Windows 7対応の裏側に見た国内ISVの秘めた実力 第5回
エムオーテックス「LanScope」
Silverlight 3採用UIで5年間の操作ログを数クリックで分析
2010年01月08日 15時00分更新
Windows 7のアプリケーション開発の現場をメーカーに聞くインタビューの5回目は、エムオーテックスのネットワーク・セキュリティソフトウェア「LanScope Cat6」(ランスコープ)を取り上げる。このソフトは、管理画面にSliverlightを取り込んで、同時にWindows 7対応も果たしている。セキュリティソフトウェアがなぜSilverlight対応する必要があったのか?
インタビューは、新大阪駅の近くにあるエムオーテックス本社で行なった。対応いただいたのは、取締役執行役員Product Centerマネージャで開発担当の中本琢也氏と、System Center システム技術2部課長の井上和馬氏の二人だ(以下敬称略)。
15年の歴史を持つ
ネットワークセキュリティソフトウェア
―― まず、LanScopeの歴史について教えてください。
中本 このソフトは、15年の歴史を持つネットワーク用のセキュリティソフトで、目的は情報漏洩を防ぐことです。ファイルの操作などを規制する他のソフトと違い、問題のある操作をユーザー本人に指摘することで、そうした操作を「抑止」するという特徴を持っています。
もちろん機能として「問題のある操作を禁止すること」もできるのですが、ユーザーに自分の操作の危険性を認識してもらうことで、以後そうした操作を「自発的に抑止」することを基本にしています。すでに5021社で利用されており、398万クライアントが使われています。
ソフトウェアは、クライアント側のPCにインストールしてユーザーが行なう操作を記録する「クライアントモジュール」と、その情報を集積・管理する「マネージャモジュール」に分かれます。
LanScopeは、社内LANなどのネットワーク上で何が起こっているのか、現状を把握するソフトウェアです。クライアントモジュールは、PC上のさまざまな操作、たとえばメールソフトやWebブラウザーの操作などを記録していきます。また、クライアントPCの機種やインストールされているソフトウェアの資産管理も可能です。
―― 今回のWindows 7対応には、具体的にどんな特徴がありますか?
井上 まず、クライアントモジュールがWindows 7に正式対応しました。ネットワーク上のすべてのPCの挙動を調査するソフトですから、最新OSもすぐに対応しなくてはなりません。
―― Windows 7への対応は大変だったのでしょうか?
井上 (クライアントモジュールは前バージョンで)すでにWindows Vistaに対応していたので、さほど大変な作業ではありませんでした。どちらかといえば、Windows Vistaで初導入された「UAC」(User Account Control)への対応などのほうが、作業量も多くて大変でした。Windows VistaからWindows 7への違いでは、プリンターのログを取るところなどが多少違っただけで、非常にスムースに移植が進みました。
また、32bit版だけでなく64bit版Windowsにも対応しています。最近は、CADソフトなどが64bit版OSを必要としており、こうしたクライアントも管理できないと社内ネットワークを完全には把握できなくなってしまいます。こちらのほうは、32bitコードと64bitコードの間で相互に呼び出しができないなど、移植作業は大変でした。実は開発には「Delphi」を使っているのですが、必要な64bitコードを生成できなかったため、「Visual C++」を使ってDLLを開発しました。
また、64bit版Windowsでも一部に32bitコードが使われているため、両方の対応が必要です。たとえば、64bit版のWindows 7には、32bit版と64bit版の両方の「Internet Explorer」がインストールされています。我々のソフトウェアは、双方の挙動を記録するため、両方に対応する必要があるわけです。
今回のバージョンアップでの開発工程は、どちらかというとWindows 7対応よりも、64bit版への完全対応が大きなウェイトを占めています。
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