近所の公園で世界レベルの大技完成、五輪の決勝見て「これ私がやってるヤツ」…世界が吉沢恋を知る日
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日本勢が世界を席巻するスケートボード・ストリート。その世界ランキングの上位に名を連ねている中学生がいる。吉沢恋(アクト)、14歳。家族の愛情に包まれ、トップへと駆け上がろうとする彼女を、まだ世界は知らない。(デジタル編集部 古和康行)
インタビュー現場はファミレス
吉沢恋。名前は「ここ」と読む。神奈川県相模原市に住んでいて、地元の公立中学に通っている。五輪世界ランキングは8位で、日本勢では5番手につけている。保育士の母・しのぶさん(45)と介護職の父・功さん(58)と高校3年生の兄・
取材を申し込むと、しのぶさんから「インタビューは初めてで……。よろしくお願いします」と丁寧に返事をされた。指定された取材場所は「近所のファミレス」。学校が終わった夕方、吉沢は功さんと指定された幹線道路沿いにあるファミレスに現れた。ドリンクバーでジュースを取ってきて席についた。
スマホなしのスケーター、五輪の衝撃
スケートボードを始めたのは、兄の影響だ。まず、心さんが幼い頃、公園でスケートボードに乗っている人を見てスケボーを始めた。吉沢は心さんと一緒に近所の公園にあるスケボーパークにつれていかれ、「自分もやってみたい」と7歳でスケボーを始めた。ちなみにその後も、心さんは遊びでやっていたから、選手にはならなかった。
両親の教育方針もあって、吉沢は中学生になるまでスマートフォンを持っていなかった。だから、SNSでスケーターたちが技を披露したり、交流したりしていることを知らなかった。地元のパークにいる「スケボーを教えてくれる人」に技を習い、地元の小さなスケボーショップで用品を買った。「少年野球と同じ、習いごと感覚」(功さん)で続けていたスケボーだった。だが、今から2年前の夏。東京五輪のスケートボードをテレビで見ていた家族は衝撃を受ける。スケートボード・ストリートで西矢椛(16)(サンリオ)という同世代が金メダルを取ったからではない。「これ、ココがやっているヤツじゃない?」