安井守生@低浮上 @Magio1976 むかーしむかし、とある山に鬼が住みついた。鬼はただ山道で座っているだけだったが、ある日、その道を通ろうとした3人に声をかけ、1人を喰らって2人は通してやる、と言って来たのじゃ。その日は引き返したが、次の日もその次の日も、鬼は同じ道に座っていた。 安井守生@低浮上 @Magio1976 どうしてもその道を通らねばならぬ村人2人が意を決して、鬼の元へ歩み寄った。「1人を食らって1人は通してやる。」と鬼は言った。親を亡くし、嫁も子供もいない若い男が、自分が食われると名乗り出た。村で一番、悲しむ者が少ない者である自分が食われるべきだ、と若い男は言った。 安井守生@低浮上 @Magio1976 良いだろう。通れ。鬼は言った。もう1人の村人は涙を堪えながら、脇目も振らず、振り返らず、その道を進んだ。 帰り道では、鬼は現れなかった。 しばらくたったある日、その道を