国立天文台などの研究者からなる研究チームは、すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラ Hyper Suprime-Cam (HSC) が撮影したデータの中から、2つの遠方銀河が手前にある別の銀河によって同時に重力レンズ効果を受けている、極めて珍しい重力レンズ天体を発見しました (図1)。見た目もユニークな天体で、研究チームは古代エジプトの神聖なる神の目にちなんで「ホルスの目」と名付けました。銀河の基本的な性質や宇宙膨張の歴史に迫るための鍵となる貴重な天体です。 図1: 「ホルスの目」周辺の擬似カラー画像。「ホルスの目」を拡大して見る (右図、視野 23 秒角 × 19 秒角) と2つの異なる色をしたレンズ天体があることがわかります。内側の円弧状天体は赤っぽい色、外側のリングは青っぽい色をしています。さらにその周辺に点状のレンズ像が複数見られます。中心のオレンジ色の天体が距離 70 億光年 (赤方