塩や魚介類、海藻類といった新鮮な海の幸に恵まれてきた若狭の人々は、様々な工夫によって鮮魚介だけでなく、美味しくいただく料理法や加工品を生んできました。鯖や鰯で作る「へしこ」もそのうちの一つです。 魚類の糠漬けの起源は古く、文献に依れば鎌倉時代より行われていたようです。魚の糠漬けにはいろいろな魚が使われます。若狭では鯖、鰯、いか、はたはた、ふぐなどを使って作りますが、特に鯖や鰯は代表的なもので、この糠漬けのことを「へしこ」と呼びます。 この呼び名はヒシオ(干潮)から変化したと言われています。ヒシオというのは魚を塩漬けにして2、3日経つと浮き出してくる魚の体内の水分(塩汁)のことをいうのですが、このヒシオがなまって「へしこ」と呼ばれるようになったのだということです。 また、当地方の漁師ことばに鯖を木樽に漬け込むことを「へし込む」といいそれがなまって「へしこ」となったとも言われています。 「へし