目の前に浮かんだ3次元(3D)の画像を手で思い通りに動かせる装置を、東京大学の石川正俊教授(創造情報学)と米ベンチャー企業が共同で開発した。 3D映画に使われる偏光フィルター付きメガネでディスプレーの画面を眺めると、目の前に立体画像が現れる。差し出した手や指の動きを高速処理のできる特殊カメラで撮影、画像に反映させる。手の動きから最速で0・027秒後に画像が動く。石川教授は「人間の目は30分の1秒(0・033秒)程度の時間差しか認識できないので、同時に動いているように見えます」と話す。 21日に公開された実験では、3D画像の心臓やサイコロを指で回したり、細かく振ったりすることができた。手術のシミュレーションや訓練などへの応用が考えられるという。 今回の特殊カメラを使って、石川教授はこれまでに、目で識別できないわずかな「後出し」で、じゃんけんに必ず勝つロボットを開発している。(行方史郎)