12月15日の放送をもって最終回を迎えるNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』。先日掲載した取材担当・渡辺直樹へのインタビュー記事のとおり、想像を絶する調査のもとに本作は作り上げられてきた。膨大な資料を宮藤官九郎が脚本にし、それを役者たちが演じていく。そして、最後に加わるのが映像をさらに豊かにするVFXだ。 『いだてん』のVFXスーパーバイザーを務めたのは、映画『シン・ゴジラ』も手掛けている尾上克郎。近現代という“最も難しい”とされる町並みをVFXチームはどのように作り上げていったのか。 適度に本物で適度にデフォルメ ーー尾上さんはどんな形で『いだてん』チームに参加されたのでしょうか。 尾上克郎(以下、尾上):最初にチーフ演出の井上(剛)さんから「とにかくいろいろお願いします」と依頼がきました(笑)。本当にその言葉通りで、この歳になって“初めて”がこんなにあるのかと思