音は物理現象ですから、楽器も物理学的な原理に基づいています。 古典的楽器は「叩く」、「こする」、「吹く」といった物理現象から音を発生させています。また、電子楽器は電気による発音機構を用いていますが、電磁気学も物理学に包含されています。 しかし、理科の時間では生物学や化学など、物理学とは異なる内容の授業もありました。こうした広い意味での「自然科学」の知見を、楽器の発音機構の中に導入できないものでしょうか? そのひとつの試みが、2004年に行ったソロコンサート「音楽の条件」で発表した「Dangomusic」なる作品です。 ここでは、 ダンゴムシが二匹入った箱を上からカメラでキャプチャし、その位置座標に基づいて音楽を発生させるというものになっています。いわば、生物学的な乱数機構を備えたアルペジエータとして機能しています。 このたび、この「生物学の導入」に続く同様な試みとして、化学の要素を導入した