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2024年6月18日の週刊金融財政事情の書評(一人一冊)をこちらでもご紹介します。今回取り上げた書籍は丸木強さんの『「モノ言う株主」の株式市場原論』です。先週の株主総会関連ニュースと合わせてご覧ください。 文体がいつもとやや違うのは、私が間違えて「ですます調」で原稿を出してしまい、それを編集で直していただいたためです。 時代がアクティビストに追いついてきた 「個人的な見解ではあるが、PBR(株価純資産倍率)が1倍割れしていなければそれでいいとは思っていない」。 誰の発言だろうか。アクティビストにも思えるが、実は金融庁の栗田照久長官。5月に埼玉大学で開催された日本金融学会春季大会の特別講演での発言だ。 東京証券取引所は昨年3月、すべての上場会社を対象に、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応を要請し、特に「PBR1倍割れは、資本コストを上回る資本収益性を達成できていない、あるいは、
ご承知のとおり、金融庁で「経済価値ベースのソルベンシー規制等に関する有識者会議」が開かれています (月1回ペースのようですね)。 この有識者会議のメンバーである河合美宏さん、松山直樹さん、森本祐司さんと、金融庁の担当者である白藤文祐さんによるパネルディスカッションが、11/9(土)の日本保険・年金リスク学会(JARIP)の研究発表大会で行われます。コーディネーターは有識者会議で座長を務める米山高生先生です。 有識者会議の資料と議事要旨は金融庁HPで公表されますが、メンバーの生の声を聞くことができる貴重な機会です。 ただ、パネルディスカッションの時間が限られているので、ぜひ懇親会までご参加いただければと思います。締め切りは10月30日ですので、お忘れなく! (JARIPに個人会員として入会するのがお得かもしれません)。 ※ポーランドの紅葉(黄葉)です。
出張前ということで、今週公表された金融庁と厚労省の資料から手短にコメントします。 金融行政の実績と方針 金融庁は28日に「利用者を中心とした新時代の金融サービス~金融行政のこれまでの実践と今後の方針~(令和元事務年度)」を公表しました。 本文をみると、金融行政の重点施策として最初に「金融デジタライゼーション戦略の推進」を挙げているほか、地域金融について20ページもの記述があります。 保険関係では、「顧客本位の業務運営の定着」「持続可能なビジネスモデルの構築」「ガバナンスの機能発揮」とありますが、保険販売に関わるかたはこちらよりも、27ページからの「販売会社による顧客本位の業務運営」に注目したほうがいいかもしれません。 今回のキーワードの一つは「心理的安全性」ですね。 本文87ページのコラムによると、心理的安全性とは、「一人ひとりが不安を感じることなく、安心して発言・行動できる場の状況や雰囲
「保険毎日新聞」「週刊インシュアランス」という 2つの保険業界紙に相次いで登場しました。 少し長めにご紹介します。 保険毎日新聞(4月28日付)はインタビュー記事で、 金融庁が公表した「経済価値ベースの評価・監督手法 の検討に関するフィールドテストの結果について」への 感想や注目点などについて話しました。 保険毎日新聞のサイトへ 例えば次のようなコメントが載っています。 「今回の結果概要を読んでみて、『情報量が少ない』 というのが私の第一印象だった。(中略)前回までは金融庁独自の手法を使っていたが、今回は基本的にIAISの手法なので、計算方法の詳細な説明は不要という判断が考えられるほか、3回目のテストであり、対応状況や技術的な課題の把握よりも、規制導入に伴う定量的な影響をつかむことに力点が置かれたのかもしれない」 「情報量が少ないとはいえ、2016年3月末における経済価値ベースのソルベンシ
けさ(13日)の日経1面「マイナス金利、3000億円減益」 という記事をご覧になったでしょうか。 あくまで報道ベースですが、マイナス金利政策により 3メガバンクの損益が3000億円の悪影響を受けるという 調査結果を金融庁がまとめたということです。 この記事の最後にさらっと次の記述がありました。 「長期運用で影響が表れにくい保険会社も、マイナス金利に 入った長期国債などの変動影響を時価で評価したところ、 1年間で自己資本比率が半分に減った社もあった」 ここでいう「自己資本比率」の分母・分子の定義は 記事ではわかりませんが、減益(でも黒字)どころか、 「自己資本比率が半分に減った」ですからすごい話です。 記事の「保険会社」は、普通に考えれば生保でしょうね。 ちなみに、最近発表された2016年4-6月期の生保決算 を確認しても、マイナス金利の副作用を示すような結果は 見当たりません。 ただ、いく
先週、生保の2015年度第3四半期(4-12月期)決算が 公表されたので、国内系生保の資産構成を中心に 9月末からの動きをざっと確認してみました。 引き続きあまり大きな変化は見られないようですが、 あえて特徴を挙げるとすれば、次の3点でしょうか。 1.「責任準備金対応債券」の減少 国内系生保10社のうち6社で小幅ながら減っています (9月末対比。取得価額ベース)。 低金利のなかで資産長期化を見送る動きなのでしょう。 2.外貨建資産の増加 ヘッジ状況は非開示なので、ヘッジ外債を増やしたのか、 オープン外債を増やしたのかまではわかりませんが、 10社のうち8社で増えています(こちらは時価ベース)。 ただし、増加ペースは以前よりも緩やかです。 3.代替投資の増加 上半期に続き、「外国株式等」「その他の証券」を 増やしている会社が目立ちます。 中身はわかりませんが、投信・ファンドなどを購入すると
今週の週刊東洋経済(2016.1.16)に 「高騰する地震保険料 広がる都道府県の格差」 という記事が載りました。 保険特集などではなく、巻頭にある核心レポート の一つとして掲載されています。 記事では地震保険の料率が来年なぜ上がるのか、 地域によって料率に違いが出るのはどうしてか、 などを解説しました。 東京や神奈川、千葉、埼玉、茨城、静岡など もともと危険度が高いとされている地域では 来年の改定で保険料率が大きく上がりますし、 その後も料率引き上げが続きます。 その一方で、今回の見直しにより危険度が 低い区分に変わった地域(愛知、大阪など)もあり、 そこでは料率が概ね下がるようです。 それにしても、世帯加入率の推移を見ると、 阪神大震災のころに比べればかなり普及したとはいえ、 依然として約6割もの世帯が無保険状態なのですね。 いろいろと考えてしまいます。 ※写真は島根県を走る一畑電車で
ニッセイ基礎研究所の安井義浩さんによる 「日本の生命保険業績動向 ざっくり30年史」 という連載は、バブル期以降の日本の生保業界を 概観しようというもので、改めて勉強になります。 1日に発表された第2回では、過去30年間の 新契約や保有契約の推移を追っています。 ニッセイ基礎研のサイトへ 個人保険の保有契約高が1996年度をピークに 減少傾向となっていることはよく知られていますが、 団体保険は1997年のAグループ問題による急減の後、 概ね横ばいで推移しているのですね。 例えば、個人保険は10年前の77%水準なのに対し、 団体保険は98%とほぼ同水準なのです。 ちょっと気になったので内訳を確認してみると、 いわゆるグループ保険である団体定期保険は 10年間前の85%水準とそれなりに減っています。 他方、団体信用生命保険は10年前の105%水準です。 つまり、住宅ローンを借りる条件として加入
大手損保各社が公表した9月の営業速報によると、 火災保険の増収を主因に、各社とも前年同月に比べて、 2割前後の増収となりました。 10月から火災保険の保険料率が上がるとともに、 地球温暖化で長期のリスク評価が難しくなったため、 保険会社が10年超の契約を取り扱わなくなりました。 この影響から、9月に駆け込み需要が発生した模様です。 参考までに、各社の9月単月の火災保険の業績は 次のように約2倍の水準となっています。 東京海上 前年同期比 89%増 三井住友海上&あいおい 同 120%増 損保ジャパン日本興亜 同 108%増 もちろん消費者にとっては残念な話ではあるのですが、 自然災害が多発するにもかかわらず、30年を超える 長期の自然災害リスクを民間の会社が引き受けるのは、 そもそも難しいことなのだと思います。 地震保険の話もありました。 損害保険料率算出機構が地震保険の基準
毎年恒例の生保・損保特集(週刊東洋経済の臨時増刊)が 今年も発売されました。 縁あって今回も寄稿しています。タイトルは、 「大型M&Aがゴールではない 海外展開で問われるERM経営」。 加速する保険会社の海外事業展開を、ERM経営という 観点から考えてみたものです。具体的には、 ・海外事業で積極的なリスクテイクを行うという経営判断が いかになされたのか ・海外大型M&Aの実行段階 ・買収先をグループのメンバーとして経営体制に組み込む 「ポストマージャー」におけるERM経営の関わり の3つの局面を想定しています。 機会がありましたら、ご覧いただけるとうれしいです。 自分の原稿はさておき、今回の特集号は総じて好印象です。 まず、保険ショップの近未来図を予測した、石井秀樹さんの 「改正業法で地殻変動 保険ショップは三極化へ」をはじめ、 参考になる記事がいくつかありました。 また、メディアにみられ
遅まきながら生保の第1四半期報告から 直近の資産運用の動向を確認してみました。 結論としては、引き続き「ポートフォリオ・リバランス」 と言うほどの動きはありませんが、昨年度に続き、 外国公社債の残高を増やした会社が目立ちます (ヘッジの状況は不明)。 ただし、大手4社を比べると、明治安田生命は 外国公社債の積み増しを抑えたように見えます。 同社は2015年度の資産運用計画の説明で、 「ヘッジ付外債は国内債券と比べて妙味が乏しい」 とコメントしているようなので、足元の投資行動と 関係があるかもしれません。 他方、中堅生保では、責任準備金対象債券区分の 公社債を減らし、外債投資を増やしている会社が いくつか見られます。 経営体力の回復を受けて、リスクテイク方針を やや見直したというのなら理解できるのですが、 異次元緩和のなかで利息配当金収入の確保を ねらったものかもしれず、考え方が知りたいとこ
「生命保険経営」に、これまで日本の大手生保が 海外展開になぜ消極的だったのかという論文を出したら、 明治安田生命、住友生命と大型買収の発表が相次ぎました。 ここ数年の主な海外M&Aは次の通りです。 ・東京海上による米デルファイ買収(2011年12月発表) ・損保ジャパンによる英キャノピアス買収(2013年12月発表) ・第一生命による米プロテクティブ買収(2014年6月発表) ・東京海上による米HCC買収(2015年6月発表) ・明治安田生命による米スタンコープ買収(同7月発表) ・住友生命による米シメトラ買収(同8月発表) これらを見ると、近年の日本の保険会社による 海外M&Aにはいくつか共通した特徴があるようです。 まず、米国をはじめ、先進国市場への進出という点が 挙げられます。東南アジアなどの新興国市場とは異なり、 ただちに収益貢献が期待できるということなのでしょう。 もちろん、買収
隔月で連載している「inswatch」で、昨年に続き、 今月は損保のディスクロージャー誌を取り上げました。 昨年は、「inswatchではマニアックすぎる」として 取り上げるのを見送った「損害見積り額の推移表」を 今回はさらっと紹介してしまいました(汗)。 今回、字数の関係で取り上げなかったデータが 海外投融資(特に外国公社債)の推移です。 生保は外債投資のウエートが年々高まっていますが、 損保は会社によりバラつきが大きくなっています。 例えば、東京海上の外国公社債(外貨建)は 総資産の2、3%程度で推移しています。 三井住友海上も3%程度ですが、高まる傾向です。 他方、近年の損保ジャパン日本興亜では10%強、 あいおいニッセイ同和では15%程度を占めています。 これらが全てオープン外債ということではありませんし、 3メガ損保ともに海外で保険事業を展開しているので、 そちらでも為替リスクを
ブログのネタは次々と出てくるのに、 なかなか更新が追いつかない状況です。 今回は自分の勉強を兼ねて、募集規制の話を。 18日に金融庁が新たな保険募集規制に関する 政府令・監督指針案を公表しました。 金融庁のサイトへ このうち「規模の大きい特定募集人」を探してみると、 施行規則236条の2に規定があり、 ・15社以上の生保会社を乗合、または、 乗合かつ手数料等の総額が年10億円以上 ・15社以上の損保会社を乗合、または、 乗合かつ手数料等の総額が年10億円以上 ・15社以上の少短事業者を乗合、または、 乗合かつ手数料等の総額が年10億円以上 のいずれかに該当するものとなっています。 これを読んだかぎりでは、会社数も手数料等も 生損保通算ではないのですね。 特定募集人が作成を求められる「事業報告書」の ひな型も示されていました (施行規則案の最後に「別紙」として添付)。 注目の募集手数料は、保
ブログでご紹介した「保険ERM経営の理論と実践」の 出版記念講演会は無事終了しました。 会場となった損保会館のサイトを確認すると、定員は225名。 ところが参加希望者が非常に多かったので、机を取っ払い、 何とか300人まで入れるようにしたのだそうです。 それでも、「申し込もうとしたら、もう締め切られていました」 という声を複数のかたからいただきました。 ということで、ご参加いただけなかったかたのために 勝手ながら私の印象に残ったところをご紹介します。 金融庁・小野審議官の基調講演「高まるERMの重要性」では、 ERMの各要素について、「先進的な社」「態勢整備を進めている社」 「検討に着手している社」「限定的な取り組みの社」の事例を挙げた スライドがあり、当局の見方の一端がわかって興味深かったです。 座長の家森先生からは、 「MM理論を適用すると、企業が保険に入る必要はない」 「同じように考
今週の週刊ダイヤモンドは保険特集号でして、 私は保険の国際規制改革について執筆しました。 時々このブログでも紹介していますが、 金融規制改革の波が保険分野にも迫っていることや、 「激しくなる銀行規制」「保険規制はリスクベース(?)」 といった規制動向の違いなどを書いています。 だんだん「対岸の火事」ではなくなりつつあるので、 この特集号を読むであろう現場の方々も意識して できるだけわかりやすく書いたつもりです。 機会があればご高覧下さい。 特集そのものは、生損保業界の動向に関する記事 (日生vs第一など)や保険商品ランキングに加えて、 乗合代理店向けなど保険流通規制の進展を踏まえ、 代理店の特集にも多くのページを割いているようです。 掲載誌をまだ読んでいないので、楽しみにしています。 それにしても、イールドカーブのフラット化は どこまで進むのでしょうか。 30年国債利回りが1%に接近するな
前回のブログで、国内生保の外貨建資産ウエートが 20%に達したと書きました。 ところが、台湾生保の海外投資はそんなレベルではなく、 一般勘定資産の43%を占めています(2013年末)。 2001年には12%だったそうですから、大きな変化です。 外貨建ての保険が多いのかと尋ねてみると、そうでもなく、 責任準備金の大半は自国通貨建てとのことでした。 台湾の生保も長引く低金利に悩まされています。 10年国債利回りが2008年以降、1%台で推移する一方、 ある資料によると、平均予定利率は4%近い水準です。 しかも、台湾には十分な超長期債市場は存在しません。 また、多額の危険差益を得られる環境でもなさそうです。 そこで、当局は海外投資等に対する各種規制を徐々に緩め、 結果として、今のような資産構成となったと考えられます。 某大手では一定規模の為替ヘッジを行っているようでしたが、 業界全体としては、「
出張で台北に来ています。 上着がいらないほど暖かいのに、厚着の人が多いです。 こちらに住んでいると、きっと寒く感じるのでしょう。 さて、前回に続き、主要生保の4-9月期決算から。 歴史の長い国内系生保の資産構成を見ると、 一般勘定に占める外貨建資産の比率が高まっており、 2014年9月末には9社合計で20%に達しました。 過去の推移をみると、比率の上昇が顕著となったのは 2012年度以降のことです。 特にこの上半期は外貨建資産が4.8兆円増えており、 増加資産(5.6兆円)の9割近くに達しました。 日銀の異次元緩和(と金利低下)・アベノミクスを受け、 国内長期債への投資にややブレーキがかかる一方、 生保資金は外貨建資産に向かっているようです。 外貨建資産への投資といっても、為替リスクを取った 資産運用には総じて慎重な姿勢を維持している模様。 (=ヘッジ付きが多いということ)。 国内債券の代
主要生保の2014年4-9月期決算が出そろいました。 今回は保険料等収入で第一生命(連結ベース)が 日本生命を上回ったことに注目が集まっています。 ただ、生保の保険料収入を売上高とみなし、 競争を煽るような報道は、百害あって一利なしだと 私は考えています。 以前のブログで、「売上高」は非常に曖昧な概念であり、 保険料収入は生保の経営陣が最重要と考える指標ではない と書きました。 保険会社の売上高 今回は別の切り口で見てみましょう。 保険料収入は、初年度保険料と次年度以降の保険料に 大別できます(ディスクロージャー誌に開示あり)。 次年度以降の保険料とは、保険料が月払いや年払いの 保有契約、つまり過去にとった契約から発生する保険料です。 第一生命の保険料等収入(単体)は約2.9兆円でした。 このうち、初年度保険料は0.6兆円で、あとは次年度以降の 保険料収入となっています(データは2013年
先週、早稲田大学で保険規制に関するシンポジウムがあり、 そこで聞いた、ほけんの窓口グループ・窪田社長の話が 私には非常に興味深く感じました。 窪田さんは損保出身で、生保会社の社長も経験しています。 保険ショップの経営者になるとは、ご本人も想像していなかった ようですが、「メーカー主導の販売に限界を感じていた」とのこと。 先の保険業法改正で、比較推奨販売を行う保険ショップには 追加的な体制整備義務が課せられることになります (=同じく登壇した栗山さんの資料を参考にしました)。 しかし、スピーチを聞く限りでは、規制対応は足かせではなく、 「完璧な募集態勢の構築は生きていくうえで絶対条件」 「『入口』『中間』『出口』業務の適正化による顧客満足度の 向上が生き残りの絶対条件」 というコメントでした。 それにしても、保有契約は100万件を超え、店舗数は約500。 しかも、成約率は5割以上、3年継続率
先週発売された2014年版の生保・損保特集号 (週刊東洋経済の臨時増刊)を読みました。 昨年に続き、今年もレポートを書いています。 タイトルは「主要生損保のリスク戦略」。 決算データからリスク戦略の違いを探ったものです。 機会がありましたら、どうぞご覧下さい。 さて、今回の特集号ですが、昨年版とは違い、 「保険グローバル競争」「保険販売大激震」 「女性活躍推進」と、テーマを明確にしたことで、 読みやすくなったと感じました。 グルーバル競争のところでは、ニッセイ基礎研・松岡さんが、 「ASEAN各国は決して遅れた保険市場ではない」 「近年のASEAN諸国への外資参入は、出遅れていた 米国や日本の保険会社がM&Aを通じて参入している という側面が強い」 という分析をしています。 本号の目玉とも言える保険販売の特集では、 「当面、損保専業代理店は、地域密着型のスモールビジネス モデル、保険会社の
四半期決算をもとに、最近の生保の収支動向を確認しました。 まずは、注目の解約返戻金の動向です。 2012年秋からの株高や円安を受けて、2013年以降、 変額年金や外貨建年金を積極販売していた会社では、 解約返戻金が高水準で推移していました。 会社によってはだいぶ落ち着いてきたようですが、 引き続き高い水準の解約が続いていると言えそうです。 特に、ランオフ会社の資金流出は止まっていない模様。 保険料収入も確認してみました。 全体としては横ばいで推移しているなかで、明治安田と 第一フロンティア、三井住友海上プライマリーの好調さが 目を引きます。アフラックとメットライフも高水準です。 おそらく銀行窓販によるものなのでしょう。 ちなみに、総資産が10兆円を超えるグループは、 かんぽと大手4社のほか、T&D、プルデンシャル、 アフラックとなっています。 ここ数年のアフラックの拡大ペースはかなり速いで
前々回に続き、生保の四半期開示から。 大手生保の新契約業績の推移を見ると、 第一生命の新契約高(保険金額ベース)が 2014年1-3月期から急減していることがわかります。 調べてみると、昨年12月から主力商品が変わり、 特約から定期保険(=死亡保障)がなくなる一方、 7大リスク(がん、脳卒中、死亡など)をカバーする 「アシストセブン」を付加する形になっていました。 新契約高は基本的に死亡保険金額なので、 おそらく新商品は新契約高に反映されにくいのでしょう。 他方で第三分野の年換算保険料が前年同期よりも 伸びているので、第三分野・生前給付シフトが 強まったと言えそうです。 新商品といえば、明治安田生命もこの5月から 主力商品を切り替えています。 主契約のアカウント部分をなくし、更新型の各種特約を 組み合わせるタイプにしました。 同社は2000年にアカウント型保険を発売しました。 自在性が売り
9日に保険の国際規制に関する発表があったので、 こちらにリンクしておきます → 金融庁のHPへ 保険には国際的な資本規制がなかったのですが、 現在、保険監督者国際機構(IAIS)を中心にして、 「グローバルにシステム上重要な保険会社(G-SII)」 および「国際的に活動する保険グループ(IAIG)」向けの 資本基準の策定が急ピッチで進んでいます。 今回の市中協議文書の発表は、G-SIIに適用する 基礎的資本要件(BCR)に関するものです。 この市中協議文書に対する意見を踏まえたうえで、 IAISと金融安定理事会(FSB)で内容を固め(9-10月)、 11月のG20で承認、というタイトなスケジュール。 このため、BCRは「保険金額×係数」「時価×係数」 といった非常にシンプルな計算方法となっているうえ、 重要なリスクカテゴリー(特に生保)である「ALM」は 対象外となってしまいました。 係数
先日あるカード会社からDM(ダイレクトメール)が来ました。 お得なキャンペーン実施中! 今ならギフトカード1万円分が当たるチャンス! とあり、カードの賢い支払い術を指南するとのこと。 中面を見ると、リボ払い・分割払いの勧誘でした。 今月の支払いに不安を感じたAさんに対し、 助っ人が「リボ払い・分割払いへの変更」を伝授し、 Aさんの不安が解消されるというストーリー。 ただ、支払い方法をリボ払い・分割払いに変更すると、 当然ながら手数料(利息)が発生しますよね (私の場合、リボ払いだと実質年率15%かかるはず)。 そんなことは裏面にいかないと書いてありませんし、 説明文の字が小さく、かつ、私にはわかりにくかったです。 このような勧誘がカード業界では行われているんだなあと 思いつつ、せっかくなのでDMを大学生の息子に見せ、 金利やリボ払い、カード会社の収益源について解説しました (ちゃんと聞いて
地震保険に関する記事や資料を見ていると、 「加入率は23%」「付帯率は5割近く」というように 2種類のデータがあることに気がつきます。 「付帯率」とは、ある年度に契約された火災保険 (住宅物件)のうち、地震保険が付帯されている割合です。 2009年度のデータをみると、全国平均は46.5%と 新規に火災保険に加入した人の半分は 地震保険にも入っていることがわかります。 宮城県の付帯率は66.9%と高く、岩手県は42.2%、 福島県は39.0%です。 付帯率が6割を超えているのは宮城県のほか、 岐阜県、愛知県、徳島県、高知県、宮崎県、鹿児島県です。 他方、一般に「加入率」と言うときは、地震保険の契約件数を 住民基本台帳に基づく世帯数で割った数、つまり、 全世帯のうち地震保険に加入している世帯の割合のことです。 阪神大震災のあった1994年度の加入率(全国平均)は9.0%。 これが2009年度に
先日、2014年度の国債発行計画についての報道があり、 30年債の発行を増やすとありました。 これに関連して、先月のものではありますが、財務省のHPに 生保の資産・負債ギャップに関する資料を見つけました。 超長期国債の需要がまだあることを示すものです。 国の債務管理の在り方に関する懇談会(第26回)議事要旨 (資料4が「生命保険会社の投資動向について」です) 資料のなかに、「資産および負債の金利感応度」がありました(P2)。 第一、住友、明治安田が開示しているEVを基にした試算によると、 金利水準が50bp低下すると、資産が2.2兆円増えるものの、 負債は3.0兆円も増えてしまうことが示されています。 EVの開示では、前提条件を変更した場合の感応度が示されていて、 ・修正純資産の変化≒資産の変化 ・保有契約価値の変化≒負債の変化 としている模様です。 「金利が下がると生保経営は厳しい」と単
金融庁は先週、「保険会社向けの総合的な監督指針」と 「保険検査マニュアル」等の改正案を公表しました。 今事務年度の監督方針で予告のあったORSAの概要が 示されたことになります。 金融庁のHPへ 改正案はIAIS(保険監督者国際機構)が2011年に採択した ICP16、すなわちERMと、リスクとソルベンシーの自己評価 (ORSA)の実施を受けたものです。 特に監督指針は全面的な見直しとなっています。 詳しい内容はHPをご覧いただければと思いますが、 よくわからないのは監督当局の関わりかたです。 ICPには「監督者はORSAのアウトプットを活用すべき」 とあります。 統合的なリスク管理態勢の整備は「特に、大規模かつ 複雑なリスクを抱える保険会社にとって重要」とあるものの、 ORSAそのものは全社が対象です。 米国ORSAのように一定規模の会社だけではありません。 ところが、指針案には「リスク
先週後半から大々的に風邪をひいてしまいまして、 ようやく回復しつつあります。 妻からは「長い!私なら1日で治すわよ!」とのお言葉。 日頃の不摂生がたたったのでしょうか。m(_ _)m というわけで、少し遅れてしまいましたが、 先週の生保上半期報告(というか、その報道)について コメントを少々。 日経をはじめ、「逆ざや解消」がキーワードとなり、 主要生保の利差合計が初めて順ざやとなったことが 注目されています。 「バブル期に販売した高利回りの保険が満期を迎えて減る などして、契約者に約束する平均利回りが年々下がってきた。 加えて4-9月期は円安の影響で外債の利息収入がかさ上げされ、 一気に逆ざやが解消した」(11/28の日経) このブログで何度も苦言を呈していますが、特に今回はまずいです。 「逆ざや解消」がひとり歩きしてしまい、生保経営に対し、 「健全になったのだから、リスク資産へ投資しろ」
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