LGBTQ(性的少数者)を象徴する虹色の表紙に「THIS BOOK IS GAY(この本はゲイ)」というタイトルが書かれた本が2014年に出版された。LGBTQの作者が性に関するアドバイスや人々の体験談をつづった若者向けの1冊だ。イラストを多用し、親しみやすい文体で、自分の性自認に関する疑問を持つ子どもたちに「全ては不思議に思うことから始まるんだよ」と語りかける。 子どもにありのままの自分自身を受け入れてほしいという作者の思いとは裏腹に、全米のどこでもこの本を読めるわけではない。性的指向や性自認、人種差別がテーマとなっている本を公共図書館から撤去する「禁書」が広がっているためだ。(敬称略、共同通信ワシントン支局 比嘉杏里) ▽教育現場で進む分断 背景にあるのは教育を巡る保守派とリベラル派の対立だ。保守派は学校が性の多様性を教えるのは「価値観の押し付けだ」「洗脳だ」と訴え、教育内容を決めるの