「まだマイナンバーカード持たないの」1人5000円分のポイント還元、7月からの申請は大混乱?
税金・お金
消費活性化策として政府が打ち出した「マイナポイント」の申し込みが7月からスタートする。9月からキャッシュレス決済でチャージや買い物をすれば最大5000円分のポイント還元が受けられる事業で、2000億円超の予算を投じた大盤振る舞いだ。だが、最近になって予算の都合上、恩恵を受けることができるのは先着約4000万人ということが分かってきた。
ポイント還元を受けるにはマイナンバーカードが必要になる。新型コロナウイルスの経済対策である10万円の現金給付で、マイナンバーカードを申請する人が自治体の窓口に殺到、大混乱が起きたばかりだ。現在、カードの発行に1、2カ月を要している自治体もあり公平性が問われそうだ。(ライター・国分瑠衣子)
●手続きは複雑、暗証番号忘れがまたも続出か
マイナポイント事業は、クレジットカードや「Pay Pay」などのQRコード決済、デビットカードといったキャッシュレス決済で買い物やチャージをすれば、25%相当のポイントがつき、最大5000円分のポイント還元を受けることができる。ポイントが付与される期間は9月から2021年3月までの7カ月間。ただし、全てのキャッシュレス決済が対象になるわけではなく、総務省のマイナポイント特設ページで確認する必要がある。また、使える決済サービスは1人1つに限られる。
政府は景気の下支えやキャッシュレス決済の推進、マイナンバーカードの普及を目的に2020年度予算に2458億円を計上した。現在行われている、最大5%のキャッシュレス決済還元が6月末で終わる代わりの消費促進策でもある。
このポイント還元を受けるための「予約」受け付けが7月から始まるのだが、これがなかなか複雑だ。予約はマイナンバーカードが必要で、スマートフォンかパソコンで行う。スマホの場合、まず自分が持っている機種がマイナンバーカードの読み取りに対応するかどうか確認しなければならない。総務省はホームページで対応機種を一覧で示している。iPhoneの場合「iPhone7」以降の機種なら申請できる。
対応機種であることが分かれば、次は「マイナポイントアプリ」をダウンロードする。アプリを開き、マイナンバーカードを受け取った時に自分が設定した4桁の暗証番号を入力する。10万円の現金給付では、この暗証番号を忘れた人が自治体の窓口に殺到したので、これからマイナンバーカードを受け取る人は、メモをとるなどして忘れないようにしたい。
暗証番号入力がクリアできると、今回のマイナポイントで重要な役割を持つ「マイキーID」が自動で設定される。これはクラウド上で決済事業者と紐づけるために必要なIDで、マイナンバーとは異なる。
また、総務省は「マイナポイントの予約は自治体の窓口や、郵便局、家電量販店などでも専用端末を置き対応できるようにする」と説明する。マイナポイントの専用ホームページで、順次公表していくという。
●乳幼児もカードがあれば還元対象に
それでは乳幼児でもマイナンバーカードを持っていれば、5000円分のポイントが還元されるのか。総務省マイナポイント施策推進室の担当者は「マイナンバーカードを持っていて、予約手続きをとれば何歳でも還元対象になる」と説明する。
マイナンバーカードの申請者が15歳未満の場合は、両親などが法定代理人として申し込めばよい。ただ、自治体のホームページを見ると「申請者本人の同行が必要」としているところもあるので、申請する自治体に事前に確認しておいたほうがよさそうだ。
●実は先着順、総務省「4000万人分の予算は確保」
既にインターネット上で話題になっているが、マイナポイントの特設ページを見ると、小さい文字で「予算の上限に達した場合は、マイナポイントの予約を締め切る場合がある」と書かれている。
いったいどのくらいの人がポイント還元できるのか。総務省に確認すると、今のところ4000万人分の予算を確保しているという。6月3日時点の全国のマイナンバーカードの交付枚数は2140万9297枚で、人口に対する交付率は16.8%だ。カードを持っている人全員がマイナポイントを申請するとは限らないが、単純計算すると、あと約1860万人分の「枠」があるということになる。
10万円の現金給付のオンライン申請で、マイナンバーカードの発行が2カ月待ちになっている自治体もある。今回のマイナポイントはカードがなければ予約すらできないのだから、公平性においては疑問が残る。総務省の担当者は「現段階でマイナンバーカードの交付枚数が2000万枚ほどなので、まだ余裕はある。予算の範囲内で行うことなので…」と理解を求める。
マイナンバーカードの普及が進まない原因として、以前から専門家は「国民が利便性を感じるような施策を国が出してこなかった」と指摘してきた。10万円の現金給付を巡り、自治体の窓口が混乱する中、マイナンバーカードがなければ使えないマイナポイント事業が新たな火種を生まないか懸念される。