女優の伊藤万理華(26)が、デビュー10年の集大成といえる書籍「LIKEA(ライカ)」を20日に発売する。乃木坂46を卒業して5年。女優やクリエーターとして才能を発揮する伊藤が、「遺作でいい」とまで語る理由や、乃木坂46との〝運命〟を明かした。
――10組のクリエーターと一緒に創作した書籍「LIKEA(ライカ)」(20日発売)は、自身が0から作った
伊藤 前回の個展(「伊藤万理華 EXHIBITION 〝HOMESICK〟」2020年1から21年1月全国順次開催)が終わってすぐに『次に何をやろうか』とパルコさんと相談していました。本にしたいという思いはありましたが、具体的になったのは1年前くらい。ここ1~2年で出会った人、特に私と同世代のクリエーターさんと出会った経験が大きくて。同世代の人たちがすごくモノ作りに熱心で、しかも、すごく楽しんで取り組んでいた。前回の個展の時もモノ作りはしていたけど、誰かとラフに絡んで、いろんなギャラリーに連れていってもらって「一緒に作ろうよ」とその場で制作したり、会話したりそれまではしてこなかった。最近、そういう機会が増えたことが大きいです。
――スタイリストのTEPPEI氏のディレクションによるファッションシューティング40ルック150枚以上のほか、劇作家・根本宗子による書き下ろし新作シナリオと直筆メモ入り台本。そのほかにも、漫画や伊藤さん自作のコラージュ作品、話題のイラストレーターやグラフィックデザイナーによるイラストレーション、アート作品。さらに、実兄との音楽対談と盛りだくさんの内容
伊藤 最初は簡易的なものを考えていましたが、『こういうのを作りたいです』と企画書をパルコさんに提出して、誰にやってほしいかとか、クリエーターさんの名前を書いていくうちにどんどん大事になっちゃって(苦笑)。制作で、本格的に撮影が始まったのは4月に入ってからです。最初のメインの撮影がもう自分にとって衝撃を受ける撮影で。撮影の最後は感情が高ぶりすぎて、涙が出ちゃったくらいでした。
――書籍の表紙となっている写真を撮った際の出来事だ
伊藤 パルコさんの会議室を借りて、2日間ぶっ通しの撮影がありました。この撮影に関わってくださったのは、同世代の方ではなく、私が憧れているスタイリストのTEPPEIさんを中心に、組んでいただいたチームの皆さん。そこでの熱量が本当に今、ここでしか生まれないであろうものがぶつかっていて…。まだまだ制作は残っていたんですけど、これが私の最後の作品になっても絶対に後悔がないと思って。その体験をした時に「これが遺作でいい」と思っちゃいました(笑い)。私の熱量が伝わったのかもしれませんが、自分のやりたいことを真剣に伝えたら、こんなにも返してくれる人がいるんだと驚いて。一緒に作ることができて、感動して。これは簡易的に作っちゃいけないと思うと同時に、「私の10年の集大成になるかもしれない」とより思えました。
――2011年8月に乃木坂46の1期生オーディションに合格し、12年にデビュー。17年に卒業し、現在は俳優やクリエーターとしての才能も発揮する。まさにデビュー10周年だ
伊藤 4月にその撮影があって、5月に卒業生として乃木坂46の10周年記念コンサートに出演させていただいて、その流れが自分の中で「うわ~」となりました。10年という月日を振り返らざるをえない舞台に立った時…正直、想像していなかったんです。15歳のときに乃木坂に加入して10年後に、ステージに立つことなんてもちろん。10周年なので、在籍していたことを振り返る機会はありましたが、卒業生として出演する姿までは想像してなかった。アイドル時代は目立つポジションにもいなかったし、だから、なんか不思議だなって。あとは…。
――あとは?
伊藤 グループ在籍時代に出会ったクリエーターさんとも再会して、一緒にお仕事をさせていただいたりして。当時のことを本当に振り返らざるを得なくもなりました。
――乃木坂46は、デビューからしばらくシングルリリースごとに楽曲MVのほかに、所属メンバー1人ひとりを主演としたショートムービーを制作。「個人PV」と呼ばれ、伊藤さんが注目されるきっかけともなった
伊藤 その時に出会った人とまた一緒に仕事をして、当時のことを忘れないでいてくれて。印象に残っていたから「だからまた仕事をしたい」と言ってくださる人もいる。当時、私の一番精神安定になっていたのが、個人PVを撮ることであったり、クリエーターさんと話して何かを作ることだった。漠然と卒業後もそんなお仕事をしたいなと思っていたことが、叶っているんだというタイミングで、4~5月に乃木坂46時代のクリエーターさんとまたお仕事に関わって、5月には乃木坂46の10周年ライブにも出演できて。そのときに起きたことがきっかけで、今回の本ができたという感じです。「10年の集大成」と言ったのは、そういう経緯もありました。
☆いとう・まりか 1996年2月20日大阪府生まれ、神奈川県育ち。2011年8月に乃木坂46の1期生オーディションに合格。17年に卒業。現在は女優として映画、ドラマ、舞台などで活躍する一方、クリエーターとしても才能を発揮。出演映画「そばかす」は16日公開。