携帯電話業界で、ちょっとした異変が起きている。 「眠れる巨人」の感がすっかり定着していたNTTドコモが先月(2009年7月)の月間の純増数で、実に3年ぶりにトップの座を奪還する快挙を成し遂げたのだ。 ドコモと対照的なのが、KDDIの携帯部門auである。3年前にドコモをトップの座から引きずりおろした往時の勢いをすっかり失い、過去13ヵ月の間になんと11回も最下位の座に甘んじた。 ドコモは冷静で好調の理由を取材しても、「夏モデルの新商品やデータ通信の専用端末が好調だ」(広報部)と語るだけである。しかし、この説明は公式コメントに過ぎず、本当の成功の秘密を明かしていない。 実は、両社が明暗を分けた背景には、なかなか興味深い要因がある。あえて、ひと言で説明するのならば、それは「卸売りの活用」だ。 そもそも論で言えば、この卸売りの導入は、総務省の肝肝煎りで始まったものだ。不本意ながら、その活用に踏み切