コピーライターになりたてのころの話です。 ある企業の新聞広告をつくるという仕事依頼がありました。「新しいサービスが始まりました」というような内容です。僕は張り切って、A4用紙に200枚ほどコピーを書き、意気揚々とクリエーティブ・ディレクターのところに持参しました。 見終わったクリエーティブ・ディレクターは顔を上げてこう言いました。 「渡邉。これはいっぱいあるけど、切り口は3つくらいしかない」 洗礼と言ってもいい、忘れられない体験です。 「思いついたことをぜんぶ書き出す」というのは、最初のステップとしては大事です。しかし次に大事なのは、鋭い切り口を思いついているかどうかです。 「このサービスは便利です」「いままでなかったサービスです」「役に立つと思いませんか?」など、ひとつの視点で100個書いても200個書いても意味はない。たとえば、家族にそのサービスを使ってみたいと思わせるにはどう言うか、