マイクロソフトはセキュリティのアップデートをストップしたが、Windows XPを使い続けなければならない人はまだたくさんいるだろう。XPの安全性を高めるための方法を紹介する。
マイクロソフトはWindows XPという年老いた忠犬を木に結びつけ…その頭にショベルを叩きつけた。13年間に及ぶ忠実なサービスの後、同社はついにWindows XPのサポートを打ち切ったのだ。これは、同社がこれ以上セキュリティを更新しないという意味になる。しかし、それでも多くの人はWindows XPを使い続けるだろう。このシステムがまだ、ATMや店頭システム、政府機関や大企業で使われているコンピュータ等、あらゆる機器の中で動作しているからだ。
マイクロソフトがパッチを止めてしまうので、XPは新手の攻撃やゼロデイバグに対して脆弱になるが、幸運なことにまだそれを保護する方法がいくつか残されている。
怠惰な大企業と政府機関は、避けられない事態を先延ばしにして、マイクロソフトに追加サポートの費用を支払っている。例えば、米国財務相は、国内歳入庁のWindows 7への移行完了が間に合わなかったため、追加のサポート費用を支払っている。また、新しいパッチのために数百万ドルを支払ったとも伝えられている。イギリスとオランダの両政府も、XPの延長サポート費用を支払っているようだ。
これらの会社や政府機関は、XPの終了に備えて計画する期間が何年もあったにも関わらず、現在は自身の怠慢に対する報いを受けなければならない事態に陥っている。こうした延長サポートは、中小企業や個人の機器向けには提供されていない。カスタムサポート契約(CSA)を結んでいる大企業のみである。
個人または中小企業の場合はマイクロソフトの延長サポートを受けることはできないが、いずれにしてもあなたはそれを欲しいとも思わないだろう。最善の策は? 新しいコンピュータを買うことだ。
すぐに新しいハードウェアを購入するつもりがないのなら、Windows XPの終了に関して知っておくべき5つの事項に加え、考慮すべき選択肢も一つ、以下に述べておく。
サポートの終了とは何を意味するか
マイクロソフトは、オペレーティングシステム・ビジネスの中心をWindows 8に移行した。そのため、Windows UpdateからのソフトウェアアップデートをXP機器に提供しなくなる。マイクロソフトから技術的な支援を受けることはできないし、Microsoft Security Essentialsのダウンロードも利用できない。Microsoft Security Essentialsをすでにインストールした人は、限られた期間のみマルウェア対策ソフトの定義ファイルのアップデートを引き続き入手できる。
「マイクロソフトは2015年7月14日まで、マルウェア対策ソフトの定義ファイル、およびエンジンに関する更新プログラムの提供を続ける」と同社の広報担当者はEメールで述べている。
署名とはマルウェアを特定するための文字セットだ。エンジンはこれらの署名を利用してファイルが悪意のあるものがどうかを判断する。Malicious Software Removal Tool (MSRT)も2015年7月14日までWindows Updateを通してアップデートと配置ができる。Windows XPは、2014年4月8日以降はForefront Client SecurityやForefront Endpoint Protection、Microsoft Security Essentials、Windows Intune、System Center上でサポートされない。ただし、マルウェア対策ソフトの定義ファイルのアップデートは、2015年7月14日までこれらの製品を通して提供される。
Windows Updateはセキュリティに加え、新しいドライバなどのソフトウェアアップデートもXPユーザに提供していた。しかしこれも終了するため、ハードウェアの信頼性は時間と共に低下するだろう。
Heartbleedに注意
危険なHeartbleedバグは、(現時点で分かっている範囲では)Windows機器に悪影響を及ぼさないが、XP機器が接続しているウェブサイトは攻撃する。Windows XPのセキュリティパッチがないと、Heartbleedの脆弱性によって、危険性はより一層高まる。OpenSSLの証明書をアップデートしていないウェブサイトはHeartbleedの標的になり、保護されていないラップトップの情報が危険に晒される可能性がある。
Windows XPをサポートする、サードパーティ製のセキュリティソフトウェア
Windows XPユーザは完全に手の施しようがないわけではない。なぜならマイクロソフトはすでにリリースしている既存パッチのダウンロードを許可するからだ。マイクロソフトのWindows Updateは引き続き、既存パッチのホームとなるだろう。アンチウイルス・ソフトウェアはすぐにでも入手可能なので、どれか一つ入手しておくと良いだろう。
AviraとAVGはどちらも優秀で頼りになる無料ツールだ。Avast 2014 Free Anti-Virusも無料ツールで、しかも有料ソフトウェアであるKaspersky Internet Security 2014と同じくらい評判が良い。ただし多くの場合、有料のソフトウェアは無料版よりも機能が豊富だ。さらに気を付けなくてはならないのは、こうしたツールの大半は来年の今頃までにWindows XPのサポートを終了する予定である。したがって、これらも一時的な処置に過ぎない。
組み込みシステムはどうなる?
Windows Embeddedデバイス(例えばスキャナ、ATM、その他の商用製品)は、Windows XPバージョンで動作しているが、これらはデスクトップバージョンとは異なるサポートサイクルを持っている。マイクロソフトは、ほとんどのケースにおいてこれらの商品のオフィシャルサポートを、2019年4月9日頃まで継続すると発表している。ただし、Embedded SystemsのWindows XP ProfessionalはWindows XPと同様であり、そのサポートはXPユーザと同じように終了となる。Windows XP Embedded Service Pack 3 (SP3)と Point of Service SP3のためのWindows Embeddedは、2016年1月12日までサポートが延長される。
Windows Embedded Standard 2009は2019年1月8日までサポートされ、Windows Embedded POSReady 2009は2019年4月9日まで生き残る予定だ。これらがリリースされたのは2008年と2009年であるため、サポート期間が長いのも当然だろう。Windows Embedded商品のサプライヤは、多くのWindows XPユーザのように、知らないうちに終了日が近づいていた等といったことがないように気をつけよう。事前に計画しておけばうまくいくはずだ。
新しいWindowsバージョンへのアップデート
新しいコンピュータを購入するのではなく、古いハードウェアをアップデートする場合、そのプロセスは少し複雑になる。なぜなら、会社にある全てのコンピュータのオペレーティングシステムを手動でアップデートすることになるからだ。しかも無料ではない。無料ではないが、マイクロソフトは Windows XPを最新バージョンであるWindows 8.1にアップグレードするためのチュートリアルを提供している。Windows 8.1にはハードウェア要件がある(一般的に、最低の互換デバイスとして、1 GB のRAM、最低16 GBのストレージ)ため、古い機器ではWindows 8.1を実行できない場合がある。
オペレーティングシステムをアップグレードする場合には、データとファイルをバックアップしておくのが賢明だ。Windows XPは緊急時のバックアップ機能を提供しているが、事前に外部システムまたはクラウドにすべてを保存しておくことが最善である。バックアップ機能は「Windows.old」という名前のフォルダで、およそ28日分のファイルを保存する。そのため、データをバックアップしていなかった人でも復元することが可能だ。
Linuxに切り替える
Windowsを捨てる覚悟はあるが、Macにお金を費やすのは嫌だという人には、オープンソースのLinux オペレーティングシステムという選択肢がある。これは無料であるが、技術的なノウハウが必要だ。しかし、比較的簡単に習得することができる。個人的なデータは全てバックアップしておく必要がある。そうしなければ、切り替え時に消えてしまうからだ。Linuxの楽しい点は、Linux.comのウェブサイトに58種類ものディストリビューション(配布形態)があることだ。
これは、オペレーティングシステムの見た目や使い勝手に多数の選択肢があるということを意味する。人気のバージョンは、Debian、Ubuntu、Fedoraなどだ。良いドキュメンテーションのあるディストリビューションを探し、ハードウェア要件も確認しておこう。
画像(マイクロソフトの最高執行責任者ケビン・ターナー)提供:Owen Thomas
※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちら。