「スモーキー」は、高齢で死亡した羊や山羊を剃毛した後、内臓はそのままに表面のみをバーナーで丸焼きにする、西アフリカの伝統料理。調理法によっては、燻製の風味を楽しむことができる。しかし、英国では、アフリカ系移民が多いにもかかわらず、その製造、販売が禁止されている。理由は、衛生面での不安。サルモネラ菌などの細菌を媒介する恐れがあるようだ。それでも闇市場でスモーキーは売買されており、毎年20万体以上のスモーキーが、人々の胃の中に入るという。このような状況に対し、当局は、麻薬取締のごとく、その対応に追われている。 健全な取引を願う畜産農家、自由にスモーキーを味わいたいアフリカ系移民、安全な製造法を研究する生物学者。そして、合法化へ慎重な姿勢を見せる政府。移民が増え続けるイギリスで、移民たちの食文化はどう変化するのだろうか。 原題:POLITICS OF FOOD : SMOKIES(2014)