、この地区の人たちは、村人の転居先にも詳しい。何人かに聞くと、だいたいの場所がわかった。 吉本さんは事件の後に集落から離れた街に引っ越し、息子たちと住んでいるという。金峰地区の村人だけでなく、少し離れた地域の村人も、吉本さんの名前、経歴や人柄を詳しく知っていた。むろん、引っ越し先の詳しい場所もである。ワタルよりも有名人だ。 若い頃には学
34ヶ所メッタ刺し 小金井ストーカー事件 いまも消えていない「狂った恋情」初出 『新潮45』2017年4月号 本記事の「今年」は2017年。情報は2017年3月当時のもの自分は悪くない 懲役14年6ヶ月の判決が下された翌日、立川拘置所に岩埼(現姓・岩崎)友宏(28)を訪ねた。 「弁護士は12月16日の冨田さんの手記も入れてくれないんです。あいつら本当に口だけで、ほんとハズレでした。判決は10年くらいと言ってたんですよ。殺人未遂は7〜8年が一番多いと言っていて、10年がその次に多いと」「もともと15年だったと思うんですが最後の僕の陳述で、14年6ヶ月になったのかな」 何を言っているのだろう。これほど重い判決が、彼には全く響いていない。 「警察はやっぱりおかしいですよね。今回の事件は武蔵野警察署の失態だと思っていますよ。僕に電話でもいいから、注意してくれていたら会いに行かなかった。だって警察が
2013年7月に山口県周南市で発生した山口連続殺人放火事件について、2017年に取材し、まとめたものを6回に分けて公開します。存命の関係者のお名前は全て仮名です。2017年9月7日脱稿、その後少し寝かせていました。郷 事件のあった「金峰地区の郷集落」は、山口県周南市の北部にある山村だ。 その周南市は山口県東部に位置し、重化学工業を主な産業としている。2003年に徳山市、新南陽市など2市2町が合併し発足した。南側の臨海部に広がる工場群は現在「周南コンビナート」と呼ばれ、遊覧船による夜景ツアーが組まれるなど観光名所のひとつとなっている。ここは明治時代に旧海軍の石炭基地が設けられたのち、石炭が石油に代わり石油科学工場が発達。昭和初期には海軍の燃料廠や有機・無機化学、鉄鋼などが集積する工業地帯に成長した。昭和39年には工業整備特別地域に指定され、隣接する下松市、光市とともに重化学工業の拠点としての
2013年7月に山口県周南市で発生した山口連続殺人放火事件について、2017年に取材し、まとめたものを6回に分けて公開します。存命の関係者のお名前は全て仮名です。2017年9月7日脱稿、その後少し寝かせていました。 『金峰百年の歩み』 ワタルは友一とその妻との間に生まれた5人きょうだいの末っ子ということはすでに1月の取材で知っていたが、まだ存命であるならば、誰か一人にでも話を聞きたい。 また友一の兄である順一、徳市はすでに亡くなっているが、その子供達は、ワタルとは従兄弟の間柄である。子供時代に付き合いがあってもおかしくはない。 周南市立中央図書館に用意してもらっていたのは『金峰百年の歩み』という本だ。金峰地区に近い鹿野町にある、周南市立鹿野図書館に問い合わせをした際、この本が所蔵されていることを聞き、あらかじめ中央図書館に送ってもらっていた。 郷地区にある「金峰杣(そま)の里交流館」は公民
2013年7月に山口県周南市で発生した山口連続殺人放火事件について、2017年に取材し、まとめたものを6回に分けて公開します。存命の関係者のお名前は全て仮名です。2017年9月7日脱稿、その後少し寝かせていました。 ポパイが今も思いを寄せる飼い主のワタルに面会するため、広島拘置所へ向かった。その日の広島駅周辺は、朝から曇っていた。蒸し暑く、歩いていると髪が湿気を含む。ホテルから10分ほどしか歩いていないのに、広島拘置所に着く頃は髪が膨らんでボサボサになっていた。 地方都市では城や城跡の近くに役所や裁判所が置かれていることが多い。ここ広島も例に漏れず、広島城のそばに裁判所があった。だが拘置所となると事情は異なり、必ずしも城の近くにあるというわけではないのだが、ここは拘置所が裁判所と同じブロックにある。拘置所敷地の外壁には、浮世絵のようなタッチの、海の上に多数の船が浮かぶ絵が描かれていた。拘置
2013年7月に山口県周南市で発生した山口連続殺人放火事件について、2017年に取材し、まとめたものを6回に分けて公開します。存命の関係者のお名前は全て仮名です。2017年9月7日脱稿、その後少し寝かせていました。 保見友一 その〝泥棒〟の噂高い、保見の父親は、いつから金峰の郷地区に住んでいたのだろうか。集落を訪ね歩いて話を聞くと、皆、大まかには同じことを話した。 「保見のところは、もともとは、同じ金峰でも郷とは違う山の中に住んどった。 長男は順一。友一(ともいち)は三男。その間に徳市(とくいち)ちゅうのがおる。ワタルの父親が友一。この3人ともが皆それぞれに郷に出て来た。それは戦争前。今から70年くらい前かな。家のあったとこは、あとはなんもない」 「ワタルくんのお父さんらは、山の上の方おっちゃったらしいよ、ほんで降りてきた、わたしらも親が話しよったちゅうぐらいしか知らんからね。入るのはね、
2013年7月に山口県周南市で発生した山口連続殺人放火事件について、2017年に取材し、まとめたものを6回に分けて公開します。存命の関係者のお名前は全て仮名です。2017年9月7日脱稿、その後少し寝かせていました。 第23回参議院選挙投票日の2013年7月21日。前月からの猛暑が続く山口県周南市・須金(すがね)・金峰(みたけ)地区の郷(ごう)には、この日も朝から強い日差しが降り注いでいた。そよ風すら吹いていないのはいつものことだ。8世帯12人が暮らす小さな山村は、周南市街地から16キロほどしか離れていないが、半数以上が高齢者のいわゆる限界集落になる。 隣の菅蔵(すげぞう)集落の田村勝志さん(仮名)は、集会場『金峰 杣(そま)の里交流館』で投票を済ませた。その帰りに声をかけて来たのは、義理の妹に当たる山本ミヤ子さん(79歳=当時・以下同)だった。彼女の夫は田村さんの弟にあたるが、先立たれ、一
日時場所:2015年12月2日 1000〜1630@神戸地裁202号法廷 罪名:逮捕監禁、殺人、死体遺棄、監禁、詐欺、生命身体加害略取 東京在住の私ですが、凶悪殺人の裁判傍聴のために地方へ足を運ぶ事もけっこうあります。こちらは2011年11月、兵庫県尼崎市の倉庫で大江和子さん(66=当時)の遺体が見つかったことがきっかけで発覚した「尼崎連続変死事件」です。主犯と目されていた角田美代子元被告(64=当時)は逮捕後に留置場で自殺を遂げ、主犯不在の裁判が、神戸地裁で粛々と行われております。一連の事件では瑠衣被告人を含む10名が起訴され9名にはすでに有罪判決が言い渡されており、こちらの瑠衣被告人が、一審の神戸地裁では最後の関係者となります。初公判は10月に開かれていて、起訴事実の大半を否認しています。殺人では3件の起訴。角田久芳さん(51=当時)を沖縄県の崖から転落死させ、姉の仲島茉莉子さん(26
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『tk84yuki|note』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く