bag
「bag」の意味
「bag」は英語で、「かばん」や「袋」を意味する名詞である。また、動詞としても使用され、物を袋に入れる、または手に入れるという意味がある。さらに、スラング表現としては、好みでないものや面倒な事柄を指すこともある。「bag」の発音・読み方
「bag」の発音は、IPA表記では /bæɡ/ であり、カタカナでは「バグ」と表記される。日本人が発音する際のカタカナ英語では、「バッグ」と読むことが一般的である。「bag」の定義を英語で解説
英語で「bag」の定義を説明すると、"a container made of flexible material with an opening at the top, used for carrying or storing things"(柔軟な素材でできた上部に開口部がある容器で、物を運んだり保管するために使用される)となる。「bag」の類語
「bag」の類語には、"sack"(袋)、"pouch"(ポーチ)、"purse"(財布)、"tote"(トートバッグ)、"backpack"(リュックサック)などがある。これらの単語は、形状や用途によって使い分けられる。「bag」に関連する用語・表現
「bag」に関連する用語や表現には、"baggage"(荷物)、"baggy"(だぶだぶの)、"bag of tricks"(秘策)、"let the cat out of the bag"(秘密を漏らす)などがある。これらの表現は、日常会話や文章の中でよく使われる。「bag」の例文
1. She put her wallet in her bag.(彼女は財布をかばんに入れた。) 2. He carried a heavy bag of groceries.(彼は重い食料品の袋を運んだ。) 3. She has a large collection of designer bags.(彼女はデザイナーのバッグをたくさん集めている。) 4. The store provides paper bags for customers.(その店は顧客に紙袋を提供している。) 5. The plastic bag was filled with trash.(プラスチック袋にはゴミが詰まっていた。) 6. He packed his clothes in a duffel bag.(彼はダッフルバッグに服を詰めた。) 7. She found a small bag of coins on the street.(彼女は通りで小さな硬貨の袋を見つけた。) 8. The cat was sleeping in the bag.(猫は袋の中で寝ていた。) 9. He accidentally left his bag on the train.(彼はうっかり電車にかばんを置き忘れた。) 10. She always carries a reusable shopping bag.(彼女はいつも再利用可能な買い物袋を持ち歩いている。)袋
袋(ふくろ)とは、物を入れる容器の基本的な形状の一つ。貨物輸送に関する国連勧告「Recomendations on the Transport of Dangerous Goods」では、袋は「紙、プラスチックフィルム、織布、織物その他の適当な材料で作られた柔軟な容器」と定義されている[1]。英語のbag(バッグ)やsack(サック)で呼ばれることもある。
概要
袋は柔軟な素材で作られた容器で、主に布や紙またはプラスチックのフィルム等や自然に存在する革で作られる。箱と並んで基本的な容器の形状であり、用途によって様々な素材・大きさ・形状のものが利用されており、また用途に応じて様々な機能が追加された袋もあり、例えば運搬(輸送)に使う袋では内容物が飛び出さないようにするための工夫や、手で持つための取っ手が付けられるものもある。
容器の中の物が出ないように口を締められる構造になっている物も多い。使い捨ての簡便な容器から繰り返し利用される鞄の一種まで様々である。
形状的な性質としては、箱も含む容器全般同様に細かい物を収めてひとまとめにすることに向く。加えて柔軟であることから、内容物が無いときには折り畳むなどして袋自体を他の袋にまとめて収めたり、あるいは紐で一まとめに縛っておくこともでき、こういった性質は一時的に大量の物資を扱い易い状態に小分けしておくことにも向く。
その一方で、袋は内容物が外圧の影響を受けやすく、これに入れた物品は箱に収めた物品と比べると、輸送中に同じようにぶつけたとしても、箱が硬質な素材で作られているために自体が破損しても内容物が守られるのに対し、袋では直接内部に衝撃が加わり内容物も破損しやすいという欠点がある。このため、輸送に際して袋を利用するのは、加工以前の原料など多少形が変化しても問題とならないものや、粉末ないし液体(共に流体という性質を持つ)などの、そもそも形が無い物品を扱う場合に限られる。ただし内容物に直接的に外圧が加わらないよう、柔らかくも厚みのある素材で作られた、あるいは二重構造としてその間に適度な緩衝材を詰め込んだ、幾らかでも内容物を外圧から守る機能を持つ袋もある。
歴史
世界
人類の歴史の上でも、袋はありとあらゆるところで使われてきた。しかし自然の内にある構造物の内にもいわゆる「袋状」のものが無数に存在し、例えば動物の胃袋や膀胱ないし魚の浮袋などといった器官は、これら動物を食料として利用するなどした残りとして取り出され利用されたほか、その皮を縫い合わせるなどして皮袋が作られ、利用されてきた。
基本的な容器の形質であるため、これの発展形に当たる道具も数多い。例えば巾着のように身の回りの物品を入れるために装飾された袋もあれば、ごみを廃棄するためにこれをまとめるためのごみ袋のように廃棄されることを前提として生産されるもの、簡便な鞄としてのリュックサック(ナップサック)など、枚挙に暇が無い。
日本
古代から中世に至るまで、大きな布袋を背負う姿は賎民のステータスシンボルであり、侮りや嘲笑の対象だった[2]。貴人の荷物持ちである従者は「袋持」と呼ばれ、家人のヒエラルキーの最下層に位置した。また、大袋は家財の一切合切を持ち歩く乞食や非人の象徴的持ち物だった。その一方で、資料上最古の袋持である大国主命は、仏教の伝来とともに大黒天と習合し、武力や富をもたらす福の神として信仰された[2]。
鎌倉時代に入ると、人さらいや地頭の郎党が人を拘禁・連行する道具として大袋を使うようになり、大きな布袋を背負う姿は恐怖や嫌悪の象徴ともなった[2]。鎌倉末期に編纂された幕府の法書『沙汰未練書』には、刑事犯罪のひとつに「大袋」という罪がある。どのような犯罪なのかについて事例研究が行われているが、袋を使った犯罪には次のようなものが見受けられる。まず、袋を使った誘拐には子どもを人身売買する目的で誘拐するものと、大人を拉致した上で暴力によって金品を奪う目的のものがあり、後者の拘禁の様を「袋に入れられる」と表現した。また、拘禁後の暴力の様から「袋だたき」などの言葉が生まれたとも考えられる[2]。別の事例として、白昼堂々と行われる集団強盗や、主人の権威を借りた郎党による動産の差し押さえ行為を「大袋」と解釈する研究もある[2]。
袋の材質
袋の材質には、紙製の紙袋、セロファン製のセロファン袋、合成樹脂製の合成樹脂袋、綿製の綿袋、麻製の麻袋、合成繊維製の合成繊維袋などがある[3]。
- 綿袋
- 麻袋
- 紙袋
- セロファン袋
- 合成樹脂袋
- 合成繊維袋
- 革袋 - 遊牧民など、家畜をよく利用している民族は、動物の皮を使った袋も日常的に使用している。水を入れる容器、乳を入れて発酵させる容器などがある。
- ゴム袋 - ゴムのシートを熔着して作る袋。特殊な工業用途で使われる。たとえば、中国の四川省瀘州市では、天然ガスをバスの屋根に装着したゴム袋に入れて、燃料として使用する例がある。
麻袋
穀物や郵便物を入れたり、土嚢を作るために使われてきた麻でできた袋。南京袋(ナンキンぶくろ)、または「ドンゴロス」(粗い綿布を指す英語の"dungaree" ダンガリー からの転訛と言われる)とも呼ばれる。麻袋(jute bags)にはヘシアンバッグやガンニーバッグなどの種類がある[3]。
麻袋は丈夫で摩擦にも強いため、中古の袋を別の容器に転用したり、荷物輸送や建築工事の養生用のクッション代わりに使う事例もしばしば見られる。郵便物を入れるための袋(内部での郵便物の輸送用に使われる)は郵袋という。麻縄は丈夫なため古くから使われてきたが、材質の改良により、クラフト紙袋やポリプロピレン製の袋などにとって代わられつつある。
紙袋
紙袋は紙製の袋で重包装紙袋や角底紙袋などに分類される[3]。
大型紙袋
粉末の袋詰めに紙袋を使うアイデアは1870年代にドイツで考えられていたが、業務用のセメントや小麦粉の包装に大型紙袋が使うよう奨励されるようになったのは1890年代のことである[4]。初期の紙袋は麻袋に比べて抵抗力が弱く、麻袋であれば投下による積み込みや積み下ろしでも損傷しない場合でも紙袋だと損傷してしまうことがあり、当時労働者からは嫌悪され輸送に使用されることは稀だった[4]。しかし、第一次世界大戦でドイツが経済封鎖されると、黄麻を輸入できなくなり、クラフトペーパーの多層袋が使われるようになった[4]。
小型紙袋
紙で出来ており、手でぶら下げる取っ手のついたものが、主に百貨店などの比較的高級な店で商品を購入したときや、大きな商品を購入したとき、商品を大量に購入したときなどに、店から無料で与えられる。デザインに凝ったものもあり、商品購入後にかばん代わりに使用されることもある。ショッピングバッグ(Shopping bag)と呼ばれている。
樹脂フィルム製のレジ袋が登場する以前(1970年代まで)は、取っ手のない単なる紙袋(色は漂白していない段ボールのような茶色)がスーパーなどで使われていた。当時は買い物篭を持って買い物に行くため、これでも問題はなかったが、一般的な紙袋は強度が弱く、ビン入り食品など重いものや、生鮮食品のような水気を含むものが入れられると、袋が破れたり底が抜けたりすることが多かった。樹脂フィルム製のレジ袋が登場すると、そのまま持ち運べる上に強度も強いため、取っ手のない紙袋は、フランスパンのような特殊なものや、比較的小さな物(主に医薬品など)を入れる場合を除いて、ほとんど姿を消した。
上記のようなサービスの紙袋以外にも、市場で販売されている紙袋もある。コンビニエンスストアなどで、傘などと一緒に販売されていることが多い。用途は、荷物が増えたときの運搬用や、プレゼントを入れるためなどさまざまである。価格は大体200円~400円前後で、紙だけの仕上げのもの、ラミネート加工のされているもの、紙の上からナイロンPEを被せているものがある。特にナイロンPEを上から被せている紙袋は、昭和34年ごろに、日本で初めて発案された。丈夫で水にも強く、大阪万博のときに太陽の塔とシンボルマークをデザインした紙袋は、爆発的に売れた。また、タバコのパッケージをそのままデザインに使った商品は、若い男性に紙袋を持たせる一代ブームになった。
合成樹脂袋
袋の形状
- ボトムシール袋 - チューブ状のフィルムを指定寸法に溶着した後切断した単純な構造のもの、ゴミ袋や米袋が代表的用途である。
- サイドシール袋 - プラスチックフィルムを半切し指定寸法に溶着切断したもの、代表的用途はダイレクトメール用の封筒や衣類の包装によく用いられる。
- 三方シール袋 - 三辺がシールされている袋のこと。袋の四辺のうち一辺が余ることになるが、ここは袋の口として開いている場合もあれば、半折されて閉じている場合もある。
- 四方シール袋 - 四辺がシールされている袋のこと。シンプルな形状である。
- ピロー袋 - 円筒型の胴への背貼りと上下のシールがされた袋。
- 真空成型袋 - 真空成型技術により作られた全く継ぎ目の無い袋である。一般用途に用いられる事は殆ど無く、専ら特殊工業用途に用いられる。
- 円形シール袋 - 専ら工業用途の(ドラム缶の内張り等)の特殊な袋形状である。チューブ状の胴体部と円形の底部をヒートシールすることで袋を形成している。
- ガゼット袋(Gusset) - ガゼットは脇の下などのまちのこと。横ガゼットタイプと底ガゼットタイプが存在する。底ガゼットタイプはさらに亜種として舟底タイプのものも存在する。これらは袋の両サイド又は底がV字型に畳まれている。前者は煎茶の包装として後者は食パンの用の包装として良く見かける。
- スタンディングパウチ - 袋の底が立体的に確保されており、自立可能な袋。ミートソースなど一部のレトルト食品や、詰め替え用シャンプーのパッケージなどでよく見られる。
ポリ袋・ビニール袋
ポリエチレンを素材とした袋が「ポリ袋」である。用途としては、大小各種商品のパッケージ用や包装用、運搬用、レジ袋やゴミ袋など幅広く使われる。
ポリ塩化ビニルを素材とした袋は「ビニール袋」と呼ばれる。ポリエチレンを使ったポリ袋のこともビニール袋と呼ぶ人が多いが、これは日本独特の言い方で誤った呼び方である。その他ポリプロピレンやポリエステル、ナイロンなどを使用した袋も「ビニール袋」と呼ばれることが日本では多い。かつてはポリ袋などよりもビニール袋の方が多く使われていた時代があったことのなごりである。
他の素材への転換
環境保全のため小売店では持ち帰り用袋をポリ袋から紙袋に変更するなどの取り組みが行われている[5]。
袋の形式
形状や機能による袋の種類を挙げる。
- チャック袋 - 再封可能なチャック付きの袋。海苔やふりかけなど湿気を嫌う食品類のパッケージを中心に見られる。
- 巾着袋 - 日本で古くから使用されている布製の袋。口を紐で締められるようになっている。布を合わせて縫い、口の部分に紐を通すだけというシンプルな構造のため個人でも容易に作ることが出来る。
- 頭陀袋
器官の袋
比喩としての袋
堪忍袋
「堪忍袋」とは、人が怒りを我慢できる心の度量を袋にたとえた慣用表現。「堪忍する」とは、許したり、我慢したりすること。「堪忍袋の緒が切れる」ということわざも残る(「緒」とは、袋の口を締めるひものこと。「尾」ではない)。また、布袋が背負っている袋をそう呼ぶ慣習がある。
お袋
母親のことを指す。古くから存在する語であり、室町時代の故実書『鎌倉年中行事』に「御袋様」の語が見られ、1603年に刊行された『日葡辞書』にも「おふくろ」の項目がある。語源は母親が金銭や貴重品を袋に入れて管理していたことに由来する説や胎盤や子宮を「ふくろ」と呼んでいたことに由来する説など諸説あるが不明。
袋叩き
“袋に入れて周囲から叩く”から、手も足も出ない独りの人間を、直接手を出した者が分からないよう大勢で攻撃すること。殴る・蹴るなどの物理的攻撃にも、発言・行動などを批判する(→吊し上げ)ときにも使われる。
関連する生物名
- 動物
- オーストラリアでは有袋類がほぼ唯一のほ乳類として適応放散し、その結果他地域の様々なほ乳類と類似した姿になっている(収斂)。それらは他地域の動物名にフクロをつけた形の和名(例えばフクロネコ、フクロアリクイ、フクロモモンガなど)が与えられている。
- 真菌類
- フクロタケ(袋茸) - ハラタケ目テングタケ科のキノコ。
- キツネノチャブクロ(狐の茶袋) - ホコリタケ(ハラタケ目ハラタケ科のキノコ)の別名。
- ツチグリ(ニセショウロ目ツチグリ科のキノコ)の別名。
- フクロカビ Olpidium - ツボカビ門。近縁群にこれに類する名のものがいくつかある。またクサリフクロカビ Olpidiopsis は外見的にこれらに似るが、菌類ではない卵菌類に属する。
- 植物
- キツネノチャブクロ(狐の茶袋)
- フクロシダ(袋羊歯) - 学名 Woodsia manchuriensis メシダ科の多年生のシダ。
- イワブクロ(岩袋) - シソ目ゴマノハグサ科の多年草。
- ホタルブクロ(蛍袋) - キク目キキョウ科の多年草。
脚注
- ^ 内野篤「危険物輸送と容器の安全性」『安全工学』第30巻第5号、安全工学会、1991年、318-324頁、doi:10.18943/safety.30.5_318、ISSN 0570-4480、NAID 130006031869、2021年7月1日閲覧。
- ^ a b c d e 保立道久『中世の愛と従属』<イメージリーディング叢書> 平凡社 1986年 ISBN 4582284566 pp.34-38,54-84.
- ^ a b c “中分類91 容器及びせん(輸送用および分配用容器に限る)”. 総務省. 2020年12月19日閲覧。
- ^ a b c 佐藤猛「ドイツに於けるセメント紙袋工業の沿革」『パルプ紙工業雜誌』第1巻第2号、紙パルプ技術協会、1947年、12-16,44、doi:10.2524/jtappij1947.1.2_12、NAID 130003684305、2021年7月1日閲覧。
- ^ “外食産業を対象としたヒアリング調査結果”. グリーン購入ネットワーク. 2020年12月19日閲覧。
関連項目
鞄
鞄(かばん、英: bag バッグ)は、何かを入れて、閉じてそれを保持したり保管したり運んだりできる、(通常は柔らかな)もの入れのこと[1]。しなやかな素材でできた入れもので、上側に開口部があり、何かを運ぶために使うもの[2]。1人の人間が持ち運んだり、あるいは動かしたりすることのできる範囲の、(概して丈夫な材料でできた)洋風の物入れのこと[3]。ひらがなやカタカナで「かばん」・「カバン」と表記することもあるほか、英語からの借用語として「バッグ」[4]と言ったりカタカナ表記することもある。
以下の説明では「鞄」「かばん」「バッグ」のいずれも使う。
概要
鞄は、基本的には、何かを入れて運ぶための、ひとりで持てる程度の大きさの入れ物である。たいていはそれなりにしなやかな素材でできており、上側に開口部がある。
主となる袋状の収納空間以外にポケットや間仕切りを用いて、整頓し易さや取り出しやすさを工夫してあることが多いが、ポケットや間仕切りが一切無い鞄もある。
大きさも、用途などによってさまざまである。→#鞄の分類・種類
素材は、伝統的には革や布である。20世紀後半以降人工的な素材が用いられることも増えた。→#素材
男性用のバッグ
-
ヒップバッグ(素材:牛革)
女性用のバッグ
-
女性用ショルダーバッグの一例
-
本革製、モロッコ製
-
素材に印刷布をつかったバッグ
-
同一素材でいくつかの形を展開する例
歴史
古代エジプトや古代ギリシアにはすでにカバンがあったという[5]。下に写真を挙げる。
古代に全く言及せずいきなり中世から説明を始め、「鞄、つまり携帯用の、物を入れるための袋類が歴史上に明らかに登場するのは、中世のなかばに、サラセン風を取り入れて登場するオモニエール(fr:Aumônière)という腰帯につるす袋であり、これが袋物や鞄のいわば原型となった[3]。またポシェット(fr:pochette)なども鞄の元型の一種と見なされており、こちらはもともとは十字軍遠征の影響で使われたものであった[3]」と説明する百科事典もある。オモニエールは18世紀までさかんに使われ、19世紀に入ってからは、それまでの素材の皮革やカンバス地に加えて、ズックなどが登場し素材が多様化してゆき、各種の鞄類に分化していった[3]。
-
古代エジプトのカバン(植物繊維、エジプト新王国、紀元前1539-1076年頃)
-
古代エジプトのカバン(革製、エジプト新王国、紀元前1425-1353年頃)
-
古代ギリシア、槍を持つ青年の前の壁にかけられたバッグ(紀元前490年頃)
-
オモニエールの例(13世紀のもの)
鞄の分類・種類
(それぞれ五十音順)
保持のしかたによる分類
#歴史の節を読めば分かるように、鞄の原型はポシェットのように肩にかけるものや、腰帯につけるものであったので、まずそちらから挙げ、その後に登場した手で持つものを最後に挙げる。
長いストラップで肩や首にかけるもの
- ショルダーバッグ(英: shoulder bag)
- 肩にかけるための長いストラップがついたバッグ。たすきがけで使うものと、片方の肩にちょんとかけるものがある。総称的に使える用語。
- サッチェル(英
- satchel)
- イギリスの伝統的な学生カバンであり、教科書・教材・ノート類を入れるのに使い、ストラップで斜めがけする。
- ポシェット(仏:pochette)
- 小さく、肩紐が長い、たすきがけ用のバッグ。小さいながらマチ(襠)がある。小物を入れるのに使う。装飾性を兼ね備えており、ファッションアイテムとして広く女性に好まれる。
- サコッシュ(仏:sacoche)
- 元来は乗馬用のサドルバッグを指す。日本でサコッシュとして普及しているものは、自転車競技から生まれた、たすきがけの小さなタイプで、サドルバッグやポシェットのようなマチもない。補給食などの携行に用いられ、バイクライドが含まれるトライアスロンなどでも使われる。
- メッセンジャーバッグ
- たすきがけで使う。移動する時は背中側に背負うようにすれば邪魔にならず、中のものを出す時はストラップをすべらせて腹側にすれば簡単に取り出せて便利。容量も大きい。
- 頭陀袋(ずだぶくろ)
- もともとは仏教の僧侶が用いていた、首からさげる鞄。使用時のかけかたが若干異なるだけで、ショルダーバッグと構造は同じ。和服で托鉢を行う際は首にかけて前側で使うが、最近では寺の僧侶も普段着(洋服)の時は、これを普通のショルダーバッグのようにたすきがけで使う。
-
サッチェル。イギリスの学生カバン。
-
現代のカラフルな布製ショルダーバッグ。形はかばんの原型とほぼ同じで、伝統的な形を保っているタイプ。
-
メッセンジャーバッグを斜めがけして背中側にし、電車で移動する女性。
腰につけるもの
- ウェストバッグ
- 胴部分に巻きつけるベルト付きバッグ。容量は小さいが、両手が空き、つけたまま出し入れできるので機能性が高い。収納物が増えるとバッグ部分を中心に下がってくる。
- ベルトポーチ
- ベルトに通して使う小型の鞄。ウェストバッグと同様、機能性が高い。警備員が使用する「キーバッグ」もこの一種。
背負うもの
- ランドセル
- 背負う、革製の鞄。本来は日本の学童用だが、最近は欧米で大人の女性が日常的に使うことも流行している。
- リュック(リュックサック)
- 背負いカバン。
-
ランドセル
-
本格的なアウトドア活動や登山用のバックパック
-
女性向きのおしゃれなリュック
手に持つもの
- ガーメントバッグ
- スーツ(ジャケットとスラックス、上下)を入れて半分に折りたたみ携行できるようにした鞄。
- 抱鞄(かかえかばん)
- ビジネス用途で書類入れとして用いられた鞄。抱えて持つことが多かったが、日本では大正時代半ばから手提げ式が多くなり、学生鞄としても広く用いられていたが、現在では学生用としては衰退気味である(ごく一部の中学生、高校生が用いているのみ)。
- キャリーバッグ(英:Carrier bag)
- 持ち運びに用いる小型から中型の鞄。手に持つタイプや肩に掛けるタイプなど、いろいろな形がある。紙またはプラスチック製の買物袋。
- クラッチバッグ
- 肩ひものついていない小型のハンドバッグ。
- ケリーバッグ
- 女性用ハンドバッグの一種。元祖はエルメスの旧「サック・ア・クロア」。
- セカンドバッグ
- 手で抱えて持つ小型の鞄。従来は大型の鞄の中に入れて用いられていた。
- トートバッグ
- 四角い形状をしていて持ち手が2本ある鞄。多用途で用いられる。主に鞄上部(天)のみが開口部となっている場合が多い。薄手のものは折り畳んで小袋に入れ携帯できる。近年、レジ袋削減及び環境保護のための「マイバッグ」として注目されている。
- ドラムバッグ
- ドラム状をしている鞄。ロールボストンともいう。
- トロリーバッグ'(Trolley case)
- キャスター付きで、鞄に付属する取っ手の出し入れができる、主に旅行用の鞄。トローリーケースとも呼ばれている。
- ブリーフケース(brief case)
- 書類を入れるためのかばん。あくまで少量の書類を入れるためのかばんであり、非常に薄く、入れられるのはせいぜいハードカバー本1冊分程度の厚みのものまで。かつて大使館員、特に書記官や駐在武官(フランス語で「アタッシェ」、attaché)が書類を携帯するのに使用していたことから「アタッシェケース」とも。そのフランス語が英語に入りアクサンテギュの取れたattache(英語では訛(なま)って「アタッシュ」と発音)を日本語で取り入れる場合もあり、日本語ではどちらの表記も用いられる[6]。
- フレームトップケース(frame top case)
- イギリスでは「トップフレームブリーフケース」とも。アメリカでは「ドクターズバッグ」「ロイヤーズバッグ」、日本では「ダレスバッグ」とも。
- イギリスの呼び方は素直に鞄の構造をもとに呼んでいる。鞄の上側開口部が口金構造であることから。口金式のブリーフケースで、マチ幅の広いものをこう呼ぶ。素材は硬くて厚い牛革が用いられることが多い。アメリカでは携行品の多い医師がこれを多用することからドクターズバッグ(Medical bag)、あるいは多数の書類を持ち歩く弁護士が多用することからローヤーズバッグ(Lawyer's bag)といわれる。日本の鞄専門店がアメリカのダレス特使が愛用していたことから自社製品に勝手にこの愛称をつけた(あくまで愛称である)。かつては堅牢かつ容量自在な鞄として普及していたが、ナイロン製の軽量鞄に普及に押され気味である。Mr.ビーンも使用している。
- ポーチ(pouch)
- 小物を入れる小型の鞄。英語でパウチ。
- ボストンバッグ(Boston bag)
- 底が長方形。ボストン大学の学生達に愛用されていたことからこの名がある。日本では大正末から製造されるが、昭和初期からファスナー式が中心となる。マジソンバッグが有名。
-
ガーメントバッグ
-
抱鞄(かかえかばん)の一例。手提げ式の学生鞄
-
ブリーフケース。フランス語で「アタシェケース」、英語なまりで「アタッシュケース」とも。
-
手に持つタイプのトラベルバッグ(旅行かばん)
-
旅行によく使われるトロリーバッグ
スリーウェイ
- スリーウェイバッグ(3WAYバッグ)
- 広く、手で持つ・肩にかける・背負うの3通りの携行方法のある鞄の総称である。ハバサック(第二次大戦中の米軍用行嚢)がこの一つ。
使用目的による分類
- 学生鞄
- 学生が教科書類を運ぶための鞄。狭義では、革製の抱鞄を指すが、広義には肩に斜めがけする布製のショルダーバッグも指しうる。
- 楽器ケース
- ヴァイオリンやトランペットなどの楽器を入れるための鞄。衝撃を受けると楽器の破損につながるので頑丈な“ハードケース”。
- キューケース
- キューを収納するための鞄。
- ゴルフバッグ
- ゴルフ道具(クラブやシューズなど)を入れるための鞄をいう。
- 水泳バッグ
- 水泳用品(水着、スイムキャップ、ゴーグル、タオルなど)を入れるための巾着状の鞄をいう。プールバッグ、スイミングバッグともいう。
- サドルバッグ
- 鞍やサドル、バイク・自転車に取り付ける鞄。
- シザーバッグ(scissor pouch)
- 元々は美容師や花屋が鋏を入れるために使っていた小型の革製の鞄。現在は気軽な用途に使われている。ポーチの一種。
- 書道ケース
- 書道の道具を収納するための鞄。
- ショッピングバッグ
- 買い物袋のこと。買い物時に持ち帰り用として店が提供または客が持参する、取っ手つきの紙袋・レジ袋・エコバッグなどの総称。紙製のものは、耐久性を増すためにビニールがかぶせられているものもある。英語では女性のホームレスを「ショッピングバッグ・レディ」と俗称するが、これは全財産をこのショッピングバッグ一つに入れて持ち歩いていることにちなむ。
- スーツケース
- スーツなど洋服を入れて運搬するための中型ないし大型の鞄をいう。ハンガーに掛けたままの上下一着とワイシャツ・革靴、その他少々のみを収められる寸法のものは特にガーメントバッグ(garment bag)と呼ぶ。
- スポーツバッグ
- 学生がスポーツ用品を運ぶためのバッグ。
- タンクバッグ
- オートバイの燃料タンク上に磁石でつける鞄を指す。手に持ったり肩から掛けて携行できるようにストラップが装備されている。
- チョークバッグ
- ロッククライミングのチョークを入れる時に使われていた鞄。現在は気軽な鞄として使われている。ウェストバッグに近い。
- 胴乱
- 野外で採集した昆虫、植物などを破損させず持ち歩くための、固めのかばん。肩からさげる。
- ドキュメントケース
- ブリーフケースを少し薄手にしたデザインでより書類ケースに特化したもの。ジッパー全開式で抜き手(伸び手)と呼ばれる本体に収納可能な取っ手が付くモデルが多い。書類を仕舞うための小型の鞄、A4サイズで薄型の革製。ケースやファイルに近い。
- トラベルバッグ(旅行鞄)英: travel bag
- 旅行用の鞄。
- トランク
- 大型のスーツケース。日本ではこの類として長持がある。
- ハンドバッグ(英: handbag)
- 婦人が財布や化粧品などの小物を入れて携行する小型の鞄をいう。女性服(特にドレス)にはポケットが少ないことから、成人女性の多くが携行する。purse(英語版)(女性用の肩紐のないハンドバッグ)
- ビジネスバッグ
- 広く、ビジネス用途のバッグの総称であり、一般的なビジネスマンやOLが使用するもの。
- 武器ケース
- 刀剣や弓、銃を収納するための鞄。
- ブリーフケース
- 書類(brief)用の鞄をいう。用いるのは主にホワイトカラーの男性。時代とともに、書類以外の携行品を入れるためにマチ幅が広くなったり、携行の便宜のために肩掛け紐が付けられたものが生まれている。形は上記の抱え鞄によく似ているが、代表的な形状には、上部がファスナー式開口部となっているジップトップケース、上部開口部を蓋革(フラップ)が覆っているフラップトップケース、上部開口部が口金式となっているフーレムトップケース(ダレスバッグ)がある。倒れないように底に底鋲が付いていることが多い。
- ミュージックケース
- 楽譜を入れるために用いていた鞄。
- メッセンジャーバッグ
- もともとメッセンジャーが使いやすいようにデザインされたバッグ。斜めがけしやすくて、容量がたっぷりのバッグ。
- 防弾鞄
- ブリーフケース型の防弾盾を指す。用いるのは主にセキュリティポリス。超高強力ポリエチレン繊維製で、貫通力の高いトカレフTT-33等の高速弾や刃物を用いた襲撃に対する防護能力を備えている[7]。
素材
素材は一般には、しなやかさ(flexibility)を備えた布や革などである。一方で、古くから籐や竹など固めの植物性素材も使われることがある。
- 布
- 鞄の素材として使われる布は、織った布の場合も、編んだものの場合もある。
- 繊維種は綿、麻、(20世紀なかばすぎからは)化学繊維など。近年は軽くて丈夫な炭素繊維も使われることがある[8]。
- 革
- さまざまな革が使われる。とくに制限があるわけではない。
- 人工皮革
- 20世紀後半から化学素材が安価に製造できるようになったので人工皮革製のカバンも増えた。革より安価に入手して革のように見せたい場合に使われる。
- 他
- 紙製の紙かばんも物品販売に使われている。20世紀後半以降はポリ塩化ビニル、金属などが素材として使われることもある。表面にビーズが用いられることもある。
かばんづくり、かばん製造業
- アマチュア
世界各国の大人向けの裁縫教室で、布製の簡素なカバンづくりは入門的な題材の定番のひとつとして扱われていて、日本の裁縫教室でも同様である。日本の小学生の家庭科でもかばん作りが行われる。
- プロ
鞄を作る産業をかばん製造業と言う。
日本標準産業分類では小分類「206 かばん製造業」、細分類「2061 かばん製造業」となっている[9]。スーツケース,手提かばん,トランク,かかえかばん,ランドセル,肩掛かばん,書類入れ,スポーツ用バッグ,楽器用ケース,化粧用ケース,光学器具用ケース,携帯ラジオ用ケースなどを製造している事業者が該当するという[9]。
世界で鞄を多く輸出している国は、「旅行用品とハンドバッグ travel goods and handbags」という括りの2022年の金額ベースの統計では、国別でいうと中国が圧倒的に多く、次いでフランス、イタリア、ベトナムの順になっている[10]。 フランス、イタリアは1970年代などから若い女性向けのブランド品の鞄の輸出が伸びていた。
日本で特にカバンの製造が多いのは東京、大阪、名古屋、兵庫県豊岡で、これは「四大鞄産地」と呼ばれていて[11]、中でも豊岡が最大級[11]。豊岡はもともと柳行李の生産地だった。
なお、かばん製造業者は中小企業や小規模な店舗が多い。
市場規模
世界のカバン市場の規模は2024年で538億ドル規模である[12]。カバンの世界市場は毎年 約7% 成長している[12]。
日本と鞄
日本に革鞄が導入されたのは、一説には、フランスに滞在していた商人山城屋和助が1873年(明治6年)に持ち帰り、職長森田七が模倣して作ったのが初めてと言われる[13]。
なお、日本では家庭用品品質表示法の適用対象となっており雑貨工業品品質表示規程に定めがある[14]。
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日本産の素材のみで作られたトートバッグ(Den corporation製)。
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京和鹿の皮と西陣織を使った日本製のバッグ。(やはりDen製。イタリアのミペル・ザ・バッグショーで高評価を得たという)
脚注
出典
- ^ MerriamWebster, bag. 「a usually flexible container that may be closed for holding, storing, or carrying something」
- ^ Lexico, bag 「A container made of flexible material with an opening at the top, used for carrying things.」
- ^ a b c d 日本大百科事典『ニッポニカ』、鞄。
- ^ wikt:bag
- ^ Lux Collection, History of Bags
- ^ “アタッシュケース - 語源由来辞典”. 語源由来辞典. ルックバイス. 2014年9月29日閲覧。
- ^ 防弾カバン/防弾バッグ|防刃機能搭載
- ^ "新素材"に商機あり! - Bizナビ - Bizナビ+ サンデー NHK 2014年11月2日
- ^ a b [1]
- ^ [2]
- ^ a b [3]
- ^ a b Luggage & Bags - Worldwide
- ^ 豊岡かばんEXPO、日本の鞄の歴史
- ^ “雑貨工業品品質表示規程”. 消費者庁. 2013年5月23日閲覧。
関連項目
外部リンク
Bag
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/09 22:41 UTC 版)
「バグ (曖昧さ回避)」の記事における「Bag」の解説
ハンガリー・ペシュト県にある村。
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「bag」の例文・使い方・用例・文例
- 英国ではmailbagをpostbagという
- bagのページへのリンク