住民税とは?計算式や非課税条件をやわかりやすく解説
住民税には、個人にかかる「個人住民税」と法人にかかる「法人住民税」があります。「都道府県民税」と「区市町村民税」を合わせたものを総称して住民税というのが一般的です。
徴収した税金は、地方自治体が行政サービスを行うために使用します。
- 住民税っていくら?どうやって計算する?
- 住民税申告ってなに?
- 住民税はどうやって払うの?
- 非課税になる条件は?
住民税について知りたいという方に向けて、計算方法や納付方法、非課税になる条件などを解説いたします。
目次
住民税とは
住民税とは「都道府県民税」と「区市町村民税」を合わせたものを総称する言葉です。
住民から集められた税金は、住民の生活をより良くするために使用されます。例えば、地方自治体が教育、福祉、防災、ごみ処理といった行政サービスを行うための活動費となります。
住民税は、法人か個人か、またお住まいの地域によっても税額が異なります。この記事では、東京都の個人住民税を例に住民税について解説いたします。
個人住民税には、前年の所得金額に対して課税される「所得割」と所得金額にかかわらず定額で課税される「均等割」、金融所得に対して課税される「利子割」「配当割」「株式譲渡所得割」があります。
住民税の税率と計算方法
住民税は地方税に分類されることから、地方によって計算方法も異なります。基本的な考え方としては「住民税 = 所得割額 + 均等割額」です。
所得割
所得割とは、前年の所得に対して課税される住民税です。1月1日付けで住所がある自治体へ納税する義務があります。
納付額は以下のように求められます。
(1)前年の総所得金額 − 所得控除額 = 課税所得金額
(2)課税所得金額 × 税率 − 税額控除額 = 納税額
具体的には以下のように計算します。(税率 = 特別区民税6% + 都民税4% = 10%)
所得割額 = 課税所得金額 × 10% − 税額控除額
給与所得者であれば6月から翌年5月までの毎月の給料から「特別徴収」として天引きされます。特別徴収がされない自営業者などであれば、「普通徴収」として一括納付か4分割での納付を行います。
均等割
均等割とは、所得に関係なく定額で課税される住民税です。1月1日付けで住所がある自治体へ納税する義務があります。
均等割 = 特別区民税3500円 + 税都民税1500円 = 5000円
東京都では、平成26年から35年までの間は地方自治体の防災対策を強化するために、都民税・区市町村民税ともにそれぞれ500円ずつ負担額が多くなっています。
納付方法は所得割と合算して納めます。
利子割
利子割とは、預貯金の利子等に課税される税です。金融機関などを通じて利子等を受ける個人が対象となります。
納付額は課税対象額の5%となりますが、この他に所得税及び復興特別所得税(国税)として15.315%が課税されます。
課税対象となる利子は以下のとおりです。
- 特定公社債(国債、地方債、上場公社債など)以外の公社債の利子
- 銀行や勤務先などに預けている預金から発生する利子
以下は非課税になります。
- 障害者等の非課税に係る利子等
- 勤労者財産形成貯蓄の非課税制度に係る利子等
- その他の所得税法において非課税とされる利子等
納付方法は、金融機関などが利子を個人に支払う際に、個人から利子割を特別徴収し、1か月分をまとめて翌月10日までに納めます。
配当割
配当割とは、上場株式等の配当及びに割引債の償還差益の支払いに課税される税です。上場株式等の配当及び割引債の償還差益の支払いを受ける個人が課税対象となります。
納付額は、上場株式等の配当等及び割引債の償還差益の額の5%となりますが、この他に所得税及び復興特別所得税(国税)として15.315%が課税されます。
課税対象となる配当金は以下のとおりです。
- 上場株式等の配当など
- 特定口座外の割引債の償還差益
納付方法は、配当金及び割引債の償還差益の支払いをする上場会社などが、支払いの際に特別徴収し、1ヶ月分をまとめて翌月10日までに納めます。
株式等譲渡所得割
株式等譲渡所得割とは、源泉徴収がおこなわれる口座内での株式等の譲渡所得(年間の売買で利益が出た場合)に課税される税です。源泉徴収がおこなわれる口座内での株式等の譲渡所得などで、対価の支払いを受ける個人が対象となります。
納税額は、「源泉徴収口座内の上場株式等の譲渡による所得等の額×5%」となりますが、この他に所得税及び復興特別所得税(国税)として15.315%が課税されます。
納付方法は、所得等の支払いをする証券会社などが、支払いの際に特別徴収し、翌年の1月10日までに納めます。
住民税の納付方法
住民税の所得割と均等割の納付方法には、「特別徴収」と「普通徴収」の2通りがあります。
普通徴収、特別徴収の納付の流れは以下のとおりです。
期間 | 特別徴収 | 普通徴収 |
---|---|---|
1月〜3月 | 会社が市区町村役場へ給与支払報告書を送付。 | 申告書の住民税に関する項目も含めて確定申告を行う。 |
4月〜5月 | 納税額決定後、市区町村役場が会社へ通知し納付書が送られる。 | 納税額が決定されると市区町村役場から個人宛に納税通知書と納付書が送られる。 |
6月〜翌年5月 | 毎月の給与からの天引き。 | 一括もしくは4分割で納付。 |
特別徴収
特別徴収とは、給与所得者を対象とした制度です。給与の支払いをしている会社が給与から住民税を天引きし、代わりに納付するので個人として特別にしなければならないことはありません。
毎月の給与から住民税が天引きされるので、年に12回徴収されることになります。年に1回もしくは4回に分けて行う普通徴収よりも1度に納める税額が少なくなります。
税額の決定と納付までの流れは以下のとおりです。
- 1月末を期限として給与支払い先が前年分の給与支払い報告書を市区町村役場へ送付。
- 2〜5月に市区町村役場が納付額を決定し会社へ通知。納付書も送付される。
- 6月〜翌年の5月に給与から毎月天引きされる。
普通徴収
もう一方の普通徴収とは、給与から特別徴収として天引きをされていない人が自ら納付する方法です。給与所得でない場合、納付書に沿って一括もしくは4分割で納付します。
税額の決定と納付までの流れは以下のとおりです。
- 申告書の住民税に関する項目も含めて、2/16〜3/15に前年所得分の確定申告を行う。
- 4〜5月に税務署から市町村役場へ確定申告書の必要事項が送付される。市町村役場が納税額を決定し、個人へ納税通知書と納付書を送付。
- 6月〜翌年5月までに一括もしくは4分割して納付。
一括納付 | 4分割で納付 | |
---|---|---|
納付時期(各月末) | 6月 | 6月,8月,10月,1月 |
住民税申告が必要な人
住民税申告が自身にとって必要かどうかを考える上で覚えておきたい原則は、年末調整もしくは確定申告をおこなっていると住民税申告をする必要がないということです。
この条件を踏まえた上で、住民税申告が必要となるのは以下の条件に当てはまる方です。
- 給与、年金以外での所得がある人
- 退職、転職等で年末調整されていない給与所得がある人
- 一定基準以上の所得がある人(金額は自治体によって異なります。)
- 各種控除の適用を受けたい人(医療費控除や配偶者控除等)
- 課税、非課税証明が必要になる人
住民税が非課税になる条件
以下の条件を満たすと、住民税が非課税になります。
- 生活保護を受けている
- 未成年者、障害者、寡婦(夫)で前年合計所得金額が125万円以下(給与所得では204万4千円)
- 前年合計所得が各自治体の定める金額以下(扶養なしなら35万円、扶養ありなら35万円 × (扶養者・控除対象配偶者の数の合計 + 1) + 21万円以下)
所得割のみが非課税になる条件
前年の総所得金額等が次の金額以下だと、所得割分が非課税になります。
- 扶養親族がいない場合は、35万円以下
- 扶養親族がいる場合は、「35万円 × (扶養者・控除対象配偶者の数の合計 + 1) + 32万円以下」
滞納したら延滞税が課せられる
特別徴収であれば会社が納付してくれるので、滞納する心配はありません。しかし、普通徴収では個人で納めなければならないので、忘れないように注意が必要です。
納付を忘れるとペナルティとして延滞税が課せられます。延滞税の計算方法は、延滞期間が2か月を超えているかどうかによって変わります。
【納税期間の翌日から2か月まで】
延滞税率 = 特例基準割合(※)+1%
税額 × 延滞税率 × 滞納期間 ÷ 365 = 金額
【納税期間を2か月超えた場合】
延滞税率 = 特例基準割合(※)+7.3%
税額 × 延滞税率 × 2か月を超えた延滞日数 ÷ 365 = 金額
※平成30年1月1日から平成30年12月31日まで:1.6%
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※ゼネラルリサーチ調べ