広くたくましい肩幅に締まった腹部。夏になると、多くの男性が目指したくなるのがそうした逆三角形の体型である。今号の『GQ』の特集にも、洋服が似合うマッチョなボディが並んでいる。しかし、この逆三角形、かつての日本では犬腹と蔑まれ嘲笑われる体型だったことをご存じだろうか。 「肩が下がり、丹田といわれる下腹部が充実した体、というのがかつての日本の男性のあるべき姿でした。また、当時の日本人は武士も農民も、膝を伸ばすということがなく、常に膝を少し曲げ、重心を下にして過ごしていました。そうした体型をもとにした、体のこなし方こそが、かつての日本人特有の持久力や粘り強さの源だったのです。幕末に日本にやってきた外国人たちはみな、車曳きのスタミナや農民のタフさに驚嘆していたといいますから」 と語るのは武術研究者の甲野善紀さん。40年以上にわたって日本の武術を研究しつづけ、その成果によって、現役時代の巨人軍の桑田