スマートフォンサイトを廃止する企業も
「Webサイト」の概念が変わる
今回の調査でもっとも興味深かったのは、“スマートフォンサイトを廃止”した企業だ。「BEAMS」「GAP」「三菱自動車」の3社がスマートフォンサイトを廃止している。
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2011年の記事で取り上げている「Nike Lab」は、キャンペーン終了のためか閉鎖されているが、ナイキジャパン本体のサイトにもスマートフォンサイトは用意されていない。
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また、最近の事例では「キヤノン」や「トヨタ自動車」の企業サイトが、同じく“スマートフォンサイトなし”のパターンになっている。
誤解がないようにしたいのは、これらの企業は決してスマートフォンを「切り捨てた」わけではない。GAPやキヤノンのサイトを見ると分かるとおり、各パーツや写真が非常に大きく、PCのブラウザーで閲覧すると、画面が少し寂しくさえ思えるほどだ。
タブレット端末、特に最近普及してきている7インチ前後の小型タブレットで閲覧した場合、大きなパーツでないと指でタッチしにくいので、スマートフォンやタブレットのことを第一に考えた、いわゆる「モバイルファースト」なWebサイトと言えるだろう(筆者は、タブレットも考慮して「タッチデバイスファースト」と呼んでいる)。特に、BEAMSのサイトはアプリのような作りで、カタログをぱらぱらとめくって眺めるような感覚で操作できる。
ただし、このような思い切った戦略をとれるのはBEAMSやNike、GAPがファッションブランドであり、「写真」がコンテンツの大きな比重を持っているためだ。キヤノン(写真)やトヨタ(車の外観)も、やはりビジュアルを重視するサイトだからこそ採れる手法だと言えそうだ。
スマートデバイス対策の最適解はそれぞれ
タッチデバイスへの知識を広げよう
ここまで各企業のスマートフォンサイトを2年前と比較して見てきたが、スマートデバイスへの対策は、「とりあえずiPhoneに対応しておけばよい」時代を経て、現在ではAndroidやWindows Phone、さらには Firefoxなどのサードパーティブラウザーへの対応、小型タブレット・ゲームデバイスへの対応など、考慮すべき点が多岐にわたっている。
どのようなアプローチで対応するべきかは、Webサイトのユーザー層やサイトで扱う商品・サービスによってそれぞれであり、アクセス状況や今後の動向を見極めた上で決定する必要がある。
いずれにしても「タッチデバイス」を考慮しなければならないのは確実。マウス操作とはまったく異なる操作体系に、いかに最適化してユーザーに情報を確実に届けるか、Web制作者が考慮すべき点は多い。
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