自転車に乗った小学生くらいの男の子2人組が、会社へ向かう僕の脇をすり抜けていった。夏真っ盛りの海に行くのだろう、浮き輪を腕に通して大騒ぎだ。すれ違いざまに見た男の子たちの姿に、僕はかつての自分たちを重ねてしまう。子供の頃の僕自身と、懐かしくて、苦い、あの夏にいるショウちゃんの姿を。僕は、なぜ、あんなことをしてしまったのだろう?と過去の自分に問いかけてもどうにもならないのだけど、問いかけることしか出来ない。 ショウちゃんは小学3年~6年まで同じクラスにいた男の子だ。仲間たちと一緒に遊んだ記憶はあるけれど、2人きりで遊ぶような特別仲のいいクラスメイトではなかった。ショウちゃんには両親がいなかった。児童養護施設から小学校へ通っていた。当時は気が付かなったけれど、今思えばそういう環境にいた彼を少し避けるような空気が確実にクラスにはあった。《シセツの子を誘ったらカワイソウだよ》みたいなことをいう友達