文豪、森鴎外が翻訳出版した自著に記した原作者あての献呈文が、ドイツ・フランクフルトのゲーテ博物館で見つかったことが21日、分かった。直筆と確認した鴎外のひ孫でエッセイスト、森美奈子さん(63)は「鴎外の資料は、これまでに出尽くしていると思っていたので驚いた。筆跡などから、きちょうめんな人柄が伝わってくる」と話している。 献呈文は96年前の大正3(1914)年6月10日付。鴎外が同年、本名の「森林太郎」で翻訳出版した戯曲「謎」の新刊本を、原作者でオーストリアの詩人、フーゴー・フォン・ホーフマンスタールに贈る際につづったもの。 森さんによると、献呈した本の最初のページに、ドイツ語で「この悲劇を創作された作家、ホーフマンスタール様に謹呈しますこと、光栄です。 御作品の翻訳者より。 東京にて」とペン書きしてあった。