荒木は1992年から約3年間に渡りJRグループの「青春18きっぷ」の広告ポスターのために、それぞれの現場で撮影を行っていた。この時の撮影内容をまとめた、一作品としての写真集である。 撮影対象となっている人物は、全部で9人。ほとんどが当時新人に近い女性タレント、女優であった。以下、撮影対象である彼女たちについて「旅少女」と記述する。 第一話から第九話まで章分けされ、それぞれのタイトルには登場する旅少女の名前と、一文での紹介が記されている。 JRの各路線(主に地方交通線)を巡りつつ、荒木が同伴して撮影したそれぞれの旅少女および、その現場の風景などの写真で構成されている。モノクローム写真が主となっているが、一部カラー写真の内容も含まれている。さらに、実際に巡った鉄道の簡単な路線図、短い詩なども、それぞれの話中に記されている。 荒木が女性を撮った作品としては、彼独特とされるエロスの要素は極めて少な
折に触れて見返す写真集の一つが篠山紀信の『橋をわたると』で、僕が本当に好きな写真集である。全編モノクローム。オーストラリアで撮られた、いたって素朴なスナップ写真集である。この写真集がカンタス航空のパブリシティとして制作された、という経緯を踏まえると、「お金を出すからオーストラリア旅行して好きに写真を撮ってきてよ」ぐらいの感じだったんじゃないだろうか。この写真集にあるのは、巨匠・篠山紀信がかつて一介のカメラ小僧だった頃の、純朴で衒いのない、ストレートな表現!見返すたびに心が洗われる。海外旅行がまだ珍しかった時代、初めて(かどうかは分からないが)体験するオーストラリアの風景に興奮している様子が伝わってくるようで、すごくいい。 もうこういった写真は現在の篠山紀信には撮れないだろう。別に現在の彼を否定するわけではなく、単純な事実として。巨匠には巨匠の表現というものがある。それは進化でも退化でもない
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