音声や映像を磁気テープに記録するビデオテープがまもなく見られなくなるかもしれない。既に再生機器の生産が終了し、保守技術がなくなることへの懸念と、1990年代後半に流通のピークを迎えたビデオテープの耐用年数が重なり「2025年問題」とも呼ばれる。文化や芸術などの記録が失われる可能性があり、早期の対応を求める声が上がっている。(山田祐一郎)
◆再生機器、急速に姿消す 「デジタル化を」国連機関が警告
「2025年までにデジタル化されなければ、テープは永遠に失われかねない」。2019年7月、国連教育科学文化機関(ユネスコ)と国際音声・視聴覚アーカイブ協会(IASA)は「マグネティック・テープ・アラート」と題した警告を発表。磁気オーディオ、ビデオテープの再生機器が急速に姿を消し、保守部品の供給とサービスもなくなっているとして世界に対応を求めた。
昨年10月、映画保存のアーカイブ活動を行う独立行政法人「国立映画アーカイブ」(東京)がフォーラムを開催した。その中で、米国議会図書館国立視聴覚資料保存センターのモーガン・モレル氏がビデオメッセージでこう危機感を口にした。「ビデオテープに記録された視聴覚遺産を保存することはこの70年の世界の歴史を保存すること。保守修理の知識が次世代に引き継がれなければ、ビデオテープ再生機器の維持は不可能になる」
日本図書館協会資料保存委員会は「所蔵する音声・映像資料の再生手段維持が困難であることは、図書館で近年大きな問題となっている」と説明する。国立映画アーカイブの冨田美香主任研究員は「放送業界や美術館、図書館では多くのテープが保管されている。期限とされる2025年が近づき...
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