「ダウンロード違法化」の方針は変わらず、「iPod課金」は見送り──。
16日、文化庁の文化審議会 著作権分科会 私的録音録画小委員会の第5回会合が開かれた。今年度の話し合いを総括し、導き出されたのが冒頭の結論だ(ダウンロード違法化はこちらの記事、iPod課金はこちらの記事をそれぞれ参照)。
私的録音録画小委員は、CDやMDといった録音メディアに課していた「私的録音録画補償金」制度を時代に合わせて抜本的に見直す目的で、2006年に設けられた会合だ。しかし、この3年で話し合われてきたのは、ダウンロード違法化やiPod課金といった本題にピタリと当てはまるテーマではなかなった。
来年以降、私的録音録画補償金の見直しはどうなっていくのだろうか? 3年間、委員として私的録音録画小委員に出席してきたジャーナリストの津田大介氏に、著作権行政の「来し方行く末」を聞いた。
きちんと議論を深めたかった
── 3年間、会合に出席されてきて、今の率直な感想をお聞かせください。
津田 以前のインタビューでも触れましたが、もっと根本的なことについて議論を深められなかったのは残念です。
小委員会は昨年末、2年間に話し合われた成果を「中間整理」としてまとめました。その時点から1年間、メインテーマである私的録音録画補償金についてはほとんど議論されず、今回の会合で出た結論も変わっていません。ダウンロード違法化も、昨年の中間整理で方針が決まり、そのまま通っています。
それでもダウンロード違法化については中間整理の時点で、「責任を問うのは民事だけで刑事罰は課さない」「違法コンテンツと知らずにダウンロードしたら罪を問わない」「ストリーミングは対象外」「対象は録音・録画のみ」といった4つの制限が付くようになりました。
来年の通常国会で法案が通り、ダウンロード違法化が法律として施行されたとしても、短期的には今のインターネットの秩序がそう大きく変わることはないと思います。その意味では実効性がないとも言えるわけですが、それでも小委員会における3年間の議論を振り返ってみると、実効性がない分、妥当なところに落ち着いたなという印象もあります。
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