個人事業主の社会保険扶養について
今年12月いっぱいまで会社で働き、来年1月から個人事業主で開業予定です。
来年から国保に切り替わるのですが、売上が初月から多くはならないので、同居家族(兄弟)の社会保険扶養に入るか悩んでいます。
売上が少ないうちは扶養に入っていた方が良いのでしょうか?
税理士の回答
石割由紀人
個人事業主としての収入が少ない間、同居家族の社会保険扶養に入ることは有効な選択肢です。ただし、扶養に入るためにはいくつかの条件がありますので、これを考慮して判断する必要があります。
扶養に入る条件(概要)
1. 収入の基準
原則として、被扶養者の年間収入が130万円未満(60歳以上や障害者の場合は180万円未満)であることが条件です。月収に換算すると約108,333円以下となります(ボーナスを含めた見込み収入で判断)。
2. 安定した収入かどうか
個人事業主の場合は、事業収入(売上)から必要経費を差し引いた事業所得が130万円未満である必要があります。また、収入が一時的に低い場合ではなく、安定的に扶養条件を満たしているかどうかも見られる可能性があります。
3. 家族の被保険者の承認
扶養に入るためには、被保険者の加入している健康保険組合や全国健康保険協会(協会けんぽ)の審査を通過する必要があります。特に健康保険組合では、収入基準が厳しく設定されている場合もあります。
扶養に入るメリット
1. 保険料がかからない
社会保険の被扶養者になれば、保険料を支払う必要がなくなります(被保険者が負担)。
2. 収入が安定するまでコストを抑えられる
国民健康保険に加入すると、前年の所得に基づいて保険料が計算されるため、初年度でも一定の保険料が発生します。扶養に入ればその負担を抑えられます。
扶養に入らない場合(国民健康保険に加入する場合)の考慮点
1. 国保の保険料
国民健康保険料は、前年の所得が低い場合には比較的少額になります。来年の売上が大きくなる見込みがあるなら、扶養に入らず国保を選んでも良いかもしれません。
2. 将来の手続きが簡単
事業収入が増えた際、扶養から外れる手続きが必要になります。一度扶養に入ると、収入が基準を超えた際には速やかに申告する義務があります。そのため、事業が早期に軌道に乗る見込みがあるなら、初めから国保に加入するのも合理的です。
判断ポイント
1. 初年度の収入見込み
- 130万円未満で収まる場合、扶養を検討。
- 年間130万円を超える見込みがある場合は、国保に加入したほうが良い。
2. 扶養に入る期間の見通し
- 売上が増えるまで扶養に入る期間が短い場合、扶養を選んでも手続きコストがかかります。
3. 同居家族の健康保険組合のルール
- 健康保険組合の収入基準や審査基準を確認してください。
例えば下記対応はいかがでしょうか?
- 健康保険組合に条件を確認する
扶養認定の基準を満たしているか確認しましょう。
- 収入見込みを具体化する
必要経費を差し引いた事業所得を試算し、扶養に入れる期間を見積もります。
- 市区町村の国民健康保険料を確認する
国保料がどれくらいになるか問い合わせ、扶養に入る場合と比較して検討します。
初年度の収入が少ない間は扶養に入るのも良い選択肢ですが、早期に事業収入が増える見込みがあるなら、最初から国保に加入するほうが手続きが簡単になる場合があります。
分かりやすく解説して頂きありがとうございます。
参考にさせて頂きます。
本投稿は、2024年12月16日 21時40分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。