(英エコノミスト誌 2010年3月13日号) ドイツは、自国と他国の両方のために変わる必要がある。その理由とは。 世界の他の地域では一般に、欧州は経済が硬直化して柔軟性に欠け、人々は仕事嫌いで福祉に依存し、産業基盤は時代遅れになって斜陽化している大陸だと見られている。旧世界を憂鬱な未来へと運命づける壊れた歯車とレバーだというのだ。 大抵の常套句がそうであるように、そこには若干の真実が含まれる。とはいえ、今週の本誌(英エコノミスト)のスペシャルリポートが示すように、欧州最大の経済大国であるドイツが成し遂げてきたことを見れば、事情はかなり異なっていることが分かる。 10年前のドイツは「欧州の病人」だった。低成長と高い失業率に苦しみ、大手メーカーはコスト削減を必死で求めて国外へと脱出していた。 ところが今、景気後退にもかかわらず、同国の失業率は5年前よりも低くなっている。先に世界最大の輸出国とし