奈良県東吉野村の明神平周辺で14日、行われた捜索に早朝から同行して山中を歩いた。 約6時間、10キロの間に、〈初心者コース〉という言葉の裏に潜む危険を痛感した。 捜索隊は大又(おおまた)バス停から明神平へ延びる南北の2ルートを進むコースをとった。私は北側を進む12人と一緒に午前7時10分から、大又川沿いに登り始めた。 だが、1時間あたり15ミリ以上という雨が降り、救助ヘリコプターも当初は出動を見合わせるほどの悪天候。ぬれた携帯電話は一時、画面が映らなくなった。標高が比較的低い場所では電波がほとんどつながらない。連絡を取ることがままならないもどかしさと恐ろしさが身にしみた。 大又川を数度、横断しなければならないが、橋は少なく、両岸をつなぐロープを持ち、増水で水の中に沈んだ飛び石に渡ろうとすると、靴はあっという間に水浸しになった。道はそれほど整備されていない。木の根や岩の角をつかんで必死に進む