賃貸物件の契約では「原状復帰」が求められる。入居者が自殺した場合、その責任は遺族が追うことになる。家主側の代理人を務めている司法書士の太田垣章子氏は「一人暮らしの娘さんを亡くされた両親からは、最初に『一体いくらかかるのですか』と聞かれた。この件での損害賠償は原状回復費用を含んで100万円程度になった」という――。 【この記事の画像を見る】 ※本稿は、太田垣章子『不動産大異変』(ポプラ新書)の一部を再編集したものです。 ■コロナ禍以降増えた自殺 2020年、新型コロナウイルスが日本に上陸して感染が広がってきた時、私は「これから家賃滞納が増える」と直感的に思いました。そのため家主への警告という意味も含めて、「入居者とコミュニケーションをとって」と動画配信をしました。それが3月6日のことです。まさかその時期には、この先自殺者が増えるだろう、というところまで考えが及びませんでした。 ところが緊急事