オーストラリア原子力科学技術機構(ANSTO)とニューサウスウェールズ大学(UNSW)の共同研究チームが、極めて広範囲の温度において膨張も収縮もしない、熱的に極めて安定な材料を発見した。スカンジウムとアルミニウム、タングステン、酸素から構成される直方晶系Sc1.5Al 0.5W3O12結晶であり、4~1400K(-269~1126℃)にわたって殆んど熱膨張せず体積変化もしない。基礎科学的に極めて興味深い物理現象として注目されるだけでなく、精密機器や制御機構、航空機や宇宙往還機、高精度電子部品、医療インプラントなど、高い熱的安定性が求められる用途に応用できると期待される。研究成果が、2021年5月6日の『Chemistry of Materials』誌に論文公開されている。 鉄道用レールや送電線、電子基板や半導体製造装置から航空宇宙分野まで、機械設計や構造設計においては材料の熱膨張の影響を考