◆社長の男性とは連絡が取れない状態
一般企業などには就職が難しい障害者が軽作業をして工賃を得る「就労継続支援B型事業所」を、埼玉県内の3市で展開していた「ベル・エンプロイメント・サポート」(本部・越谷市)が、障害者の工賃や職員の給料を払わないまま事業所を廃止していたことが関係者への取材で分かった。事業所の運営は公費で賄われ、不適切な運営があれば自治体は給付金の返還を請求しなければならないが、社長の男性とは連絡が取れない状態となった。各市とも対応に苦慮している。(足立優作)
就労継続支援B型事業 障害があって一般企業での就労の難しい人が働く場として利用する福祉サービス事業の一つ。障害の比較的軽い人が多く、雇用契約を結んで最低賃金以上の時間給を保障する「A型」に対し、「B型」は事業所との雇用契約を結ばずに作業所などの軽作業を行う。生産活動の対価は「工賃」と呼び最低賃金が適用されるA型の賃金よりも低い。
関係者によると、さいたま市南区で障害者に販売用のカブトムシやメダカなどの世話をする仕事を提供していた「ベル武蔵浦和」が昨年6月末付で廃止する届けを出した。職員には4~6月中旬の給料が不払いの状態で、利用者にも4、5月の工賃が支払われていないという。
同社が就労継続支援B型事業所を運営する越谷、川口市でも廃止届が出された。昨年5月末時点で3事業所の職員は13人、利用者は約70人いた。職員の給与と工賃合わせて約1000万円が不払いとみられ、職員らは労働基準監督署へ相談した。
◆「障害者は稼ぐことが難しいのに」憤る元利用者
元職員の男性は取材に「福祉事業で職員だけでなく利用者が働いて得たお金を持って逃げるのは許されない」。元利用者の女性は「少しずつ通所に慣れてきたところで施設が閉鎖され、ショックだった。障害者は稼ぐことが難しいのに、工賃が不払いになってとても悔しい」と憤った。
越谷市は、利用者や職員から「給与の支払いに遅れがある」と報告を受...
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