小説原稿をホチキスで綴じたものを家で見つけた。高校の時の友人の友達、私にとっては知り合いの人が書いたものだ。思春期の少年の、恋と崇拝に近い理想化を主軸にすえて、内面の吐露が数ページに渡って続く。少々、肩肘張った大仰な言葉が使われている。しかし、それが思春期のこまっしゃくれた少年っぽさを際立たせていて、逆に効果的に思えた。私はそれを読んだ当時、醜いと自分のことを思っている少女らしく、私には関係ない話だ、と思っただけだった。ブンガク少年だ。綺麗な女の子に恋をしたらいいよ、と、冷たく思った。今読むと面白く感じる。読み方が変わったのかもしれないが。数年後、友人に「彼はあんたのことを気に入っていたみたいだった」と聞いて、ヘエ、と思った。小説と私は多分関係がないようだが。全く気付かなかった。 なんにせよ、結局交流が全く無い私の手元に、短いとは言え他人の小説がある。彼が、日頃はぱっとしない、むしろ人に疎