30年近く前、カンボジアですさまじい規模の悲劇が起きた。ポル・ポト政権による大虐殺だ。強制労働や拷問などで殺された犠牲者は約170万人に及ぶとされる。 だれの命令で、なぜ起きたのか。大虐殺の責任を追及する特別法廷が来月、正式に発足する。カンボジア政府と国連が協力して運営する裁判で、日本からも外国人裁判官の一人として国連アジア極東犯罪防止研修所教官の野口元郎氏が選ばれた。 プノンペンでの宣誓式の後、本格捜査が始まる。当時の軍参謀総長ら2人がすでに拘束されており、来年には公判が始まる予定だ。 ポル・ポト元首相ら多くの指導者はすでに亡くなった。だが、公判ではできるだけ多くの関係者から証言を引き出し、あのような惨劇が起きたメカニズムを明らかにしてもらいたい。 暴虐な政権下の残虐行為や、内戦中に起きた非人道的な犯罪を裁く。当事国の主権の壁を超えて、国際社会が正義と人道のために関与していく。これはカン