今年8月に、ここ「アメリカ現状モニター」で公開した拙稿の最後で、「ハリスが政治家として絶対に譲れないものは何なのか。なぜ検事から政治家になったのか。どうして大統領になりたいのか。「哲学」と「物語」が見えないまま、「反トランプ」目的のためだけに神輿に担がれることは、彼女のためにもアメリカの民主主義のためにも、望ましくない。シカゴの民主党大会でその真価が問われる」と書いた1。 しかし、民主党大会で十分にそれは可視化されず、ハリス陣営はその後の本選でも無理に可視化させない戦略をとった。そこからは、ハリスが3つの内的な悩みを抱えながら本選を強いられている姿が見える。①予備選を経ていないこと ②人種属性問題 ③ バイデン政権である。これらは相互に複雑に絡んでいる。 予備選挙のない日本ではアメリカの予備選は「予選」程度に思われることが少なくない。しかし、予備選は単純な勝敗以上の重要性がある。それは政策