国技の屋台骨が揺れている。大関琴光喜関(34)=本名・田宮啓司=が野球賭博にかかわり、元暴力団組員とみられる男に恐喝されていた疑いが浮上。追い打ちをかけるように、弟子の模範となるべき親方の手配した大相撲の特別観覧席が組員に渡っていたことも判明した。ともに暴力団との直接的な関与を否定しているが、暴力団排除を掲げる警察当局は2つの“事件”に大きな関心を寄せる。角界と暴力団の関係は歴史があるとの指摘もあり、不祥事続きの角界は再び、土俵際に立たされた。(伊藤弘一郎、内藤慎二)数週間前から情報を把握していた警視庁 5月22日午後6時すぎ。身長181センチ、体重159キロの男は東京・桜田門の警視庁で、捜査員と向かい合っていた。 静まりかえった部屋は、1時間ほど前に取り組みを行い、スポットライトを浴びていた両国国技館と対極にあったに違いない。この日は大関同士の取り組みで相手を圧倒。勝ち越しを決めたばかり