社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)は14日、2007年度における音楽著作権使用料の徴収額を発表した。金額は1156億7055万6764円で、前年比104.1%と2年ぶりに微増となった(徴収額を含むPDFファイル)。
JASRACと言えば、ネットの一部には「訴訟も辞さない、厳しい使用料の取り立てを行なう団体」というイメージを持っている人もいる。なぜ、今年になって徴収額が増えたのか、そして本当にJASRACの取り立ては厳しいのか。ジャーナリストの津田大介氏に話を聞いた。
CDは落ち込む中で増収
── ここ数年、音楽業界と著作権使用料はどんな状況にありましたか?
津田 よく言われるように音楽CDの売り上げは、1998年をピークにして下がってきています。一方で、使用料の徴収額は、90年代の終わりから伸びてきている。
その理由は、ほかの使用料収入が増えたからです。1999年にiモードが登場し、着メロや着うたがCDの落ち込み分を補完してきました。その成長が2005年度まで続いて、使用料も1135億円まで増えましたが、そろそろ着メロや着うたが飽和状態になったのか2006年度に下がっています。
── それが今年になって上がったのはなぜですか?
津田 大きな理由は、ケーブルテレビ事業者との裁判に勝訴して、裁判所の命令で徴収した使用料が上乗せされているからです(関連リンク)。
ただし、その「水増し分」を除いても、徴収した使用料は増えています。CDが落ち込んでいる一方で、いろいろなメディアが伸びているからです。
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