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4日に公表された今年のERMヒアリングの結果について。 今回は当事者ではないので不明な点も多々ありますが、 「各保険会社における態勢整備に向けた取り組みの参考に 供すること等を目的として、ヒアリングの結果を公表する」 とあるので、少しだけコメントしてみましょう。 金融庁のHPへ 前回のERMヒアリング結果では、主に以下の項目について 「態勢の高度化を図っていく必要がある」とのことでした。 ・リスク管理部門の担当役員の専門性 ・内部監査部門の役割 ・リスクプロファイルの把握と活用 ・リスク選好の考え方や枠組み ・海外保険事業の管理体制の構築 ・内部モデル見直しにおける妥当性等の検証態勢 今回のヒアリング結果を見ると、前回課題とした「リスク選好」 「内部モデルの妥当性」などに加え、「ERMの活用状況」に 全体の3ページ弱を割いていて、目を引きました。 実際にERMが活用される場面として、次の3
生保の運用計画については13日のブログでも書きましたが、 「主要生保の2013年度運用計画が出そろった」ようなので、 13日とは別の視点から3点ほどコメントします。 1.発表している「運用計画」とはそもそも何なのか? BloombergのHPには、大手生保4社の記事があります。 日本生命 第一生命 住友生命 明治安田生命 また、ロイターのHPには主要生保9社の計画が 一覧表で掲載されています。ロイターのHPへ 一覧表を見ると、国内株式や債券、外国株式や債券の残高を どう動かす計画なのかを示しているようです。 ところが記事を見ると、 「増加資金の半分弱を外国債券の積み増しに充てる」とか、 「増加資金1兆円程度のうち、約7000億円を円金利資産に振り向ける」 といった記述もあって、頭が混乱します。 今回注目されていた「外債へのシフト」を知りたいのであれば、 増加資金に加え、ポートフォリオの変更
4月に標準利率が引き下げられるのに伴い、 生保各社は保険料率を引き上げると考えられていました。 しかし、各社が公表した4月以降の保険料率を見ると、 主力商品を反対に値下げする動きもあったりして、 なかなか興味深いです。 <主な生保の関連ニュースリリース(PDFファイル)> 日本生命(1/21) アフラック(1/28) 住友生命(2/12) メットライフアリコ(2/15) ソニー生命(2/19) 明治安田生命(2/22) 第一生命(2/25) 富国生命(2/26) かんぽ生命(3/1)※ ※保険料率については記載なし(=改定しないということ?) 今回は、最大手が早々に主力商品の改定見送りを打ち出し、 各社はこれを踏まえつつ、自社の戦略を示す流れとなりました。 この結果、主力商品の料率改定を当面行わない会社 (日本、メットライフアリコ、ソニーなど)と、 予定利率は下げるものの、他の基礎率を見直
11月は保険会社の中間決算が発表される月です。 3月に比べると株価も長期金利も下がっているので、 各社のEVはそこそこ減っているのではないかと想像されます。 ところで、生保の利益指標の一つに「基礎利益」があります。 経常利益から有価証券売却損益や評価損など臨時的な損益を 控除したもので、今やすっかり定着した感がありますね。 ニッセイ基礎研・荻原邦男さんの最近のレポートによると、 「導入の背景には、『生保の多くが逆ざや状態に陥っているなかで、 利差損ではあるものの、トータルで見ると利益はプラスであることを 明示する』という目的があった」 とありました。ニッセイ基礎研HPへ 基礎利益は歴史の長い生保が「3利源ではプラス」 ということを示すために開発されたという面もあることは 知っておいたほうがいいかもしれません。 確かに当時(基礎利益の導入は2000年度決算から)は 「逆ざやが累積していて大変
「損保の本業 最悪の赤字」「タイ洪水など打撃」(日経) 「損保 赤字膨らむ」(朝日) 「タイ洪水で5000億円支払い」(NHK) 大手損保の2011年度決算は、2011年4-12月期決算よりも 株価が上昇した分だけよくなったという印象です。 ただ、自然災害に伴う保険金支払額が大きかったためか、 例年よりメディアの扱いも大きかったようです (もっとも、読売の記事は見当たりませんでしたが...→ 見つけました) タイ洪水の話は以前書いていますね。2/18のブログへ 自然災害に伴う発生保険金としては過去最大級だと思いますし、 過去に日本の損保が経験したことのないタイプのものでした。 2011年度はタイに加え、国内でも台風など自然災害が多発し、 発生保険金額は、東日本大震災のあった2010年度の2倍以上 (家計地震保険を除く)となりました。 単体合算ベースで約6000億円といったところでしょうか。
4月5日の共同通信から。 「大手損害保険5社が5日発表した2012年3月期の営業成績速報 によると、売上高に当たる収入保険料が全社で増収となった。」 2月14日の朝日新聞から。 「銀行での窓口販売が伸びた明治安田生命は4~12月期で、 売上高にあたる保険料等収入で日本生命を抜いて首位に立った。」 メディアでは保険会社の収入保険料/保険料等収入を 事業会社の売上高にあたる、としているようですね。 売上高とは一般に、商品やサービスを提供した対価として 顧客から受け取った代金のことです。 保険会社の場合、保障(補償)を提供する対価として 保険料を受け取っているのだから、これでいいのかもしれません。 ただ、例えばトヨタ自動車の売上高をみると、自動車だけではなく、 金融事業の収益も入っています。 保険会社にとって資産運用は保険事業と並ぶ本業なのだから、 売上高は保険料だけではない、という考え方もでき
生保の4-12月期決算発表がもうすぐピークを迎えます。 手掛かりとして生命保険協会が公表している 月次統計(11月)を見ると、総資産が増えないなかで、 生保が国債投資を増やしているのが目立ちます。 投資家別売買高を確認しても、生保・損保が一貫して 国債を買い越しているのがわかります。 その多くは超長期債です。 では、生保はどの資産から国債にシフトしているのでしょうか。 昨年3月末は現預金が膨らんでおり(震災の影響?)、 まずはここからのシフトが考えられます。 貸付金や外国証券の残高も減っています。 貸付金は資金需要の弱さ、外国証券は円高のほか、 海外金利の低下でヘッジ外債が減っているのかもしれません。 外国証券の減少は昨年度とは異なる動きですね。 なお、国内株式も減っているのですが、株価の推移を考えると 売却よりも時価下落の影響が大きいかもしれません。 決算発表前でもこんな分析ができますよ
恥ずかしながらインフルエンザにかかってしまい、 ブログを更新できないまま、2月になってしまいました。 ようやく通常の生活に戻れます。 法人税率の引き下げが決まり、業績予想の下方修正が 保険会社でも数社で発表されていますね。 税率が下がった分だけ繰延税金資産を取り崩すため、 当期純利益が一時的に減る要因となります。 31日の日経によると、大手生保の「損失額」は 次の通りだそうです。 日本生命 = 1800億円程度、 第一生命 = 700~900億円 住友生命 = 約450億円 明治安田 = 約900億円 このこと自体は極めてテクニカルな話で、 減益だからどうということはないと思います。 ただ、そもそもこのようなことが起こるのは、 バランスシートに繰延税金資産が計上されているからですよね。 すなわち、繰延税金資産の分だけ純資産が大きくなっている とも言えます(それが税効果会計と言われればそれま
近年のコンバインドレシオを見てもわかるとおり、 損保は保険収支の低迷に悩まされています。 他方、生保の危険差益は安定して推移しています。 保険会社の利益の源泉について、少し考えてみましょう (資産運用力については今回は触れないことにします)。 利益の中核をなす「危険差益」は、想定した発生率 (=保険料の基となる発生率)を実際の発生率が下回ると 生じるという説明が一般的です。 ただ、これだと料率を高めに設定すれば利益が出ることになり、 「不完全競争だから利益が出る」となってしまいます。 生保の危険差益は不完全競争によるところが大きいのかは?ですが、 完全競争においても保険会社は儲けることができるのでしょうか。 まず「大量の自社データを活用したプライシング」はどうでしょう。 不十分なデータでは大数の法則が働きにくく、 安定して事業を行うことができません。 プライシングの巧拙が利益の源泉というの
27日の日経に小平龍四郎編集委員による 「『リスクオフ』規制が助長?」という記事がありました。 これまで株式の比率を下げてきた生命保険会社が 規制強化で「リスクオフ」を続ける、というものです。 この記事のなかに、 「支払い余力規制が強くなりすぎると、株式投資などを通じて 経済に成長資金を供給してきた生保の役割が変わってしまう --国際決済銀行(BIS)はそう警告している」 という記述があったので、元のレポートを探してみました。 記事に出所が書いていないので特定できないのですが、 おそらく7月の「保険会社と年金基金の債券投資戦略」 というレポートではないかと思います。 BISのHP 確かにレポートには、 「伝統的に長期投資家である生保や年金基金が、 新たな会計や規制により、その役割を果たすのが難しくなっている」 とあります。しかしよく読むと、 「彼らが債券市場において果たしてきた長期投資家と
昨日(5日)明治大学で、日本保険・年金リスク学会(JARIP)の 研究発表大会がありました。 保険や年金に関する様々な研究発表がありましたが、 最も刺激的だったのは、一橋大学・米山高生教授の 特別講演ではなかったでしょうか。 タイトルとなっている「保険をめぐる二つの世界」とは、 「伝統的な保険論」と「リスクマネジメント&保険」です。 「伝統的な保険論」は供給者の視点に立っており、 収支相等の原則からはじまる保険論です。 予定調和的な世界を前提にしており、 価格は保険数理による決定論的な世界で決まります。 これに対し、「リスクマネジメント&保険」は需要側から マーケット(=自由競争)を前提に考えるものです。 予定調和ではなく不確実な世界であり、 価格は確率論的な世界で決まります。 そして、 「伝統的な保険論では解決できない問題や苦手とするテーマも 需要側からマーケットを前提に考えると解決でき
先のIAIS(保険監督者国際機構)ソウル年次総会で 日銀総裁が「保険会社と金融システム:中央銀行の視点」 というスピーチをしています (恥ずかしながら知人に教えてもらいました^^;) 日本銀行のHPへ 講演録(の邦訳)を見ると、いくつか気になるところがありました。 現在のグローバル金融市場の動きを踏まえ、 ①現在の低金利をごく例外的な事例と位置づけてよいものか、 保険会社の経営者も規制・監督当局もよく考えなければならない ②ソブリン・リスクの高まりは、保険会社が推進してきたリスク管理の 高度化(=超長期国債の購入によるミスマッチのリスクの削減)の 見直しを迫ることになるかもしれない ③長期的な視点から投資ができる保険会社にとって、 市場のゆがみをとらえて投資に踏み切ることが期待されるが、 仮にそうした行動をとりにくくなっているとしたら、その原因は何なのか、 当局はどのように対応すべきなのか
「ファンド情報」は金融窓販と運用商品の専門誌です。 格付会社R&Iが出しているものですが、 格付けとは全く関係がありません。 最近この「ファンド情報」で保険関連の記事が目立ちます。 読者である金融機関のリテール担当者の関心が、 変わってきているのかもしれません。 例えば6月13日号は、巻頭スペシャルとして 「『保険のプロ』が変える販売現場」が5ページ、 新たにスタートした「窓販保険商品の比較講座」が4ページ。 記事は全部で19ページなので、保険だけで半分近くを占めています。 スペシャルには、第一フロンティア生命の名物ホールセラー、 東京スター銀行に派遣されたライフプラザホールディングス (LPH、来店型保険ショップを展開)のコンサルタント、 保険を軸に顧客ニーズをつかみ、投信の運用を助言する 独立系ファイナンシャルアドバイザーが登場していました。 3者の共通点は、保険や投信の売れ筋商品に頼
銀行の国債購入が目立っており、金利上昇時に 損失が発生するリスクが懸念されています。 他方、生保も超長期債などの投資を増やしているため、 「生保も大丈夫?」という声を時々耳にします。 ただ、同じ国債投資でも、銀行と生保のALMはかなり違います。 銀行の負債は預金が中心なので、長い債券の購入は 金利リスク(金利上昇時に損失を被るリスク)につながります。 しかも、金利上昇時に預金が流出するリスクも無視できません。 これに対し、生保の負債は一般的に非常に長いので、 超長期債を購入しても、そう簡単には資産と負債の ミスマッチが埋まらないという現状があります。 もう一歩踏み込んで、生保が抱える超長期債に 損失が発生するのはどのような時か考えてみましょう。 金利が上昇しても、保有区分が「責任準備金対応債券」か 「満期保有目的債券」であれば、含み損を抱えることがあっても 損失は発生しません。 ミスマッチ
先週末だったでしょうか。「生保、女性加入率が男性上回る」 というニュースが流れました。 「不況の影響に加え、未婚化が進み、生命保険の必要性を 感じない人が増えている」とのこと。 本当にそうかなあと思って、元の資料を調べたところ、 事実は次の通りでした。 生命保険文化センターが9日に発表した 「平成22年度 生活保障に関する調査」によると、 生命保険・個人年金保険の加入率が、 男性が79.9%(H19年は81.9%)だったのに対し、 女性は81.4%(同81.2%)と確かに逆転しています。 ただ、内訳をみると、民保の男性加入率はむしろ高まっており、 簡保とJAの下げが、男性加入率の低下に寄与しています (生協・全労済の加入率は上昇)。 また、女性加入率の上昇は、ほとんど民保によるものです。 H19年の55.6%から、今回は60.3%と約5ポイントの上昇です 簡保とJAの加入率は低下、生協・全
生命保険会社の2024年4-6月期決算では、長期金利の上昇によって保有する国内公社債の時価が下がり、各社の「含み損」が拡大。その点に着目した報道がいくつかありました。 生保の国内債含み損、08年以降で最大に(日経・有料記事) 大手生保4社、国内金利上昇で債券評価損が拡大(Bloomberg) 国内債の含み損拡大は、リスクをとった結果、期待に反して損失が発生した、つまり資産運用で失敗したというのではありません。会社全体としては金利リスクを小さくしているにもかかわらず、保険会社が資産サイドの時価情報しか公表していないため、あたかも損失が膨らんだかのように見えてしまうという話です。「満期保有目的の債券」や「責任準備金対応債券」だから時価評価しなくてすむ(したがってソルベンシーマージン比率はほとんど下がらないですよ、Bloombergさん)、というのは本質的な論点ではなく、経営状態を示すうえでの情
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