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輪島の倒壊ビル、土台が地中の杭から抜けたか…東大教授「同様の被害は阪神大震災で見て以来」

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 石川県能登地方で最大震度7を観測した地震では、耐震性の高い鉄筋コンクリート(RC)造のビルでも倒壊が起きた。現地調査に入った東京大地震研究所の楠浩一教授(耐震工学)に同行した。(科学部 林尭志)

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横倒しになった地上7階建てのビル。あらわになった土台の底側からは杭が抜けていた(3日、石川県輪島市で)
横倒しになった地上7階建てのビル。あらわになった土台の底側からは杭が抜けていた(3日、石川県輪島市で)

 輪島市中心部・河井町では、高さ20メートル以上のビルが根元から横倒しとなり、東側にあった3階建ての飲食店兼住宅は、記者(身長1メートル84)の背丈より低くまで押しつぶされていた。

 所有する企業のホームページによると、ビルは地上7階、地下1階で、1972年に建てられた。ビルの西側に回ると、「フーチング」と呼ばれる土台の底側が見え、4~5個の丸い穴があった。通常、固い岩盤まで伸びた くい が穴に差し込まれ、ビルの外壁を支えているが、確認できた限り、杭は全て抜けていた。

 楠教授が、国内の地震でこうした被害を見たのは1995年の阪神大震災以来という。倒壊した理由については「断定できる段階ではない」と前置きした上で、「ビルが、縦横に激しく揺さぶられて西側の杭が土台から抜けて東側に傾いた。さらに東側の地下構造でも何らかの損傷が起きたことで、そのまま横倒しになった」とみる。

 同市中心部ではこれ以外にも、おおむね築50年以上のRC造のビル5棟(3~7階建て)で0・4~4度の傾きが生じていた。4度では1メートルで約7センチの高低差が出る計算で、めまいや吐き気などの健康被害が生じる恐れもある。柱や壁の外観には大きな損傷は見られず、楠教授は「地中の杭が破壊されている可能性が高い」と語る。

 現場周辺は海や川に近く、液状化の痕跡もあった。楠教授は「RC造のビルで多数の被害が出た要因には、こうした軟弱な地盤も背景にあるだろう」と話した。

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